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基礎工事中
神奈川・葉山町で進行中のプロジェクト「葉山の住宅/House in Hayama」は、木造2階建ての計画で、現在基礎部分の工事を行なっています。
先日、小雨の中でしたが基礎コンクリートを打設する前の配筋検査を行いました。
弊社の設計・監理では、建物の構造体をチェックする重要なタイミングには、設計を統括します弊社の現場立会い確認に加え、できるだけ構造設計者も一緒に現場確認していいただくチェック体制としています。
今回については、緊急事態宣言が解除される前ということもあり、私のみ車で現場に足を運び、構造設計者(リズムデザイン構造計画事務所/代表:中田琢史)はリモートで配筋チェックをしていただく形としました。
リモートでの確認方法は、iPhoneのFaceTimeを利用して、現場内の各所の状況をまず私が歩いてご説明し、ライブ画像を見ながら中田さんがしっかり確認したい部分をアップで見たり、寸法を確認するなどしました。
基礎まわりで複雑な内容・おさまり、心配されるような箇所はほぼ無い計画ではありましたが、実際にこの形式で行ってみますと、これまでのように構造設計者も現場まで来ていただいて確認する状況との違いをさほど感じることもなく構造チェックを進められることが実感できました。
本設計では基礎を、建物の全範囲(土に面する部分)をコンクリート面で形作る「ベタ基礎」という形式としています。
前面道路から南北に奥行きがあるほぼ平坦な敷地に、建物はおよそ敷地に沿う平面形状とした計画です。地盤調査により若干地耐力や土質構成が均等ではない部分がありましたが、そうした内容も勘案し設計としては、費用がかかる地盤改良工事は行わないけれどもフラットなコンクリート底盤(耐圧盤)の厚さを一般に木造住宅で多く採用される基礎よりも大きくした250mmとしました。この内容であれば、コストアップはコンクリート量の増加に伴う僅かなものに留めながら、設計の自由度も確保され、現場の配筋やコンクリートの打設作業は容易に進められるという実作業性にもメリットがあります。全体としては底盤の強度を高めることで地盤からの影響を受けにくくし、安心感を高めた基礎と言えます。
一般に、コンクリートで形作られます基礎工事と言いましても、建物の計画内容や、敷地の形状や地盤状況などにより基礎部分の設計も一様ではありません。完成後には見えなくなってしまう部分ですので、基礎形式に違いがあっても意識されにくいところです。さらに基礎によって建築全体の性能やコスト面に影響する場合もあり、一般の方にはわかりにくい部分だと思います。
実際のところ、住宅の基礎はある程度は類型化されているとも言えますが、建物ごとの検討はやはり必要です。設計者(意匠設計・構造設計)の専門知識や経験から総合的に導き出される判断力が試されるところであると感じます。
ただし、こうした総合的な判断が求められる内容も将来的にはAIの進化により、徐々に置き換え可能になるのでしょう。しかしまだしばらくは人間の五感をフルに働かせる専門家が活躍する場が十分にあると信じ、日々奮闘しています。