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十日町の建築

GWに出掛けました新潟・上越の山菜採りの帰りに、新潟県十日町市にある建築を短い時間ですが、見学してきました。
スナップ写真など、少々紹介させていただきます。

 

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こちらは、オランダの設計ユニット MVRDVの日本国内初作品(2003年竣工)
「まつだい雪国農耕文化村センター 農舞台」です。
北越急行「ほくほく線」まつだい駅のすぐ脇にあります。
越後妻有 大地の芸術祭の里として利用された方も多いのではないでしょうか。
↑web情報はこちら
少々専門家ネタになりますが、建築家の吉村靖考さんが独立される前に設計で関わられていたそうです。

私は数回訪れていますので、今回は外観のみパチリ。
はじめて見てから十数年経ちますが、はじめ大胆な構成で大きなインパクトを受けた現代建築も、少しづつ不思議とこの大自然に建築が馴染んできている気がします。
このアイコニックな建築によって
「まつだい」という場所に、かつては無かった観光やアートのイメージを定着させたのだと思います。建築がその役割を果たしている事例でしょう。
単に私が見慣れて来た、ということもあるかもしれませんが・・

ちなみに、雪に埋もれた景色もいい感じでオススメです。

 

 

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こちらは、手塚貴晴+手塚由比 / 手塚建築研究所の設計(2015年竣工)
「 十日町産業文化発信館 いこて」です。

 

設計者の発表当時のコメントでは、

「雪の中に埋もれる木造建築。雪下ろしはしない。かつての十日町の風物詩であった雪よけの軒下空間「雁木」が再現されている。夏は大きな蔀戸(しとみど)が上がり、開放的な建物に変貌する。」(手塚貴晴)

とあります。

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爽やかな季節の5月、蔀戸はオープンの運用となっていました。

 

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軒下空間「雁木」の様子。

 

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1F室内から。

 

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1Fのカフェでお茶・アイスを食べて休憩。
夜はbarとなるそうです。

床・壁・天井・家具・・とにかく木に包まれる空間でした。
冬の時期、特に暖かく感じられるのではないでしょうか。

 

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2Fは多目的に利用されるスペース。
この日は、特に利用無しで写真のみ1枚。

 

 

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「十日町市市民交流センター・分じろう、十日町市市民交流センター・十じろう」にも立ち寄ってみました。

設計は、青木淳建築計画事務所によるリノベーションで、少し離れた場所にある2つの建築です。

先程の「 十日町産業文化発信館 いこて」からアーケード付きのメインストリートを歩いて行ける距離にあります。
中心市街地活性化の取組み、情報発信や交流、創作活動の場の整備・・1つは増築、1つは減築を行なっていますが、建物とアーケードとの間の「マーケット広場」と名付けられた半屋外スペースなどが設計ポイントの1つと言えます。

また設計の進め方に特徴があり、設計初期の段階から設計事務所スタッフの方が現地に常駐し、分室(ブンシツ)を置いて進められたという点です。

 

2016年のGOOD DESIGN AWARDの概要では以下のような解説があります。

本事業は、十日町市中心市街地活性化基本計画の一貫として行われた市民活動センター等の整備に係る実施設計等業務プロポーザルに始まる建築家と地元コミュニティの公共施設設計における協働である。「ブンシツ」とは設計の序盤から現地に開設していた設計事務所の分室を、地域に開放することでついた愛称であり、地域住民の活動の拠点である。また、十日町まちなかステージ応援団はそこに集う人を主とした、まちなかで活動を展開する団体であり、施設の積極的利用者として設計の相談役も務めた。「ブンシツ」を介して建築家の意思は地元の人々に受け継がれ、またそこで醸成した活動は継続して竣工した施設で行われ、まちの賑わいに貢献している。

 

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こちらは、「分じろう」

 

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アーケード下の既存サッシは、外部・外部となる壁に残されています。

 

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【地産材を活用した木製建具「十日町サッシ」の開発】施設づくりを幅広い視野で捉え、地域の産業や街並みづくりに貢献できるよう、地元の有効に使われていない杉を活用してオリジナルの木製建具「十日町サッシ」を十日町の建具屋、材木屋と共同で開発し、新しい施設に数多く導入されたそうです。

 

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個人的には、減築のため生じたスラブ断面の見せ方などが面白く、こうした表現はセンスなだぁと感心しました。

 

 

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こちらは、「十じろう」

 

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アーケード脇から、ビルの外観。

雪が深い時期でも高窓から半屋外スペースが明るく保たれることなどが、設計で意図されています。

 

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多目的な半屋外、「マーケット広場」スペース。

 

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2F「ワークラウンジ」
談話や打合せなど、憩いの場。

間仕切りなど拝見しますと、設計から現場まで、市民が参加しアップデートできる仕組みづくりを楽しんでいたであろう雰囲気が伝わって来ます。

 

立ち寄った3つの建築を見学するだけでも建築の表現やプロセスは三者三様です。
しかし周辺の他の建物にはない独特な存在感を放っているということ、それに加えて社会に大きなメッセージを投げかけている点が、それぞれの建築に共通している気がしました。

地方都市と、離れたところからやってきた設計者の関わり方・・
違う価値観や技術を持った人が、遠くからやってきて建築をつくると、それまでとはちがった文化的なものが、そこに産み落とされるのではないでしょうか。

十分な下調べもしないまま、駆け足で建築をチラッと拝見しただけですが、何だかそんなことを想った十日町の建築見学でした。

 

 

 

blog category:建築視察
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2017-05-12 | Posted in diary, blog |