diary, blog
GAギャラリー・鈴木恂さん・KAIRO
少し前になりますが、東京都渋谷区千駄ヶ谷の「GA gallery」で6/16まで開催されていました
「世界の住宅プロジェクト展/GA HOUSE PROJECT 2019」を会期の最終日に見に行ってきました。
国内外で活躍する建築家の住宅プロジェクトの展示で、図面・模型を多数見ることが出来ました。
計50点の計画案の中の1つには、布施茂さん(私たちの前職、第一工房での先輩)も出展されており、すごいなぁと。
GA HOUSE PROJECTは、自分が学生時代から何度も拝見している展覧会ですが、いつも刺激を受けてしまいます。
内部は撮影禁止ですので、外観を少しスナップ写真で撮ってみました。
このコンクリート打放し仕上の建築「GA gallery」を設計されたのは、建築家の鈴木恂さん。
オフィシャルサイトの「鈴木恂 + AMS」を拝見しますと、
地上5階の高層部分が「FU Building」という名称で1972年に竣工し、1983年に「GA gallery」が増築されていることがわかります。
初期の高層部は間もなく半世紀経過しようとしている建築です。
メインのギャラリー空間の上階のRCスラブは逆梁で計画されており、天井はフラットなコンクリート打放し表現となっています。
空間に与えられた力強さとシャープさは今も変わらず本当にカッコいいです!
現在はBOOK SHOPがメインの出入口になっていますが、このコンクリートヴォリュームの隙間、壁面に赤いサインで「GA」とあるここが
以前のメインエントランスとして計画されていたようです。
外壁を見上げますと
開口部には金属製の枠や水切りが無いストイックなデザインで、緊張感が味わえます。
トレンドに左右されない建築の本質を見せてくれる建築家の1人と言える鈴木恂さん。
GA galleryを拝見し、ふと思い出したのは同じく鈴木恂さんの写真集「 回KAIRO廊 」です。40年間で撮り溜められた、世界150カ所の「回廊空間」がおさめられています。
モノクロ写真235枚の迫力のある1冊で、中央公論美術出版から 2004年に出版されています。
自宅にある「 回KAIRO廊 」の表紙。
(大切に保管しているつもりでしたが、背表紙はちょっと日焼けしてしまってすみません)
購入したのは10年以上前ですが、どの写真にも美しさと力強さがありとにかく圧倒されてしまいました。
中でもこの右ページ、「コロッセオ」の写真がドーンと迫る凄さで感心してしまいました。
自分でも過去に旅行で訪れたことのある、誰もが知る有名建築「コロッセオ」ですが、
こんなフレーム・陰翳で建物と人物を切り取って見せるなんて・・
そんな見方は、現地での自分にはまったく無かった視点で愕然としました。
設計の能力だけでなく、鈴木恂さんは写真の才能でも別次元なんだと。
当時、社会人になって数年間の設計実務を経験していましたが、何だか1人で感動してしまった感情にまかせ、担当仕事のことも吹っ飛び
思わず1枚、模写ドローイングをしてみました。
それがこちら。
鉛筆ドローイングですが、週末に自宅で缶詰作業。
個人的には何だか懐かしい1枚です。
当時は何も考えず、なかなかの集中力だったようですが、今はちょっとやれないかも。
「 回KAIRO廊 」は、被写体も撮影者も書籍のまとめ方も、とにかく素晴らしい写真集だと思います。
時代を超え、建築空間の本質に迫る何かがそこに
当時、私なりの視点ですが、見えたような気がしたのだと思います。