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大鳥居の移設

現在進行中の千葉神社の現場では、建築本体工事(参集殿の増改築)のほか、外構工事で境内の大鳥居や灯籠、獅子山の移設も行なっています。
先日移設が行われました大鳥居は、総石造りで重量は 20トン以上、大きさとしては 高さ6.2m、幅(笠木)8.25m あります。
柱には「大正11年4月」と刻まれていますので、この大正11年(1922)の築造から令和7年(2025)の現在まで、1世紀以上(103年間)千葉神社を見守っていただいている鳥居です。

また今回の移設工事を行う以前に一度、昭和27年9月(1952)に曳家による移設が行われた記録があります。
それが既存の境内、鳥居の配置(現工事前)でした。それ以降、73年振りの移設工事となります。
103年前にどのようにして造られたのか・・
73年前にどう曳家していたのか・・
重機のある現代とは違った方法で造られた技術に感服するしかありません。
建築の計画(参集殿の増改築工事)を進める上で、大鳥居の移設は配置上必要であると神社様より方針をお聞きしたのは、今から4年ほど前でした。
参拝者は、この大鳥居をくぐって敷石の参道を進むのが正式な動線となりますが、鳥居の配置修正は、境内のみの動線を考えるだけではなく、南に隣接する公園の整備内容にも関係する事情がありました。またその後の設計で、鳥居まわりの獅子山や灯籠、玉垣の配置も慎重に調整を行い、現在の移設工事に至ります。ランドスケープの設計には「カネミツヒロシセッケイシツ」の金光さんにご協力いただきました。
長く準備してきた計画がいよいよ実現する!
と考えますと、感慨深いものがあります。
こうした移設工事に立会うことも貴重な経験ですので、その様子をいくつか写真でご紹介します。
ちなみにクレーンで吊られた柱1本だけでも、その重量は 6.5トンほどあります。この丸柱をクレーンで垂直に吊り上げても全くズレない玉掛け技術、流石ですね。
この鳥居の移設工事は、社寺建築の石工事を専門に扱う「フルサワ社寺建築石材」さんのチーム、工事統括の「松井建設」さんによって、安全かつ正確に組み直し作業を進めていただきました。

柱脚部、根石・ベース部分には、ジャッキをセットし建ち角度やレベルを微調整します。1つのジャッキで耐荷重3トンまで対応できるものを、柱1本に対し3ヶ所セットして進めました。

2本の柱を建てた後には、「貫(ぬき)」と最頂部の「笠木(かさぎ)」を順次組み上げます。各接合部には新たに脱落防止の鉄筋補強を加え、安全面の強化を行なってから復旧しています。
笠木サイズ 直径600mm、長さ8250mmの自然石です。
吊り込む前、地上で間近に見ますとかなりの迫力がありました。

根石部分に確認された僅かなクラックには「かすがい」の補強も加え、今回の大鳥居移設工事(建て方)は無事に一区切りとなりました。
ハイウォッシャーでクリーニングされましたので、鳥居全体も明るくなりました!
これまで大鳥居は、建築本体工事の工事ヤードを確保する事情などから、先行準備工事として2年ほど前から敷地外の仮置場に一時的に避難していました。
ちょうど鳥居の移設を終えたところで、宮司よりお話を聞く機会がありました。
この移設完了により、敷地内に大鳥居を再び戻していただけましたが、一時避難の期間を数えますと、偶然にも777日であるとのことです。
千葉神社の妙見様は、北極星を守護神としますが、北斗七星に乗ってパトロールをされるということもお聞きしました。
また夏の「妙見大祭」は、来年節目の900回を迎えますが、開催期間は昔から変わらず 7日間と定められております。
建築工事の進捗、天候などから直前に多少の日程調整があったのですが、それも含めて結果的に777日、「7」が並ぶこととなりました。こんな不思議な巡り合わがあるの?・・とただ驚くばかりです。
今月は建築本体工事も仕上げ工事が進み、佳境に入ります。
さらに外構も並行して進められますので、全く気が抜けません。
関係者で一丸となって頑張って進めています!