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2025年 千葉神社より
新年明けましておめでとうございます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
2025年のはじまりは、千葉市中央区にあります千葉神社より。
毎年、千葉神社の社殿前・境内には参拝のために多くの方が訪れ、神社に隣接する公園にまで長い行列となります(写真は元日の午前中、境内の様子です)。
元日は晴天に恵まれまして、心晴れやかに初詣をさせていただきました。
新年の初ブログは、以前より計画させていただいておりますこの「千葉神社 参集殿増改築工事」について少々お伝えいたします。
弊社websiteのworksでも概要をご紹介しています「千葉神社 参集殿増改築工事」は、2026(令和8)年の千葉神社 開創1025年と「妙見大祭」第900回に向けた奉祝事業として現在進行中です。
建築工事としては、今年・2025年の2月中旬から本格化する予定ですが、現在までに外構工事の一部を先行工事として進めています(主には参集殿の増築に伴う、既存の参道・鳥居・獅子山・灯篭などの移設です)。
▽写真左:既存の鳥居や灯篭の配置、写真右:解体作業中の獅子山・獅子の状況
(採寸や番付けを行ない、保管場所へ)
▽各種既存石材の保管状況
(石種は主に稲田石、手斫りしたもの)
▽既存参道の敷石を移設する作業状況
(土間コンクリート施工後に参道石を敷設)
参道敷石は大きさ・厚さも重厚なもので風格があります。作業は1点ずつ重機で吊り上げて据えていきます。形も少しずつ違いがあるため、一見して違和感なく目地を通すことや面精度を出すのもなかなか大変な調整です。
ちなみに、2025年度には千葉市が管理しています千葉神社の南側に隣接する公園についても千葉開府900年事業に向けた再整備工事が予定されています。
神社・公園どちらの整備計画も数十年に1度の特別なタイミングと思われますが、ほぼ同じ時期に工事が行われる見込みです。
公園整備内容については、千葉神社境内の改修後の参道へのアクセスと動線等が整合するように以前より意見交換を重ねていますので、最終的には境内の建築・外構整備に加えて隣接する公園の整備まで、都市計画レベルでうまく連携し全て完成形まで整う状況を見るのが非常に楽しみです。
そのほか、神社内の建築・内装整備の内、家具の検討でも楽しみな話題があります。
写真は、昨年11月に北欧フィンランドの家具メーカー「ARKTIS(アークティス社)」のCEOユッカ・ニスカネンさんと家具デザイナーのミッコ・ハロネンさんが来日された際に千葉神社へお越しいただき、神社の内外をご案内した時の記念写真です。
社名の「ARKTIS」が「北極圏」から命名されていること、千葉神社が北極星・北斗七星の御神霊である北辰妙見尊星王(妙見様)を祀られていますことに対して、相互に親和性(ご縁)を感じられる意見交換の場となりました。ユッカさん・ミッコさんとも今回の千葉神社への訪問に大変興味を持たれ、帰国後にはARKTIS社のインスタグラムにこの写真をUPされています(千葉神社様の許可を得て)。
弊社設計の建築全体・内部空間の意図に合う家具配置や、ミッコさんデザインの千葉神社オリジナル家具でコラボレーションする可能性などを打合せさせていただきましたので、2025年は家具の詳細検討から実現化に向けてとてもワクワクする内容となります。
設計全体としては、既存建築の改修と一部増築により、建築全体の機能とイメージを刷新していくものであり、これまで既存建築の制約もある中で難しさと課題を解決していく楽しさを同時に感じて進めてきました。いよいよ今年、この現場進行中の特別なプロジェクトを無事(安全)に実現するために、千葉神社様をはじめ設計・施工で関係します皆様と引き続き良い連携を図っていきたいと思います。
2025年の始まりに際し、当然のことながら ご相談いただいています全てのプロジェクトで弊社一同しっかりと力を発揮できるよう、気持ちを新たにし取り組んでまいります。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
blog category:千葉神社参集殿
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event/建築家展・個展(山口 2025.01.09-26)
2025年1月9日〜1月26日に開催されます建築イベントにお声掛けいただきました。
hm+architects の個展 [ギャラリー展示+相談会・セミナー] の開催となります。
(建築家との家づくりをサポートしています、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン主催のイベントです)
〜 建築家との家づくり展 in 周南 〜
遠隔地ではありますが、山口県「TOKIMORI GALLERY tokuyama deck」 で開催されます建築家展に参加させていただきます。
日時:ギャラリー展示/hm+architects 個展
2025/1/9 (木)〜1/26(日)
10:00~17:30 入場無料
※火・水は定休日
建築家滞在日:hm+architects/伊原洋光・伊原みどり
2025/1/18 (土)〜1/19(日)
10:00~17:30 入場無料
建築家セミナー:hm+architects/伊原洋光
「庭のある豊かな暮らし」~外とのつながりを楽しむ~
2025/1/18 (土)
13:30~14:30 入場無料
場所:JR徳山駅前”徳山デッキ”1FにOPENした建築家の専門店
【TOKIMORI GALLERY】 で開催
山口県 周南市銀座1丁目31
TOKIMORI GALLERY tokuyama deck
こちらの TOKIMORI GALLERY の内装は、隈研吾建築都市設計事務所がデザインを手がけたスペースとなっています。
このスペースで、hm+architects の作品展示を新年の1/9〜1/26まで、3週間近い期間の開催となりました。
展示は、弊社設計の建築作品について、大小の模型(計12点)と写真パネル(計24点)、フォトアルバム、大型ディスプレイでの画像紹介を予定しています。
弊社としましては、初めての個展形式の展示となります。上記のような展示物を一度にディスプレイさせていただく機会もこれまでありませんでしたので、私たちもとても楽しみにしています。
ご興味のある方、お近くにお出かけされるご予定のある方、是非お気軽にお立ち寄りください!
↓イベントの詳細は、
こちら をご参照ください。
blog category:出展イベント
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江之浦測候所の見学会/後編
前回ブログの続き、
神奈川県小田原市にあります「江之浦測候所」の見学会について。
日本建築家協会関東甲信越支部住宅部会が主催で、設計された新素材研究所の榊田倫之さんと一緒に施設を巡る企画です。
見学中、施設内の各所で私が感心したところのスナップ写真と、その補足をさせていただきます。
「明月門」について
鎌倉にある臨済宗建長寺派の明月院の正門として室町時代に建てられたもの。
その後、関東大震災で半壊となり解体保存されたものが、大日本麦酒(サッポロビール・アサヒビールの前身)の創業者、馬越恭平の六本木邸宅の正門として再建された。
1945年に邸宅は被災するも門は焼け残り、茶友であった根津嘉一朗の根津家に寄贈された。
後に、根津美術館正門として使用されたが、2006年の根津美術館建て替え時に小田原文化財団に寄贈され、江之浦測候所の門として現在の姿となっている。
明月門の屋根瓦については、
解体修理により再建される際、痛んでいたものもあったため、状態の良いものを正面側に使用し、裏面は当時のものを再現する詳細検討を行なって新規に焼き直したものにされたそうです。
足元の敷石は、「京都市電の軌道敷石」とのこと。
明治28年(1895)日本初の電車事業として開業以降、数十年に渡り自動車路として共用されたため、肌が摩耗して味わいがある・・
石など、新しい材では、なかなか経年の味のある表情は出せないので、基本的に古い材料を手に入れられる時に買い付け、確保しているとお聞きしました。
敷石1つとっても徹底ぶりが凄いです。
こちらの変わった形の石は、かつて井筒石(地上に出た井戸の枠を指します)として鍵形に組んであったものを敷石に配置したものだそうです。
こちらは、巨大な根府川石。
近隣に根府川石丁場があるとはいえ、このような立派な石が踏石としてあちこちに・・
ちなみに前職の第一工房時代に設計を担当しました白河市立図書館の外構の一部に根府川石を採用したことがありました。ある程度は知る素材として少しばかり親近感を抱きながら根府川石を拝見しましたが、一定の大きさを超えるものが多数あるとちょっと別物の存在感で、石のサイズ感覚も麻痺しそうでした。
「石舞台」
水平に伸びる100メートルギャラリーの大谷石の壁を背景に、石舞台を見た写真です。能舞台の寸法を基本として計画されており、素材はこの地の開発時に出土した転石を使用しているそうです。
左の大きな石は、舞台の橋掛りとして23トンもある巨石(福島県川内村の滝根石)が据えられています。
この江之浦測候所の工事にはスペシャルな石工職人チームがいらっしゃるとのことで、素材の凄さだけでなく、設計も施工技術的にも特別です!
茶室「雨聴天」
千利休作とされる「待庵」の本歌取りとして構想されたもので、待庵の寸法を一分の違いもなく写したものとなっています。
ただ、この地にあった蜜柑小屋の錆果てたトタン屋根を慎重に外して、茶室の屋根にしているところ、雨がトタンに響く音を聴く「雨聴天」と命名するところなど、「本歌取り」の妙ですね。
▽左の写真:竹箒の垣根となっています。
▽右の写真:躙口前に光学硝子の沓脱ぎ石。光を受けて目眩く輝くとのこと。
「石造鳥居」
鳥居の古様を残す例として、山形県小立部落にある石鳥居(重要文化財)の形式を参照し組み立てられたのが、この石造鳥居とのこと。
一般的な成人男性では、屈む必要がある高さです。
茶室の躙口へ至る「躙り鳥居?」とでも言うのかなと・・
(そのような言葉は無いと思いますが)
「化石窟」
建物は、かつて蜜柑栽培が盛んであった昭和30年代頃に建てられた道具小屋を整備したもの。
内部には、5億年前の化石をはじめとする複数の化石、4000年程前の青銅器などが展示されており、杉本博司さんが収集してきた骨董品の凄さを感じます。
杉本博司さんが古美術商としてニューヨークで営まれていた木製看板を、ここに掲げていると榊田さんよりお聞きしました。
散策路にある階段手すりは、設備用の配管です。
「木化石」
地中に埋もれ化石化した樹木。
新生代(6500万年前〜)のものと思われる「木化石」を半分に切断し、ベンチとしているそうです・・
「樹齢400年の春日杉」
奈良春日大社の御神域に育った春日杉。
平成30年(2018)9月の台風21号で倒れた大木を令和6年(2024)に移送し、祀っているとのこと。
「片浦稲荷大明神」
石造稲荷神社は、享保12年(1727)武蔵国 豊嶋郡(現在の渋谷付近)にあったものと稲荷神社(狐も当時のもの)と考えられており、この地に譲り受けられ「片浦稲荷大明神」として祀られている。
鳥居は旧九段会館の屋上にあったもので、解体に伴い移設された。
「石造狸」
信楽焼の狸を石で造形したものは珍しいそうです(明治時代のもの)。
酒を左手に、通帳を右手に提げています。
杉本博司さんは、この狸の下半身を特に気に入っていらっしゃるらしいです。
「柑橘山 春日社」
柑橘山 春日社殿は、現存する最古の春日造りの姿を残す奈良・円成寺の春日堂を採寸さているとのこと。
ここに至る参道には古い灯籠が集められ、複数建てられていました。
背景を相模湾とする社殿の独特な建ち方、存在感を特別なものにしていると感じました。
榊田さんの解説のおかげで、知らずに見ただけではわからない経緯や素材について詳しく知ることができました。
杉本博司さんが一連の「海景」の作品群で時間をテーマにされていることは知られていますが、特に化石を好んでコレクションされていること、年月を経た古い素材を集めていることなど、この施設に込められたこれまでの想いが各所で整合し、なるほど!そうなんだ・・と感心しきりでした。
さらに、見学後には場所を変えて、榊田さんの講演(1時間ほどのレクチャー)と懇親会までプログラムを準備していただいており、新素材研究所で行なっている「江之浦測候所」以外の設計内容についてもお話を聞くことができました。
他の設計中プロジェクトでも非常に緻密な検討をされていることがわかり、個人的には榊田さんのお話・お人柄にすっかり魅了される1日となりました。
榊田さん、日本建築家協会関東甲信越支部住宅部会のみなさん、本当に素晴らしい企画をどうもありがとうございました。
前編・後編に分けた「江之浦測候所の見学会」ブログとし、少し間が空いてしまいましたが、後編記事UPは冬至の12/21にしてみました。
以上となります。
blog category:建築視察
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works「吉祥寺の住宅」写真をUPしました
弊社website内のworks「吉祥寺の住宅/House in Kichijoji」竣工写真をUPしました。
都内の閑静な住宅地にありながら、街に対して開かれた構えの外部空間を持つ住まいが完成いたしました。
B1Fを鉄筋コンクリート造、1,2Fを木造とする混構造の住宅で、敷地の高低差に合わせた内部空間のレベル差、外部空間の立体的な変化と広がりが特徴です。
写真家の小川重雄さんに撮影していただきました。
こちらより複数の写真をご覧いただけます。
よろしければご覧ください。
blog category:吉祥寺の住宅
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media/ASJ作品集に掲載されました
建築家との家づくりをサポートしています
ARCHITECTS STUDIO JAPAN(アーキテクツ スタジオ ジャパン)の
作品事例集に弊社設計の「新城の住宅」が掲載されました。
ARCHITECTS STUDIO JAPAN は
日本全国で展開する建築家と施工者を紹介するネットワークがあり
2024年12月時点での登録建築家は2,974名となっています。
今回、全国で多数の優れた建築家とその設計事例がある中
作品集16作の1つに取り上げていただき、大変光栄です。
ARCHITECTS STUDIO JAPAN に関係する方向けの作品集ですので
一般の書店に並ぶ書籍ではありませんが
ブログにてお伝えさせていただきます。
blog category:新城の住宅
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event/建築家展(鎌倉 2024.11.22-24)
2024年11月22日〜24日に開催されます建築イベントにお声掛けいただきました。
(建築家との家づくりをサポートしています、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン主催のイベントです)
〜 建築家展 in 鎌倉芸術館 〜
神奈川県「鎌倉芸術館」 で開催されます建築家展に参加させていただきます。
日時:2024/11/22 (金)〜11/24(日)の3日間
全日程共通 11:00~18:00 入場無料
場所:鎌倉芸術館 ギャラリー1
神奈川県鎌倉市大船6-1-2
↓イベントの詳細は、
こちら をご参照ください。
建築家との家づくりについて
会場では、複数の建築家と対面で直接お話しできます。
お気軽にいらしてください。
blog category:出展イベント
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江之浦測候所の見学会/前編
先日、神奈川県小田原市にあります、「江之浦測候所」を見学してきました。
この見学会は、日本建築家協会関東甲信越支部住宅部会が主催で、設計された新素材研究所の榊田倫之さんと一緒に施設を巡る企画となっています。設計者から直接解説を聞くことができるという、大変贅沢な見学内容です。先着25名限定の申込み枠に間に合い、参加させていただきました。
集合場所は、最寄駅のJR東海道本線「根府川駅」。
可愛らしい小さな無人駅ですが、相模湾を眺めることが出来る何とも素晴らしいロケーション!!
この日は晴天にも恵まれ・・
まずは駅よりシャトルバスの移動から、見学スタート。
現代美術作家、杉本博司さんの構想から20年もの歳月をかけて開館(2017年)した「江之浦測候所」。
発表時から何かと話題を集めていましたが、私は今回が初訪問です。
ギャラリー、屋外舞台、茶室、庭園などで構成され、とにかくたくさんの見所があり、現在も新たな施設を追加する構想が進行中とのこと。
設計は新素材研究所(杉本博司さんと建築家の榊田倫之さんがパートナー)ですが、榊田さんのお話では30代の全てをつぎ込んだという程の壮大かつ大変なプロジェクトです!!
敷地内で、最も大きな建築ヴォリュームは、この「夏至光遥拝100メートルギャラリー」です。
標高100mにあり、長さも100m。夏至の軸線に配置されています。
建築の南面には大谷石の荒々しい長い壁面が置かれ、その壁から片持ち(キャンチレバー)でシャープな鉄骨屋根が水平に、北面はフレームレスのガラス面が伸びています。
写真:庇の先に樹木に重なって見えます、ベージュのコートで後ろ姿の方が榊田さん。
住宅部会のメンバーにはイヤホンガイドが配布され、榊田さんが各所で詳しい解説をして下さる見学スタイルです。少し離れた場所に居ても榊田さんのお話が聞きやすく、とてもイイ感じの見学です!
この大谷石の厚みは20cmほどあるそうで、石切場から切り出した際の底面をそのまま壁仕上げ面にしているため、かなり大きな凹凸があります。
切り出す時の底面、「地球」に面している側を見せて張っているため、杉本さんは大谷石の「地球面仕上げ」と呼んでいるそうです。
一般に、建築設計では30mm程度の自然石仕上げが多いと思われますが、それに比べますとこの厚さは尋常ではありません。
ちなみに榊田さんは、初代「大谷石大使」に任命されているとのことです。
このギャラリーには、杉本さんの代表的な作品「海景」シリーズが展示されています。
建築の水平線、「海景」作品の水平線、その奥に広がる相模湾の水平線・・
大きく跳ね出した先端部のバルコニー。そこからの景色は、本当に素晴らしいです。
市街化調整区域でかつ農地のミカン畑の土地にこれらの施設をつくるのは、実務的には容易ではなかったというエピソードを榊田さんからお聞きしました。行政手続き上、多くのハードルをいかに乗り越えて今に至っているか、ここでの記載は割愛しますが、本当に大変なプロセスだったと思われます。
こちらは、冬至の軸線につくられた「冬至光遥拝隧道」です。
「夏至光遥拝100メートルギャラリー」の下をトンネル状に貫通しています。
この隧道は、赤錆色の見え方が特徴的な「コールテン鋼(耐候性鋼)」と呼ばれる鉄で製作されています。
また図面上の検討だけで、本当に冬至の太陽光が通るのか・・
施工後に失敗は許されない!
ということで、3年に渡る緻密な事前調査と準備をされて進めた工事だそうです。
「隧道」を進んで地上に出ますと、こんな景色が広がっています。
コールテン鋼の「隧道」右手に見えますのは「光学硝子舞台」です。
相模湾の水平線を背景にして、このガラスの舞台が檜の懸造り架構の上に浮かぶように配置されています。
そして「光学硝子舞台」の観客席は、古代ローマの円形劇場遺跡(イタリア、ラツィオ州フェレント)を実測して再現したものになっています。
敷地内の1つ1つの建築・ランドスケープの要素には、時間と空間のスケールの大きさが与えられ、特別な存在感を放つものばかりで・・
とにかく圧倒されます。
まだ他にも紹介したい写真もありますが・・
ブログも少し長くなってしまいました。
ここで一度区切りにさせていただき、また後日のブログでお伝えしたいと思います。
よろしければ、次回「江之浦測候所の見学会/後編」も見ていただけますと幸いです。
blog category:建築視察
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免震レトロフィット&ネーミングライツ
2024年秋学期も中部大学の非常勤講師として、2つの講座を担当させていただいております。
2016年からもう9年目・・かなり長くお世話になっています。
今回は、キャンパス内の施設についてお伝えしてみます。
愛知県、春日井キャンパスにアクセスしますと、まず正面に「9号館」が見えます。
1万人以上の学生数・職員の方々を出迎えるように建っており、足元はピロティ状の空間を持っています。
非常に多くの方が日々ここを通行していますが、実はこの建物には、特殊な建築技術が盛り込まれています。私が知る範囲で少々解説をさせていただきます。
この建築は、今から58年前、春日井キャンパス整備の黎明期である1966年に竣工した建物(設計:大西設計)ですが、昔も今も大学の顔となる建築として存在しています。
元の建築は、当然ながら旧耐震基準(1981年以前)の設計のため、後に現行法規の安全基準を満たす耐震改修が必要になりました。
耐震改修では通常、ピロティ部分に斜めブレース材を追加するなどして水平耐力を高める補強が多く採用されますが、ここでブレース補強をしますと、ピロティ部分の通行と外観イメージが大きく変わってしまうため、大学としては望ましい改修方法ではありませんでした。
そこで外観・機能をほぼ変えずに地震時に安全性を確保することが可能な「免震レトロフィット」工事が検討・採用されました。
当時、キャンパス整備(1976年〜2015年まで)の設計を行っていた第一工房と、川口衞構造設計事務所が中心となって、既存の建築物に後から免震性能を与える「免震レトロフィット」が提案され、1997年(6月〜10月)に施工(清水建設)し現在に至っています。私が第一工房に在籍する少し前の竣工です。
ちなみにご存知の方も多いと思われます、世界遺産となりました、ル・コルビュジェ設計の「国立西洋美術館」(東京・上野)は、国内初の「免震レトロフィット」工事の事例としてウィキペディア等にも紹介されています。この事例が1998年竣工(工事:1996年〜)です。その竣工前年に中部大学「9号館」が国内で実現しているのは、かなり先進的な試みであったことがわかると思います。
さすが、世界的な構造家 川口衞(かわぐちまもる)先生ですね。
△写真の右側が「9号館」の鉄筋コンクリート造の柱型です。ピロティの外周床面にタイル張りの蓋状のラインが見えます。
この免震レトロフィット工事では、まず既存建物の基礎下まで掘削し、地上5階建ての建築全体を基礎ごとジャッキアップしてから新たに免震装置(免震ゴム)を挿入します。免震ゴムを加えるだけでなく、さらに地震時に免震層が水平に動くため、隣接する建物とはエキスパンションジョイントを設ける必要があります。必要なクリアランス分は、全体を曳家する状況です。
外部の建物周囲では、この蓋部分がスライドして対応することになります。
地上に見える部分からでは、なかなかイメージしにくいですが、かなり大変な工事内容ですね。
建築学科の学生さんには私の担当授業でこの事情をお伝えしていますが、他学科の学生さんでこの話題を知る人は少ないでしょう。
学内の小ネタになるかな。
今年、中部大学内で新たな話題がありました。
それは「ネーミングライツ制度」です。
学内の既存施設、食堂の「第一学生ホール」では、命名権を名古屋の企業「湯浅糸道工業株式会社」さんが取得され、昨年までと違った施設名称『湯浅糸道ホール」というサインが設置されていました。
企業としては社名を知ってもらい、就職希望者が増えて欲しいという思いがあるようです。
以前からキャンパス内の各施設を知っている私としては、あらかじめネーミングライツと知らずにサインを目にして
「えっ!何でこの名称??」
とかなり新鮮な印象でした。すぐにスマホで調べて、なるほど・・そうだったのかと。
社会の動きをキャンパス内で感じるようで、なかなか良いですね。
また、2024年から学内に「スターバックス」が新規出店されていました。
場所は、中部大学内の中心部にある国際関係学部の「20号館」(設計:第一工房、1977年竣工)の1階です。建設当時、学内で初めての高層棟(地上12階)となった建築です。
こちらも竣工後半世紀近い建築ですので、耐震補強が行われています。
その改修設計は、第一工房と川口衞構造設計事務所との協働で、こちらの補強内容としては耐震の鉄骨ブレースが開口部に追加されています。当時、中部建築賞も受賞している端正な建築イメージを出来るだけ損なわないよう、意匠・構造のディテール、色彩の検討などが慎重に行われています。オリジナルの建築イメージを保ちながら、さりげない補強を実現していると私は思います。
ホットのカプチーノを飲みながら、つい建築(先輩方の仕事ぶり)に見入ってしまいました。
すでに秋学期も4週目。
食欲の秋、スポーツの秋、勉強の秋・・
学生さんのパワーに負けないよう頑張っていきたいです!
blog category:大学・教育
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media/YouTube動画で紹介いただきました
建築ポータルサイト KLASIC(クラシック)さんより、以前、動画撮影の取材をしていただきました「犬山の住宅」について
『KLASIC』YouTubeチャンネルに動画が公開されたとご連絡をいただきました。
動画は、2分46秒にまとまっています。
よろしければご覧ください。
↓
この田んぼの中に建つ、小さな平家(100m2)は、竣工後8年半ほど経過しています。
外壁の木板張りレッドシダーなどエイジングの様子や、ドローンで上空から撮影いただいた動画も、竣工写真とは違った見え方となっています。
blog category:犬山の住宅
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動画撮影の立会い
建築ポータルサイト KLASIC(クラシック)さんより動画撮影の依頼がありまして、先日 撮影の立会いをしてきました。
撮影いただいた建築は、竣工後8年半ほど経過した木造平家の「犬山の住宅」です。
近年は、ルームツアーなど動画での建築紹介が増えていますが、新築時の映像紹介がほとんどだと思われます。取材にあたり、新しい建物ばかりでなく、経年変化がどのようになっているか知りたいというエンドユーザーの声も一定程度あるとのことで、是非動画での紹介を!とお声掛けいただきました。
敷地の広さから、ドローンによる動画撮影も行われました。
アプローチ側の地上外観からは見えないところにうまく設置した、太陽光パネルが、ドローンの上空撮影では見えると思います。
外壁については、レッドシダーを張っていますが、新築時から現在まで無塗装のままです。設計時よりクライアントと打合せを重ね、将来はシルバーグレーにエイジングする外観を獲得するつもりで素材と仕様を決めていました。
いい感じに狙ったカッコ良さが出ていますね!
以前、6年ほど経過した時におうかがいした様子は、こちらのブログでも紹介しています。
↓
無塗装で6年経過したレッドシダー
内部の撮影も・・
カメラをスライドさせることが可能な三脚をセットして、人の動きを感じさせる撮り方をされていました。
午前・午後と撮影されましたが、最終的にはかなり短い時間に編集されるようです。写真撮影の場合はおよそのアングルはイメージはできますが、動画ですと、どんなまとめになるのか、ちょっと予想がついていません。編集作業に時間もかかるようですが、完成が楽しみです。
玄関の脇には、趣味のロードバイクやキャンプ道具などを置くコンクリート床の土間室があります。
ちなみに、こちらに保管されていますご主人の愛車について少し。
「NAGASAWA」のフレームに、こだわりの厳選パーツを組み上げたピストバイクです!
ナガサワピストフレームと言えば「中野 浩一」さんを世界に導いた歴史のあるフレームですね。
もし乗ってみますか?と言われても、ビンディングシューズでこのバイクに乗るのは、私だったら怖くて遠慮します・・
こだわりの1つ、ステム(ハンドルを固定する部分)は、かなりレアな「NITTO スライダーステム」が装着されています。元々は競輪選手が練習用に使うもので、ハンドルポジションを調整しやすい形状になっています。これが何ともデザイン的にカッコいいので熱烈なファンがいるのだそうです。
午後の日差しになって、窓からの景色、住宅内の光の雰囲気も変わってきます。
今の時期は、黄金色の稲穂が室内各所から見え、季節感もバッチリ味わえます。
ただ驚くべきは、この内部空間は、8年半経過しても竣工時とほぼ変わらないくらいと言えるほどすっきりとしたイメージが維持されていることです。
ご主人より、
「建築には過剰なところも不足するところもなく、いろいろなことが程良いため、あまり新築時から変わっていませんね」
とコメントいただき、設計者としては何とも言えない嬉しさを感じます。
ご夫妻のお仕事の事情や、お子さんの成長により生活スタイルもアイテムも変化している状況と思われますが、そこも含めてきれいにゆったりとした平家の住まい方をされていました。
本当に住み手の建築IQの高さが素晴らしく、頭が下がります。
お忙しい中、午前午後とも撮影にご協力いただきまして、ありがとうございました。
動画がまとまりましたら、またご紹介させていただく予定です!
blog category:犬山の住宅
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写真撮影の立会い
先日、「吉祥寺の住宅」で写真撮影の立会いをしてきました。
撮影は、写真家の小川重雄さんです。
ご多忙な中、スケジュールをご調整くださって夕景まで撮影いただきました。
(※本ブログ画像は、伊原スナップ写真です)
敷地面積は約40坪ですが、街に対しては開いた構えとなるよう建物を配置し、前面道路から1.2mほど高いレベルに中庭を設けるなどして、外部空間にも変化を与えています。
アプローチの外部階段の格段には、夜間の安全+演出照明として、非常に小さな照明(直径16mmのLED器具です)を入れていますが、特に階段を降りる時に美しく見え、いい雰囲気になったと思います。
外部照明については、照度シミュレーションをしても敷地周辺の街灯の光などもまわってくるため、実際に完成するまでどんな見え方になるか少々心配でしたが、程よい明るさでしたのでホッとしています。
撮影時、照明の調光や電動ブラインドの操作をクライアントのスマホで操作して調整いただく場面が多く、いろいろとご協力いただきました。午前中から夕景まで、本当にありがとうございました。
撮影するカットについては、基本は写真家の小川さんにおまかせしています。
設計者は建築の隅々まで最も理解しているつもりでも・・
撮影に立ち会わせていただきますと、予想外の視点で写真を撮っていただくことになり、ハッとする場所での撮影に毎回感心してしまいます(写真家の方々からすれば、当然のことと思われますが)。
小川さんの写真をご紹介できるようになりましたら、またお伝えします。今しばらくお待ちください。
どんな写真に撮っていただいたのか、私たちも楽しみです!
blog category:吉祥寺の住宅
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夏の敷地調査
9月になっても猛暑が続いている中・・
先日、県内某所にてプロジェクト関係者と敷地調査を行いました。
こちらの敷地確認をさせていただくのは今回で3回目ですが、この日は昼からの視察で予想通り汗だくに・・
夏のこの時期は、葛の葉がエネルギッシュに生い茂っておりまして、地盤面を把握するのも大変な状況でした。
起伏のある地形全般と既存樹木の活用イメージなど確認をし、計画内容を精査する打合せとなりました。
まだ先は長いですが、今後も楽しみです。
また同じ夏の調査でも、少し前になりますが
8月には長野県内、標高1500mほどの涼しい別荘地へ敷地調査に行ってきました。
現地を訪れますと、本当に気持ちの良い素晴らしい環境でした。
この自然環境と眺望を確保するためにはどんな計画にすべきか・・
また厳冬期は氷点下20度近くになる地域ですので、建築的な断熱対応も必須となります。
敷地内の現況、足元を見ますと・・
セイタカスギゴケ?と思われます、かわいらしい苔が自生していました。
日本国内でも少し地域や条件が異なれば、建築を取り巻く環境も様々であると、敷地調査の度に感じています。
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千葉神社参集殿の仮社務所
以前より設計作業を進めています、千葉神社参集殿増改築Projectについて
既存の参集殿改修工事着手に先立ち、社務所等機能を移転する仮社務所の建設がはじまりました。
境内の一部に、仮設建築物の社務所を建てさせていただき、参集殿増改築工事の完成までしばらくの間は、この形で運用される予定です。
参集殿増改築工事の着工はもう少し先ですが、引き続き各所設計の検討を詰めていきたいと思います。
blog category:千葉神社参集殿
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media/日経アーキテクチュア建築巡礼
日経アーキテクチュアの最新号、2024年9月12日号(No.1271)に群馬県立館林美術館(設計:第一工房)が掲載されています。
ライター磯達雄さんの文章と、宮沢洋さんのイラストでおなじみの建築巡礼シリーズの連載もテーマが「建築巡礼 ポストモダン+α編」となり、内容は1975年以降の建築を年代ごとに取り上げるものとなっています。
現在は2000年代に入ったところで、群馬県立館林美術館が紹介されました。
この群馬県立館林美術館は、弊社 伊原みどり が前職の第一工房で約5年、設計を担当(内2年間は現場常駐監理)させていただいた美術館です。
ランドスケープデザインは、オンサイト計画設計事務所さんとの協働です。
記事の中には・・
20世紀末の”風景建築”ムーブメントの1つの頂点。「西の風の丘葬祭場、東の館林美術館」と呼びたくなる。
この記事で知った人も多いと思うが、もし東京にあったら超人気スポットだろう。
などと表現していただきました。
設計に関わった者としましては、とても嬉しいコメントです。
ご興味のある方は、ご覧いただけますと幸いです。
↓参考に、竣工時の写真も。
https://hm-a.jp/gunma-museum-of-art-tatebayashi/
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家具メンテナンス
福島県白河市にあります「白河市立図書館」の家具について
この図書館は、前職(第一工房)で設計監理をチーフアーキテクトとして担当させていただいた公共図書館です。
既存市立図書館の老朽化からプロポーザルコンペが行われ、最終的には4年以上の歳月を経て(2011年の大震災も何とか乗り越え)無事開館することが出来ました。それから早いもので13年になります。
開館初年度から目標利用者数を大幅に上回る状況はその後も続き、年齢を問わず地域の人々に愛される施設として定着しています。
嬉しいことに、地元市内の利用者に限らず、市外からもわざわざ車でいらして利用される方も多いと聞いています・・
図書館と書架・家具はとても深い関係にありますが、当時の図書館長(田中館長)さんは、
「子どもたちには、優れたデザインの家具に触れながら図書館を利用してほしい。大人になってから、いつも普通に利用していた図書館の家具は、実は質の高い本物のデザインだった!と後でわかるくらいがちょうどいい・・」
とお話しされていたことを思い出します。
打合せを重ね、図書館内の各所に配置する家具は、書架やデスク+照明器具、空間に合うオリジナルソファを設計させていただき・・一部には市内の南湖公園で倒木となった木材を利用したベンチも造作家具として製作しました。
また世界的な名作といわれるプロダクト(椅子やテーブル)もセレクトさせていただきました。アルネ・ヤコブセンがデザインした家具、デンマークの「Fritz Hansen」のアイテムもいくつかあります。
この写真でご紹介しています、エントランスホール空間(展示ギャラリーとしても利用可能)に配置しています椅子とテーブルは、北欧スウェーデンのコントラクト家具メーカー「Bla Station」のアイテムです。
家具に詳しい方ならご存知かもしれませんが、日本では少々マニアックなチョイスに感じるかもしれません。
有難いことに当初の家具セレクトのまましっかりと大切に運用していただいています。
この椅子・テーブルセットは、黒とシルバーのモノトーンをベースカラーに、赤いチェアが差し色となる千鳥配置となっています。
これは設計当時、第一工房代表の高橋さんが指示されたままとなっていますので・・
個人的にはとても懐かしく感じてしまいます。
今年、その椅子のメンテナンスで座面のパッドのみ張り替えられました。
(メンテナンスをされた家具のご担当者よりご報告いただきました)
デザイン的にも古さを感じさせず、きちんとメンテナンスされた家具を永く使うというのはいいものですね。
設計担当者としては、本当に嬉しいお知らせでした!
弊社では、施設設計でも個人住宅の設計でも、クライアントとの打合せで、家具の検討も一緒にご相談いただくことが多いです。
建築全体の空間づくりと共に、オリジナルの造作家具なのか、既製品をセレクトする置き家具なのか・・照明などの組み合わせ選定も含めて「家具」は、建築本体の検討と共に重要な要素となります。
プロジェクトごと、お話をうかがいながら・・
じっくりと考えてこれらを選定することも楽しみの1つと言えます。
少し前になりますが・・
2022年9月、久々に白河市立図書館を訪れた時のスナップ写真をいくつかあげてみます。
(図書館で撮影許可をいただきました)
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田都会メンバーで工場見学
先日、田園都市建築家の会、建築家メンバーで神奈川県伊勢原市にあります「神谷コーポレーション」さんの工場見学に行ってきました。
「神谷コーポレーション」さんは、建築建具の専門メーカーで、中でも床から天井までのフルハイトサイズの建具に特化した製品ラインナップを展開されています。
高さのある建具のデザインは、内部空間をゆったりとした広がりのあるイメージにすることが出来ますが、一方で大きなサイズになればなるほど施工後に扉の反りやねじれの変形が生じる心配があります。神谷コーポレーションは、この反りが生じても変形が回復する技術的な研究の蓄積があり、多くの特許を保有しています。他社のフルハイトドアも研究して差別化を図っていること、高い製品精度が保たれるしくみも工場見学でよく理解できました。
設計者の目線では、主には①オリジナルデザインで1点1点製作する造作建具、②製品化された既製品を採用してコストを抑える、という選択がありますが、「神谷コーポレーション」さんのフルハイトドアは、既製品ラインナップとしながらもオーダー建具に近いイメージをつくりだされていると思います。
工場内には、見学するコースがしっかりと用意されています。
機械化が進んでいるメインの製造工程を一通り見学した後には、製品試験・性能などを比較して見ることができる「KI-LABO」と名付けられた別棟へ。ドアを加熱し変形させる(変形が戻る)、繰り返しの開閉、破壊強度をチェックするなど様々な試験を公開しています。
現在製品開発中のアイテムについて、設計者としてはこういったアイテムがあれば望ましい!といったリクエスト、意見交換も行い・・気がつけば、すっかり予定時間を超過してしまいました。
建築家メンバー複数人で工場見学をしますと、他の設計者が気にするポイントも共有できたり、マニアックな質問も出て、単に製品知識を深めるだけではない、大変有意義なひと時となりました。
花里さん、奈良さん、丁寧にご案内くださいまして、どうもありがとうございました!
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家具デザイナーMikko Halonenさんと
フィンランドの家具メーカー「ARKTIS(アークティス社)」より、CEOのJukka Niskanen(ユッカ・ニスカネン)さんとデザイナーのMikko Halonen(ミッコ・ハロネン)さんが来日され「田園都市建築家の会」打合せスペースで、私たちメンバーにARKTIS家具の解説、デザイナーの紹介などをしていただきました。
フィンランドを拠点に国際的な活動をされていますデザイナーのミッコ・ハロネンさん(左)と、CEOのユッカ・ニスカネンさん(右)。
ちなみに、ミッコさんにお会いするのは今回で2度目となります。
昨年の10月にもフィンランド大使館にてARKTISのミッコ・ハロネン デザインのローンチイベントが開催されまして、田都会の建築家メンバーも私含め数名参加させていただきました。
↓その時のスナップ写真
フィンランド大使館に入る機会もなかなか無いという興味もあり参加させていただきましたが、デザイナーご本人ミッコさんにもお会いでき、お人柄とプロダクトデザイン(写真:PiiTii Sofa)が何とも言えず素晴らしく、すっかりファンになってしまいました。
ミッコさんも、その時のことをよく覚えていてくださって、田都会での個別プレゼンの企画が実現しました。
今回、田園都市建築家の会・サポーター企業(賛助会)でもあります「株式会社ビベル」代表の田中さんよりご紹介いただきましたが、私たち建築設計者が気になるような細かなデザインのポイントも補足説明してくださいました。
張地のラインナップが新たに加わり、日本初お披露目となりましたのは、カリ・アシカイネン氏のデザインで昨年復刻した不朽の名作「KARIチェア」。
チェア実物をご用意いただきました!
張地違いで「KARIチェア」を並べて確認。
左:新作の張地は、国際的にもクオリティの高さで知られる「クヴァドラ社」とのこと。デザインやフレームの特徴・ディテールについてもお聞きしました。木製フレームでありながら、スタッキングも可能です。
実際に体感しますと、座り心地は抜群に良かったです!
フレームデザインは変えず、張地が変わるだけで随分と印象が変わりスタイリッシュに見えます。
半世紀以上愛される、時代に左右されないタイムレスなデザインだと思いました。
ミッコさんのデザインした家具のうち、今回ご持参いただいたチェアは
PiiTii Chairs と PiiTii Metal Chairs です。
この2脚はデザイン違いなのですが、実は・・スタッキング可能な設計になっているところが特に凄かったです。
ちなみに一見シンプルなデザインに見えます木製脚部ですが、よく見ますと丸い脚ではなく、楕円のような柔らかさのある断面形状となっています。軽さ・強度・製造方法など、家具としての合理性とデザイナーの優しさが表現されるデザイン全体のバランスに感心しました。
歓談、質問をさせていただき、あっという間に予定時間となりました。
15名ほどのアットホームな雰囲気で、お二人からいろいろとお話をいただき・・滅多に無い贅沢なひと時でした。来日中の貴重なお時間をどうもありがとうございました。
ARKTISのインスタグラムもよろしければチェックしてみてください。
https://www.instagram.com/arktisfurniture_japan
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小川重雄さん日本建築学会文化賞受賞記念展
日本大学芸術学部江古田校舎A & Dギャラリーで開催されています
「2023年日本建築学会文化賞受賞記念展 Timeless Landscapes 」に行ってきました。
昨年、建築写真家の小川重雄さんが「日本建築学会文化賞」を受賞されました記念の展覧会です。
日本建築学会では、小川さんの長年の活動が「優れた建築写真(現代建築から伝統建築、ランドスケープに至るまで)の発進と大学等での教育活動を通して建築文化を向上させた功績」と高く評価されました。
これまで弊社設計の建築を複数件、小川さんに撮っていただけましたことは振り返りますと、あらためて本当に有難いことだと感じています。
展覧会にうかがいました朝の開場直後の時間は、ちょうど貸切状態でゆったりと拝見でき、非常に贅沢なひと時を過ごせました。
小川さんはこれまで、「Timeless Landscapes」というテーマで写真集を3作製作されていますが、本展覧会で全3シリーズの主要な作品の生のプリントをまとめて見ることができます。
写真集の中でも2作目、イサム・ノグチ モエレ沼公園を撮られた「Timeless Landscapes 2」は早々に売り切れてしまい特に人気とのことです。すでに入手困難な書籍になっているようです。
(以前、小川さんにサインしていただきました弊社の1冊・・大切にしたいと思います!)
GW中に娘も連れ出してみましたが、本物の建築写真を見て何かを感じてくれたかな。
ギャラリー入口の脇に在廊の小川さん。
来場者には、写真撮影時のエピソードなども解説してくださいます!
ちなみに会期は5/9までですが、小川さんが在廊されるのはGW中 5月6日(〜19時まで)が最後となるそうです。
江古田駅から徒歩1分ほどですので、ご興味のある方は是非!!
写真展の詳細は
↓小川さんwebsite情報のこちらをご覧くだい。
https://ogawa-studio.com/timeless-landscapes-2024/
また写真集の次回作は、懸け造りの建築をいくつかご準備中とのこと。こちらも建築通がうなるものになるのでは?と楽しみです・・
2023年日本建築学会文化賞受賞、本当におめでとうございます!!
blog category:展覧会等イベント視察
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event/建築家展(鎌倉 2024.05.01-03)
2024年5月1日〜6日に開催されます建築イベントにお声掛けいただきました。
(建築家との家づくりをサポートしています、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン主催のイベントです)
〜 建築家展 in 鎌倉芸術館 〜
神奈川県「鎌倉芸術館」 で開催されます建築家展に参加させていただきます。
日時:2024/5/1 (水)〜5/6(月)の6日間
全日程共通 11:00~18:00 入場無料
※上記のうち、hm+architects は 5/1〜5/3 の3日間の参加予定です。
場所:鎌倉芸術館 ギャラリー1
神奈川県鎌倉市大船6-1-2
↓イベントの詳細は、
こちら をご参照ください。
建築家との家づくりについて
会場では、複数の建築家と対面で直接お話しできます。
お気軽にいらしてください。
blog category:出展イベント
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10年目
先週より、2024年度の愛知工業大学 非常勤講師の担当授業がはじまりました。
2015年度にはじめて設計製図の授業を受け持つこととなってから、早いもので10年目となります。
ちなみに途中から、設計演習の指導に加えて座学の講義も受け持つようになりましたが、こちらは5年目です。
10年目と5年目、ちょうど節目の年となりました。
非常勤講師としてお声がけいただいたのも何かの縁と感じておりますが、もうそんなに続けていたのかと、自分でもちょっと驚いています。
(早朝からの新幹線移動には、慣れたつもりでも気が抜けず大変ではありますが・・)
毎年学生さんから刺激をいただく場面もあり、継続させていただき感謝いたします。
今までの授業の経験、設計実務の経験を生かしつつ、どうしたら学生のみなさんに建築への興味を膨らませてもらえるかを考えながら・・
今年度も毎週頑張っていきたいと思います!
blog category:大学・教育
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建築展「Swiss Visions」
「スイス・ヴィジョン ─ 新世代の表現手法」
先日、六本木の AXIS Gallery で開催されました建築展覧会へ行ってきました。
会期:2024年3月29日(金) – 4月14日(日)
https://www.js-aa.org/event004.html
会場では、主催の日瑞建築文化協会・理事をされています建築家の黒川智之さんにもお会いでき、直接展覧会のコンセプトや、出展者となっているスイスの若手建築家の解説をしていただけまして幸運でした!
展示内容・会場構成とも美しく洗練された展覧会で大変刺激をいただきました。
これまで、スイスの建築家に対しては、抽象的でシンプルな白い模型を美しくつくるようなイメージもありましたが、今回4組紹介されています主に1980年代生まれの建築家たちの表現手法は、それ以前の世代の表現から変化を感じるところがあります。
例えば、家具と建築を等価に扱うような図面表現であったり、あるいはかなり大きな模型(S=1/10など)で建築素材や家具やインテリア小物、植木鉢といったアイテムを精緻につくり込んで、それをシーンごとに模型写真にする表現であったり・・
CGや動画のプレゼンもリアルなパース表現というより、どちらかというと手書きスケッチのような優しいテイストにあえて作り直し、提案の世界観というか空気感を示すことを重視する表現のようにも感じました。
日本国内の建築メディアにもやはり雑誌社の編集意図なり傾向があったりしますので、それとは異なる視点・価値観を紹介することにもなる展覧会だと思われます。
普段の設計活動に加え、継続してこのような展覧会を開催されています黒川さんはじめJSAAメンバーの皆さん、本当に素晴らしい活動で感心しました。
今後も新たな企画を検討中とのことですので、どんな切り口を示してくれるのか、とても楽しみです。
blog category:展覧会等イベント視察
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職業講話/横浜市立市場中学校
先日、「横浜市立市場中学校 (鶴見区)」にて「職業講話」を行ってきました。
中学1年生から間もなく2年生に進級される生徒さんが対象で、複数の職業の中の1つ「建築設計」の担当をさせていただきました。
授業前、控室には様々な職種の方々が集まっており(獣医さん、JRの運転手さん、看護師さん、TV局の方?など・・)講師はバラエティに富んでいますね。
職業講話は、私が中高生の頃には全く無かったと思われる「キャリア教育」の一環で、将来の夢や目標を醸成し、進路選択に興味を持ってもらうことを目的とした学校プログラムです。可能性は無限とも言える中学生の時期に実社会との接点を考えるというのはとても有益だと思います。
昨年度は、「横浜市立青葉台小学校 (青葉区)」で6年生に、「横浜市立もえぎ野中学校 (青葉区)」で中学1年生に職業講話を経験しましたので、中学生への授業は2度目となります。
昨年の「もえぎ野中学校」ご依頼は、田園都市建築家の会を通じての連絡でしたが、今年は直接弊社へお問合せがあり、hm+architects/伊原洋光 が担当させていただきました。
生徒さんは複数の職種から第一希望、第二希望・・を提出されて振り分けられるとのことで、窓口となられた先生からは「建築設計」は第一希望者が多かった講座とお聞きしていました。しっかりと期待に応えられるかな・・
講話者としては、「建築設計」の実務者としてのエピソードをリアルにお伝えできるよう、実際に設計した建築写真スライドを中心に、実施設計の模型や図面も持参しました。
自分が中学生の頃には、絵を描くことは好きでしたが建築のことは何も知らなかったこと、大学進学時に理工系の中では『工学+デザイン』の両方あって建築学科が良さそうだなと何となく始めて、今の仕事に至ることなどもお伝えしました。
また一般に、現代建築の設計、建築家のことを高校生までの授業などで教えてもらうことはないのが日本の現状です。しかしながら建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞というのは日本人建築家が世界で最多人数の受賞にもなっているので、実は国際的に見ても日本の建築家への注目度が高いということも参考にお伝えしてみました。
授業は、みなさん非常に熱心に聞いてくれて、質問もたくさんいただきました。元々建築の設計に興味があったという生徒さんは、授業後の休憩時間にも模型や図面を見て個別に質問もされ、より興味を深めてくれたようです。
通常の中学校の授業とは違った視点で、何らか少しでも将来へのヒントにしてもらえたら嬉しいですね。
授業後、学校を出るときに、他の講師として来られていた「JR京浜東北の運転手さん」が出入口で記念撮影をされていましたので「お撮りしましょうか?」とお声がけしたところ・・
では一緒に撮りましょう!となり、思いがけず私も運転手さんと記念スナップを1枚撮っていただきました。
後日、受講いただいた生徒さん全員からメッセージが届きました。
お礼と授業で感じたことを礼儀正しく書いてお送りいただき、大変嬉しく思います。中には建築家を目指そうと思った!という方もいました。
興味を抱いたことに向かって、是非チャレンジしてください!
blog category:大学・教育
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event/建築家が考える住空間づくりと家具選び
建築家が考える 住空間づくりと家具選び
3/16 sat → 3/17 sun
この度、家具メーカー「カンディハウス」さんの横浜ショップにて、「田園都市建築家の会」との共催イベントを開催いたします。
室内空間を創造する建築家たちが、各自が手掛けた事例をもとに、どのような発想と視点でそれぞれの空間を作り上げたのか?そして、空間づくりに必要不可欠なアイテム『家具』について、その選び方や配置などを空間別にお話するトークイベントです。
【開催日時】
第1日 3/16(土)13時~(40分) リビング編
第2日 3/17(日)13時~(40分) ダイニング編
【開催場所】
カンディハウス横浜
横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワーA3F
https://yokohama.condehouse.co.jp/
【トークイベント 登壇者】
3/16(土)リビング編
・田井 勝馬 田井勝馬建築設計工房
・松田 毅紀 HAN環境・建築設計事務所
・伊原 洋光 hm+architects 一級建築士事務所
3/17(日)ダイニング編
・遠藤 誠 遠藤誠建築設計事務所
・高橋 隆博 株式会社アトリエ秀(しゅう)
・永峰 昌治 永峰昌治建築設計事務所
・吉田 立 リツデザイン建築設計事務所
▽クイーンズタワーA3F「カンディハウス横浜」エントランス部分に、建築模型や写真が紹介されています
私は、第1日目に、建築家の田井勝馬さん・松田毅紀さんとご一緒させていただきます。
「田園都市建築家の会」メンバー同士のトークイベントとなりますので、本音のディスカッションもしやすいと思います。またカンディハウスさん(ご担当:若杉さん)からは、家具の専門家の視点で、全体をコーディネートしていただく予定です。
各建築家の設計事例を通して、お互いにどんなことを考えて家具選定をしているか、一歩踏み込んだ意見交換ができるのではないかと・・登壇者として当日どんな話ができるか楽しみにしています!
家具選び、建築家との家づくりにご興味のある方は、是非この機会にご参加ください。
イベントの詳細、参加ご希望の方は
こちら→「田園都市建築家の会」のイベント紹介ページよりお申し込みください。
blog category:出展イベント
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勉強会
複数の建築家が集まって活動しています「田園都市建築家の会」では、所属する建築家・ディレクターが集まり、定期的にミーティングを行い、設計の専門性をより高める勉強会を開催したり、建材に関するメーカーさんの商材プレゼンの場を設け最新情報のヒアリングなども行っています。
2月は、アクリル系人工大理石、クォーツストーン、セラミックタイル等の最新素材の加工を数多く手がけています「大日化成工業」さんより、主にその優れた水回り・シンクのデザインと製品性能の両立などについてプレゼンテーションしていただきました。
またこの日は、大日化成さんのプレゼンに引き続き、建築基準法の改正についての勉強会も行いました。
主に2025年4月からはじまる「省エネ基準適合」義務化について
住宅の断熱性能・気密性能に関する設計と施工に精通した「株式会社 GA HOUSE」の代表 岡田さんを講師としてお招きし、建築家メンバーがレクチャーを受けました。
建築設計で実務の経験がある方はおわかりだと思いますが、建築の設計者が専門家としてカバーすべき話題は非常に広範囲で、かつその情報を常にアップデートしていかなくてはなりません。
小規模な設計事務所では特に、ユーザーのご希望をお聞きする打合せからはじまり、建物に関する使い勝手とデザイン、コスト調整、メンテナンス性、国内外に流通する各種建材や製品知識、商流、現場への施工・おさまりディテールの確認に至るまで・・個人で把握・追及していくと際限がないというほどです。自分の体が2つか3つあったらいいのに!と思うほどですね。
そして設計の基準を定める建築法令についても、時代の流れもあって常に改正が続きます。本音としては、あまり変えて欲しくないですが、基本は内容の改善というはずですから前向きに・・
法改正の部分について、さすが講師の岡田さんの知識とノウハウはすごい(私はついていけないくらい)と感心する1時間でした。
このように個々の建築家が独力で情報収拾するよりも複数の設計事務所が集まることでメリットを得やすくなることを念頭に置いて勉強会などを開催しています。
設計作業は案件ごとに条件が様々ですので、個々の建築家が経験したことをメンバー同士で気軽に相談し合える情報交換の場は、建築設計者としてはとても有益です(ちなみに、建築家メンバーも随時募集していますので、私たちと一緒に活動することへご興味のある方がいましたらご連絡ください)。
こうした設計ノウハウは、設計をご依頼くださるクライアントへのメリットにもつながりますので、努力を続けていきたいと思います。
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