diary, blog
LED照明へ減光フィルム
「葉山の住宅/House in Hayama」の照明について
奥様よりキッチン、ダイニングの照明がちょっと眩しく感じる(日頃から眩しさが苦手)というお話があり、眩しさを軽減する調整を行いました。ご主人はそのままでも特に気にならないとのことでしたが、ご家庭内で長く利用される奥様の感覚に合わせた調整をしたいと思います。
△ダイニング・キッチン部分のダウンライト状況(減光調整前の写真)
設計では照明のシュミレーションを行い、机上面や床面の照度、各所の反射率、色温度なども含め確認して計画を進めましたが、実際には明るさの感覚に個人の差はやはりあります。
LED光源は、消費電力も少なく、電球の交換も不要で、近年は安価な製品となって照明器具の主流となりました。しかし照度は同じでも、LED光源は白熱電灯に比べ光が一定の方向に集中して出ているので、眩しく感じる状況(グレア)は、ある程度はどうしても残ります。
「眩しいので光を和らげたい」という場合、特にグレアを抑える仕様の照明器具を選定するか、設計時に標準仕様でも照明器具とスイッチ部を調光仕様にしておけば照度を下げる対応については問題なくできます。ちなみに器具の仕様が良いもの、調光箇所が多くなればその分費用もかかってしまいます。
今回の計画ではリビングや個室の照明に限り調光にして、キッチン・ダイニングは全体のコスト調整時に非調光タイプとしていました。
一般に、天井面に設置した埋込み型のLEDダウンライトは、以前の電球交換のように光源部のみを交換することはできませんので、ダウンライト本体ごと別の器具へ取替えとなってしまいます。
あるいは、光源はそのままで拡散光となるフィルター要素を追加してグレアを抑えることが可能かどうか・・。
そこで今回は、後者のダウンライトの光を拡散・減光させるフィルムの検討をしました。住友スリーエム「ディフューザーフィルム」というものを取寄せ、光源部分に合わせ円形にカットして貼ってみました。
写真左:カットする前のフィルム(裏面)
写真右:中央円形部分にフィルムを設置した状況(緩やかな曲面でしたがΦ33mmにカットし、手仕事には見えないくらい、うまく馴染ませることができました)
劇的に変わるというものでもありませんでしたが合計6灯、一定程度グレア(眩しさ、見えづらさ)を軽減できたと思います。
設置前に照明を点灯した同アングル写真を撮り忘れ、比較画像でなくてすみませんが・・
設置後の様子を奥様に確認していただき「柔らかい光になったので大丈夫です」と喜んでいただけました。
使用したフィルムは簡単に剥がすこともできる状況でしたので、貼ったり剥がしたり調整もできそうです。ただしLEDダウンラウトの減光専用と表示されている商品ではなく、各自の判断で使用すべきものと思います。
照明計画では、意匠のイメージからは積極的に天井面のLEDダウンライトを採用したい訳ではありませんが、費用対効果という部分ではやはり優位性がありますので、径の小さめのものなどをプロジェクトの内容に応じて配置しています。
設計では建設コストを抑えるよう全体のバランスを見ながら、建築空間の見せ方に抑揚をつけるなど、建築の仕様、照明や家具などの配置を決めていきます。どのプロジェクトでも毎回腐心するところですが、ここがうまく整理できますと、実際に要した費用以上に良いイメージが得られます。この差はなかなか一般の方にはわかりにくいところで、難しくもありますが、設計者として腕の見せ所でもあると感じています。