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家具メンテナンス

福島県白河市にあります「白河市立図書館」の家具について

この図書館は、前職(第一工房)で設計監理をチーフアーキテクトとして担当させていただいた公共図書館です。
既存市立図書館の老朽化からプロポーザルコンペが行われ、最終的には4年以上の歳月を経て(2011年の大震災も何とか乗り越え)無事開館することが出来ました。それから早いもので13年になります。
開館初年度から目標利用者数を大幅に上回る状況はその後も続き、年齢を問わず地域の人々に愛される施設として定着しています。
嬉しいことに、地元市内の利用者に限らず、市外からもわざわざ車でいらして利用される方も多いと聞いています・・

図書館と書架・家具はとても深い関係にありますが、当時の図書館長(田中館長)さんは、
「子どもたちには、優れたデザインの家具に触れながら図書館を利用してほしい。大人になってから、いつも普通に利用していた図書館の家具は、実は質の高い本物のデザインだった!と後でわかるくらいがちょうどいい・・」
とお話しされていたことを思い出します。

打合せを重ね、図書館内の各所に配置する家具は、書架やデスク+照明器具、空間に合うオリジナルソファを設計させていただき・・一部には市内の南湖公園で倒木となった木材を利用したベンチも造作家具として製作しました。
また世界的な名作といわれるプロダクト(椅子やテーブル)もセレクトさせていただきました。アルネ・ヤコブセンがデザインした家具、デンマークの「Fritz Hansen」のアイテムもいくつかあります。

この写真でご紹介しています、エントランスホール空間(展示ギャラリーとしても利用可能)に配置しています椅子とテーブルは、北欧スウェーデンのコントラクト家具メーカー「Bla Station」のアイテムです。
家具に詳しい方ならご存知かもしれませんが、日本では少々マニアックなチョイスに感じるかもしれません。
有難いことに当初の家具セレクトのまましっかりと大切に運用していただいています。

この椅子・テーブルセットは、黒とシルバーのモノトーンをベースカラーに、赤いチェアが差し色となる千鳥配置となっています。
これは設計当時、第一工房代表の高橋さんが指示されたままとなっていますので・・
個人的にはとても懐かしく感じてしまいます。

今年、その椅子のメンテナンスで座面のパッドのみ張り替えられました。
(メンテナンスをされた家具のご担当者よりご報告いただきました)
デザイン的にも古さを感じさせず、きちんとメンテナンスされた家具を永く使うというのはいいものですね。
設計担当者としては、本当に嬉しいお知らせでした!

弊社では、施設設計でも個人住宅の設計でも、クライアントとの打合せで、家具の検討も一緒にご相談いただくことが多いです。
建築全体の空間づくりと共に、オリジナルの造作家具なのか、既製品をセレクトする置き家具なのか・・照明などの組み合わせ選定も含めて「家具」は、建築本体の検討と共に重要な要素となります。
プロジェクトごと、お話をうかがいながら・・
じっくりと考えてこれらを選定することも楽しみの1つと言えます。

少し前になりますが・・
2022年9月、久々に白河市立図書館を訪れた時のスナップ写真をいくつかあげてみます。
(図書館で撮影許可をいただきました)

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2024-09-07 | Posted in diary, blog |