diary, blog
アルバレス・ブラボ写真展
名古屋市美術館で12/18まで開催中の展覧会を拝見しました。
20世紀写真史に大きな足跡を残したメキシコの巨匠、マヌエル・アルバレス・ブラボ(1902-2002)。
メキシコ革命を経て、壁画運動や前衛芸術が渦巻く激動の1920年代末に頭角を現し、最晩年の1990年代末に至るまで、一貫して独自の静けさと詩情をたたえた写真を撮り続けました。約70年におよぶその仕事の魅力を、192点のプリントと多数の資料によって紹介する、国内初の本格的な大回顧展です(展覧会概要より)。
展覧会情報はこちら
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2016/bravo/
写真家として、20代から「100歳の誕生日展」までモノクロ写真を生み出し続けた、その表現の一貫性に視線の強さを感じました。素晴らしい詩情に満ちた作品群に感服します。図録も280ページと立派にまとめられています。
また常設展でもメキシコに関するコレクションを合わせて見ることができ、静かに充実した一時を過ごせました。
かなり久々に名古屋市美術館に行きましたが、入口脇の定礎板を見ますと昭和六十二年とあります。建築設計は故 黒川紀章氏によるもので、1980年代と一目でわかる建築スタイルですが、手入れが行届いているようで竣工後約30年と感じさせないほどのコンディションに感心しました。時代の流れ、今見ると過剰なつくりに感じるところも多々ありますが、当時の作り手が建築に込めた熱量の凄さは、今なお冷めきらずに独特な存在感を示しています。
ただ展示室1−2階移動の内部動線は毎回・・・と美術館建築の動線と見せ方の重要さを痛感します。
設計実務に携わって気が付けば18年・・
学生時代には一般利用者としての視点しかなかったはずですが、いつの間にか建築のデザイン・機能、材料・コスト、維持管理・運営のことなど、聞かれもしないのに様々なことが同時に気になってしまいます。設計打合せの後に、同業の友人と男2人で足を運んだから余計にそう感じたのかもしれませんが。
写真家の70年に及ぶ表現者としての活動、1980年代の建築の現在、設計者としての視点・・。個人的には、長いスパンで「時間」をとらえることの重要さのようなものをふっと感じさせてくれる展覧会でありました。