diary, blog
堀部安嗣さん「ひとが風景をつくる、ということ」
11/12に開催のイベント
5×緑 森の学校 2016 連続セミナーの第4回
会場:合羽坂テラス(東京・曙橋)
堀部安嗣さんに聞く「ひとが風景をつくる、ということ」に参加してきました。
同企画 第1回目、話し手がランドスケープアーキテクトの長谷川浩己さんの回にもうかがいましたが、コンパクトな会場で、アットホームな雰囲気のレクチャーです。話し手の方と心穏やかに一時を過ごしながら学びもあるイベント。
今回の話し手は、建築家の堀部安嗣さんです。気持ちのよい秋の午後、建築・ランドスケープ、どんなお話をしていただけるのか楽しみに・・
質の高い建築をつくり続けることで知られる堀部さんですが、今回はご自身の作品解説が主というより、日本建築の良いところと言える、内部と外部(建築とその周辺自然環境)の接点にフォーカスされたお話が中心でした。
まずはじめに、ご自身が好きで繰り返し訪れるという伊勢神宮(必ず早朝に行かれるそうです)、京都の高桐院、蓮華寺、高山寺、奈良の慈光院、奈良公園の大仏池のスライドからその魅力について。
そして海外の設計事例として、学生時代にランドスケープの影響を受けた、アスプルンド「森の墓地」をはじめ、カルロ・スカルパ「ブリオン・ヴェガ墓地」、アルヴァ・アアルト「自邸」、「マイレア邸」、「セイナッツァロ村役場」の建築と自然との関わりについて。
最後にご自身の設計された住宅、「竹林寺納骨堂」、神戸の里山住宅博でモデルハウスとしてつくられた「ヴァンガードハウス」について、既存樹木を残すことの重要性や、建築の住まい手だけが満足するだけでなく周辺環境にも貢献できるような『利他的な建築』イメージについてお話されました。
最新事例でもある「ヴァンガードハウス」では、この32坪くらいの建築が住宅としてはいろんな意味でちょうど良いと感じたそうです。
豊かな時代になって50〜60坪程度の住宅が多くつくられた時期もありますが、家族構成の変化でお子さんが住まわれなくなった住宅に、夫婦あるいは終の住処として一人で暮らす時には、大きな住宅では後に寂しさを感じてしまいます。
30坪前後だと、4人家族でにぎやかに過ごしても機能的で使いやすく、一人で静かに暮らしても場所を持て余すこと無く、メンテナンスも含めて目が行き届く空間になると・・
建築を深く見つめてこられた建築家の言葉には、重みが感じられました。
イベント会場テラスには
日本の在来植物を使って都市に緑を増やす「里山ユニット」と名付けられた緑化アイテムが並んでいます。テラスの植物は、合計100種以上の在来種でつくられているそうですが、置き型のユニットであっても秋の彩りが十分に感じられました。
レクチャー後のティータイム休憩。
お菓子などいただきながら講師の堀部さんや参加者同士の会話のひととき。
私も堀部さんと、昔のことなど少し立ち話をさせていただきました。
レクチャーでは堀部さんの建築設計の原点の一部にも触れることができ、静かに刺激をいただくイベントとなりました。