diary, blog
リノベーション現場 05
住宅のリノベーション現場は、年明けに全体がまとまりました。
プロジェクト名「覚王山の住宅 改修」を写真とともに数回に分けて記事にしてみます。
この計画では、既存の建築本体外装にはほとんど手を入れないで、主にインテリアと外構のガーデンイメージを刷新する改修を行なっています。
閑静な住宅街の一戸建て住宅ですが、若いご夫婦のご入居にあたり、ご要望は外構全体のイメージを、ヨーロッパの雰囲気が味わえるようアレンジしたいというものでした。
▽before
既存植栽は、建物の正面の限られたスペースを中心に、シマトネリコはじめ他の樹種とも大きく育っていました。影を大きく落としてくれますが、うっそうとした雰囲気もあり、同時に蚊の発生も多い状況でした。
ガーデンリノベーションにより、機能的には健康的な明るさと風通しを確保しながら、植栽による程良い視線のコントロールを行ない、ご希望の景観づくりをしていきます。
またカーポート奥の1階室内で、手すり越しに見える通行人の視線が気になるとの課題も併せて改善を図ります。
▼after
植栽は、高さ4mのオリーブをメインツリーとし、エントランスまわりからカーポート奥の新設したプランターボックス植栽まで、全体の緑量・樹種コーディネートを考え、バランスよく配置しています。
現状は、植え付け直後で冬期の葉が少ない状況ですので、イメージとしては写真よりも今後しっかりと緑の景観は成長していきます。
門扉まわり、擁壁仕上げ、カーポート奥のプランターボックスと、建築的な改修ヶ所は部分的です。それに全体の植栽を計画したのですが、住宅全体が、明るい表情となり、道路間口いっぱいに素材・色彩の統一感が出せました。
▽before
正面門扉まわりの既存写真。
コンクリート打放し壁と、レンガ調タイル、割肌風の擬石、アルミ製門扉という素材構成でした。イメージが少々無機質に感じられる、クールな表情を変えて欲しいということです。また目隠しのためのやや高い壁も、存在感が強いようにも感じました。
▽改修中(撤去作業)
植栽の樹種を変更し、限られたスペースで根鉢まわりの育成環境を考えると、既存樹木の伐根まで行なっておく方が良い(やや残念にも感じますが)と判断とし、足元周辺の舗装・擁壁等の撤去を行ないました。
既存の擁壁高さも全体に低く抑えるためにカットし、道路側に対してのバッファは壁ではなく樹木でやさしい景観をつくっていく考えです。
▼after
背後に見える建築本体の外壁(テラコッタ調タイル)ともなじむ、正面ファサードとなりました。やがて曲面の擁壁上部の植栽が枝垂れて、数年後にはさらに緑豊かな住宅の顔がつくられるでしょう。
ポイントとなる樹木(中高木)としては、門扉左脇にレモン、その左上部にオリーブ、門扉ポストの右にはシルバーティーツリーなど配置。
▽before
既存門扉まわりの構造躯体は極力生かしながら、高さを抑えて新たな仕上げ材に。電気錠システムと壁に組み込まれた郵便ポストは、既存をそのまま活用した計画です。
▼after
門扉の木材は、耐候性の高いチークを使用。各所シンプルなデザイン操作ですが、ポイントとなる金物等はしっかりとしたパーツ構成として、全体に品位と重厚さを与えています。
▽before
同じく門扉まわり、南西より見る。
▼after
クラフト感を味わえる、擁壁のレンガタイルは、イタリアでつくられているものを選定しました。砂をまぶした木型でつくられるこのレンガは、脱型後に厚さ22mmほどにスライスされ、建材として扱えるスライス・レンガタイルとなります。一つひとつ質感・表情がとても豊かです。
▽before
既存の門扉から玄関へのアプローチ。
薄板の石舗装・土留めの低い擁壁などを撤去します。
▼after
メインのアプローチステップは、建物までの距離があまり取れませんが、大判の石敷き(砂岩)として、より自然でおおらかな雰囲気の階段へ。
▽before
建物の居室南側に位置する、本来まとまった庭スペースにしたい部分も植栽が密集した状況。
▼after
門扉から建物玄関へ自然石でつくるアプローチ、さらに小さなステップで庭への小径をつくって立体的な構成に。
結果的に僅かなスペースでもそれぞれのコーナーで変化に富むガーデンリノベーションとなり、クライアントご家族も想像以上の出来栄えと、とても喜んでくださいました。
丁寧な素晴らしい植栽工事をして下さった、小川さん、石井さん、小島さんに感謝します。どうもありがとうございました。