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旧岩崎邸庭園/スリーダイヤ
国の重要文化財に指定されています「旧岩崎邸庭園」について
写真は、「三菱財閥岩崎家本邸」として明治29(1896)年に完成した建築です。
設計は、日本の西欧建築の父ともいわれる建築家、ジョサイア・コンドル。
17世紀の英国ジャコビアン様式の見事な装飾が随所に見られます。
旧岩崎邸の敷地は、不忍池の南西方、東京台東区池之端一丁目にありますが、かつては15000坪を超える敷地に20棟以上の建物があったそうです。現在は3分の1程の敷地となり、現存する建物は、本邸の洋館・和館(大広間)、撞球室のみとなっています。
現在、洋館の外壁修復工事中です。その工期は年内(12月中頃)までとのことです。
※写真:7月に撮影したもの
こちらは建物の南、和館側からのスナップです。
外壁修復中の足場の外側にかける工事用メッシュシートには、建築外観が原寸で写真プリントされたものが採用されています。工事中の景観に対する配慮として近年、国内の工事現場でもよく見かけるようになりました。
洋館の南面は、列柱の並ぶコロニアル様式の外観が見られるところです。完成後の雰囲気が工事中もこうして表現されているのはいい感じです。
洋館内部の意匠。
天井面や開口部まわりの装飾、非常に手間のかかったつくり込みが見られます。
階段の手摺やササラ桁など装飾の数々。
竣工当時のままのトイレ(陶磁器メーカー:ロイヤル・ドルトン社)
100年以上前から水洗です!
見学順路は、洋館から和館へ続きます。
窓の向こうに見えるのは、現在「安藤忠雄展」を開催中の国立近現代建築資料館。
洋館に併設された和館については完成当時550坪もあり、洋館以上の規模であったそうです。
施工は大工棟梁として、政財界の大立者たちの屋敷を多く手掛けた大河喜十郎と伝えられています。
(冠婚葬祭などで使われていた和館・大広間の写真は撮れませんでした)
撞球室(ビリヤード場)。
同じくコンドルの設計ですが、当時の日本では非常に珍しいスイスの山小屋風の造りです。
木造の校倉造りの壁、刻みの入った柱、軒を深く出した大屋根など、アメリカ木造ゴシックの流れを組むデザイン。
撞球室の内部。
個人的には、小屋組の意匠が印象的でした。
昭和36(1961)年に「洋館」と「撞球室」がまずはじめに国の重要文化財に指定され、その後昭和44(1969)年に「和館 大広間」と、こちらの写真「袖塀」も追加指定されたそうです。
施設へのアプローチ時には特に気をとめなかったのですが、帰る時にはこの袖塀が目に入ってきました。よく見ますと何だかすごい存在感のある塀です。
袖塀に施された装飾の中心部には、岩崎家の家紋「三階菱」の彫刻を見ることができます。
これが三菱の社章デザイン「スリーダイヤ」の基となっていたとは知りませんでした。
個人的には、グラフィック的にも非常に洗練された素晴らしいデザインだなぁと思っていたこのスリーダイヤについて、その歴史的な背景も思いがけず学ぶことができました。
以前、拙ブログでも紹介させていただきました、国立近現代建築資料館の「安藤忠雄 初期建築原図展 個の自立と対話」は、2019.9.23 まで開催中です。
「安藤忠雄展」にご興味のある方、隣接する「旧岩崎邸庭園」(入園料は400円です)にも足を運ばれてはいかがでしょうか。