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マルセル・デュシャン展

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東京国立博物館の平成館で10/2〜12/9まで開催されていました
「マルセル・デュシャンと日本美術」展に行ってきました。

 

20世紀の最も偉大で謎めいた芸術家といわれる マルセル・デュシャン(1887 – 1968)

 

デュシャン没後50周年にあたる特別展ということで、フィラデルフィア美術館が所蔵する世界的に知られたデュシャンの作品コレクションが数多く見られる展覧会となっています。

日本で主要作品をまとまって見ることができる機会は滅多に無く・・
会期終了前に何とか足を運んで見ることが出来ました。

 

一部の作品を除き、作品の撮影可でしたので
いくつか写真をUPしてみます。

 

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入口に、いきなりレディメイドの構築物として知られる
《自転車の車輪》(1964 レプリカ/オリジナル 1913)がありました。

来館者の心をガッチリつかんで展示がはじまります。

 

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はじめに、1902年から1912年までの間の「画家」としてのデュシャンの作品が並びます。

作家の年代・表現の変化を追うように、アーチ型のゲートをくぐり抜ける形で展示されていました。

 

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《ブランヴィルの教会》(1902)

15歳のときに描いた作品。

 

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《芸術家の父親の肖像》(1910)

こちらは 23歳のときに描いた作品。

 

印象主義から象徴主義、そしてフォーヴィスムにいたるまで、さまざまな前衛的な様式に実験的に取り組み
そして20代の若さで、画家としての作品づくりを早々に放棄してしまう・・

技術もセンスも早熟で、
インテリで経済的にゆとりもある美男子!
みんな虜になりますね。やはり凄い芸術家です。

 

 

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左:《チョコレート磨砕器 No.1 》(1913)
右:《チョコレート磨砕器 No.2 》(1914)

 

通常の「絵画」制作を止めたデュシャンは
その後、伝統的に理解されていた絵画の枠を押し広げていきます。

 

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彼の最も重要な傑作の一つ

《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称《大ガラス》) (1915-23)

 

 

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《瓶乾燥器》(1961 レプリカ/オリジナル 1914)

瓶乾燥器は、ワイン瓶を乾燥させるため枝状のフックがついた円形のスタンド。
デュシャンがパリのデパートで購入したもの。

 

いわゆる「レディメイド」と呼ばれる一連の作品の制作をはじめたのもこの時期。

 

「レディメイド」は、ある機能をもった物品を本来の日常的な用途から切り離し、「作る」という概念に相対するものとして、「芸術作品」として「意味づける」こと、とされています。

 

既製品について、建築で考えてみますと・・
古くはほぼ全ての建築部位までオーダーメイドで設計・製作する時代がありましたが、現代の建築設計では、アルミサッシほか各種建材、意匠・構造・設備で必要となる多くの機能的なアイテムで既製品を用いながら建築をつくるのが一般的です。
逆に既製品を排除して1つの建築をつくろうとすれば、恐ろしく時間とコストが必要となるでしょう。

既製品(レディメイド)をどう組み合わせて用いるかの判断が、現代の設計の分かれ道といえそうですが
創造性を何処に見出すべきか・・いろいろと考えさせられます。

 

 

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《泉》(1950 レプリカ/オリジナル 1917)

 

今回、目にすることが出来たレプリカでも半世紀以上前のもの。
オリジナルの1917年からは、もう100年経過しているのですね。

 

 

その後、1921年にデュシャンは職業を芸術からチェスへ転換しようと言い始め、それから20年ほどプロのチェス・プレイヤーであるかのようにチェスに没頭。

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《ポケット・チェス・セット》(1943)

 

 

1930年代の中頃は、自分自身の作品を複製というかたちで再考することに興味を持っていき・・

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《マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの中の箱)》

 

デュシャンは、世界にたった一つの作品(オリジナル)にこそ価値があるという考えを徹底的に批判しています。

 

 

 

さて、メディアの発達も著しい現代の建築・設計の価値、本質はどこにあるといえるのでしょうか。

 

日々の設計において私たちは、あまり壮大な捉え方をしないで実直に1つひとつの仕事に取組んでいるつもりです。

しかしながらデュシャン展の後には、日常のあらゆるものを違う視点で捉え直したくなってしまいます。

そんな偉大な芸術家に触れることができた、興味深い展覧会でした。

 

 

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2018-12-10 | Posted in blog, diary |