diary, blog
New Project/模型づくり(その1)
現在、吉祥寺(東京都武蔵野市)で住宅プロジェクト「House in Kichijoji」を進めています。
基本設計時には、敷地の法令条件や周辺環境と計画建物の関係を確認しながらご要望を盛り込んだ案をまとめていきます。
弊社では通常、模型を製作し(縮尺は主に1/100)チェックしながら検討を進めます。
模型製作の主な目的としましては
1)スタディのため(設計者の検討を進める上で必要な素材)
2)説明のため(クライアントにコンセプトや建物イメージを共有)
があると考えています。
こうした内容をどんな手段で進めるかは、設計者によっても好みが分かれるところで、CGや手書きのパースなどを用いることも多いと思います。
弊社については、これまでの設計経験上、初期のスタディ時に様々な可能性をチェック・確認しながら提案ができる模型検討が、上記の1),2)を両立しやすく総合的には優れているような印象を抱いています(単に慣れがあることとも関係しますね)。
またモデル製作の工程から、環境・デザイン・機能的な整理だけでなく、実は現場・建設時の話題もある程度は想像でき、プロジェクト全体を見通す意味でも身体感覚的にしっくりとくるのかも知れません。
本計画については、前面道路や隣接敷地に高低差がありますが、スタディではこれらを模型で確認しながら検討することが特に重要になります。
建築法令として、第1種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)、第1種高度地区などの厳しい制限がある中、まずはご要望のインナーガレージを地下扱いとして容積(延べ床面積)緩和を考慮しながら建築全体のデザインを整理していきました。
周辺建物は、グレートーンのスタイロフォームでヴォリュームをつくることが多く、敷地外でも周囲にポイントとなる樹木などがあれば植栽表現も行います。
新たな建築が建つことで敷地内での利便性に加え、街の景観がどう変わるのか・・
建物だけでなく外構部分の検討を模型で行うことも楽しみの1つです。
私は 1/100サイズ程度の全体模型を製作する作業が何だか好きで、ついはまり込んでしまうことが多いです。
周辺まで情報量を広げたり、建物を細かく表現すると(コンクリートの打放しのPコンやパネルの割付なども1箇所つくると全体に及んでしまい・・)当然手間はかかります。
今回については、コンクリート壁の表現で使った2mmボードの小口面にもグレー色を貼るなどし、同業の設計者からすると「それ、1/100で必要ある?」と言われそうなところまで通常以上に製作してしまいました(各プロジェクトの状況等により作業・表現は異なりますが)。
周辺状況もある程度つくり込み、計画建物も出来るだけシンプルかつきれいに表現することを心掛けていますが、プロジェクトにより異なる敷地全体の状況、建物の在り方(空気感)が滲み出てくると「良い模型が出来たな・・」と、スタディ時にも愛着が湧いてきます。
クライアント打合せで、模型をはじめて見ていただく時にどう感じていただけるか・・ドキドキするところですが、先日の打合せでは、とても気に入ってくださってホッとしました!
この敷地模型では初期検討のために建築内部に階段も作っていますが、内部空間のデザイン検証は別途、詳細模型(縮尺:1/50、1/30、1/20など)をつくりながら確認していきます。この詳細模型については別ブログにて、ご紹介したいと思います。