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New Project/模型づくり(その2)

前回のBlogでは、吉祥寺(東京都武蔵野市)での住宅プロジェクト「House in Kichijoji」について、初期のスタディで製作する敷地模型(縮尺1/100)についてお伝えしました。
今回は、詳細模型について触れたいと思います(ここでは縮尺 1/50 以上を詳細図面、詳細模型と呼ぶこととします)。

建築設計をする仲間に聞いても、住宅の設計での模型は、縮尺 1/100 あるいは 1/50 でスタディすることが一般的だと思います。1/100、 1/50 の縮尺はともに、設計の図面で用いることが多いため、図面・模型で縮尺を一致させるメリットもあります。
ただし、1つ模型を製作した後は、図面でしっかり検討して進め、複数の模型をつくったりしないケースの方が多いかもしれません。

仮に1/50模型の場合、1/100に比べ長さが2倍、面積的には4倍の大きさのものを製作することになります。計画建物の規模にもよりますが、模型のサイズ的には机上で扱いやすく、内部空間のイメージも理解でき、何かと都合が良いところがあります。

私が考える詳細模型の主な目的は
1)スタディのため(設計者の検討を詳しく進める上で必要な素材)
2)説明のため(クライアントに建物イメージをより具体的に示す)
だと感じますので、縮尺が変わっても前回のBlogと項目としては同じですが、確認し、伝えたい内容はより具体的になってきます。

基本的に、模型はどんな縮尺であってもそれぞれ設計の検討作業では有効だと思います。空間や部材のプロポーションを考える時も、肉眼で立体的に確認できる(CGなどで透視図的に見るのと少し違いもあります)ので便利です。また模型に自然光に当てて見ますと、物理現象としては実現する建築の光環境とほぼ同じで、嘘はつけません。詳細模型は、敷地全体の模型よりも建築内部、細部の臨場感が増してくるところが大きな魅力です。

詳細模型をつくろうとすれば、当然内部・外部の見え方・おさまりをどうするか、設計で具体的な寸法や材料の取り合いを設定していかないと、作業は進めにくく・・このスタディによって、その案が抱えている課題、デザインの方向性なども確認できます。

写真は、縮尺 1/30 で製作した模型です。
1/100模型と比較すると長さ約3倍、面積的には9倍の大きさになってきますので、 1/50 サイズより当然ながら大きくなります。
詳細模型は、建物のみを表現することも多いのですが、本計画では敷地が40坪ほどでしたので、建物と一緒に敷地境界内は全て製作しました。敷地・建物のレベル差の説明など、よりわかりやすくなります。

外構のガレージ出入り口まわりについては、坂道となる前面道路に取付くため土間コンクリートで3次曲面的な表現になりますが・・
模型では、ねじれ面を何とか擦り合わせながら、まずまず精度も良く完成イメージがわかるように製作できました。1/30程度になると、1/50模型より実寸が大きいので、こうした細かな検討部分・表現では、かえってつくりやすくなることもあります。

内部の検討のため、通常は各フロアごとに製作し、インテリアのイメージも理解できるようにします。
模型としては、どこで分割し(外すことが出来て)見えるようにするのか?
など考えながらつくるのですが・・そこは建物ごとに悩むところです。
製作中は、頭の中で想像するイメージが、徐々にモノ(模型)として見えてくる中、手で組み上げていくことで、頭と目と手が全て連動していくようなところが模型スタディの楽しいところなのかなと感じています。

また建築の一部分(階段や開口部まわり、庇など)だけを検討する際に、1/10や、原寸の1/1まで検討・製作することもあります。
過去には、ディテール確認のための模型を考える際、原寸だと模型が大きすぎて製作も大変になるから 1/2 くらいにしようと考えてつくったこともあるのですが・・すごく精巧につくったものの、不思議なことにサイズ感がつかめない、結果的にほぼ使えない模型になったという苦い経験もあります。

模型の縮尺については、ジャッジする際に設計者の身体感覚に合うものでないとうまくいかないものだとすると、結構繊細な話題ですね。

長い期間(20年以上)慣れ親しんだ、こうした模型によるスタディは、設計を進めていく上で私たちの肌に合っているのかな?と思っています。

前職まで振り返りますと第一工房時代、模型をつくる速さはそれほどでもなかったと思いますが、自分としては精度良くつくることを毎回心掛けていたからか、入所後数年間は、複数のプロジェクトチームで図面より模型をつくる作業を多く経験させていただきました。建築専門誌に掲載されるプロジェクトの模型を、頑張ってつくったりもしました。
単純に模型をつくることは好きでしたが、スタディ時の模型が綺麗に出来る(図面が美しいことはさらに重要ですが)プロジェクトは、結果的に実際の建築も美しく完成するように感じていました。その感覚は、独立後の今でも残っています。

それから模型を収納する「箱」も模型の保管や運搬にとってはかなり重要です。個人的なこだわりとして、箱も模型とあわせて出来るだけ丁寧につくることを心掛けています。

設計のご相談をいただいてから最初に案を作成する時というのは、設計者は知的創造力をフルに働かせ、様々な条件(クライアントのご家族構成や建築への想い、ご予算、敷地の周辺環境、建築の法規制など)を総合的に調整する能力が求められます。
設計者のアイデアが形となる、模型スタディ。
設計の初期から終盤まで、なかなか他の手段に置き換えにくいものかなと思いながら・・
クライアントのご要望を盛り込み、少しでも良い建築が実現するよう、それぞれのプロジェクトで愛情を込めて模型づくりをしています。

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2022-02-24 | Posted in diary, blog |