diary, blog
2つの建築展
先月までの会期で開催されていました2つの建築展覧会について
・六本木ヒルズ・森美術館での「建築の日本展」
・代官山ヒルサイドテラスでの「SDレビュー2018」
展示されていました模型など、少々振返ってみます。
まず1つ目の展覧会、「建築の日本展」は
会期146日の期間で、総入館者数が538,977人を記録されたとのことで
(MORI ART MUSEUM ニュース記事2018.09.18より)
建築展としては異例とも言えるほど専門家以外の一般来場者が多く来場され、大盛況の展覧会だったようです。
私も会期終了の少し前に、滑り込んで見させていただきました。
この企画展では、「縄文の住居から現代建築まで100のプロジェクト」が、模型・写真・図面・関連資料など、およそ400点で紹介され、そして100のプロジェクトは「可能性としての木造」「安らかなる屋根」「開かれた折衷」「集まって生きる形」「発見された日本」「共生する自然」ほか9つのセクションに分けて集められています。
縄文から現代までの全建築史という壮大な時間を、明快な展示構成で大小さまざまな質の高い模型を多く示した素晴らしい展覧会だったと思います。
この展示で撮影可能となっていました、いくつかの模型について。
1枚目の写真は、展覧会の会場入口に示された「ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ」(設計:北川原温)の原寸展示です。
雑誌など写真で拝見していたものが本物のサイズで見ることが出来るという掴み・・これを最初の展示エリアの仕切り壁として用いているため、奥の展示が透けて見えてきます。うまい見せ方ですね。
(写真は他の来場者が映らないよう見上げた写真ですが・・)
次に、千利休が秀吉のために建てたと言われる茶室、国宝「待庵」の原寸サイズの展示。
順番待ちですが
内部に入って、空間を体感出来ます。
原寸サイズの模型? 初体験!
素材感や、陽の差し込む情景を照明でも表現するなど、感心しました。
陰翳や、スケール感。もっとじっくり見て内部で過ごしたかったです。
疑似体験といえども大変貴重な経験となりました!
こちらは、丹下健三の自邸、縮尺が1/3という巨大模型。
現存しない建築を、宮大工の手で精巧な模型として再現したもの。目玉展示の1つです!
しかし・・これは本物の建築がどんなものだったのか、私には想像・理解しにくい縮尺でした。
内部まで空間がのぞけて人が入れそうなサイズなのに、どのくらい大きいのか、高いのか低いのか、
ピンと来ないというより、自分の感覚を疑うくらい、ほぼわからないというものでした。
ちなみに同業の知人からもこの展示に対し、同様の印象だったと聞きました。
また類似の話題は、私が前職でお世話になった第一工房でも逸話として教えてもらったことがります。
大阪芸術大学のプロジェクトで、かなり力を入れて現場で施工者と共につくった巨大模型
(吹抜け空間の検討模型で、内部に人が入って確認出来る程のサイズだった)が
残念ながら実際には設計の検証としては、ほとんど役に立たなかったそうです。
各所の寸法が、妥当なのか、さっぱりわからなかったと。
建築模型の縮尺というのは
サイズが大きければ本物に迫るものかと言われますと、そうでもないという・・不思議なものです。
私の個人的な感覚としましては
1/500、1/200、1/100、1/50、1/30、1/20、その次は原寸の1/1 が良い気がします。
1/5、1/3、1/2 あたりの縮尺は、
モノが中途半端に大きくリアルに見え過ぎて、かえってサイズ変換して見ることが難しいようです。
図面の詳細図としては必要な縮尺ではありますが、模型では不向きだと思われます。
次に、代官山ヒルサイドテラスでの「SDレビュー2018」
実現化を前提とするプロジェクトの「建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展」です。
年に1度、今回で第37回目を迎える建築展です。東京展の会期は9/13〜9/23まで。
会場内は写真撮影OKでしたので、いくつかを写真に。
入選者の中には、面識のある方も・・
刺激をいただきながら、模型を中心とした展示を拝見。
提案内容の斬新さに加え、模型の素材選びやプレゼンテーションの方法も様々です。
単に展示用、来場者が見て楽しめる模型のサイズと、設計の検証として有効な縮尺(スケール)かどうか、ということは
あらかじめ意識して製作した方が良いのかなと感じるなど、勉強になりました。
日々の設計実務に追われますと、こうした展覧会などもタイミングを逃すことが多かったのですが
やはりアンテナを張って感性を刺激する時間も確保したいなぁと改めて感じました。
そんな素晴らしい2つの建築展でした。