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勉強会

複数の建築家が集まって活動しています「田園都市建築家の会」では、所属する建築家・ディレクターが集まり、定期的にミーティングを行い、設計の専門性をより高める勉強会を開催したり、建材に関するメーカーさんの商材プレゼンの場を設け最新情報のヒアリングなども行っています。

2月は、アクリル系人工大理石、クォーツストーン、セラミックタイル等の最新素材の加工を数多く手がけています「大日化成工業」さんより、主にその優れた水回り・シンクのデザインと製品性能の両立などについてプレゼンテーションしていただきました。

またこの日は、大日化成さんのプレゼンに引き続き、建築基準法の改正についての勉強会も行いました。

主に2025年4月からはじまる「省エネ基準適合」義務化について
住宅の断熱性能・気密性能に関する設計と施工に精通した「株式会社 GA HOUSE」の代表 岡田さんを講師としてお招きし、建築家メンバーがレクチャーを受けました。

建築設計で実務の経験がある方はおわかりだと思いますが、建築の設計者が専門家としてカバーすべき話題は非常に広範囲で、かつその情報を常にアップデートしていかなくてはなりません。
小規模な設計事務所では特に、ユーザーのご希望をお聞きする打合せからはじまり、建物に関する使い勝手とデザイン、コスト調整、メンテナンス性、国内外に流通する各種建材や製品知識、商流、現場への施工・おさまりディテールの確認に至るまで・・個人で把握・追及していくと際限がないというほどです。自分の体が2つか3つあったらいいのに!と思うほどですね。
そして設計の基準を定める建築法令についても、時代の流れもあって常に改正が続きます。本音としては、あまり変えて欲しくないですが、基本は内容の改善というはずですから前向きに・・
法改正の部分について、さすが講師の岡田さんの知識とノウハウはすごい(私はついていけないくらい)と感心する1時間でした。

このように個々の建築家が独力で情報収拾するよりも複数の設計事務所が集まることでメリットを得やすくなることを念頭に置いて勉強会などを開催しています。
設計作業は案件ごとに条件が様々ですので、個々の建築家が経験したことをメンバー同士で気軽に相談し合える情報交換の場は、建築設計者としてはとても有益です(ちなみに、建築家メンバーも随時募集していますので、私たちと一緒に活動することへご興味のある方がいましたらご連絡ください)。

こうした設計ノウハウは、設計をご依頼くださるクライアントへのメリットにもつながりますので、努力を続けていきたいと思います。

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2024-02-25 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

2023年度 秋学期

2023年度の秋学期、中部大学 建築学科で非常勤講師として担当させていただきました設計演習の「建築デザインⅡ」、座学の「建築構法Ⅱ」について、両講座とも15週の授業と期末試験、成績評価まで無事に終えることができました。

学部の2年生必修の「建築デザインⅡ」では秋学期に大きくは3つの設計課題提出(展示空間の設計、美術館、オフィスビル)というややハードな指導内容でした。
課題ごと、数週間のエスキスでも着実に学生さんのスキルアップがあり、毎年のことながら頑張りを感じて私も刺激をいただくことが度々ありました。
設計製図の自由課題は答えが1つではないため、何か仮説を自分で立てて考えるしかありません。建築設計の就職先ではない学生さんにとっても、社会に出てこの経験がきっと役立つだろうと思って指導をしていました。

写真はオフィス課題の模型です。

夕方、授業を終えるとキャンパス内は夜の景色です。
冬の寒さとこの眺めで中部大学の秋学期の授業だなぁと今年も感じました。

座学の「建築構法Ⅱ」では、今年はキャンパス内の階段を直接案内して解説することも行いました。

前職で設計チーフとして担当した中部大学内の建築「不言実行館」について、階段室の防火戸や手すりのディテールなど、なぜこうなっているのか・・部分のデザインだけでなく建築全体のプラン要求から法令上の条件や安全管理、コストやメンテナンスまで、学内常勤の先生よりも詳しく説明できる素材がありますので、2023年度はそんなチャレンジもしてみました。
写真は2点とも同じ避難階段ですが、閉鎖的になりがちな階段室を非常に開放的なつくりとして(各階で平面も変化しながら)成立させています。
学生さんには写真だけでは全くわからない説明が聞けて、とても理解しやすかったと好評でした。案内できて良かった!

秋学期を振り返りますと、一度、大学に向かう電車(JR中央線)で大幅な遅延があり危うく授業開始時間に遅れそうになって肝を冷やしたこともありましたが、ギリギリ回避でき幸いでした。
とにかく2つの担当講座で、期末試験の監督・立会いまで体調不良等で休むこともなく何とか終えられてホッとしています。
次年度もお声がけいただいていますので、少しづつでも授業も進化させられるよう頑張りたいと思います!

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2024-02-20 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

千葉都市モノレール

千葉市役所 新庁舎(令和5年竣工)へ向かう際に「千葉都市モノレール」を利用しました(通称:千葉モノレール)。

web情報を見ますと、レールの下に車両がぶら下がる「懸垂型」のモノレールは、日本では千葉都市モノレールを含めて2ヶ所しかなく、世界的にも珍しい型とのこと。1988年(昭和63年)に開業して35年を迎えており、2001年には、懸垂型のモノレールとして営業距離世界最長(15.2km)のギネス認定を受けているそうです。
また、車輪にゴムタイヤを使用しているため、騒音・振動がほとんどないのが特徴の1つで、曲線の多い路線でも車両の横揺れが少ない。高いところでは地上30mもの高さを走行していると記載がありました。

千葉市民の方々にとって「千葉モノレール」はお馴染みの存在なのかもしれませんが、私が実際はじめて目にした時は、かなりインパクトがある都市景観だと感じました。
乗車してみますと、駅の設置レベルも道路の上空であり、日常的な視点よりもかなり高いこと、さらに鉄骨の構造体が間近に迫ってくるメガスケールの力感が凄くて、設計者目線では、単なる移動の目的以上にあちこちで楽しい気分を味わえます。
自動車道路、その上のペデストリアンデッキ(歩道橋)、さらに上のモノレール・・
都市インフラとして、ここまで立体的につくり上げるのは並大抵のことではないと思います。

葭川(千葉県を流れる都川水系の二級河川)の上空をモノレールが走っています。
河川や主要道路の地形に沿うルートなど、建築では実現できない土木設計の圧倒的なスケールとその景観。

直近で見上げますと、これほどの構造物をよく実現したものだと、本当に驚きます。
モノレールの建設時期は、日本の高度成長期からバブル経済の絶頂期に至る頃ですので、地域経済・技術の発展の象徴として掲げられていたのでしょう。実際モノとしてかなりの力技であり、自治体・サポートする様々な企業の相当なエネルギーがここに込められています。
仮にですが、国外の資産家が巨額の投資をして、現代の日本の街に同様の交通インフラを実現させようとしてもまず不可能ではないかと感じます。経済の事情だけではなく、環境に対する問題意識も以前とは大きく異なっています。

その時期にしか実現し得なかった壮大な計画に対し、美観についてや維持管理費等も含め賛否両論あったと思います。
しかしながら35年ほど経過しました「千葉モノレール」の構造物をあらためて拝見していますと、個人的な印象ですが、将来的には土木遺産として扱われるほど特別な存在価値があるのではないかと、じわじわとポジティブに感じてきました。
古代ローマの水道橋とまではいきませんが、2度と同じようにつくれない都市的開発の構造物として日本中(世界中)探しても、ここ千葉市にしかない都市景観、土木遺産になるかも知れない・・
移動で実際に利用・体験できる強い観光資源にもなる?
などと妄想しましたが、やや膨らませ過ぎでしょうか。

blog category:建築視察
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2024-01-20 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

2024 仕事はじめ

2024年がはじまりました。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2024年、私たちhm+architects の仕事はじめは 、千葉県千葉市中央区にあります「千葉神社」への初詣からとなりました。

写真は、1月2日「千葉神社」境内の様子です。
初詣の参拝者数は、70万人にも達し、また年々増加しています。参拝者の行列のほか、お札やお守りの窓口となる授与所、ご祈祷の受付窓口など、それぞれの行列にご案内が必要な状況で、各所の人の流れや建築との関係を確認させていただきました。
写真右、参集殿(白い外壁)部分について、現在 増改築の設計作業中ですが、多くの参拝者、対応される神職の方々にとりましても今まで以上にスムーズに動くことができるよう課題に取り組んでいます。
まだしばらく先までかかる計画ではありますが、良い建築として実現しますよう頑張ってまいります。

blog category:千葉神社参集殿
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2024-01-03 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

フローリング・フォトブックへの掲載

弊社で設計監理をさせていただきました、「豊橋の住宅/House in Toyohashi」の写真が「UENO JUKEN/上野住宅建材株式会社」さんのフローリング採用事例のフォトブック(2023)に掲載いただいております。

UENO JUKEN さんは、主に欧州を中心とするメーカーより建材を30年以上に渡って輸入販売されていまして、「豊橋の住宅」では、床暖房対応の複合フローリング材(ヨーロピアンオーク)を採用しました。
以前にもカタログへの掲載をいただいていましたが、今回は商品一覧のカタログとは別冊のフォトブックにご紹介いただきました。
このブックには、著名建築家へのインタビュー記事もいくつかあり、他の建築家がどのような視点で素材選びをされたのかも知ることができます。専門家も参考になりますね。

blog category:豊橋の住宅
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2023-12-28 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

田都会のみなさんと

hm+architects 一級建築士事務所としての設計活動と併行して、「田園都市建築家の会」に所属する建築家としても活動を行なっています。
この「田園都市建築家の会(でんえんとしけんちくかのかい)」正式名ではやや長くなりますので、関係者間では「田都会(でんとかい)」という略称を使用しています。

田都会での活動は、主に「自分にあった建築家との家づくり」をお考えのエンドユーザーに向けた建築家紹介+設計提案ですが、土地探しから資金計画まで含めた、建築家との家づくりに必要な様々なサポートを行なっています。

メンバーとしては、現在14名の建築家と2名のディレクターを中心に、建築系サポーター企業が35社ほど賛助会員として連携していただき、定期的に専門家同士の勉強会、業界内で最新の情報交換を行なったりしています。

先日は、田都会関係者の懇親会(忘年会)が開催され、たまプラーザにてお店を貸切って50名弱の人数で対面の交流を深めることができました。
例えば自分は採用したことがない建材・製品でも、他の建築家メンバーが使ってみた実際の印象、メリット・デメリット、コスト、メンテナンス性など、建築家同士のリアルな会話もできますし、あるいはサポーター企業・メーカーさんの内情なども雑談の延長でいろいろな本音の意見交換ができるため、有意義でかつ飲食しながらの楽しいひと時となります。

昨年までのコロナ渦ではこうした会を開きにくかったのですが、集まると「やはり対面での情報交換ができる懇親会がいいね!」と皆さんおっしゃっていました。
ただこの日は皆さん特に盛り上がってあっという間に予定の2時間半が過ぎてしまい・・
写真を撮り忘れてしまいました(他のメンバーに聞いても同様でした)。

参考までに、夏(9月)の懇親会の様子、集合写真を1枚アップさせていただきます。
田都会の活動は、こんな感じで様々な立場の方がフラットな関係で集まれるB to B のプラットフォームでもあります。
こうした懇親会の、ちょっとした「メンバーの息抜き+自己研鑽」が同時にクライアント(エンドユーザー)への価値提供に繋がりますので、これも設計の仕事の一環だと言えますね。

みなさん今年一年、お疲れ様でした。また来年の開催も楽しみにしています!

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2023-12-18 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

中部大学キャンパスにて

愛知県春日井市にあります中部大学で、2023年度・秋学期も非常勤講師としてお世話になっています。
2016年から設計製図の演習指導と座学の講義の2つの授業を担当させていただき、早いもので8年目となりました。

前職の第一工房時代から、大学内のいくつかの施設設計に担当者としても関わっていましたので十数年前からキャンパス内は全般的に知っているつもりですが、季節や時間帯のわずかな違いでも、新たな風景に出会う発見が今もあったりします。

朝早く到着した授業前や休憩時間などに散策し、スナップ写真を撮ってみました。

△写真の建築設計はそれぞれ第一工房の先輩方が手掛けられたものです。
左手奥:30号館、中央:19号北館ブリッジ、
右手:20号館(耐震補強:川口衞構造設計事務所と協働)

どのプロジェクトも、建築の立面・開口部のプロポーションを何度も検討されたのだと所内で聞きました。
20号館は約半世紀前の設計ですが、中部建築賞を受賞された端正な立ち姿は健在です。

左手前の池と緑地はキャンパスの中央に存在し、大学敷地内とは思えないほど美しい景観をつくり出しています。

上記の池に連続する緑地の先には、伝統的和風建築の「洞雲亭(どううんてい)」とそのアプローチ空間があり、木漏れ日の中を気持ちよく散策することができます。

また、中部大学内では
作庭家、岡田憲久さんによる庭を楽しむこともできます。
2箇所、写真でお伝えします。

△ 2号館の中庭「みなもの庭」

△ 25号館北側の中庭「花鏡のある庭」

どちらも水盤のある作庭により、キャンパス内にそれぞれ異なる静謐さをもたらしています。

△51号館 から外部の池を見る

学内には学生食堂が7箇所ありますが、こちらはキャンパス内で最も北側にある食堂(51号館学生ホール・外構共/設計:第一工房)です。
写真は利用者がいない朝の撮影ですが、南側に見える竹林の緑が池にも写し出され、以前知っている見え方とも少し違う景色を目にすることができました。

この建築の設計ではフロアの一部分、池に近い範囲で床を下げています。
利用者の視線を水面に近づけ、水盤の存在を体感しやすくする狙いがありました。
このプロジェクトの設計当時、所内で私は作業の一部に関わったため、この空間には個人的な想いもあります。
設計作業中、設計チーフの先輩から
「伊原くん、あまりお金かけなくても何か面白くするアイデアないかな?」
と聞かれ・・床レベルを下げる提案をさせていただいたことを思い出します。

キャンパスは広いため、大学関係者でも日常利用する目的施設以外、あまり知らないということもあるのではないでしょうか。
中部大学を訪れる際に少し時間がありましたら、キャンパス内を散策してみてください。

blog category:大学・教育
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2023-11-01 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

田都会 日曜トーク&相談会 10/29(日)

複数の建築家が集まって活動しています「田園都市建築家の会」では、毎週日曜日に所属建築家によるイベント(家づくり相談会 & セミナー)を行っています。

場所:田園都市線「たまプラーザ駅」から徒歩5分
ギャラリースペース 『家づくりCAFE』
神奈川県横浜市青葉区美しが丘1-12-3 第7松美ビル201
日時:10/29(日)10:00〜17:00
担当建築家としてhm+architects 伊原洋光 がお待ちしています。

詳しくは
こちらのページよりご確認ください。

どなたでも無料でご参加いただけます。
建築家との家づくり、建築に関するご相談などは小さな話題でも気になることなどございましたらお気軽にどうぞ。

blog category:出展イベント
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2023-10-23 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

国立近現代建築資料館

先日、東京都文京区湯島にあります、国立近現代建築資料館に行ってきました。

以前は都立旧岩崎邸庭園の入園券売場から国立近現代建築資料館へ入場する動線でしたが、久しぶりに訪問したためか、平日に国立近現代建築資料館の展覧会を見る場合は、湯島合同庁舎正門からアクセスするルートに変わっていました。合同庁舎正門の守衛室に声がけしてから国立近現代建築資料館の入口まで少々奥まっていますので、参考に写真も加えておきます。

現在開催中(2023.07.25〜2023.10.15まで)の「日本の近現代建築家たち 第1部」を終了間際ですが何とか会期内に見学。

本展覧会で紹介されている建築家は
吉田鉄郎、岸田日出刀、坂倉準三、前川國男、丹下健三、吉阪隆正、大高正人、高橋てい一(てい:青偏に光)、大谷幸夫、菊竹清訓、原広司、安藤忠雄
の12人です。

偉大な建築家がズラリと、厳格な人物イメージがそれぞれありますが、親しみやすい似顔絵で表現された看板が出迎えてくれます。
中でも私が前職の第一工房で16年半ほど師事しました高橋さんのイラストは、結構似た雰囲気で描かれている気がしました。


2階の展示フロアへ。
各建築家の初期代表作品の、主に原図が展示されています。

展示は全て無料で見ることができます。
さすが文化庁 国立近現代建築資料館ですね。

建築家、高橋てい一の紹介としては、最初に手がけた公共建築「佐賀県立図書館」(第一工房 +内田祥哉 共同設計/1962年竣工)がピックアップされ、トレーシングペーパーの手書き原図が展示されています。
第一工房のスタッフ時代でも、事務所内で保管される過去の作品図面(原図)をわざわざ引張り出して開くことは滅多にありませんでした。あらためて、このように展示された60年以上前の原図を見ることができ良かったです。

ごく最近でも、著名な建築家の図面資料が海外の資料館に収蔵されることになったという話題があり注目されました。国内の図面資料収集には様々な事情があり難しい状況ではあると聞きますが、第一工房の図面がこのような形で収蔵・展示していただけることに感謝したいと思います。

またこの日は、展示を見た後に国立近現代建築資料館内での会議に参加する予定があり、現在の日本建築学会長(58代)の竹内徹先生や、以前の学会長(52代)和田章先生といった構造設計のスペシャリストの先生方とご一緒し少々緊張もしましたが、以前第一工房の高橋さんと共同で開発された免震プロジェクトの話題を振り返るなど、有意義な1日となりました。

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2023-10-14 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

愛知工業大学・鉀徳館

早いもので、2023年度も9月で半分が過ぎようとしています。

少し振り返りますと・・
先日はバスケットボール ワールドカップの男子日本代表の大活躍で日本中が沸きました。
普段テレビはあまり見ないのですが、スポーツ中継は別で娘と一緒に熱くなって応援していました。
特にフィンランド戦の大逆転勝利は劇的でしたが、その試合後、国際バスケットボール連盟(FIBA)のW杯公式Xでバスケ漫画「スラムダンク」のある場面の一つが、渡辺雄太選手・富永啓生選手がタッチを交わす写真に酷似しており並べて投稿されるなど、「スラムダンク」が国際的に認知されているのも凄い!と感じました。

スラムダンクに関連した話題で・・
今年度前期、設計演習と講義の担当でお世話になっていました愛知工業大学について、大学内の体育館(鉀徳館:こうとくかん)が「スラムダンク」の背景画にチラッと登場しています。
漫画の中では高校総体、愛知県予選の会場シーンとして、この体育館の外観(ほぼ写真の角度)が描かれています。

私は「スラムダンク通」ではありませんが当時、ちょうど目にして知りました。
今年、大学の授業でご一緒しています建築学科の先生にお聞きしてみましたがご存知ないとのことで、あまり知られていない小ネタかも知れません。
井上雄彦さんも下見に来られたのか、あるいは写真資料のみの作画かな、などど思ってみたり。

体育館(鉀徳館)は 1976年竣工、47年目ですがそれほどの古さを感じません。
平面・立面ともシンメトリーな構成で、力強いコンクリート打放し仕上げに軽快な鉄骨立体トラス屋根を用いた対比が凛々しく、秀逸なデザインだと思います。建築学科の学生さんには、学内で良く見て学んで欲しい建築の1つと言えます。

ちなみに、愛知工業大学は昨年の就職率(実就職率98.6%)が全国566対象大学中1位になったとのことです。学生さん一人一人と大学関係者のご努力の結果だと思います。私は非常勤講師として複数年関わらせていただいて、何らかお役に立てたのかわかりませんが、やはり初の1位獲得ということで、喜ばしい話題です。おめでとうございます!

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2023-09-14 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

壁の下地

設計の現場監理について、どんなところを気にしているか・・
今回は、施工が仕上げまで進むと最終的には見えなくなってしまう「壁の下地」について、「吉祥寺の住宅」の現場状況をいくつかの写真で紹介させていただきます。

上棟を迎えました後に、構造体が露出しているタイミングで、申請をしていました耐震等級の性能証明の立会い検査を受けています。
確認検査機関の検査員の方、構造設計での協力事務所/リズムデザイン構造計画事務所の今野さんと一緒に現場確認(検査は無事に合格)しました。

耐震壁となる構造用合板の釘のピッチや、土台や柱・梁に取付く各種金物をチェックします。

上の写真で合板の色が濡れ色になっている部分は、1階の防蟻処理です。建物は地下のRC造の上部に地上1,2階の木造があり、この部分は地盤面よりかなり高い位置となりますので防蟻は必須ではありませんが、念のため対処しています。

その後の主な工程として、木造部分の断熱施工があります。
設計上、断熱についてはコストや性能などから何が望ましいかは様々な考え方がありますが、今回は構造耐力壁の筋交いやアルミサッシ枠まわりもきちんと充填できる内断熱の高性能 硬質ウレタンフォーム吹付(フォームライトSL-50α)を採用し、丁寧に進めていただきました。

さらに、室内側の気密シート、プラスターボードの施工があります。
写真はビスのピッチまで整えた大変丁寧な仕事状況です。大工の棟梁Tさんの気遣いに頭が下がります。

最終的にはクロス下地+塗装仕上げですが、その準備として、壁・天井のボードのジョイント部に補強布(ファイバーテープ)、ビス頭部にもパテ処理を行う地道な作業が続きます。クラックが少しでも発生しないよう、かつきれいな仕上げ面となるよう、猛暑の中でも下地をきっちりと整えていただいています。

木造・住宅用アルミサッシの窓まわりについては、設計者により納め方もいろいろなケースがあります。
今回は四方枠の額縁をまわすのではなく、下の面(膳板)のみ木製で塗装仕上げ、それ以外の三方は下地クロスの巻込み+塗装としました。

今回、膳板の端部については、窓幅ぴったりに止め、チリ(壁面との差)7mmに仕上がるよう現場監督Sさんと打合せを行いました。
窓枠の三方については、プラスターボードの厚さ分控えたところまでをランバー材の下地とし、窓・壁まわりの精度を確保しています(写真:プラスターボードの施工前と後)。
ちなみに防火地域指定など(壁の防火構造等)法令制限があれば、下地の仕様も異なります。

設計図面を基本とする設計監理ですが、現場ごとにつくり手の方と意見交換しながら、コスト条件やクライアントご要望なども考慮しおさまりを微調整することも重要だと思います。
建築を見る時には、大胆な空間構成に目が向きがちですが、仕上がってしまうと印象に残らないような一般部分の壁・天井・窓枠まわりにもできるだけ気を配ってしっかりとした建築にしたいものです。

外壁の下地についても別記事でまたご紹介したいと思います。

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2023-08-26 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

へザウィック・スタジオ展

都内 六本木の森美術館/東京シティービューで、2023年3月17日〜6月4日まで開催されました展覧会「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」に行ってきました。


世界が注目するデザイン集団、ヘザウィック・スタジオ。
1994年、トーマス・ヘザウィックがロンドンに設立したデザインスタジオで、約30年間の活動で、ニューヨーク、シンガポール、上海、香港など、世界各地で革新的なプロジェクトを数々生み出しています。
展覧会は、ヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を日本で初めて展示するもの。ちなみに英語のタイトル「Building Soulfulness」には、「魂がこもっているものを建てる」という意図が込められているそうです。

会場には建築模型が多く展示されていまして、どなたでもパッとビジュアルで楽しめるような形にされたのだろうと思います。イメージスケッチはありましたが、図面紹介は、ほぼありませんでした。
私は、模型を見るのも作るのも好きなので・・建築展ではつい写真を多めに撮ってしまいます。
SNSの広がりと共に、各種展覧会では撮影撮影可能なものがどんどん増えていますので、来場者の多くはスマートフォンを片手に・・という展覧会場の風景が当たり前になってきました。
できるだけ他の来場者が写真に入らないタイミング・アングルで撮る!ことにも、慣れて来たかもしれません。

△ 様々な素材、造形のヒントとなるモデルの数々。

△ 「上海万博 英国パビリオン」
私がヘザウィック・スタジオって凄い!と初めて思ったのは2010年に上海万博で出現したこのパビリオンでした。

△ 2012年の「ロンドンオリンピック聖火台」
模型ディテールも美しいものでした。

△ 「リトルアイランド」
一般的に建設の都合上、画一的になりがちなプレキャストコンクリートでつくりながら、多様な造形が生み出されるようパーツの組み合わせパターンが緻密に検討されて実現。
ニューヨークに行ったら、足を運んでみたいです。

△ 2019年「ヴェッセル」
こちらも話題となりました階段だらけの・・垂直公園です。

△ 2022年「グーグル・ベイ・ビュー」
BIGとへザウィック・スタジオが設計した、アメリカの Google 新社屋です。
プロジェクトの規模がどんどん拡大していき、凄いですね。

△ プロジェクト模型、いろいろ

△ 巨大なサイロの一部を大胆にえぐりとって建築に転用!

△「麻布台ヒルズ/低層部」
日本の東京で話題のプロジェクト。建設工事中です!
完成したら、相当なインパクトですね。

こうした模型は、模型製作の専門家によりレーザーカッターでアクリル板を緻密に切り抜いたりするパーツの使用や、3Dプリンターの模型製作なども当たり前になっています。
弊社でのスタディモデルは自分の手で扱いやすい素材が中心なので、これらの展覧会模型とは別の表現ではありますが、楽しく模型を拝見し、きれいな製作・見せ方などに刺激をいただきました。

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2023-06-05 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

祝上棟

進行中のプロジェクト「吉祥寺の住宅/House in Kichijoji」は、無事に上棟を迎えることができました。


棟上げ作業後、日を改めまして、クライアント・工事関係者と共に上棟式も執り行うことができました。
棟梁のTさん、現場をよろしくお願いいたします。

この住宅は、地下1階のガレージ部分を鉄筋コンクリート造、上部1,2階を木造とする混構造の構成です。
下部構造(ガレージ部分)のコンクリート打設作業を振り返りますと・・

コンクリート打設時の写真からも、多くの方々の力が注ぎ込まれていることがわかります。
毎度のことですが私も打設に立会い、良い仕上がりに貢献できるようタタキ作業もしてきました。
コンクリート打設は何度経験しましても担当する監督・職人さんも現場ごとに異なるため、しっかりとしたコンクリート躯体として仕上がるか、設計監理者もいろいろと気を遣います。

こちらは型枠を外した(脱型)直後の写真ですが、コンクリート躯体の水分が多く残った黒光りするような表情を見ることができます。
コンクリートを流し込む時間の経過が仕上げ面に表出するため、特に「アナログ」を感じる部分ですね。

建設現場では当然のことですが、それぞれ異なる職種の方々の仕事が積み重なって進んでいきます。
ものづくりの現場はローテクな作業も多く、人の手から手へ仕事のバトンパスが続きますが、そうした経緯を関係する方々と共有するのも建築の大きな楽しみの1つだと思います。

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2023-05-30 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

2023年度 大学授業スタート

2023年度4月、大学・非常勤講師としての授業がはじまりました。
毎年のことながら、キャンパス内のメインストリートの新緑から「新学期スタート!」という雰囲気を感じます。
キャンパスの設計では、施設を設計するだけでなく緑化計画もとても重要になりますね。

前期、愛知工業大学の建築学科では、主に学部3年生が受講する座学「建築ディテール」と設計演習「設計製図Ⅳ」を担当させていただきます。
新型コロナウィルスの話題も落ち着きを見せ、授業形式はようやく通常の対面授業に戻るかたちとなりました。以前、遠隔授業も経験しましたが、やはり対面で行う授業のライブ感、複数の学生さんが同じ教室でお互いの活動が見えて刺激もある環境は良いものだなぁと、初回授業を終えて実感しました。
愛知工業大学での設計指導も気がつけば9年目を迎えるのですが、今年は設計製図で指導者1人が受け持つ学生さんの人数が過去最多でした。
3コマ続きのエスキス指導は気力も体力も目一杯使って取り組むことになりそうです。

大学での授業、進行中の設計実務とも、エネルギーを込めていきたいと思います!

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2023-04-14 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

耐圧盤の配筋検査

進行中のプロジェクト「吉祥寺の住宅/House in Kichijoji」は現在、基礎工事中です。

建築は、地下1階部分をRC造、地上1、2階を木造とする3層のフロア構成・混構造ですが、先日、最下階の床レベルとなる耐圧盤の配筋検査を行いました。

写真は、耐圧盤(厚さ:300mm)の中に、梁型を内蔵している状況(写真右側)です。掘削・床付け面も配筋も全てフラットなので施工性も良く、地盤の不同沈下に対して影響を受けにくい構造モデルとなっています。

この日は、設計監理で現場をチェックする検査に加え、確認検査機関に依頼しています「住宅性能証明(耐震等級)」と、「住宅瑕疵担保責任保険」の立会い検査も行いまして、それぞれ無事に合格となりました。

今後のコンクリート打設では、壁+上部スラブで打放し仕上げがありますので、事前にしっかりと施工者と打合せ・準備等をして進めたいと思います。

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2023-03-17 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

赤城神社・狛犬

都内、神楽坂駅近く(徒歩1分)にあります「赤城神社」へ行ってきました。

鳥居をくぐり、大階段を登りますと
正面に社殿、左手に螢雪天神があります。

これらは平成22年に再興工事が完了しているとのことで、境内の各施設は軽快な現代の建築として表現されています。
(設計:隈研吾建築都市設計事務所)

社殿の前、一対の狛犬が
ちょっとスフィンクスのようでもあり、印象に残りました。

側面・背面はこんな感じです。
大きな耳もモードっぽいヘアースタイルにも見え、全体のプロポーションは何ともチャーミングです。それでいて、大きな目や力強く盛り上がった胸には緊張感もみなぎっています。
建築の造営と共に、狛犬も現代的に新しくデザインされたものだろうか?
と思いましたが、江戸時代に流行した「加賀白山犬」という型とのこと。ただ残っている物はわずかのようです。

ちなみに脇にあります社務所では、この狛犬の姿(2体セット)をミニチュア化した魔除けの御守として授与されています。

江戸期には、日枝神社、神田明神とともに「江戸の三社」と呼ばれる由緒ある赤城神社。
戦後に続いた財政難を解決するための再生プロジェクトとして、境内に70年の定期借地権を設定した分譲マンションを建設(2010年)。契約終了後には「赤城の杜」として復活させる長期的な計画とのこと。2023年からですと57年後となり、その様子まで見ることはできませんが・・期待が膨らみますね。


このマンションの低層部、社務所の並びにあります「あかぎカフェ」にも立ち寄りました。境内(社殿の前)では、ちょうど挙式後・記念撮影をされているタイミングでしたので、幸せそうなご家族をカフェ内より拝見しながら、休憩させていただきました。

歴史・伝統を引き継いでいく中で、現代の都市的な生活スタイルに合う良いアレンジが加えられた建築プロジェクトなんだなぁと、遅ればせながらの見学で感じました。

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2023-03-01 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

New project/平家の二世帯住宅

ゲストを招くことも多いというご家族のための二世帯住宅。

できれば平家にしたいという住空間へのご要望を盛り込みつつ、敷地のポテンシャルを見極め、外部空間や半外部空間を活用しながら日々楽しめる住まいを検討しています。

それと同時に昨今の建設費の高騰に対し調整をどう実現させるか・・

projectはまだ初期の段階ですが、クライアントご家族、設計者、施工予定の工務店さんを交えて意見交換しながら進めています。

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2023-02-22 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

キャリア教育/職業講話

横浜市立もえぎ野中学校(青葉区)さんより「職業講話」のご依頼が田園都市建築家の会にあり、先日 hm+architects/伊原 が担当させていただきました。

今、子どもたちは、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現することが求められています。
この職業講話は、キャリア教育の一環で、将来の夢や目標を醸成し、進路選択に興味を持ってもらうことを目的とした学校プログラムです。
もえぎ野中学校さんでの講話は、中学1年生が対象で、10種類以上の職業の実務者が講義を行うとのこと。その1つとして「建築設計」の仕事があり、学生さんは希望する職業・講座を選択し、聞いてくれるという授業です。

50分の授業を2度(学生さんは入替え)同じ内容で行いましたが、みなさん大変熱心に聞いてくれました。

・建築士になろうと思った理由はなんですか
・数学の知識は使いますか
・建築士になるためには、どうしたら良いですか
・その仕事で経験と学歴ではどちらの価値が高いですか
・設計している中で大切にしていることはなんですか
・実際にどんな仕事が難しかったか

など10分ほどの質問タイムも多数の意見で時間切れとなるほどで、休憩時間にも持参した建築模型を囲みながら、個別に質問をいただきました。いろいろと興味を持っていただけたようです。
授業後に講師控室まで案内してくれた学生さんからは、多く仕事の種類がある中「この授業を選んで良かったです!」と言ってもらえました。純粋な眼差しとコメントで素直に嬉しかったです。

実はこの講話の少し前にも、横浜市立青葉台小学校(青葉区)さんからも弊社に6年生向けのキャリア教育授業のお話をいただいており、こちらは体育館で6年生全員に向けて建築設計・建築家についてのお話しをさせていただきました。その授業風景の写真はありませんが、6年生のみなさんもとても熱心に聞いてくれました。一緒に体育館で聞いて下さった校長先生からもコメントを頂くなど、建築への関心を広げていただけたようで良かったです。

これまで数年間、大学の非常勤として大学生向けにお話しする場面はありましたが、今年ははじめて、小学6年生と中学1年生に向けての授業を経験しました。建築の専門用語をあまり使わずに子ども達にもわかるよう伝えるにはどうすべきか・・あらてめて考える良い機会にもなりました。


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2023-02-10 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

地鎮祭/吉祥寺の住宅

晴天のもと、都内で進行中のProject「吉祥寺の住宅/House in Kichijoji」で地鎮祭を無事、執り行うことができました。

祭壇は敷地の中央、南に面して配置され、三方を紅白幕で整えていただきました。
冷たい風の中でも穏やかに神事を行うことができ、有難かったです。

道路協議や埋蔵文化財の試掘調査などを経て、ようやく着工までたどりつくことができました。
これから関係者一丸となって現場、設計監理業務を進めていきたいと思います。

敷地上空の雲が、この1月吉日の地鎮祭にぴったりな雰囲気に見えました。

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2023-01-21 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

2023 仕事はじめ

新年あけましておめでとうございます。
2023年は本日、1月5日より hm+architects の仕事を開始いたします。

今年の初詣は、JR千葉駅から1.2kmほど東にあります「千葉神社」まで行ってきました。
幸い穏やかな晴天に恵まれ、清々しい空気感の中で2023年のスタートを迎えることができました。

境内の建築について、少し補足させていただきます。
写真の御社殿は、上下に二つの拝殿を有する「重層社殿」とされ、他の神社とは異なる(国内初とのこと)迫力のある建築の形式が特に目を引きます。

また千葉神社の境内には、この御社殿のほか複数の神社があります。一般に 「摂社:せっしゃ」・「末社:まっしゃ」と呼ばれるもの(私の理解が間違っていなければ)で、御社殿の西側には、ご縁の深い神様を祀る摂社の「千葉天神」が配され、その南側には小さな末社が複数(14社)存在しています。

こちらの末社が建ち並ぶ景観も、神様のまちなみのようでもあり魅力的です。
それぞれ建築のスケールは小さいのですが、屋根は銅板葺、棟木から高く突き出ている部分の「千木:ちぎ」と、頂部の丸太のような装飾「鰹木:かつおぎ」を乗せた造りとなっています。
ちなみに、千木の先端のカットされる向きや、鰹木の本数から、神様の男女がわかるそうですが、写真の千木は外削ぎ(地面に対して垂直)かつ、鰹木が奇数本ということから男性の神様と判断できるようです。
いずれの末社も勧請された年代は大変古く、小さい社ながらも1つ1つ特別な存在であり、さらにしっかりとした建築の佇まいからそれぞれに敬意が払われているように感じられます。

既存の形式に捉われることなく、新たなチャレンジへの一歩を踏み出すこと。
これまでにお世話になり、ご縁のあった方々への敬意を忘れず大切にすること。
2023年のはじめに、そのようなことを感じる千葉神社・初詣となりました。

皆さま本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2023-01-05 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

中部大学の時計塔

先週末、非常勤で担当する授業は年内最後でした。
コロナ等心配も続く中、まずは一度も休むことなく終えられホッとしています。

お世話になっている大学の1つ「中部大学」で、学内の普段利用しない講義室の脇から、イイ感じの景色を見つけましたので1枚写真に。

大学は愛知県春日井市にあり、約38万m2もの広さを持つキャンパスは丘の上に広がっていますので、大学内からゆったりと街を見渡すことができるポイントがいくつかあります。
振り返りますと、私が大学に関わらせていただくのは、前職(第一工房)時代からいくつかの学内施設で設計担当者として数年、その後独立してから非常勤として数年・・遠隔地ながら気がつけば、都合かなりの年数と回数、足を運んでおります。
それでもやはり、広いキャンパス内でこれまで知らなかった景色を見つけ、ハッとすることが時々あります(単に自分の意識が低いせいもありますが)。
学内で設計プロジェクトとして関わる特定のエリアだったり、授業で毎回利用する決まった講義室への移動など、ルーティン化する中で、やっぱり視野も狭くなっていくのかなぁ。

個人的にキャンパス内でオススメなのが、添付写真の中央に見える「時計塔」です。
これは第一工房の設計の1つですが、デザインは第一工房というより、ほぼ全て代表の高橋さん個人の好みで仕上がったものになっていると言えます。
過去に雑誌発表などもしていませんので、一部のマニアの方以外はご存知ないと思われ、少しだけ補足してみます。
フレームは極めてシンプルに、ステンレスの溝型柱を背中合わせに透かして2本立たせ、その小口だけをキラリと鏡面に仕上げたディテールとしています(遠い写真からは、ちょっとわかりませんが)。
私は出来上がった当初、正直なところジェネレーションギャップと言って良いのか、こういう味付けは若い設計者は頑張ってもできないなぁと感じていました。
その後、残念ながら高橋さんにお目にかかれなくなってからしばらくして、大学を訪れると、この時計塔が高橋さんそのものに感じてしまうことが増えてきました。
生前の高橋さんは記念碑(慰霊碑)などの案をお考えになるのもお好きなようでしたし、建築の機能整理(スタッフの条件整理作業)を必要としない時計塔などのモニュメンタルなデザインは、組織の設計ではなくソロ活動のように楽しんでいるように見えました。
事務所で十数年ご一緒させていただき、生粋のモダニストのデザインというのは、シンプルな構成の中にも設計者の美意識、意図が現れるディテールをしっかり持たせ、単なる「合理主義」という訳ではないんだなぁ(それが合理的なつくり方にならない場合やコストが嵩んだりしても、全体としては不合理に見えないように工夫されたり・・)と私は感じています。

この時計塔には高橋さんの「心」が込められていると思いますので、ご興味のあるかたは是非近くで感じ取ってみてください。

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2022-12-26 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

西澤氶さん写真展「DEMIURGOS」

先日、都内での打合せ後、写真家の西澤氶さんの写真展「DEMIURGOS」に行ってきました。
今週末の12月11日(日)まで外苑前のNine Galleryにて開催中です。
https://ninegallery.com/exhibition

↓西澤さんのwebsiteはこちら
https://joe-nishizawa.jp
西澤さんの写真撮影は、
例えば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、核融合科学研究所、福島第一原子力発電所の廃炉作業などで行われています。
通常では撮影することが出来ない、特別な許可が必要な場所での撮影が中心となっています。撮影許可を得るまでに何年も必要となったところもあるとのこと。

西澤さんは高校の先輩でもあり、期間中ご本人から午後は在廊予定とお聞きしておりました。平日の午後にうかがい、比較的ゆっくりとお話することができ(写真の解説などもしてくださり)良かったです。
オリジナルの写真の迫力、その写真集Canonさんの印刷クオリティとも凄かった!

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2022-12-10 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

1年検査

「新城の住宅/House in Shinshiro」の1年検査に行ってきました。
現場へは車でも電車でも何度も通いましたが、今回は新幹線と在来線を乗り継いでの移動です。
現場での奮闘から少し時間が空いたせいか、移動途中の景色は何だか以前よりも穏やかに見えました。

関係者の日程調整などで、お引き渡し後1年以上経過しましたが、あらためて外観を拝見しますと、外装のガルバリウム鋼板、コンクリート打放し仕上げとも経年の変化など見られず、ほぼ当初の印象を変えることなく凛々しい姿でホッとしました。

2度目の冬に備え、2Fの大きなバルコニーの下部、軒下のヤードには、薪ストーブ用の薪が用意されていました。

また内部の階段室からは、北側に赤く色づいた紅葉も見えました。
季節を感じる日々の生活が想像されます。

ちなみに階段には景色を取り込む窓がありますが、1階部分は2階のガラス面より北側に膨らむ平面調整を行なっており、上下階でズレがあります。
この断面は設計時から意匠も含めて気を遣うところでしたが、現場施工中もやはり竹林からの落ち葉が多い状況でした。メンテンスへの配慮として、このズレが生じる部分に落ち葉除けの目的でアルミのパンチングパネルを設置していますが、RC躯体面とパネルをフラットにおさめたことでその後、期待通りに風が吹けばサッと飛んでいく状況のようです。設計で標準的なおさまりと違った工夫をしたところについて、一定の効果が確認できると設計者としては安堵し、また密かに嬉しさを感じるところでもありました。
また建築全般で大きな問題もなく、1年検査を行うことができました。

クライアントの奥様から、新居でのご家族の暮らしの様子などをお聞きしていますと、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
現場でご一緒していました工務店の監督のKさんとも久しぶりにお会いでき、建設時のことも少々懐かしく振り返るひと時でした。

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2022-12-01 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

猪熊弦一郎展

横須賀美術館の「猪熊弦一郎展」に行ってきました。

美術館の開館15周年、猪熊さん生誕120周年の企画展です。
会期は2022年9月17日〜11月6日まで。今週末の日曜が最終日となります。

香川県丸亀市にあります「MIMOCA/猪熊弦一郎現代美術館」には学生時代の建築見学にはじまり都合3回ほど足を運んでいますが、日帰りで行ける横須賀美術館でも猪熊さんの実作を目にすることができる(娘にも見せることができる)貴重な機会だと思い、先月ですが家族でみてきました。


1938年、憧れのパリに渡りアトリエを構えた猪熊さんが、アンリ・マチスに何度か会い「お前の絵は上手すぎる」と言われたエピソードはよく知られるところです。それは人によく見てもらいたいと思うあまりに「自分の絵になっていない」ということで、画家・猪熊弦一郎の新たな出発点となったとのこと。
パリ時代、ニューヨーク時代など、あらためて作家の作風の変化を再認識できました。歳を重ねてからもエネルギーの込められ方に衰えの気配など全くなく、圧倒されます。

また横須賀美術館も早いもので、15周年なんですね。
建築家の山本理顕さんが以前の講演会で美術館計画(設計中)の解説をされていたことが、ふと思い出されました。大変なこの建築を実現させた建築家のエネルギーにも感服するところです。

エントランス空間の窓(2F)から海が見え、ちょうど丸い窓に船が入っていました。こういったタイミングは、写真を撮りたくなりますね。

芸術の秋・・
特別なエネルギーを肌で感じることができました!

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2022-11-05 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

敷地の確認

家づくりを土地探しから検討していますプロジェクトで、横浜市戸塚区にある敷地について調査を行いました。

最寄駅は、交通利便性の高い戸塚駅です。
新たな土地での日常がどんなイメージになるか、地図情報だけでなく駅から実際に徒歩で何分か、どのようなルートになるか歩いて体感してから、敷地を詳しくチェックします。


敷地とは直接関係しない話題ですが・・
駅の東口ペデストリアンデッキにあります、大きな金属のオブジェが何だか強く印象に残りました。手元でweb検索しても作者や創作意図などはわかりませんでしたが、かなり以前(35年くらい前?)からあるようです。無駄のないフレーム、全体の繊細なプロポーションなど秀逸だと思いました。
調査で土地以外に思いがけず目にするものもあり、面白いです。

本題の候補敷地について
事前に物件情報から建築法令を確認した上で、現場の様子を確認していきます。隣地や敷地内の高低差、インフラの接続状況、周辺の環境(日照・通風・プライバシー)、土地の価格と計画したい建物との全体コストバランスを見ながら、クライアントのご印象、ご購入のタイミングも含めトータルの判断になります。

どのプロジェクトでも、土地・設計者・施工者、どんな運命的な出会いがあるか予想できないご縁があるものです。今回そうしたご縁がありましたら、この地に通うことになると思います。

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2022-11-04 | Posted in diary, blogNo Comments »