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江之浦測候所の見学会/前編
先日、神奈川県小田原市にあります、「江之浦測候所」を見学してきました。
この見学会は、日本建築家協会関東甲信越支部住宅部会が主催で、設計された新素材研究所の榊田倫之さんと一緒に施設を巡る企画となっています。設計者から直接解説を聞くことができるという、大変贅沢な見学内容です。先着25名限定の申込み枠に間に合い、参加させていただきました。
集合場所は、最寄駅のJR東海道本線「根府川駅」。
可愛らしい小さな無人駅ですが、相模湾を眺めることが出来る何とも素晴らしいロケーション!!
この日は晴天にも恵まれ・・
まずは駅よりシャトルバスの移動から、見学スタート。
現代美術作家、杉本博司さんの構想から20年もの歳月をかけて開館(2017年)した「江之浦測候所」。
発表時から何かと話題を集めていましたが、私は今回が初訪問です。
ギャラリー、屋外舞台、茶室、庭園などで構成され、とにかくたくさんの見所があり、現在も新たな施設を追加する構想が進行中とのこと。
設計は新素材研究所(杉本博司さんと建築家の榊田倫之さんがパートナー)ですが、榊田さんのお話では30代の全てをつぎ込んだという程の壮大かつ大変なプロジェクトです!!
敷地内で、最も大きな建築ヴォリュームは、この「夏至光遥拝100メートルギャラリー」です。
標高100mにあり、長さも100m。夏至の軸線に配置されています。
建築の南面には大谷石の荒々しい長い壁面が置かれ、その壁から片持ち(キャンチレバー)でシャープな鉄骨屋根が水平に、北面はフレームレスのガラス面が伸びています。
写真:庇の先に樹木に重なって見えます、ベージュのコートで後ろ姿の方が榊田さん。
住宅部会のメンバーにはイヤホンガイドが配布され、榊田さんが各所で詳しい解説をして下さる見学スタイルです。少し離れた場所に居ても榊田さんのお話が聞きやすく、とてもイイ感じの見学です!
この大谷石の厚みは20cmほどあるそうで、石切場から切り出した際の底面をそのまま壁仕上げ面にしているため、かなり大きな凹凸があります。
切り出す時の底面、「地球」に面している側を見せて張っているため、杉本さんは大谷石の「地球面仕上げ」と呼んでいるそうです。
一般に、建築設計では30mm程度の自然石仕上げが多いと思われますが、それに比べますとこの厚さは尋常ではありません。
ちなみに榊田さんは、初代「大谷石大使」に任命されているとのことです。
このギャラリーには、杉本さんの代表的な作品「海景」シリーズが展示されています。
建築の水平線、「海景」作品の水平線、その奥に広がる相模湾の水平線・・
大きく跳ね出した先端部のバルコニー。そこからの景色は、本当に素晴らしいです。
市街化調整区域でかつ農地のミカン畑の土地にこれらの施設をつくるのは、実務的には容易ではなかったというエピソードを榊田さんからお聞きしました。行政手続き上、多くのハードルをいかに乗り越えて今に至っているか、ここでの記載は割愛しますが、本当に大変なプロセスだったと思われます。
こちらは、冬至の軸線につくられた「冬至光遥拝隧道」です。
「夏至光遥拝100メートルギャラリー」の下をトンネル状に貫通しています。
この隧道は、赤錆色の見え方が特徴的な「コールテン鋼(耐候性鋼)」と呼ばれる鉄で製作されています。
また図面上の検討だけで、本当に冬至の太陽光が通るのか・・
施工後に失敗は許されない!
ということで、3年に渡る緻密な事前調査と準備をされて進めた工事だそうです。
「隧道」を進んで地上に出ますと、こんな景色が広がっています。
コールテン鋼の「隧道」右手に見えますのは「光学硝子舞台」です。
相模湾の水平線を背景にして、このガラスの舞台が檜の懸造り架構の上に浮かぶように配置されています。
そして「光学硝子舞台」の観客席は、古代ローマの円形劇場遺跡(イタリア、ラツィオ州フェレント)を実測して再現したものになっています。
敷地内の1つ1つの建築・ランドスケープの要素には、時間と空間のスケールの大きさが与えられ、特別な存在感を放つものばかりで・・
とにかく圧倒されます。
まだ他にも紹介したい写真もありますが・・
ブログも少し長くなってしまいました。
ここで一度区切りにさせていただき、また後日のブログでお伝えしたいと思います。
よろしければ、次回「江之浦測候所の見学会/後編」も見ていただけますと幸いです。
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免震レトロフィット&ネーミングライツ
2024年秋学期も中部大学の非常勤講師として、2つの講座を担当させていただいております。
2016年からもう9年目・・かなり長くお世話になっています。
今回は、キャンパス内の施設についてお伝えしてみます。
愛知県、春日井キャンパスにアクセスしますと、まず正面に「9号館」が見えます。
1万人以上の学生数・職員の方々を出迎えるように建っており、足元はピロティ状の空間を持っています。
非常に多くの方が日々ここを通行していますが、実はこの建物には、特殊な建築技術が盛り込まれています。私が知る範囲で少々解説をさせていただきます。
この建築は、今から58年前、春日井キャンパス整備の黎明期である1966年に竣工した建物(設計:大西設計)ですが、昔も今も大学の顔となる建築として存在しています。
元の建築は、当然ながら旧耐震基準(1981年以前)の設計のため、後に現行法規の安全基準を満たす耐震改修が必要になりました。
耐震改修では通常、ピロティ部分に斜めブレース材を追加するなどして水平耐力を高める補強が多く採用されますが、ここでブレース補強をしますと、ピロティ部分の通行と外観イメージが大きく変わってしまうため、大学としては望ましい改修方法ではありませんでした。
そこで外観・機能をほぼ変えずに地震時に安全性を確保することが可能な「免震レトロフィット」工事が検討・採用されました。
当時、キャンパス整備(1976年〜2015年まで)の設計を行っていた第一工房と、川口衞構造設計事務所が中心となって、既存の建築物に後から免震性能を与える「免震レトロフィット」が提案され、1997年(6月〜10月)に施工(清水建設)し現在に至っています。私が第一工房に在籍する少し前の竣工です。
ちなみにご存知の方も多いと思われます、世界遺産となりました、ル・コルビュジェ設計の「国立西洋美術館」(東京・上野)は、国内初の「免震レトロフィット」工事の事例としてウィキペディア等にも紹介されています。この事例が1998年竣工(工事:1996年〜)です。その竣工前年に中部大学「9号館」が国内で実現しているのは、かなり先進的な試みであったことがわかると思います。
さすが、世界的な構造家 川口衞(かわぐちまもる)先生ですね。
△写真の右側が「9号館」の鉄筋コンクリート造の柱型です。ピロティの外周床面にタイル張りの蓋状のラインが見えます。
この免震レトロフィット工事では、まず既存建物の基礎下まで掘削し、地上5階建ての建築全体を基礎ごとジャッキアップしてから新たに免震装置(免震ゴム)を挿入します。免震ゴムを加えるだけでなく、さらに地震時に免震層が水平に動くため、隣接する建物とはエキスパンションジョイントを設ける必要があります。必要なクリアランス分は、全体を曳家する状況です。
外部の建物周囲では、この蓋部分がスライドして対応することになります。
地上に見える部分からでは、なかなかイメージしにくいですが、かなり大変な工事内容ですね。
建築学科の学生さんには私の担当授業でこの事情をお伝えしていますが、他学科の学生さんでこの話題を知る人は少ないでしょう。
学内の小ネタになるかな。
今年、中部大学内で新たな話題がありました。
それは「ネーミングライツ制度」です。
学内の既存施設、食堂の「第一学生ホール」では、命名権を名古屋の企業「湯浅糸道工業株式会社」さんが取得され、昨年までと違った施設名称『湯浅糸道ホール」というサインが設置されていました。
企業としては社名を知ってもらい、就職希望者が増えて欲しいという思いがあるようです。
以前からキャンパス内の各施設を知っている私としては、あらかじめネーミングライツと知らずにサインを目にして
「えっ!何でこの名称??」
とかなり新鮮な印象でした。すぐにスマホで調べて、なるほど・・そうだったのかと。
社会の動きをキャンパス内で感じるようで、なかなか良いですね。
また、2024年から学内に「スターバックス」が新規出店されていました。
場所は、中部大学内の中心部にある国際関係学部の「20号館」(設計:第一工房、1977年竣工)の1階です。建設当時、学内で初めての高層棟(地上12階)となった建築です。
こちらも竣工後半世紀近い建築ですので、耐震補強が行われています。
その改修設計は、第一工房と川口衞構造設計事務所との協働で、こちらの補強内容としては耐震の鉄骨ブレースが開口部に追加されています。当時、中部建築賞も受賞している端正な建築イメージを出来るだけ損なわないよう、意匠・構造のディテール、色彩の検討などが慎重に行われています。オリジナルの建築イメージを保ちながら、さりげない補強を実現していると私は思います。
ホットのカプチーノを飲みながら、つい建築(先輩方の仕事ぶり)に見入ってしまいました。
すでに秋学期も4週目。
食欲の秋、スポーツの秋、勉強の秋・・
学生さんのパワーに負けないよう頑張っていきたいです!
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動画撮影の立会い
建築ポータルサイト KLASIC(クラシック)さんより動画撮影の依頼がありまして、先日 撮影の立会いをしてきました。
撮影いただいた建築は、竣工後8年半ほど経過した木造平家の「犬山の住宅」です。
近年は、ルームツアーなど動画での建築紹介が増えていますが、新築時の映像紹介がほとんどだと思われます。取材にあたり、新しい建物ばかりでなく、経年変化がどのようになっているか知りたいというエンドユーザーの声も一定程度あるとのことで、是非動画での紹介を!とお声掛けいただきました。
敷地の広さから、ドローンによる動画撮影も行われました。
アプローチ側の地上外観からは見えないところにうまく設置した、太陽光パネルが、ドローンの上空撮影では見えると思います。
外壁については、レッドシダーを張っていますが、新築時から現在まで無塗装のままです。設計時よりクライアントと打合せを重ね、将来はシルバーグレーにエイジングする外観を獲得するつもりで素材と仕様を決めていました。
いい感じに狙ったカッコ良さが出ていますね!
以前、6年ほど経過した時におうかがいした様子は、こちらのブログでも紹介しています。
↓
無塗装で6年経過したレッドシダー
内部の撮影も・・
カメラをスライドさせることが可能な三脚をセットして、人の動きを感じさせる撮り方をされていました。
午前・午後と撮影されましたが、最終的にはかなり短い時間に編集されるようです。写真撮影の場合はおよそのアングルはイメージはできますが、動画ですと、どんなまとめになるのか、ちょっと予想がついていません。編集作業に時間もかかるようですが、完成が楽しみです。
玄関の脇には、趣味のロードバイクやキャンプ道具などを置くコンクリート床の土間室があります。
ちなみに、こちらに保管されていますご主人の愛車について少し。
「NAGASAWA」のフレームに、こだわりの厳選パーツを組み上げたピストバイクです!
ナガサワピストフレームと言えば「中野 浩一」さんを世界に導いた歴史のあるフレームですね。
もし乗ってみますか?と言われても、ビンディングシューズでこのバイクに乗るのは、私だったら怖くて遠慮します・・
こだわりの1つ、ステム(ハンドルを固定する部分)は、かなりレアな「NITTO スライダーステム」が装着されています。元々は競輪選手が練習用に使うもので、ハンドルポジションを調整しやすい形状になっています。これが何ともデザイン的にカッコいいので熱烈なファンがいるのだそうです。
午後の日差しになって、窓からの景色、住宅内の光の雰囲気も変わってきます。
今の時期は、黄金色の稲穂が室内各所から見え、季節感もバッチリ味わえます。
ただ驚くべきは、この内部空間は、8年半経過しても竣工時とほぼ変わらないくらいと言えるほどすっきりとしたイメージが維持されていることです。
ご主人より、
「建築には過剰なところも不足するところもなく、いろいろなことが程良いため、あまり新築時から変わっていませんね」
とコメントいただき、設計者としては何とも言えない嬉しさを感じます。
ご夫妻のお仕事の事情や、お子さんの成長により生活スタイルもアイテムも変化している状況と思われますが、そこも含めてきれいにゆったりとした平家の住まい方をされていました。
本当に住み手の建築IQの高さが素晴らしく、頭が下がります。
お忙しい中、午前午後とも撮影にご協力いただきまして、ありがとうございました。
動画がまとまりましたら、またご紹介させていただく予定です!
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夏の敷地調査
9月になっても猛暑が続いている中・・
先日、県内某所にてプロジェクト関係者と敷地調査を行いました。
こちらの敷地確認をさせていただくのは今回で3回目ですが、この日は昼からの視察で予想通り汗だくに・・
夏のこの時期は、葛の葉がエネルギッシュに生い茂っておりまして、地盤面を把握するのも大変な状況でした。
起伏のある地形全般と既存樹木の活用イメージなど確認をし、計画内容を精査する打合せとなりました。
まだ先は長いですが、今後も楽しみです。
また同じ夏の調査でも、少し前になりますが
8月には長野県内、標高1500mほどの涼しい別荘地へ敷地調査に行ってきました。
現地を訪れますと、本当に気持ちの良い素晴らしい環境でした。
この自然環境と眺望を確保するためにはどんな計画にすべきか・・
また厳冬期は氷点下20度近くになる地域ですので、建築的な断熱対応も必須となります。
敷地内の現況、足元を見ますと・・
セイタカスギゴケ?と思われます、かわいらしい苔が自生していました。
日本国内でも少し地域や条件が異なれば、建築を取り巻く環境も様々であると、敷地調査の度に感じています。
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家具メンテナンス
福島県白河市にあります「白河市立図書館」の家具について
この図書館は、前職(第一工房)で設計監理をチーフアーキテクトとして担当させていただいた公共図書館です。
既存市立図書館の老朽化からプロポーザルコンペが行われ、最終的には4年以上の歳月を経て(2011年の大震災も何とか乗り越え)無事開館することが出来ました。それから早いもので13年になります。
開館初年度から目標利用者数を大幅に上回る状況はその後も続き、年齢を問わず地域の人々に愛される施設として定着しています。
嬉しいことに、地元市内の利用者に限らず、市外からもわざわざ車でいらして利用される方も多いと聞いています・・
図書館と書架・家具はとても深い関係にありますが、当時の図書館長(田中館長)さんは、
「子どもたちには、優れたデザインの家具に触れながら図書館を利用してほしい。大人になってから、いつも普通に利用していた図書館の家具は、実は質の高い本物のデザインだった!と後でわかるくらいがちょうどいい・・」
とお話しされていたことを思い出します。
打合せを重ね、図書館内の各所に配置する家具は、書架やデスク+照明器具、空間に合うオリジナルソファを設計させていただき・・一部には市内の南湖公園で倒木となった木材を利用したベンチも造作家具として製作しました。
また世界的な名作といわれるプロダクト(椅子やテーブル)もセレクトさせていただきました。アルネ・ヤコブセンがデザインした家具、デンマークの「Fritz Hansen」のアイテムもいくつかあります。
この写真でご紹介しています、エントランスホール空間(展示ギャラリーとしても利用可能)に配置しています椅子とテーブルは、北欧スウェーデンのコントラクト家具メーカー「Bla Station」のアイテムです。
家具に詳しい方ならご存知かもしれませんが、日本では少々マニアックなチョイスに感じるかもしれません。
有難いことに当初の家具セレクトのまましっかりと大切に運用していただいています。
この椅子・テーブルセットは、黒とシルバーのモノトーンをベースカラーに、赤いチェアが差し色となる千鳥配置となっています。
これは設計当時、第一工房代表の高橋さんが指示されたままとなっていますので・・
個人的にはとても懐かしく感じてしまいます。
今年、その椅子のメンテナンスで座面のパッドのみ張り替えられました。
(メンテナンスをされた家具のご担当者よりご報告いただきました)
デザイン的にも古さを感じさせず、きちんとメンテナンスされた家具を永く使うというのはいいものですね。
設計担当者としては、本当に嬉しいお知らせでした!
弊社では、施設設計でも個人住宅の設計でも、クライアントとの打合せで、家具の検討も一緒にご相談いただくことが多いです。
建築全体の空間づくりと共に、オリジナルの造作家具なのか、既製品をセレクトする置き家具なのか・・照明などの組み合わせ選定も含めて「家具」は、建築本体の検討と共に重要な要素となります。
プロジェクトごと、お話をうかがいながら・・
じっくりと考えてこれらを選定することも楽しみの1つと言えます。
少し前になりますが・・
2022年9月、久々に白河市立図書館を訪れた時のスナップ写真をいくつかあげてみます。
(図書館で撮影許可をいただきました)
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田都会メンバーで工場見学
先日、田園都市建築家の会、建築家メンバーで神奈川県伊勢原市にあります「神谷コーポレーション」さんの工場見学に行ってきました。
「神谷コーポレーション」さんは、建築建具の専門メーカーで、中でも床から天井までのフルハイトサイズの建具に特化した製品ラインナップを展開されています。
高さのある建具のデザインは、内部空間をゆったりとした広がりのあるイメージにすることが出来ますが、一方で大きなサイズになればなるほど施工後に扉の反りやねじれの変形が生じる心配があります。神谷コーポレーションは、この反りが生じても変形が回復する技術的な研究の蓄積があり、多くの特許を保有しています。他社のフルハイトドアも研究して差別化を図っていること、高い製品精度が保たれるしくみも工場見学でよく理解できました。
設計者の目線では、主には①オリジナルデザインで1点1点製作する造作建具、②製品化された既製品を採用してコストを抑える、という選択がありますが、「神谷コーポレーション」さんのフルハイトドアは、既製品ラインナップとしながらもオーダー建具に近いイメージをつくりだされていると思います。
工場内には、見学するコースがしっかりと用意されています。
機械化が進んでいるメインの製造工程を一通り見学した後には、製品試験・性能などを比較して見ることができる「KI-LABO」と名付けられた別棟へ。ドアを加熱し変形させる(変形が戻る)、繰り返しの開閉、破壊強度をチェックするなど様々な試験を公開しています。
現在製品開発中のアイテムについて、設計者としてはこういったアイテムがあれば望ましい!といったリクエスト、意見交換も行い・・気がつけば、すっかり予定時間を超過してしまいました。
建築家メンバー複数人で工場見学をしますと、他の設計者が気にするポイントも共有できたり、マニアックな質問も出て、単に製品知識を深めるだけではない、大変有意義なひと時となりました。
花里さん、奈良さん、丁寧にご案内くださいまして、どうもありがとうございました!
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小川重雄さん日本建築学会文化賞受賞記念展
日本大学芸術学部江古田校舎A & Dギャラリーで開催されています
「2023年日本建築学会文化賞受賞記念展 Timeless Landscapes 」に行ってきました。
昨年、建築写真家の小川重雄さんが「日本建築学会文化賞」を受賞されました記念の展覧会です。
日本建築学会では、小川さんの長年の活動が「優れた建築写真(現代建築から伝統建築、ランドスケープに至るまで)の発進と大学等での教育活動を通して建築文化を向上させた功績」と高く評価されました。
これまで弊社設計の建築を複数件、小川さんに撮っていただけましたことは振り返りますと、あらためて本当に有難いことだと感じています。
展覧会にうかがいました朝の開場直後の時間は、ちょうど貸切状態でゆったりと拝見でき、非常に贅沢なひと時を過ごせました。
小川さんはこれまで、「Timeless Landscapes」というテーマで写真集を3作製作されていますが、本展覧会で全3シリーズの主要な作品の生のプリントをまとめて見ることができます。
写真集の中でも2作目、イサム・ノグチ モエレ沼公園を撮られた「Timeless Landscapes 2」は早々に売り切れてしまい特に人気とのことです。すでに入手困難な書籍になっているようです。
(以前、小川さんにサインしていただきました弊社の1冊・・大切にしたいと思います!)
GW中に娘も連れ出してみましたが、本物の建築写真を見て何かを感じてくれたかな。
ギャラリー入口の脇に在廊の小川さん。
来場者には、写真撮影時のエピソードなども解説してくださいます!
ちなみに会期は5/9までですが、小川さんが在廊されるのはGW中 5月6日(〜19時まで)が最後となるそうです。
江古田駅から徒歩1分ほどですので、ご興味のある方は是非!!
写真展の詳細は
↓小川さんwebsite情報のこちらをご覧くだい。
https://ogawa-studio.com/timeless-landscapes-2024/
また写真集の次回作は、懸け造りの建築をいくつかご準備中とのこと。こちらも建築通がうなるものになるのでは?と楽しみです・・
2023年日本建築学会文化賞受賞、本当におめでとうございます!!
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10年目
先週より、2024年度の愛知工業大学 非常勤講師の担当授業がはじまりました。
2015年度にはじめて設計製図の授業を受け持つこととなってから、早いもので10年目となります。
ちなみに途中から、設計演習の指導に加えて座学の講義も受け持つようになりましたが、こちらは5年目です。
10年目と5年目、ちょうど節目の年となりました。
非常勤講師としてお声がけいただいたのも何かの縁と感じておりますが、もうそんなに続けていたのかと、自分でもちょっと驚いています。
(早朝からの新幹線移動には、慣れたつもりでも気が抜けず大変ではありますが・・)
毎年学生さんから刺激をいただく場面もあり、継続させていただき感謝いたします。
今までの授業の経験、設計実務の経験を生かしつつ、どうしたら学生のみなさんに建築への興味を膨らませてもらえるかを考えながら・・
今年度も毎週頑張っていきたいと思います!
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建築展「Swiss Visions」
「スイス・ヴィジョン ─ 新世代の表現手法」
先日、六本木の AXIS Gallery で開催されました建築展覧会へ行ってきました。
会期:2024年3月29日(金) – 4月14日(日)
https://www.js-aa.org/event004.html
会場では、主催の日瑞建築文化協会・理事をされています建築家の黒川智之さんにもお会いでき、直接展覧会のコンセプトや、出展者となっているスイスの若手建築家の解説をしていただけまして幸運でした!
展示内容・会場構成とも美しく洗練された展覧会で大変刺激をいただきました。
これまで、スイスの建築家に対しては、抽象的でシンプルな白い模型を美しくつくるようなイメージもありましたが、今回4組紹介されています主に1980年代生まれの建築家たちの表現手法は、それ以前の世代の表現から変化を感じるところがあります。
例えば、家具と建築を等価に扱うような図面表現であったり、あるいはかなり大きな模型(S=1/10など)で建築素材や家具やインテリア小物、植木鉢といったアイテムを精緻につくり込んで、それをシーンごとに模型写真にする表現であったり・・
CGや動画のプレゼンもリアルなパース表現というより、どちらかというと手書きスケッチのような優しいテイストにあえて作り直し、提案の世界観というか空気感を示すことを重視する表現のようにも感じました。
日本国内の建築メディアにもやはり雑誌社の編集意図なり傾向があったりしますので、それとは異なる視点・価値観を紹介することにもなる展覧会だと思われます。
普段の設計活動に加え、継続してこのような展覧会を開催されています黒川さんはじめJSAAメンバーの皆さん、本当に素晴らしい活動で感心しました。
今後も新たな企画を検討中とのことですので、どんな切り口を示してくれるのか、とても楽しみです。
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職業講話/横浜市立市場中学校
先日、「横浜市立市場中学校 (鶴見区)」にて「職業講話」を行ってきました。
中学1年生から間もなく2年生に進級される生徒さんが対象で、複数の職業の中の1つ「建築設計」の担当をさせていただきました。
授業前、控室には様々な職種の方々が集まっており(獣医さん、JRの運転手さん、看護師さん、TV局の方?など・・)講師はバラエティに富んでいますね。
職業講話は、私が中高生の頃には全く無かったと思われる「キャリア教育」の一環で、将来の夢や目標を醸成し、進路選択に興味を持ってもらうことを目的とした学校プログラムです。可能性は無限とも言える中学生の時期に実社会との接点を考えるというのはとても有益だと思います。
昨年度は、「横浜市立青葉台小学校 (青葉区)」で6年生に、「横浜市立もえぎ野中学校 (青葉区)」で中学1年生に職業講話を経験しましたので、中学生への授業は2度目となります。
昨年の「もえぎ野中学校」ご依頼は、田園都市建築家の会を通じての連絡でしたが、今年は直接弊社へお問合せがあり、hm+architects/伊原洋光 が担当させていただきました。
生徒さんは複数の職種から第一希望、第二希望・・を提出されて振り分けられるとのことで、窓口となられた先生からは「建築設計」は第一希望者が多かった講座とお聞きしていました。しっかりと期待に応えられるかな・・
講話者としては、「建築設計」の実務者としてのエピソードをリアルにお伝えできるよう、実際に設計した建築写真スライドを中心に、実施設計の模型や図面も持参しました。
自分が中学生の頃には、絵を描くことは好きでしたが建築のことは何も知らなかったこと、大学進学時に理工系の中では『工学+デザイン』の両方あって建築学科が良さそうだなと何となく始めて、今の仕事に至ることなどもお伝えしました。
また一般に、現代建築の設計、建築家のことを高校生までの授業などで教えてもらうことはないのが日本の現状です。しかしながら建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞というのは日本人建築家が世界で最多人数の受賞にもなっているので、実は国際的に見ても日本の建築家への注目度が高いということも参考にお伝えしてみました。
授業は、みなさん非常に熱心に聞いてくれて、質問もたくさんいただきました。元々建築の設計に興味があったという生徒さんは、授業後の休憩時間にも模型や図面を見て個別に質問もされ、より興味を深めてくれたようです。
通常の中学校の授業とは違った視点で、何らか少しでも将来へのヒントにしてもらえたら嬉しいですね。
授業後、学校を出るときに、他の講師として来られていた「JR京浜東北の運転手さん」が出入口で記念撮影をされていましたので「お撮りしましょうか?」とお声がけしたところ・・
では一緒に撮りましょう!となり、思いがけず私も運転手さんと記念スナップを1枚撮っていただきました。
後日、受講いただいた生徒さん全員からメッセージが届きました。
お礼と授業で感じたことを礼儀正しく書いてお送りいただき、大変嬉しく思います。中には建築家を目指そうと思った!という方もいました。
興味を抱いたことに向かって、是非チャレンジしてください!
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勉強会
複数の建築家が集まって活動しています「田園都市建築家の会」では、所属する建築家・ディレクターが集まり、定期的にミーティングを行い、設計の専門性をより高める勉強会を開催したり、建材に関するメーカーさんの商材プレゼンの場を設け最新情報のヒアリングなども行っています。
2月は、アクリル系人工大理石、クォーツストーン、セラミックタイル等の最新素材の加工を数多く手がけています「大日化成工業」さんより、主にその優れた水回り・シンクのデザインと製品性能の両立などについてプレゼンテーションしていただきました。
またこの日は、大日化成さんのプレゼンに引き続き、建築基準法の改正についての勉強会も行いました。
主に2025年4月からはじまる「省エネ基準適合」義務化について
住宅の断熱性能・気密性能に関する設計と施工に精通した「株式会社 GA HOUSE」の代表 岡田さんを講師としてお招きし、建築家メンバーがレクチャーを受けました。
建築設計で実務の経験がある方はおわかりだと思いますが、建築の設計者が専門家としてカバーすべき話題は非常に広範囲で、かつその情報を常にアップデートしていかなくてはなりません。
小規模な設計事務所では特に、ユーザーのご希望をお聞きする打合せからはじまり、建物に関する使い勝手とデザイン、コスト調整、メンテナンス性、国内外に流通する各種建材や製品知識、商流、現場への施工・おさまりディテールの確認に至るまで・・個人で把握・追及していくと際限がないというほどです。自分の体が2つか3つあったらいいのに!と思うほどですね。
そして設計の基準を定める建築法令についても、時代の流れもあって常に改正が続きます。本音としては、あまり変えて欲しくないですが、基本は内容の改善というはずですから前向きに・・
法改正の部分について、さすが講師の岡田さんの知識とノウハウはすごい(私はついていけないくらい)と感心する1時間でした。
このように個々の建築家が独力で情報収拾するよりも複数の設計事務所が集まることでメリットを得やすくなることを念頭に置いて勉強会などを開催しています。
設計作業は案件ごとに条件が様々ですので、個々の建築家が経験したことをメンバー同士で気軽に相談し合える情報交換の場は、建築設計者としてはとても有益です(ちなみに、建築家メンバーも随時募集していますので、私たちと一緒に活動することへご興味のある方がいましたらご連絡ください)。
こうした設計ノウハウは、設計をご依頼くださるクライアントへのメリットにもつながりますので、努力を続けていきたいと思います。
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2023年度 秋学期
2023年度の秋学期、中部大学 建築学科で非常勤講師として担当させていただきました設計演習の「建築デザインⅡ」、座学の「建築構法Ⅱ」について、両講座とも15週の授業と期末試験、成績評価まで無事に終えることができました。
学部の2年生必修の「建築デザインⅡ」では秋学期に大きくは3つの設計課題提出(展示空間の設計、美術館、オフィスビル)というややハードな指導内容でした。
課題ごと、数週間のエスキスでも着実に学生さんのスキルアップがあり、毎年のことながら頑張りを感じて私も刺激をいただくことが度々ありました。
設計製図の自由課題は答えが1つではないため、何か仮説を自分で立てて考えるしかありません。建築設計の就職先ではない学生さんにとっても、社会に出てこの経験がきっと役立つだろうと思って指導をしていました。
写真はオフィス課題の模型です。
夕方、授業を終えるとキャンパス内は夜の景色です。
冬の寒さとこの眺めで中部大学の秋学期の授業だなぁと今年も感じました。
座学の「建築構法Ⅱ」では、今年はキャンパス内の階段を直接案内して解説することも行いました。
前職で設計チーフとして担当した中部大学内の建築「不言実行館」について、階段室の防火戸や手すりのディテールなど、なぜこうなっているのか・・部分のデザインだけでなく建築全体のプラン要求から法令上の条件や安全管理、コストやメンテナンスまで、学内常勤の先生よりも詳しく説明できる素材がありますので、2023年度はそんなチャレンジもしてみました。
写真は2点とも同じ避難階段ですが、閉鎖的になりがちな階段室を非常に開放的なつくりとして(各階で平面も変化しながら)成立させています。
学生さんには写真だけでは全くわからない説明が聞けて、とても理解しやすかったと好評でした。案内できて良かった!
秋学期を振り返りますと、一度、大学に向かう電車(JR中央線)で大幅な遅延があり危うく授業開始時間に遅れそうになって肝を冷やしたこともありましたが、ギリギリ回避でき幸いでした。
とにかく2つの担当講座で、期末試験の監督・立会いまで体調不良等で休むこともなく何とか終えられてホッとしています。
次年度もお声がけいただいていますので、少しづつでも授業も進化させられるよう頑張りたいと思います!
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千葉都市モノレール
千葉市役所 新庁舎(令和5年竣工)へ向かう際に「千葉都市モノレール」を利用しました(通称:千葉モノレール)。
web情報を見ますと、レールの下に車両がぶら下がる「懸垂型」のモノレールは、日本では千葉都市モノレールを含めて2ヶ所しかなく、世界的にも珍しい型とのこと。1988年(昭和63年)に開業して35年を迎えており、2001年には、懸垂型のモノレールとして営業距離世界最長(15.2km)のギネス認定を受けているそうです。
また、車輪にゴムタイヤを使用しているため、騒音・振動がほとんどないのが特徴の1つで、曲線の多い路線でも車両の横揺れが少ない。高いところでは地上30mもの高さを走行していると記載がありました。
千葉市民の方々にとって「千葉モノレール」はお馴染みの存在なのかもしれませんが、私が実際はじめて目にした時は、かなりインパクトがある都市景観だと感じました。
乗車してみますと、駅の設置レベルも道路の上空であり、日常的な視点よりもかなり高いこと、さらに鉄骨の構造体が間近に迫ってくるメガスケールの力感が凄くて、設計者目線では、単なる移動の目的以上にあちこちで楽しい気分を味わえます。
自動車道路、その上のペデストリアンデッキ(歩道橋)、さらに上のモノレール・・
都市インフラとして、ここまで立体的につくり上げるのは並大抵のことではないと思います。
葭川(千葉県を流れる都川水系の二級河川)の上空をモノレールが走っています。
河川や主要道路の地形に沿うルートなど、建築では実現できない土木設計の圧倒的なスケールとその景観。
直近で見上げますと、これほどの構造物をよく実現したものだと、本当に驚きます。
モノレールの建設時期は、日本の高度成長期からバブル経済の絶頂期に至る頃ですので、地域経済・技術の発展の象徴として掲げられていたのでしょう。実際モノとしてかなりの力技であり、自治体・サポートする様々な企業の相当なエネルギーがここに込められています。
仮にですが、国外の資産家が巨額の投資をして、現代の日本の街に同様の交通インフラを実現させようとしてもまず不可能ではないかと感じます。経済の事情だけではなく、環境に対する問題意識も以前とは大きく異なっています。
その時期にしか実現し得なかった壮大な計画に対し、美観についてや維持管理費等も含め賛否両論あったと思います。
しかしながら35年ほど経過しました「千葉モノレール」の構造物をあらためて拝見していますと、個人的な印象ですが、将来的には土木遺産として扱われるほど特別な存在価値があるのではないかと、じわじわとポジティブに感じてきました。
古代ローマの水道橋とまではいきませんが、2度と同じようにつくれない都市的開発の構造物として日本中(世界中)探しても、ここ千葉市にしかない都市景観、土木遺産になるかも知れない・・
移動で実際に利用・体験できる強い観光資源にもなる?
などと妄想しましたが、やや膨らませ過ぎでしょうか。
blog category:建築視察
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2024 仕事はじめ
2024年がはじまりました。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2024年、私たちhm+architects の仕事はじめは 、千葉県千葉市中央区にあります「千葉神社」への初詣からとなりました。
写真は、1月2日「千葉神社」境内の様子です。
初詣の参拝者数は、70万人にも達し、また年々増加しています。参拝者の行列のほか、お札やお守りの窓口となる授与所、ご祈祷の受付窓口など、それぞれの行列にご案内が必要な状況で、各所の人の流れや建築との関係を確認させていただきました。
写真右、参集殿(白い外壁)部分について、現在 増改築の設計作業中ですが、多くの参拝者、対応される神職の方々にとりましても今まで以上にスムーズに動くことができるよう課題に取り組んでいます。
まだしばらく先までかかる計画ではありますが、良い建築として実現しますよう頑張ってまいります。
blog category:千葉神社参集殿
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フローリング・フォトブックへの掲載
弊社で設計監理をさせていただきました、「豊橋の住宅/House in Toyohashi」の写真が「UENO JUKEN/上野住宅建材株式会社」さんのフローリング採用事例のフォトブック(2023)に掲載いただいております。
UENO JUKEN さんは、主に欧州を中心とするメーカーより建材を30年以上に渡って輸入販売されていまして、「豊橋の住宅」では、床暖房対応の複合フローリング材(ヨーロピアンオーク)を採用しました。
以前にもカタログへの掲載をいただいていましたが、今回は商品一覧のカタログとは別冊のフォトブックにご紹介いただきました。
このブックには、著名建築家へのインタビュー記事もいくつかあり、他の建築家がどのような視点で素材選びをされたのかも知ることができます。専門家も参考になりますね。
blog category:豊橋の住宅
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田都会のみなさんと
hm+architects 一級建築士事務所としての設計活動と併行して、「田園都市建築家の会」に所属する建築家としても活動を行なっています。
この「田園都市建築家の会(でんえんとしけんちくかのかい)」正式名ではやや長くなりますので、関係者間では「田都会(でんとかい)」という略称を使用しています。
田都会での活動は、主に「自分にあった建築家との家づくり」をお考えのエンドユーザーに向けた建築家紹介+設計提案ですが、土地探しから資金計画まで含めた、建築家との家づくりに必要な様々なサポートを行なっています。
メンバーとしては、現在14名の建築家と2名のディレクターを中心に、建築系サポーター企業が35社ほど賛助会員として連携していただき、定期的に専門家同士の勉強会、業界内で最新の情報交換を行なったりしています。
先日は、田都会関係者の懇親会(忘年会)が開催され、たまプラーザにてお店を貸切って50名弱の人数で対面の交流を深めることができました。
例えば自分は採用したことがない建材・製品でも、他の建築家メンバーが使ってみた実際の印象、メリット・デメリット、コスト、メンテナンス性など、建築家同士のリアルな会話もできますし、あるいはサポーター企業・メーカーさんの内情なども雑談の延長でいろいろな本音の意見交換ができるため、有意義でかつ飲食しながらの楽しいひと時となります。
昨年までのコロナ渦ではこうした会を開きにくかったのですが、集まると「やはり対面での情報交換ができる懇親会がいいね!」と皆さんおっしゃっていました。
ただこの日は皆さん特に盛り上がってあっという間に予定の2時間半が過ぎてしまい・・
写真を撮り忘れてしまいました(他のメンバーに聞いても同様でした)。
参考までに、夏(9月)の懇親会の様子、集合写真を1枚アップさせていただきます。
田都会の活動は、こんな感じで様々な立場の方がフラットな関係で集まれるB to B のプラットフォームでもあります。
こうした懇親会の、ちょっとした「メンバーの息抜き+自己研鑽」が同時にクライアント(エンドユーザー)への価値提供に繋がりますので、これも設計の仕事の一環だと言えますね。
みなさん今年一年、お疲れ様でした。また来年の開催も楽しみにしています!
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中部大学キャンパスにて
愛知県春日井市にあります中部大学で、2023年度・秋学期も非常勤講師としてお世話になっています。
2016年から設計製図の演習指導と座学の講義の2つの授業を担当させていただき、早いもので8年目となりました。
前職の第一工房時代から、大学内のいくつかの施設設計に担当者としても関わっていましたので十数年前からキャンパス内は全般的に知っているつもりですが、季節や時間帯のわずかな違いでも、新たな風景に出会う発見が今もあったりします。
朝早く到着した授業前や休憩時間などに散策し、スナップ写真を撮ってみました。
△写真の建築設計はそれぞれ第一工房の先輩方が手掛けられたものです。
左手奥:30号館、中央:19号北館ブリッジ、
右手:20号館(耐震補強:川口衞構造設計事務所と協働)
どのプロジェクトも、建築の立面・開口部のプロポーションを何度も検討されたのだと所内で聞きました。
20号館は約半世紀前の設計ですが、中部建築賞を受賞された端正な立ち姿は健在です。
左手前の池と緑地はキャンパスの中央に存在し、大学敷地内とは思えないほど美しい景観をつくり出しています。
上記の池に連続する緑地の先には、伝統的和風建築の「洞雲亭(どううんてい)」とそのアプローチ空間があり、木漏れ日の中を気持ちよく散策することができます。
また、中部大学内では
作庭家、岡田憲久さんによる庭を楽しむこともできます。
2箇所、写真でお伝えします。
△ 2号館の中庭「みなもの庭」
△ 25号館北側の中庭「花鏡のある庭」
どちらも水盤のある作庭により、キャンパス内にそれぞれ異なる静謐さをもたらしています。
△51号館 から外部の池を見る
学内には学生食堂が7箇所ありますが、こちらはキャンパス内で最も北側にある食堂(51号館学生ホール・外構共/設計:第一工房)です。
写真は利用者がいない朝の撮影ですが、南側に見える竹林の緑が池にも写し出され、以前知っている見え方とも少し違う景色を目にすることができました。
この建築の設計ではフロアの一部分、池に近い範囲で床を下げています。
利用者の視線を水面に近づけ、水盤の存在を体感しやすくする狙いがありました。
このプロジェクトの設計当時、所内で私は作業の一部に関わったため、この空間には個人的な想いもあります。
設計作業中、設計チーフの先輩から
「伊原くん、あまりお金かけなくても何か面白くするアイデアないかな?」
と聞かれ・・床レベルを下げる提案をさせていただいたことを思い出します。
キャンパスは広いため、大学関係者でも日常利用する目的施設以外、あまり知らないということもあるのではないでしょうか。
中部大学を訪れる際に少し時間がありましたら、キャンパス内を散策してみてください。
blog category:大学・教育
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田都会 日曜トーク&相談会 10/29(日)
複数の建築家が集まって活動しています「田園都市建築家の会」では、毎週日曜日に所属建築家によるイベント(家づくり相談会 & セミナー)を行っています。
場所:田園都市線「たまプラーザ駅」から徒歩5分
ギャラリースペース 『家づくりCAFE』
神奈川県横浜市青葉区美しが丘1-12-3 第7松美ビル201
日時:10/29(日)10:00〜17:00
担当建築家としてhm+architects 伊原洋光 がお待ちしています。
詳しくは
こちらのページよりご確認ください。
どなたでも無料でご参加いただけます。
建築家との家づくり、建築に関するご相談などは小さな話題でも気になることなどございましたらお気軽にどうぞ。
blog category:出展イベント
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国立近現代建築資料館
先日、東京都文京区湯島にあります、国立近現代建築資料館に行ってきました。
以前は都立旧岩崎邸庭園の入園券売場から国立近現代建築資料館へ入場する動線でしたが、久しぶりに訪問したためか、平日に国立近現代建築資料館の展覧会を見る場合は、湯島合同庁舎正門からアクセスするルートに変わっていました。合同庁舎正門の守衛室に声がけしてから国立近現代建築資料館の入口まで少々奥まっていますので、参考に写真も加えておきます。
現在開催中(2023.07.25〜2023.10.15まで)の「日本の近現代建築家たち 第1部」を終了間際ですが何とか会期内に見学。
本展覧会で紹介されている建築家は
吉田鉄郎、岸田日出刀、坂倉準三、前川國男、丹下健三、吉阪隆正、大高正人、高橋てい一(てい:青偏に光)、大谷幸夫、菊竹清訓、原広司、安藤忠雄
の12人です。
偉大な建築家がズラリと、厳格な人物イメージがそれぞれありますが、親しみやすい似顔絵で表現された看板が出迎えてくれます。
中でも私が前職の第一工房で16年半ほど師事しました高橋さんのイラストは、結構似た雰囲気で描かれている気がしました。
2階の展示フロアへ。
各建築家の初期代表作品の、主に原図が展示されています。
展示は全て無料で見ることができます。
さすが文化庁 国立近現代建築資料館ですね。
建築家、高橋てい一の紹介としては、最初に手がけた公共建築「佐賀県立図書館」(第一工房 +内田祥哉 共同設計/1962年竣工)がピックアップされ、トレーシングペーパーの手書き原図が展示されています。
第一工房のスタッフ時代でも、事務所内で保管される過去の作品図面(原図)をわざわざ引張り出して開くことは滅多にありませんでした。あらためて、このように展示された60年以上前の原図を見ることができ良かったです。
ごく最近でも、著名な建築家の図面資料が海外の資料館に収蔵されることになったという話題があり注目されました。国内の図面資料収集には様々な事情があり難しい状況ではあると聞きますが、第一工房の図面がこのような形で収蔵・展示していただけることに感謝したいと思います。
またこの日は、展示を見た後に国立近現代建築資料館内での会議に参加する予定があり、現在の日本建築学会長(58代)の竹内徹先生や、以前の学会長(52代)和田章先生といった構造設計のスペシャリストの先生方とご一緒し少々緊張もしましたが、以前第一工房の高橋さんと共同で開発された免震プロジェクトの話題を振り返るなど、有意義な1日となりました。
blog category:展覧会等イベント視察
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愛知工業大学・鉀徳館
早いもので、2023年度も9月で半分が過ぎようとしています。
少し振り返りますと・・
先日はバスケットボール ワールドカップの男子日本代表の大活躍で日本中が沸きました。
普段テレビはあまり見ないのですが、スポーツ中継は別で娘と一緒に熱くなって応援していました。
特にフィンランド戦の大逆転勝利は劇的でしたが、その試合後、国際バスケットボール連盟(FIBA)のW杯公式Xでバスケ漫画「スラムダンク」のある場面の一つが、渡辺雄太選手・富永啓生選手がタッチを交わす写真に酷似しており並べて投稿されるなど、「スラムダンク」が国際的に認知されているのも凄い!と感じました。
スラムダンクに関連した話題で・・
今年度前期、設計演習と講義の担当でお世話になっていました愛知工業大学について、大学内の体育館(鉀徳館:こうとくかん)が「スラムダンク」の背景画にチラッと登場しています。
漫画の中では高校総体、愛知県予選の会場シーンとして、この体育館の外観(ほぼ写真の角度)が描かれています。
私は「スラムダンク通」ではありませんが当時、ちょうど目にして知りました。
今年、大学の授業でご一緒しています建築学科の先生にお聞きしてみましたがご存知ないとのことで、あまり知られていない小ネタかも知れません。
井上雄彦さんも下見に来られたのか、あるいは写真資料のみの作画かな、などど思ってみたり。
体育館(鉀徳館)は 1976年竣工、47年目ですがそれほどの古さを感じません。
平面・立面ともシンメトリーな構成で、力強いコンクリート打放し仕上げに軽快な鉄骨立体トラス屋根を用いた対比が凛々しく、秀逸なデザインだと思います。建築学科の学生さんには、学内で良く見て学んで欲しい建築の1つと言えます。
ちなみに、愛知工業大学は昨年の就職率(実就職率98.6%)が全国566対象大学中1位になったとのことです。学生さん一人一人と大学関係者のご努力の結果だと思います。私は非常勤講師として複数年関わらせていただいて、何らかお役に立てたのかわかりませんが、やはり初の1位獲得ということで、喜ばしい話題です。おめでとうございます!
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壁の下地
設計の現場監理について、どんなところを気にしているか・・
今回は、施工が仕上げまで進むと最終的には見えなくなってしまう「壁の下地」について、「吉祥寺の住宅」の現場状況をいくつかの写真で紹介させていただきます。
上棟を迎えました後に、構造体が露出しているタイミングで、申請をしていました耐震等級の性能証明の立会い検査を受けています。
確認検査機関の検査員の方、構造設計での協力事務所/リズムデザイン構造計画事務所の今野さんと一緒に現場確認(検査は無事に合格)しました。
耐震壁となる構造用合板の釘のピッチや、土台や柱・梁に取付く各種金物をチェックします。
上の写真で合板の色が濡れ色になっている部分は、1階の防蟻処理です。建物は地下のRC造の上部に地上1,2階の木造があり、この部分は地盤面よりかなり高い位置となりますので防蟻は必須ではありませんが、念のため対処しています。
その後の主な工程として、木造部分の断熱施工があります。
設計上、断熱についてはコストや性能などから何が望ましいかは様々な考え方がありますが、今回は構造耐力壁の筋交いやアルミサッシ枠まわりもきちんと充填できる内断熱の高性能 硬質ウレタンフォーム吹付(フォームライトSL-50α)を採用し、丁寧に進めていただきました。
さらに、室内側の気密シート、プラスターボードの施工があります。
写真はビスのピッチまで整えた大変丁寧な仕事状況です。大工の棟梁Tさんの気遣いに頭が下がります。
最終的にはクロス下地+塗装仕上げですが、その準備として、壁・天井のボードのジョイント部に補強布(ファイバーテープ)、ビス頭部にもパテ処理を行う地道な作業が続きます。クラックが少しでも発生しないよう、かつきれいな仕上げ面となるよう、猛暑の中でも下地をきっちりと整えていただいています。
木造・住宅用アルミサッシの窓まわりについては、設計者により納め方もいろいろなケースがあります。
今回は四方枠の額縁をまわすのではなく、下の面(膳板)のみ木製で塗装仕上げ、それ以外の三方は下地クロスの巻込み+塗装としました。
今回、膳板の端部については、窓幅ぴったりに止め、チリ(壁面との差)7mmに仕上がるよう現場監督Sさんと打合せを行いました。
窓枠の三方については、プラスターボードの厚さ分控えたところまでをランバー材の下地とし、窓・壁まわりの精度を確保しています(写真:プラスターボードの施工前と後)。
ちなみに防火地域指定など(壁の防火構造等)法令制限があれば、下地の仕様も異なります。
設計図面を基本とする設計監理ですが、現場ごとにつくり手の方と意見交換しながら、コスト条件やクライアントご要望なども考慮しおさまりを微調整することも重要だと思います。
建築を見る時には、大胆な空間構成に目が向きがちですが、仕上がってしまうと印象に残らないような一般部分の壁・天井・窓枠まわりにもできるだけ気を配ってしっかりとした建築にしたいものです。
外壁の下地についても別記事でまたご紹介したいと思います。
blog category:吉祥寺の住宅
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へザウィック・スタジオ展
都内 六本木の森美術館/東京シティービューで、2023年3月17日〜6月4日まで開催されました展覧会「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」に行ってきました。
世界が注目するデザイン集団、ヘザウィック・スタジオ。
1994年、トーマス・ヘザウィックがロンドンに設立したデザインスタジオで、約30年間の活動で、ニューヨーク、シンガポール、上海、香港など、世界各地で革新的なプロジェクトを数々生み出しています。
展覧会は、ヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を日本で初めて展示するもの。ちなみに英語のタイトル「Building Soulfulness」には、「魂がこもっているものを建てる」という意図が込められているそうです。
会場には建築模型が多く展示されていまして、どなたでもパッとビジュアルで楽しめるような形にされたのだろうと思います。イメージスケッチはありましたが、図面紹介は、ほぼありませんでした。
私は、模型を見るのも作るのも好きなので・・建築展ではつい写真を多めに撮ってしまいます。
SNSの広がりと共に、各種展覧会では撮影撮影可能なものがどんどん増えていますので、来場者の多くはスマートフォンを片手に・・という展覧会場の風景が当たり前になってきました。
できるだけ他の来場者が写真に入らないタイミング・アングルで撮る!ことにも、慣れて来たかもしれません。
△ 様々な素材、造形のヒントとなるモデルの数々。
△ 「上海万博 英国パビリオン」
私がヘザウィック・スタジオって凄い!と初めて思ったのは2010年に上海万博で出現したこのパビリオンでした。
△ 2012年の「ロンドンオリンピック聖火台」
模型ディテールも美しいものでした。
△ 「リトルアイランド」
一般的に建設の都合上、画一的になりがちなプレキャストコンクリートでつくりながら、多様な造形が生み出されるようパーツの組み合わせパターンが緻密に検討されて実現。
ニューヨークに行ったら、足を運んでみたいです。
△ 2019年「ヴェッセル」
こちらも話題となりました階段だらけの・・垂直公園です。
△ 2022年「グーグル・ベイ・ビュー」
BIGとへザウィック・スタジオが設計した、アメリカの Google 新社屋です。
プロジェクトの規模がどんどん拡大していき、凄いですね。
△ プロジェクト模型、いろいろ
△ 巨大なサイロの一部を大胆にえぐりとって建築に転用!
△「麻布台ヒルズ/低層部」
日本の東京で話題のプロジェクト。建設工事中です!
完成したら、相当なインパクトですね。
こうした模型は、模型製作の専門家によりレーザーカッターでアクリル板を緻密に切り抜いたりするパーツの使用や、3Dプリンターの模型製作なども当たり前になっています。
弊社でのスタディモデルは自分の手で扱いやすい素材が中心なので、これらの展覧会模型とは別の表現ではありますが、楽しく模型を拝見し、きれいな製作・見せ方などに刺激をいただきました。
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祝上棟
進行中のプロジェクト「吉祥寺の住宅/House in Kichijoji」は、無事に上棟を迎えることができました。
棟上げ作業後、日を改めまして、クライアント・工事関係者と共に上棟式も執り行うことができました。
棟梁のTさん、現場をよろしくお願いいたします。
この住宅は、地下1階のガレージ部分を鉄筋コンクリート造、上部1,2階を木造とする混構造の構成です。
下部構造(ガレージ部分)のコンクリート打設作業を振り返りますと・・
コンクリート打設時の写真からも、多くの方々の力が注ぎ込まれていることがわかります。
毎度のことですが私も打設に立会い、良い仕上がりに貢献できるようタタキ作業もしてきました。
コンクリート打設は何度経験しましても担当する監督・職人さんも現場ごとに異なるため、しっかりとしたコンクリート躯体として仕上がるか、設計監理者もいろいろと気を遣います。
こちらは型枠を外した(脱型)直後の写真ですが、コンクリート躯体の水分が多く残った黒光りするような表情を見ることができます。
コンクリートを流し込む時間の経過が仕上げ面に表出するため、特に「アナログ」を感じる部分ですね。
建設現場では当然のことですが、それぞれ異なる職種の方々の仕事が積み重なって進んでいきます。
ものづくりの現場はローテクな作業も多く、人の手から手へ仕事のバトンパスが続きますが、そうした経緯を関係する方々と共有するのも建築の大きな楽しみの1つだと思います。
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2023年度 大学授業スタート
2023年度4月、大学・非常勤講師としての授業がはじまりました。
毎年のことながら、キャンパス内のメインストリートの新緑から「新学期スタート!」という雰囲気を感じます。
キャンパスの設計では、施設を設計するだけでなく緑化計画もとても重要になりますね。
前期、愛知工業大学の建築学科では、主に学部3年生が受講する座学「建築ディテール」と設計演習「設計製図Ⅳ」を担当させていただきます。
新型コロナウィルスの話題も落ち着きを見せ、授業形式はようやく通常の対面授業に戻るかたちとなりました。以前、遠隔授業も経験しましたが、やはり対面で行う授業のライブ感、複数の学生さんが同じ教室でお互いの活動が見えて刺激もある環境は良いものだなぁと、初回授業を終えて実感しました。
愛知工業大学での設計指導も気がつけば9年目を迎えるのですが、今年は設計製図で指導者1人が受け持つ学生さんの人数が過去最多でした。
3コマ続きのエスキス指導は気力も体力も目一杯使って取り組むことになりそうです。
大学での授業、進行中の設計実務とも、エネルギーを込めていきたいと思います!
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