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「山田守自邸」見学

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先日「山田守自邸」の見学をしてきました。

日本のモダニズム建築家、山田守(1894年-1966年)没後50周年を記念して、山田守自邸を10日間限定で公開し、住宅の設計図や写真、模型の紹介などを行なう展覧会でした。

最終日に足を運びましたが見学者多数で・・整理券を受取り約1時間待ちで見学できました。

また当日(事前には知らなかったのですが)、展覧会を企画された建築史家の藤岡洋保先生の解説を建物内2階の和室で直接聞くことが出来るタイミングとなり、個人的には大変有意義な一時となりました。

 

山田守(1894-1966)は日本近代を代表する建築家のひとりで、「東京中央電信局」(1925)「東京逓信病院」(1937)、「長沢浄水場」(1957)など、エレガントな曲線を用いた独創的でかつ軽やかなデザインが特徴と言えます。

晩年には「京都タワービル」(1964)や「日本武道館」(1964)などを手がけていますが、この自邸はそれらの少し前の1959年竣工、65歳にしてはじめて自邸を建設したものだそうです。

 

 

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東京都港区南青山5丁目、表参道駅近くの骨董通りより青山学院大学側へ1本入った道に面して建っています。

 

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建物の1Fは珈琲店となっています。
ここは、以前勤務していました第一工房のすぐ近くでしたので、何度か利用したことがありました。

しかし竣工当時はピロティで、後の増築だったということまでは恥ずかしながら知らず・・今回の展覧会で以前の様子、写真や建築家の意図なども確認できました。

 

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展覧会への入口はこちらのスチールゲートより。
内部の撮影は不可でしたので、外部のスナップを少し。

建築は、鉄筋コンクリート(RC)造の地上3階建て、竣工時で延床256㎡、
プログラムとして住宅のほか、オフィス(設計事務所スペース)を3階に配置していました。

 

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そのため、この螺旋階段は住宅以外のパブリックな動線として位置づけられています。
特に階段室の造形には、内部・外部ともデザインのこだわりが表れ出ています。

 

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3階は後の増築で、写真では壁ですが、以前は広々としたテラスでした。
(出来れば以前の軽快な姿を見てみたかったです)
金属製の手摺のデザインは、展示で拝見しました当初設計の手描き図面と同じでした。

RC造で、非常に薄い庇。
庇に限らず建築全体をスッと、軽やかに見せるため、構造体や雨水処理、建具でもデザインの工夫が施されていました。

各所コーナー部分は、様々な材料を用いて曲面におさめられています。

 

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プライベートな住居部分への階段・手摺
スチールパイプのシンプルなデザインです。曲がり部の緩やかなRラインが手に優しく、強度も含め機能的です。表現としてやや控え目なつくりですが、私は普通っぽくて結構好みです。

 

そのほか外観からはわかない仕掛けとして
RCスラブを梁の下側におさめる「逆梁」にしているところもかなりありました。
2階の二間続きの和室で木製の柱と見せているものには・・実は内部に、鉄骨を見せないように仕込んで、RCスパンを補強しています。

また庭園部分は、既存の土地が高低差のあったフラットな宅盤であったため、これをなだらかに傾斜する地形に改変して建築の存在もなじませ、庭園全体を自然な雰囲気に美しく仕立てたのだそうです。さすが!

 

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1959年の竣工から58年。
小規模な建築が半世紀以上、東京の一等地で残されているだけでも特別なことなのでしょう。
さらに住宅は一般に公開されることが少ないため、今回の企画により貴重な住宅建築を実際に体感できたことは幸いでした。

日々の私たちの設計作業でも、永い時間に耐え出来るだけ価値が持続する建築を目指していきたいです。

 

 

 

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2017-04-27 | Posted in diary, blog |