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小雨の江ノ島

湘南港ヨットハウス

小雨の降る中、家族3人で江ノ島へ行ってきました。

日曜日、娘が海が見えるところへ行きたいというので、あまり下調べもせず、自分も行ったことのなかった江ノ島へ。
インターネットではLONCAFEというお店がヒットし、日本初フレンチトースト専門店だと書いてあるのでそこへ向かってみることにします。

1時間ちょっと車を走らせ、駐車場に車を停め、山の上?にあると思われるCAFEへ向かいますが、途中かなりの段数の階段を足で上っていくか「エスカー」という謎の有料乗り物にするかで、エスカーを選択。大人1人片道360円。内容は頂上まで屋根付きのエスカレーターが3カ所に分かれているだけで、地下鉄大江戸線乗換え等で使う長めのエスカレーターよりずっと短く苦笑い。カメラを構える気持ちにならず写真はありません。これ、どこかで書いてあったような・・そうか、「地球のはぐれ方」村上春樹・吉本由美・都築響一 著 に江ノ島の記載があったはず。帰ったら確認してみよう。

 

江ノ島 LONCAFE

有料展望タワーには目もくれず、ただカフェで休憩すればよいつもりでしたが、見つけたLONCAFEは建物ごと頂上の有料公園内に建っていました。エスカー使ってここまで来たのだからと入園料を払ってカフェへ。オフシーズンの小雨だから人も少ないかと思っていたのにほぼ満席状態。テラス席に座るも当然曇天の景色。
いろいろ・・・の感じで、パートナーみどりさんのテンションが下がっていきます。
この観光地の地形を生かした連続課金システムに、むしろ感心。何かを学んで帰ろう。

 

湘南港ヨットハウス内観
帰りには、建築モードになるつもりで、まだ新しいH26年6月〜の「湘南港ヨットハウス」設計:ヘルム+オンデザインパートナーズ に立ち寄ります。江ノ島頂上から見えた、うねる白い屋根の施設は、江ノ島全体を覆う昭和な空気感とは明らかに異なる、開放的な現代建築です。コンクリートの曲面屋根を細い柱で支え、ガラス窓を多用して全体を軽快に見せています。大きな曲面屋根にはところどころ切り込みが入り、ハイサイドライトを設けているのが構造・設備・造形的にも特徴となっています。建築全体は大変意欲的で大胆な構成で、いつでも誰もが立ち寄れる「みんなの広場」というコンセプトの施設が実現していました。
建替え前の谷口吉郎・山田水城設計の大屋根施設はどんな内部空間だったのか、少し気になりつつ・・

 

パンとエスプレッソと 湘南
帰り途中、湘南T−SITEに立寄り、「パンとエスプレッソと」でコーヒーブレイク。ここでは辻堂にあるスペシャリティーコーヒー店「27コーヒーロースターズ」の豆で入れたコーヒーもいただけます。お店の雰囲気はT−SITE内なので表参道店とは異なりますが、最後にようやく少し落ち着いた気分になって、安全運転で帰ることができました。

 

地球のはぐれ方
江ノ島についての詳しい解説は「地球のはぐれ方」文春文庫のp315〜p368をご参照下さい(10年くらい前の取材情報だと思います)。以前からあるお店の雰囲気などには、そうか、そういうことだったなぁ、と後から納得。
書籍の中で、村上さんも「要するにあんまりやる気がないんだよね」とか、吉本さんも「客が求めていることが全然見えてないところがいいの」とかおっしゃっています。現地を訪れて、島全体に潜む不思議な空気、村上さんがおっしゃる「やる気のブラックホール」の一部を感じることが出来ました。
ポロシャツの襟を立てたような白い清潔なイメージの「湘南港ヨットハウス」が今後、この抗い難い旧来の江ノ島の磁場に対して、どんな好影響を与えてくれるのか、建築の持つ底力のようなものを見てみたい気持ちにもなった1日でした。

 

 

blog category:建築視察
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2016-03-08 | Posted in diary, blog |