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Artek Tokyo Store/アルテック 東京ストア
1935年に建築家アルヴァ・アアルトによって創業され、数多くの名作家具を生み出した「アルテック」。
先日、東京ショールームとなる「Artek Tokyo Store(アルテック 東京ストア)」へ行って来ました。
いままで日本にありそうで、実は無かったアルテックさんのフラッグシップ店ですが、昨年(2019年に)オープンしています。
ヨーロッパ以外では初めてとなる直営店です。
場所は、表参道ヒルズからも近い、東京都渋谷区神宮前5-9-20 にあり
1階と地下1階、2フロアのディスプレイです。
ちなみに、今回のブログは以下、いろいろ写真と解説を加えてしまい、長文になっております。
さっとご覧いただく方は、ご興味のある写真画像だけでもどうぞ。
9/14までの期間限定の展示となっていました、ジャン・プルーヴェのデザイン家具「スタンダード・チェア」の新たなカラーバリエーションが追加されたもの、同じくプルーヴェのデザイン家具で初めて復刻版が販売される全木製椅子の「シェーズトゥボワ」などを主に見たいと思って足を運んでみました。
同時にイームズ夫妻のお気に入りだったインテリア小物、アレキサンダー・ジラルドの作品も紹介・販売されていました。
名作「スタンダード・チェア」。
ファーストモデルは1934年にデザインされ、現在も人気の定番アイテムです。
写真は、ニューカラーの一つ、スチール製脚部の赤は「ジャパニーズ・レッド」と名付けられ、ダークカラーウッド部分とのコンビも新鮮なイメージで、独特の味わいのあるカラーでした。
家具メーカーとしては、スタンダード・チェアは vitra(ヴィトラ)社の製造・販売ですが、アルテックとヴィトラは2013年よりパートナーシップを結んでいるため、アルテックのストアでも扱われています。
ユーザーにとっては、1カ所で両ブランドのアイテムを見ることが出来ていいですね。
地下1階、壁一面のチェアのディスプレイ。
アルテック、ヴィトラの名作コレクションが一堂に。
中央手前に置かれた、今回の目玉アイテムの1つ、ジャン・プルーヴェがデザインした全木製の椅子「シェーズトゥボワ」。2カラーあります。
ヴィトラから初めての復刻アイテムです!
そしてジャン・プルーヴェの家具、テーブルと言えば、やはり代表的な「EMテーブル」ですね。
写真は、長手1800mm タイプの展示ですが、さらに長い2000、2200、2400、2600mm までサイズ展開はあります。
天板もソリッドウッド(無垢)、ベニヤのテーブルトップ、ハイプレッシャーラミネートの仕様があり、またカラーにつきましても天板・脚部ともそれぞれ複数の選択肢があり、組み合わせが可能です。
EMテーブルは、コーナー部分に椅子を配置しても、テーブルの脚部が天板の四隅端部より奥まっているので、邪魔にならないデザインです。
20世紀、1901〜1984年という時代の変革期を駆け抜けたジャン・プルーヴェ。建築から家具・照明といった様々なプロダクトについて工業化を徹底的に考え、機能的でかつ同時に独自の美しいラインをつくりだした崇高なデザインと言えます。現代のデザイナーにはとても真似のできない存在感のあるモノを生み出した伝説の人、建築家・デザイナーであると私は感じます。
こちらは、ブラックのスチールの脚部とナチュラルウッドの座面と背板。
定番と言えるこの組合せは、飽きない魅力があります。
金属部の固定ディテール。デザイン的にチャーミングで美しいです。
新たに、座面・背面を樹脂製として、複数のカラー展開となっています(価格も木製より抑えられています)。
写真右は、全てブラックのタイプ。モノトーンのコーディネートも可能ですね。
写真は、アンティークの「ドムスチェア」。これは非売品でした。
1946年にヘルシンキの学生寮「ドムス アカデミカ」のため、イルマリ・ タピオヴァーラによりデザインされたものです。
「チェアはただ座るものではない。インテリア全ての鍵である」
イルマリ・タピオヴァーラ (1914 – 1999)
小さめのアームレスト、軽量でスタッキング可能な機能性。
フィンランドデザインの名作です。
現行の販売モデルはこちら。
オリジナルモデルは座面下のフレームに手掛けの孔がありましたが、現在はフレーム強度などを考慮し孔加工はナシとなっています。
こちらは「ドムス チェア」よりもやや小振りな「ルッキ チェア」。
スチールと木材を組み合わせたデザインの探求。
同じく、イルマリ・タピオヴァーラによるもので、1951年にデザインされましたが、軽快なイメージもあり、古さを感じませんね。
こちらのハイバック、リラックスチェアは、ヴィトラの「グラン レポ」。
以前の拙ブログ、水栓金物についても少し書かせていただきました、アントニオ・チッテリオのデザインです。建築からプロダクトまで手がける現代の世界的スターデザイナーです。
こちらの家具は、リクライニングの位置を調整し、好きな位置でロックをかけることができます。
オールレザー張り仕様。極上の家具の1つ。
こちらはアルテックの定番、アルヴァ・アアルトのデザインアイテムたち。
「円形テーブル」、「69チェア」、「スツール60」、ですが、69チェアは赤いレザー張りの座面で、木部の塗装がビンテージ風に見えるカラー、テーブル天板リノリウムも繊細なカラー展開のコーディネートです。アレンジで雰囲気も変わります。
1Fの奥にあるディスプレイ。
ヘルシンキと東京、世界に2つしかないフラッグシップストア限定のサービスとして、Artek Tokyo Storeでは、スツール60の座面と3つの脚をそれぞれお好きな色や仕上げから選び組み合わせることができるそうです。
こちらは、アルヴァ・アアルトのオリジナルデザイン「スツール60」、「153ベンチ」に、日本の建築家、長坂常さんが表面仕上げ部分で新たなデザインコラボレーションをしたもの。
日本の伝統技術から「浮造(うづくり)」と漆塗りの技術である「津軽塗り」を掛け合わせた「カラリン」という彼独自の方法を応用。2色のラッカー塗装を順番に重ねて乾かし、最終的に表面を研磨。地形図のような有機的な曲線を描く模様が現れるデザインは現代的なイメージに仕上がって、デザイン・技術とも時間の堆積を感じさせるデザインアイテムだと思います。
2019年に発表され、フィンランドの工場で生産されています。
「キウル ベンチ」
こちらも日本のプロダクトデザイナー、二俣公一さんのデザインです。
フィンランドのサウナと日本の銭湯・温泉文化という両国に共通する公衆浴場という文化に着想を得てデザインされたとのこと。 「キウル」はフィンランド語でバケツや桶を意味し、公衆浴場にかかすことのできない水や湯を汲む道具を指します。
2サイズ、3カラーの展開があります。
フィンランドと日本の親交を祝うアルテックからの贈り物「FIN/JPN フレンドシップコレクション」2019年の作品。
左上の黒いスツールは、イルマリ・タピオヴァーラのデザイン。小さめで、こちらもいい感じです。
床に寝そべる熊のクッション「レスティング アニマル」。
デザインユニット、フロントによるデザイン。
脇にある「コルク」のデザインは、ジャスパー・モリソンによるシリーズものの1つ。
子供向けの家具としても良さそうな、壁面への取り付けシェルフ。
建築工事ではあらかじめ、壁面の下地補強が必要となります。
自立の小物「Cat」、「Dog」は、アレキサンダー・ジラルドのデザインアイテム(1952年)。
この「木製くじら」、なかなかインパクトありますが、これはミニチュアとして製作・販売されているもの。それでも70cmくらいの大きさでした。
オリジナルは、イームズ夫妻が気に入って自邸(イームズハウス)に置いていたアイテムの1つで、全長2メートルを超える巨大な木製のクジラ。誰の作品ともわからない北米の民芸品だったそうです。
B1F、階段下の展示スペース。
アルテックの照明器具が並びます。
アアルトがデザインした、「ゴールデンベル」、「ビーハイブ」、「手榴弾」、「A333」
ヨーン・ウッツォン デザインの「 U336」 など、どれも綺麗な器具と光です。
こちらの器具は、ジャン・プルーベのデザイン。
上部のワイヤーがいい感じです。アームは回転します。さらに長いアームタイプもありますが、展示は短いタイプのみでした。長いタイプ、見たかった・・。
こちらもジャン・プルーベの卓上照明。
「A338 ペンダント ビルベリー」は、壁面の絵などを照らすライトとして、1950年 アアルトによりデザインされました。
<A201 ペンダント>は、1952年に完成したアルヴァ・アアルトの代表的な建築、セイナッツァロのタウンホールの図書館のためにデザインされたもの。スチール板を溶接した彫刻のように美しいデザインは、アアルト夫妻のお気に入りで、自邸のためにも3種類のバリエーションをデザインしています。
写真では室内のベース照明が明るくてわかりにくいのですが、上部のリング状の部分が間接照明のように見えるデザイン。以前は販売されていなかったモデルだと思います。
「AMA500 ペンダント」は、アイノ・アアルトのデザイン。
アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトがともに設計したマイレア邸は、20世紀建築の中でも類を見ない傑作住宅。現在でもマイレア邸のライブラリーに吊るされている深緑色のAMA500ペンダントを再現したダークグリーンは、数量限定の特別色。
気がつけば、長々とショップ案内、アルテック&ヴィトラ社の家具や照明器具の紹介サイトみたいになってしまいました(笑)。
優れたデザインアイテムは、見ているだけで、人を楽しくハッピーな気分にしてくれます。
(当然ながら同様に、良い建築のデザインも人を幸せにしてくれます)
建築のイメージに合う家具や照明、小物の考察も、設計者からの話題提供の1つだと思いますので、できるだけ最新の情報をブログでご紹介するなどして、多くの方とデザインの楽しさ・奥深さを共有できればと考えています。