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敷地から
建築設計事務所への最初のお問い合わせは、どのタイミングで行うのが良いのか判断しにくいという方もいらっしゃるかもしれません。
実際のお問い合わせは、敷地や建物へのご要望、ご予算感を含めた諸条件を定めつつある段階でお話をうかがうことが多い印象ですが、弊社では、ご計画内容がしっかりと定まっていない状況からでもご相談をお受けしています。
土地のご購入前、または複数の候補地をお考えのタイミングでご相談の場合、まずは候補となる敷地を一度見させていただくなどして、その土地の持っている優位性や懸念事項について、できるだけ客観的な見方でアドバイスを差し上げています。
定められている建築法令制限、土地+建築のご予算のバランス、クライアントのご要望と周辺との関係から予想される建築計画の可能性、作業等の見通しなどをお伝えしますと、大凡の方向性が共有できると思います。
ご希望のイメージと現実的な諸条件との調整をどのように解決していくのか、そのあたりが徐々に見えてきますので、次の具体的な検討へと移行しやすくなると思います。
冒頭の「設計のお問合せのタイミングをいつにすべき?」
という点については、実際のところ決まりがある訳ではありません。
設計を進めていくプロセスでは、一般に多くの調整事項があり、それらを一つ一つ解決していくこととなります。
そのため、計画地でどんな案が実現するのか?が最も気になるところですが、誰と一緒に計画を進めていくか?という視点で、信頼できる「設計者」を決めていただき、条件整理を含めた検討を進められますと、より充実した建築が実現していくと思います。
先日、少し遠隔地ですがご相談があり、一度敷地を見させていただきました。そこから北側に見える景色が素晴らしく、特徴のあるフォルムの樹木が心に残りました。
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跳ね馬と駒打ち
先日、新潟・上越へ家族で出かけてきました。
写真は、上信越自動車道の新井PA(下り)からの1枚です。
画像の中央やや左に「妙高の跳ね馬」と呼ばれる雪形が見えます。
「跳ね馬」は、妙高山(2454m)の北側にある、外輪山のひとつ神奈山(かんなさん/1908.9m)の北東側中腹に出現し、頸城平野一円から見ることができる雪形で、4月中旬〜ゴールデンウィーク頃に確認できるとのことです。道中、ちょうど天気にも恵まれ見ることができました。
新潟へ向かった目的は、しばらく顔を出せていなかった新潟の両親に会いにいくことと、義兄の管理する山で倒木に「ナメコの駒打ち」体験を娘にさせようというものです。実際は、自分が一番その気になっておりましたが・・
倒木は、かなり大きなものもありますが
今回は主に作業しやすいサイズにカットしてもらった木にナメコの種駒を打ち込む「原木栽培」を行います。
↓天然ナメコの収穫については、はじめて体験した2019年に以前のブログで紹介させていただきましたが
https://hm-a.jp/natural-nameko-picking/
駒打ちして栽培するのは、初めてのことで、期待が膨らみます。
まずは電動ドリルで駒打ちのための穴あけを行います。
娘はドリル作業が楽しい様子。
これは、サクラの倒木です。
次に、菌たっぷりの種駒(市販のもの)を1つひとつ、あけた穴に押し入れ、ハンマーで打ち込んでいきます。
打ち込みの間隔は、15cmくらいを目安に。
針葉樹でなければ、いろいろな樹種で栽培できるようです。
「サクラ」、「クリ」をメインに、少し珍しい樹種で「コシアブラ」、「シラカバ」にも打ってみます。
最終的に、駒の数を合計1000個くらい打たせてもらい、作業を終了。
収穫はこの秋ではなくもう1年先の秋になりますが・・今から期待が膨らみます!
GW明けから早いもので、気がつけば5月も残り10日ほどですね。
ひと時の自然の癒しをいただいて、新規のご相談も、継続プロジェクトも張り切って取り組んで行きたいと思います!
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九段ハウスにて
先月末(4月29日)まで、東京都・九段下の「九段ハウス」(1927年竣工)で開催されていました展覧会「フリッツ・ハンセン 150th – タイムレスデザインの証」にご案内をいただき、足を運んできました。
創業150年となるデンマークを代表する家具メーカーのフリッツ・ハンセンの展覧会です。ポール・ケアホルム復刻版の新作アイテムもここでお披露目、世界初公開とのことです。
会場は、九段下の駅から徒歩5分ほどのところに静かに佇む「九段ハウス」です。この建築を少し調べますと・・
小間物商で財を成した山口家5代目山口萬吉の私邸として建てられたRC造、地上3階・地下1階のスパニッシュ様式の洋館。構造を東京タワーや通天閣などで知られる「耐震構造の父・塔博士」内藤多仲、意匠を木子七郎のほか今井兼次、吉田鐵郎、家具や建具を梶田恵という錚々たるメンバーが手掛けたとのこと。
戦災を逃れ、登録有形文化財となっている建築です。
そのような特別な建築を会場とするところも、歴史のあるフリッツ・ハンセンの展覧会にぴったりな感じです。
ホールから階段を上がると、手の込んだデザインの手摺越しに2階和室が見えてきます。
150周年を記念し、ポール・ケアホルムが手がけた初期の頃のデザイン「PK 0」と「PK 60」が復刻アイテムとして発表されていました。
和室の掛け軸は、「PK 0」のドローイングです!
以下、地下1階〜3階・屋上・庭・ディテール・素材など
写真(4/22:伊原洋光、4/27:伊原みどり 撮影)を紹介します。
時間をかけてじっくりと見たいと思う、素晴らしい建築と展覧会でした。
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建築のリテラシー
通常業務の建築設計実務と併せて行っています大学の非常勤講師の活動もこの春で8年目を迎えます。
今年度は2つの大学(愛知工業大学 建築学科で2講座、中部大学 建築学科で3講座)で授業を担当します!
4月、新年度の授業がはじまりました。
先日、愛知工業大学で初回の授業を行ってきました。
遠隔地ですが、午前中に座学を1コマ、午後に設計演習を3コマ行うという、ダブルヘッダーの1日となります。
午前中、大講義室での座学は「建築ディテール」という授業。新型コロナウィルスの心配はまだ続きますが、座席間隔をあけて座っていただき、通常の対面形式で行います(開始前に講義室の写真を1枚パチリ)。
昨年、遠隔の動画配信の授業形式も経験しましたが、やはり履修者の学生さんの顔が見えるかたちで授業を進める方が話しやすいですね。ちなみにネットでは、コロナ禍で遠隔授業を経験した学生さんが対面授業になった際、受講態度に困惑している大学が多数あるという記事を目にすることもありまして・・正直なところ少し心配もありました。しかし初回授業を終えてみると、90分間とても静かに聞いてもらえて、ホッとしました。数年経験しても、初対面の学生さんたちがどんな雰囲気なのかちょっと緊張感するものです。
そして午後は、建築学科3年生の設計演習。いわゆる設計製図の課題、デザイン全般の指導です。
合計150名ほどの学生さんを6名の先生(大学常勤2名・非常勤4名)グループに分け、一人一人の学生さんと対話をしながら指導を進めています。学生さんそれぞれの個性を尊重しながら夕方まで5時間近く続けて設計指導をするのは、指導者にもかなりのエネルギーが必要で、体力・集中力を試されているかのような・・
ただ大変な中にも、学生さんとのやりとりでハッとさせられること、刺激をいただくことは多々あります。指導する立場になってあらためて基本事項を自分で学び直すことにもなったりします。
これから建築界で活躍していく学生さんが、座学でも設計演習指導の授業でも、建築に関する知識を多く詰め込むだけではなく、私がこれまでの設計実務で実感した、重要ポイントをしっかり伝えられたら幸いです。過去に比べて、建築に関する表面的な情報がインターネットやSNS上では増大していると思われますが、そんな中でも建築を正しく理解し、つくり上げることができる総合的な判断能力を身につけて欲しいものです。
一般の方がはじめて家づくりを経験される際にも、建築設計者は建主さんと共に「建築のリテラシー」を高めていける存在でありたいと感じています。大学非常勤講師での活動が、実務設計にも良いフィードバックをもたらす好循環を生み出していると信じ、取り組んでいます。
blog category:大学・教育
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「都市デザイン横浜」展
先日、横浜市の都市デザイン50周年を記念した展覧会
「都市デザイン 横浜」展 〜個性と魅⼒あるまちをつくる〜
を観てきました。
会場:BankART KAIKO
(横浜市中区北仲通5-57-2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F)
会期:2022年3月5日〜3月29日→4月24日まで延長されています
https://toshide50.com
会場に入りますとはじめに、壮大な都市模型(縮尺1/1000)が目に入ります。
(ベースの模型製作は森ビルさんのようです)
この模型で都市全体を俯瞰しますと、何故か普段は意識しないような少し大きなスケールで物事を想像したくなります。
大きな事業を考えているクライアントと一緒に模型を見たら、気持ちが高まりそうですね。
展覧会場で紹介している、これまでの都市デザインの変遷、デザイン手法などは、展覧会図録にまとめられていますが、入場時に図録(3,000円 税込)を購入すると1名の入場料(700円、横浜市民500円、学生300円)が無料になります。
カラーで350ページという展覧会図録で、充実した資料になっています。
会場には横浜市役所(8代目市庁舎)の模型展示もありました。
縮尺:1/300、設計監理:竹中工務店・槇総合計画事務所・NTTファシリティーズ
展示を見た後、すぐ近くに建つこの新市庁舎を実際に立ち寄ることも容易で、異なるスケールの模型と実物の建築を体験できるのも興味深いです。
少し歩きますと、昨年出来た「YOKOHAMA AIR CABIN」も見えます。
動きがあって、横浜の都市景観の変化や活気を感じますね。
ゴールデンウィークに参加予定の建築イベント会場となっています「ランドマークタワー」と「YOKOHAMA AIR CABIN」を重ねた写真も撮れました。
模型と実物の建築、情報量の多い図録と、都市・建築の勉強になる展覧会でした!
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event/建築家展(静岡・浜松 2022.04.23-24)
2022年4月23〜24日に開催されます建築イベントにお声掛けいただきました。
(建築家との家づくりをサポートしています、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン主催のイベントです)
開催日時:
4/23 (土) 10:30〜18:00
4/24 (日) 10:00〜18:00
開催場所:
サーラプラザ浜松 4F・ホール
静岡県 浜松市東区 西塚町200番地
関東、関西、中部地区から、建築家8名が参加します。
全日程とも 入場・相談無料のイベントです。
建築家との家づくりにご興味ある方は
是非一度、この機会に足を運んでみてください。
↓イベントの詳細は、こちらをご参照ください。
https://events.asj-net.com/events/15511
blog category:出展イベント
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E2A 展覧会「Methodologies – スイス建築の方法論」
スイスの建築設計事務所・E2Aの建築作品とその建築思想を紹介する展覧会「Methodologies – スイス建築の方法論」に行ってきました。
都内にあるスイスブランドのショールームまたはストア・計4カ所にて同時開催されています。
会期は、2022年3月18日〜4月7日ですが、その内の2会場に、終了する前に足を運ぶことができました。
E2Aは、スイス出身の建築家の2人、ピート・エッカート(Piet Eckert)とヴィム・エッカート(Wim Eckert)の兄弟が、2001年に設立した建築設計事務所。国内外のコンペティションなどで勝利を収め続けるなど、スイス建築界でも注目されている事務所の1つです。
会場1:USMモジュラーファニチャー ショールーム
所在地:東京都千代田区丸の内 2-1-1 丸の内 MY PLAZA
2階が展覧会場となっています。
本展覧会用に、3Dプリンターで製作された模型と
水平設置のパネル化された図面。
展覧会では、抽象性と現実性という相反するテーマが掲げられています。
抽象化された3Dプリンターの模型については、コンセンプトをわかりやすく示す一方、細部については不明です。また実施設計図面は「コンセプトを現実へと運ぶ乗り物とも言える」との解説もありました。
これらの異なる建築ツール、メディアを同調させながらデザインを決断していくところが、設計作業において重要なポイントになるというメッセージなのでしょう。
会場2:クリエーションバウマン ジャパン 東京本社ショールーム
所在地:東京都港区南青山6丁目3-3
吊るされた展示形式の写真パネル、表面(抽象性)と裏面(現実性)。
図録も購入。
各ページレイアウトも美しいです。
正直なところ、まだ展覧会で示されたメッセージを十分に読み取れたとは言えませんが、展示会場の設定から展示の形式と内容、図録まで、すべてにおいて非常に精緻に検討された結果であると強く感じました。
2会場の訪問でしたが、刺激をいただく素晴らしい展覧会でした!
↓展覧会の詳細は、こちらを参照ください。
http://js-aa.org/event003.html
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田園都市建築家の会 第7期理事会
所属建築家として活動をしています一般社団法人「田園都市建築家の会」の第7期理事会が発足しました。
新理事メンバーで地元の横浜市青葉区にあります驚神社にて商売繁盛の祈願をしてきました。今年はちょうど桜が満開で清々しい日でした。
理事会としての活動は、早いもので第5期から継続して3年目を迎えることとなりとなります。特に先期はコロナ禍で十分な活動ができなかったこともありますので、重責を感じながらも何とか明るい話題が多くなるよう会を盛り上げていきたいです!
メンバーは写真の左から、当山さん、臼井さん、(神社の方)、私、高橋さん、あと写真を撮影されている遠藤さんの計5名です。
1年間どうぞよろしくお願いいたします!
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蒸気霧
「三寒四温」という言葉は、本来は中国(東北部)で冬季、寒い日が3日ほど、そのあと4日ほど温暖な日が続き、また寒くなるというように7日周期で寒暖が繰り返される現象を指すとのことですが、日本では春先に使われることが多いと思います。
このところ暖かさも増し、街のあちこちで桜の花も膨らんでいます。
しかし春の兆しが感じられる中、今週は急に寒さが戻る日もありました。
先日、吉祥寺・井之頭公園に足を運ぶ機会がありましたが、その日は、みぞれ交じりの雨でかなり寒く、池には一面に湯気が立ち込めていました。
この光景は?と後で調べてみると、冷たい空気と水温が高めの時に起こる現象で「蒸気霧」ということがわかりました。
池の中のカモたちは、元気に潜ったり、むしろ楽しんでいるようにも見えます。水中の方が暖かいからでしょうか。
四季の変化、美しい自然現象を感じながら日常を過ごすことができる、日本の環境というのはやはり豊かなんだなぁと、感じるひと時でした。
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田園都市建築家の会 3/20(日)家づくり相談
「田園都市建築家の会」3月20日(日)の家づくり相談 は、hm+architects 伊原洋光 が担当します。
田園都市建築家の会では、家づくりに関する様々なご相談を無料でお受けしています。たまプラーザの「家づくりカフェ(相談・打合せスペース)」にて皆様のご来場をお待ちしています。
日時:2022年3月20日 10:00〜17:00
場所:横浜市青葉区美しが丘1-12-3 第7松美ビル201
田園都市建築家の会では、具体的な設計ご依頼の前に、しっかりと検討したい下記の内容について日々様々なアドバイスを差し上げ「建築家との家づくり」をサポートしています。 是非ご活用ください。
・土地探し(エリア、価格、法令チェック、仮のプラン検討、進め方 など)
・資金計画(土地+建物+その他必要な費用、銀行ローン手続き など)
・建築家探し(建築家との家づくりの流れ、自分にあった建築家選び など)
↓3/20 詳細はこちらをご参照ください。
https://www.denen-arch.com/post/10648
毎週末(日曜日)につきましては、所属する建築家が「家づくりカフェ」にて「建築家無料相談」を開催しています。週ごとに担当建築家がかわり、皆様のご来場をお待ちしています。
また日曜日以外(平日のご相談)もご予約可能となっています。建築家または田園都市建築家の会ディレクターよりお問い合わせ内容にお応えいたします。お気軽にご連絡ください。
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3年毎
本日、3年毎に受講しなければならない「建築士定期講習」を無事に修了いたしました。
建築関係者でなければ、この講習についてご存知ない方が多いと思いますので、参考までに補足しますと・・
「建築士定期講習」とは、建築士事務所に所属する建築士に対して法令で受講が義務付けられた講習です。建築士は、業務の実施に当たり必要となる能力を確実に身に付けておく必要があるため、3年度ごとに最新の建築関係法規等について習得する、というものです。
時期としましては、2008年に建築士法の改正があり、2009年度からこの講習の運用が開始されました。実はそれ以前は、一級建築士も二級建築士も資格を一度取得すれば講習や更新手続きもなく(変更の届け出や違反などなければ)永年保有する資格でした。
しかしながら、2005年に構造計算書の改ざんが発覚した「耐震偽装問題」が契機となり、建築士の専門家としての強い倫理意識が求められるようにました。最終的には業務を行う建築士に定期の講習を義務化することが法令遵守の厳格化につながるとされ、現在に至ります。
正直なところ、この定期講習がスタートした当時は、一部の建築士の不正事例によって、建築士すべての実務者に講習を義務付ける?という疑問もありました。
知人の建築士の中には、講習を「3年に1度の苦行」と表現される方もいます・・
講習の内容としては、講義を合計5時間+その内容確認の試験を1時間行うものとなっており、昼食の休憩を加えると都合7時間ほど必要です。指定の会場に出向いて丸1日かかりきりになってしまうため、それなりに疲れます。
この法改正があった後、建築士が最初に受講する時期については3年以内の猶予期間があったのですが、当時の私は何も考えずに初年度の2009年度に受講をしました。それから気がつけば今回でもう5回目の受講となりました(回数だけに着目すれば初年度に受講した建築士の方は、5回で最多となります)。
実社会では建築に関する話題は時代とともに変化し、様々な要請から建築法改正も行われていきます。そうした中、実際にこの定期講習を3年毎に受講をしてきますと、日常の実務作業に直接は関わらない話題などもあるため、これらをまとめて解説してもらえるのは実はありがたい状況だと個人的には感じるようになりました(賛否様々な意見はあるところですが)。
他の士業をされている国家資格で、こうした制度がない業界でも専門性を保つためにこうした制度があっても良いのかなと思ってみたり・・
私は今年度の受講は、コロナ禍で少し躊躇していましたが、結局3月の予約としました。ただし今回は以前とは異なり、受講の形式が選べるようになっています。従来型の形式に加え「オンライン形式」が選択可能になりました。事前に講義だけ動画配信で学習し、試験(修了考査)のみ指定会場で1時間受けるスタイルです。今回はそのオンラインとしてみました。
申し込み後、郵送されてきた講習テキストを参照しながら・・
視聴時間については小分けにすることも、自分の都合で深夜などに講義を聞くことも、暖かいお茶を飲みながらも可能です。また動画を戻してもう一度説明を聞き返すこともでき、自由度は高いです。
試験(修了考査)の会場は、以前利用したことがありましたので、新宿エルタワー17F(指定確認検査機関 ビューロベリタスジャパン)を選択しました。
「修了証」交付については、当日発行を事前に希望しておきましたので、1時間の考査後すぐに採点してもらい、待ち時間は10分ほどで無事に受取ることができました(あるいは後日の郵送希望かを選択できます)。
従来形式の受講も、その1日で全て終えられる時間集約の良さもあると感じつつ、オンライン形式を経験してみると、どちらかというと3年後の講習でもこの選択肢があったら、選ぼうかなという印象です。
そういえば、コロナ禍の大学の非常勤講師の担当授業では、学生さんから「オンデマンド方式の動画配信の方が都合良い」という意見と、「ライブ(対面)で先生の授業を直接受けた方がわかりやすい」という両方の希望があったことを思い出しました。
はじめて講義動画を作るのは大変なんだから・・と当時は思いましたが、利用者目線になると、確かに両方あるなぁと実感しますね。
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New Project/模型づくり(その2)
前回のBlogでは、吉祥寺(東京都武蔵野市)での住宅プロジェクト「House in Kichijoji」について、初期のスタディで製作する敷地模型(縮尺1/100)についてお伝えしました。
今回は、詳細模型について触れたいと思います(ここでは縮尺 1/50 以上を詳細図面、詳細模型と呼ぶこととします)。
建築設計をする仲間に聞いても、住宅の設計での模型は、縮尺 1/100 あるいは 1/50 でスタディすることが一般的だと思います。1/100、 1/50 の縮尺はともに、設計の図面で用いることが多いため、図面・模型で縮尺を一致させるメリットもあります。
ただし、1つ模型を製作した後は、図面でしっかり検討して進め、複数の模型をつくったりしないケースの方が多いかもしれません。
仮に1/50模型の場合、1/100に比べ長さが2倍、面積的には4倍の大きさのものを製作することになります。計画建物の規模にもよりますが、模型のサイズ的には机上で扱いやすく、内部空間のイメージも理解でき、何かと都合が良いところがあります。
私が考える詳細模型の主な目的は
1)スタディのため(設計者の検討を詳しく進める上で必要な素材)
2)説明のため(クライアントに建物イメージをより具体的に示す)
だと感じますので、縮尺が変わっても前回のBlogと項目としては同じですが、確認し、伝えたい内容はより具体的になってきます。
基本的に、模型はどんな縮尺であってもそれぞれ設計の検討作業では有効だと思います。空間や部材のプロポーションを考える時も、肉眼で立体的に確認できる(CGなどで透視図的に見るのと少し違いもあります)ので便利です。また模型に自然光に当てて見ますと、物理現象としては実現する建築の光環境とほぼ同じで、嘘はつけません。詳細模型は、敷地全体の模型よりも建築内部、細部の臨場感が増してくるところが大きな魅力です。
詳細模型をつくろうとすれば、当然内部・外部の見え方・おさまりをどうするか、設計で具体的な寸法や材料の取り合いを設定していかないと、作業は進めにくく・・このスタディによって、その案が抱えている課題、デザインの方向性なども確認できます。
写真は、縮尺 1/30 で製作した模型です。
1/100模型と比較すると長さ約3倍、面積的には9倍の大きさになってきますので、 1/50 サイズより当然ながら大きくなります。
詳細模型は、建物のみを表現することも多いのですが、本計画では敷地が40坪ほどでしたので、建物と一緒に敷地境界内は全て製作しました。敷地・建物のレベル差の説明など、よりわかりやすくなります。
外構のガレージ出入り口まわりについては、坂道となる前面道路に取付くため土間コンクリートで3次曲面的な表現になりますが・・
模型では、ねじれ面を何とか擦り合わせながら、まずまず精度も良く完成イメージがわかるように製作できました。1/30程度になると、1/50模型より実寸が大きいので、こうした細かな検討部分・表現では、かえってつくりやすくなることもあります。
内部の検討のため、通常は各フロアごとに製作し、インテリアのイメージも理解できるようにします。
模型としては、どこで分割し(外すことが出来て)見えるようにするのか?
など考えながらつくるのですが・・そこは建物ごとに悩むところです。
製作中は、頭の中で想像するイメージが、徐々にモノ(模型)として見えてくる中、手で組み上げていくことで、頭と目と手が全て連動していくようなところが模型スタディの楽しいところなのかなと感じています。
また建築の一部分(階段や開口部まわり、庇など)だけを検討する際に、1/10や、原寸の1/1まで検討・製作することもあります。
過去には、ディテール確認のための模型を考える際、原寸だと模型が大きすぎて製作も大変になるから 1/2 くらいにしようと考えてつくったこともあるのですが・・すごく精巧につくったものの、不思議なことにサイズ感がつかめない、結果的にほぼ使えない模型になったという苦い経験もあります。
模型の縮尺については、ジャッジする際に設計者の身体感覚に合うものでないとうまくいかないものだとすると、結構繊細な話題ですね。
長い期間(20年以上)慣れ親しんだ、こうした模型によるスタディは、設計を進めていく上で私たちの肌に合っているのかな?と思っています。
前職まで振り返りますと第一工房時代、模型をつくる速さはそれほどでもなかったと思いますが、自分としては精度良くつくることを毎回心掛けていたからか、入所後数年間は、複数のプロジェクトチームで図面より模型をつくる作業を多く経験させていただきました。建築専門誌に掲載されるプロジェクトの模型を、頑張ってつくったりもしました。
単純に模型をつくることは好きでしたが、スタディ時の模型が綺麗に出来る(図面が美しいことはさらに重要ですが)プロジェクトは、結果的に実際の建築も美しく完成するように感じていました。その感覚は、独立後の今でも残っています。
それから模型を収納する「箱」も模型の保管や運搬にとってはかなり重要です。個人的なこだわりとして、箱も模型とあわせて出来るだけ丁寧につくることを心掛けています。
設計のご相談をいただいてから最初に案を作成する時というのは、設計者は知的創造力をフルに働かせ、様々な条件(クライアントのご家族構成や建築への想い、ご予算、敷地の周辺環境、建築の法規制など)を総合的に調整する能力が求められます。
設計者のアイデアが形となる、模型スタディ。
設計の初期から終盤まで、なかなか他の手段に置き換えにくいものかなと思いながら・・
クライアントのご要望を盛り込み、少しでも良い建築が実現するよう、それぞれのプロジェクトで愛情を込めて模型づくりをしています。
blog category:吉祥寺の住宅
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New Project/模型づくり(その1)
現在、吉祥寺(東京都武蔵野市)で住宅プロジェクト「House in Kichijoji」を進めています。
基本設計時には、敷地の法令条件や周辺環境と計画建物の関係を確認しながらご要望を盛り込んだ案をまとめていきます。
弊社では通常、模型を製作し(縮尺は主に1/100)チェックしながら検討を進めます。
模型製作の主な目的としましては
1)スタディのため(設計者の検討を進める上で必要な素材)
2)説明のため(クライアントにコンセプトや建物イメージを共有)
があると考えています。
こうした内容をどんな手段で進めるかは、設計者によっても好みが分かれるところで、CGや手書きのパースなどを用いることも多いと思います。
弊社については、これまでの設計経験上、初期のスタディ時に様々な可能性をチェック・確認しながら提案ができる模型検討が、上記の1),2)を両立しやすく総合的には優れているような印象を抱いています(単に慣れがあることとも関係しますね)。
またモデル製作の工程から、環境・デザイン・機能的な整理だけでなく、実は現場・建設時の話題もある程度は想像でき、プロジェクト全体を見通す意味でも身体感覚的にしっくりとくるのかも知れません。
本計画については、前面道路や隣接敷地に高低差がありますが、スタディではこれらを模型で確認しながら検討することが特に重要になります。
建築法令として、第1種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)、第1種高度地区などの厳しい制限がある中、まずはご要望のインナーガレージを地下扱いとして容積(延べ床面積)緩和を考慮しながら建築全体のデザインを整理していきました。
周辺建物は、グレートーンのスタイロフォームでヴォリュームをつくることが多く、敷地外でも周囲にポイントとなる樹木などがあれば植栽表現も行います。
新たな建築が建つことで敷地内での利便性に加え、街の景観がどう変わるのか・・
建物だけでなく外構部分の検討を模型で行うことも楽しみの1つです。
私は 1/100サイズ程度の全体模型を製作する作業が何だか好きで、ついはまり込んでしまうことが多いです。
周辺まで情報量を広げたり、建物を細かく表現すると(コンクリートの打放しのPコンやパネルの割付なども1箇所つくると全体に及んでしまい・・)当然手間はかかります。
今回については、コンクリート壁の表現で使った2mmボードの小口面にもグレー色を貼るなどし、同業の設計者からすると「それ、1/100で必要ある?」と言われそうなところまで通常以上に製作してしまいました(各プロジェクトの状況等により作業・表現は異なりますが)。
周辺状況もある程度つくり込み、計画建物も出来るだけシンプルかつきれいに表現することを心掛けていますが、プロジェクトにより異なる敷地全体の状況、建物の在り方(空気感)が滲み出てくると「良い模型が出来たな・・」と、スタディ時にも愛着が湧いてきます。
クライアント打合せで、模型をはじめて見ていただく時にどう感じていただけるか・・ドキドキするところですが、先日の打合せでは、とても気に入ってくださってホッとしました!
この敷地模型では初期検討のために建築内部に階段も作っていますが、内部空間のデザイン検証は別途、詳細模型(縮尺:1/50、1/30、1/20など)をつくりながら確認していきます。この詳細模型については別ブログにて、ご紹介したいと思います。
blog category:吉祥寺の住宅
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葉山の住宅/works写真を更新しました
弊社で設計監理を行いました「葉山の住宅/House in Hayama」の竣工写真を写真家の小川重雄さんに撮影いただき、弊社websiteのworks写真を更新しました。
works「葉山の住宅」ページの末尾にはテキストの解説も加えていますが、このブログでは内部のリビング空間「階段まわりのスペース」について少し補足したいと思います。
クライアントご夫妻は、この地の空気感に合う、おおらかな暮らしのイメージをお持ちで、はじめに以下のようなご要望をいただきました。
・吹抜けのあるリビング
・光がたくさん入る大きな窓
・LDKはつながりのある一体空間
さらに可能なら、リビングで子供がおもちゃを広げても大人がくつろぐことができるよう、コーナーが分かれていると望ましいとのお話もありました。
最終的に実現したリビングは、吹抜けのあるスペース(上写真:左側)とややコンパクトなキッチン脇に連続するスペース(同写真:右側)に、階段を介して緩やかに空間が分けられています。この小さい方のスペースを「子どもリビング」と位置づけています。奥様がキッチンに立っている時も常に目が届き、小さなお子さんと会話しやすい場所です。
窓際は階段の1段目を小上がり形状にして、人が座って過ごせるベンチ、あるいは小さなステージのような設えとしました(この部分は設計の途中で加えたアイデアです)。キッチン収納の並びに家具を置き、おもちゃなどを収納しておきます。
階段を巡る動線に沿って置かれたL型のソファ(上写真)は、吹抜けのあるリビングから階段下まで回り込み、1階の他のスペース(ダイニングやキッチン、テラス)に向き合うことが可能です。
2階の個室(寝室、子ども室)から階段を降りると、左右どちらに廻っても異なるスペースが用意されており、キッチンやトイレ、ダイニングやエントランスへの移動に無駄のないリニアな動線となっています。
またライフステージにより、L型ソファ廻りの運用イメージも変化していくことでしょう。
家族やゲストがそれぞれに居心地の良い場所を見つけ、違った過ごし方をしていても、お互い安心して居られるような、そんな住まいを「葉山の住宅」では考えました。
その他写真はこちら→ 「葉山の住宅/House in Hayama」にあげています。
よろしければご覧ください。
blog category:葉山の住宅
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2022年_あけましておめでとうございます
新年あけましておめでとうございます。
2022年は1月5日より hm+architects の仕事を始めてまいります。
昨年後半あたりはコロナ禍も落ち着きかけたようにも見えましたが・・
全国的に再び心配な話題もある年末年始となりました。
私たちは、それぞれの実家(愛知や新潟)への帰省や遠出といった移動は控えて新年を迎えました。
ブログを見てくださる皆さんは、2022年をどのようにお迎えでしょうか。
それでも、前年は自粛しておりました明治神宮への初詣には行ってきました。
早朝であれば混雑しないとのweb情報から、三が日ではありますが1月3日の朝6:40開門時間前に到着すれば大丈夫かなと予想をしまして。
実際、神宮に到着すると開門を待つ方もそれほど多くなく(密も避けられ)とてもスムーズに参拝することができました。
寒さで身も心も引き締まります。
樹木の間に射す朝陽が綺麗で、とても清々しい空気感に包まれました。
新年の良いスタートになった気がします!
私たちは、大きな自然災害やコロナ禍から、一人で居ることや誰かとずっと一緒に居続けることを改めて意識することになったと思います。
設計では、場所の特性を読んで自然・人との距離や関係を建築の形にしていくことが当然大切になってきますが、そうした基本に立ち返りながら、今年も1年hm+architectsとして(個人としては2大学での非常勤講師も含め)1つ1つの活動を頑張っていきたいと思います。
皆さま本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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葉山町での撮影と横須賀美術館
先日、弊社で設計監理を行ってまいりました「葉山の住宅」について、竣工写真の撮影を行いました。
外構工事の一部と植栽工事の時期を調整したことなどから、お引き渡しから少し時間経過したタイミングの撮影となりましたが、幸い気持ちの良い晴天に恵まれました。
撮影は、今回も建築写真家の小川重雄さんにお願いし、当日は設計の私たちも立会ってきました。
私たちはプロジェクトの最初から、クライアントのリクエストをお聞きしながら現場に何度も足を運んで、建築の設計を行います。さらに建設時も現場監理を行っていますので、当然建物の隅々まで把握しているはずなのですが・・
写真家の小川さんは、設計者が自覚できていない視点や構図、一瞬の光の状況を即座に読み取って撮影して下さいます。当日撮影に立ち会っていれば、およそどこからどの向きで、どんな写真を撮られたのかわかりそうなものですが、最終的には毎回予想外な素敵な写真をご提示いただくことになります。
良い形で竣工写真として記録に残すことは、クライアントにとっても望ましいことだと思いますが、一流のプロの仕事を見せていただくことは、私たちにとっても大きな楽しみです。
カッコ良く見えた撮影時の小川さん。スナップ写真を1点あげさせていただきます・・
今回、夕景待ちで少々時間がありまして、横須賀美術館まで小川さんとご一緒して足を運んでみるというボーナス経験もさせていただきました。
この日は展示入替え期間でかつ平日でしたので来館者は少なく、また過去数回訪れた中でも一番景色が良く見え、とてもゆったりとした雰囲気でした。
撮影の立会い・補助で現場に来ているはずが、こうしたリラックスタイムを過ごさせていただくのはとても新鮮でイイ感じでした。
屋上より
船や対岸の富津岬までクリアに見えました。
美術館は、各所に力の入った設計です。
変わらず特別な存在感を示していて感心します・・
屋外の景色を眺めるだけでなく、建築が大切に使われている様子も拝見することができました。優しい気持ちになれて良かったです。
その後は葉山町の現場に戻り、無事に夕景までおさめていただけました。
小川さん、1日どうもありがとうございました。
後日、最終的な写真をご紹介できる状況になりましたら、随時こちらのwebsiteにアップしたいと思います。いましばらくお待ちください。
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中部大学にて
大学の非常勤講師として、今年度の秋学期は、毎週金曜日に愛知県春日井市にあります中部大学で授業を行なっています。
午前中は座学で「建築構法Ⅱ」、午後には設計製図の指導で「建築デザインⅡ」という授業を担当しており、ダブルヘッダーで頑張っています!
座学が1限ということもあり早朝の新幹線に乗って夜の帰宅までは16時間くらいかかりますが、基本は日帰りにしています。座学は事前の講義準備や採点・評価、また設計演習は対面クリティークの瞬発力が必要で、毎年大変なところはありますが・・数年経験しまして何とか慣れてきたようにも感じます。
そんな1日を中部大学で過ごしていますが、キャンパンス内にはとても緑が多いので、授業の合間に散策するだけでもちょっとした息抜きになります。
長年キャンパンス全体の整備に尽力された中部大学の前理事長さんは、新規の施設整備の際にも既存樹木をできるだけ切らないよう大切にされていました。あちこちに見られるケヤキやイチョウの大木は堂々と存在し、キャンパスと人々を見守っているようです。
ケヤキの左手建物は、前職で設計を担当しました不言実行館です。
また学内には池、庭園もいくつかあり、四季折々の表情を見せてくれます。
新緑の時期も清々しく素晴らしいのですが、私は秋から冬にかけての紅葉の景色が特に好きです。
さらに庭園だけでなく、茶室を含む日本建築もキャンパスの中央部に整備されています。全国的に見ても特別なキャンパスと言えると思います。
写真の「洞雲亭(どううんてい)」は、香川県小豆島内海町坂手の洞雲山観音寺の庫裏の建物でしたが、建替えに際して同寺住職加藤義昇氏から寄贈されたもの。文化9(1812)年に建築したことを記録する棟札のある貴重な古建築です。
大学での指導もこの1、2年を振り返りますと、コロナ禍を経験して様々な対応が求められました。コミュニケーションの取り方もツールも進化する部分があったと思います。基本的には人と人が対面で会うことの意味、良さを考えることになりつつ、一方で強制的に遠隔対応を経たことによる良い発見もいくつかありました。以前は活用していなかった大学のデータ共有のシステムで解説資料を履共有したり、個別に疑問や意見を引き出すためアンケート収集のシステムを利用するなど、学生さんにも指導者にも良いフィードバックがあると実感できました。コミュニケーションとしては、こうしたハイブリッドな指導が一般化してきている気がしますが、率直なところ、大学が情報提供するサービスレベルは、自分の学生時代とは違い、かなり便利になっていると思います。
ただ指導者も学生さんも細々とさだめられた作業対応は多くなり(私はそれほどインタラクティブな進め方を実現できていませんが)、使い易さと大変さの両方があります。まぁツールが変わっても変わらなくても、考える力を身につけるという本質的なところに迫ることができれば、何でも良いとは思うのですが・・
建築でも、時代とともに変わる部分と、変わらない部分が当然あると思うのですが、およそ変わらない価値にフォーカスできたらいいのかなぁと、考えています。
キャンパスの散策から少し話が逸れてしまいました。
こちらの写真は、14号館の外構部分ですが、8年ほど前に設計を担当させていただいたところ。やや人通りの少ない樹木の影手になるところが、透水性インターロッキング200角 苔仕上げ!になっていました。こうしたグリーンのカーペットのような表現を人為的につくることはなかなか難しいところ・・
大学内のいろいろな場所で自然の力を感じています。
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薪ストーブの火入れ
弊社で設計しました「新城の住宅」は、お引き渡し後、初めての冬を迎えます。
薪ストーブは、2階のリビング・ダイニングスペースに設置されています。
先日、その火入れに立ち会ってきました。冬の直前となるこの時期に、ストーブを納入いただきましたDLDさんから火入れ・試運転の指導をいただいて運用を開始します。
建築の設計中、薪ストーブ選びは、クライアントご夫妻と一緒にいくつかのショールームを見て回りました。
各メーカーでデザインも機能も少しづつ異なりますが、薪ストーブは本体の素材が大きく2つ「鋼板製」か「鋳物製」かに分かれています。
鋼板製は火を入れてからの立ち上がりが早いというメリットがあります。逆に鋳物製は暖まるまでの時間は一定程度かかりますが、鋳物は熱容量が大きいため余熱も持続する(冷めにくい)という良さがあります。
見た目も比較的シャープさを表現しやすい鋼板、重厚感のある鋳物、といった違いも。また鋳物は鋳型を作るなどの工程もあり、一般に価格も鋼製よりやや高めのイメージでしょうか(メーカーや製品にもよりますが)。
クライアントご夫妻があれこれ悩まれながら、最終的に選定したのは鋳物製。
ドイツのBRUNNER(ブルナー)社の「IRON DOG Nº07(アイアンドッグ Nº07)」です。
暖房面積は 50〜90㎡、燃焼効率が高い(85.3%)、正面扉のガラス面積が大きく炎が見やすい、さらに横から薪を入れることが可能なサイド扉がある、全体のデザインが建築のイメージや生活スタイルに合いそうなこと、などがポイントとなりました。
様々な想いを込めて選んだ薪ストーブ・・
いよいよ火入れを行います!
はじめに薪の組み方の基本を教えていただきます。
最下部にしっかりとしたサイズの薪を2本、その上に焚き付け用の細い薪を井桁状(菱形)に組むイメージです。
その後、上部に着火剤を置いて・・
そして着火!
奥様に体験していただきました。
どなたでも簡単に着火できそうです。
着火後も無事に燃焼が進み、まずは一安心です。
サイド扉の右下にあるバーで空気量を調整します。
(着火時は、全開の状態)
また今回の設計では、ストーブ直下に外気を直接導入するダクトを設置し、ストーブの燃焼・煙突のドラフト効果を高めています。
(写真の中央、床下より外気導入)
ただし、直接の外気導入を行なっても、同一空間に換気設備が稼働している場合は注意が必要です。特にキッチンのレンジフードは排気能力が高いため、当然ですが室内が負圧になりやすく、ストーブの燃焼が不十分になるだけでなく、煙が室内に逆流することもあるとのこと。念のため、着火時に少しだけ窓を開けたりするなど、運用上の安全配慮もしたいところです。
(本計画では、万が一負圧になった場合でも、ストーブ近くに設置した差圧ダンパーで自然に外気が入るようにしています)
そのほかDLDさんからの解説で、①メンテナンスの重要性(煙道火災が起きたりしないように)、②ストーブ本体表面温度の管理(200〜300℃を維持)、③灰の扱い、④十分に乾燥した薪を使用すること、⑤ならし運転が必要なこと(新品の薪ストーブ)、などをお教えいただきました。
あと、美味しいピザを焼くコツも・・
日常生活の中に、冬らしさを感じる薪を扱う行為が1つ加わります。
火入れに立ち会い、心も体も暖かくなる「薪ストーブのある暮らし」がとても羨ましく見えました。
写真撮影
1枚目:小川重雄、その他:hm+architects
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田園都市建築家の会 12/5(日)家づくり相談
「田園都市建築家の会」 12月5日(日)の家づくり相談 は、hm+architects 伊原洋光 が担当します。
田園都市建築家の会では、家づくりに関する様々なご相談を無料でお受けしています。たまプラーザの「家づくりカフェ(相談・打合せスペース)」にて皆様のご来場をお待ちしています!
日時:2021年12月5日 10:00〜17:00
場所:横浜市青葉区美しが丘1-12-3 第7松美ビル201
田園都市建築家の会では、具体的な設計ご依頼の前に、しっかりと検討したい下記の内容について日々様々なアドバイスを差し上げ「建築家との家づくり」をサポートしています。 是非ご活用ください。
・土地探し(エリア、価格、法令チェック、仮のプラン検討、進め方 など)
・資金計画(土地+建物+その他必要な費用、銀行ローン手続き など)
・建築家探し(建築家との家づくりの流れ、自分にあった建築家選び など)
毎週末(日曜日)につきましては、所属する建築家が「家づくりカフェ」にて「建築家無料相談」を開催しています。週ごとに担当建築家がかわり、皆様のご来場をお待ちしています。
(当日、ご予約なしのご来場でも担当建築家と相談可能です)
↓詳細はこちらをご参照ください。
https://www.denen-arch.com/post/10312
東急田園都市線の「たまプラーザ駅」が最寄駅となっており、駅から徒歩5分のところに会の拠点「家づくりカフェ」があります。ここで定期的に家づくり相談・打合せなどを行なっています。お気軽にお問い合わせください。
一般社団法人 田園都市建築家の会
www.denen-arch.com
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無塗装で6年経過したレッドシダー
週末は、以前弊社で設計しました木造平屋建ての「犬山の住宅」(2016年竣工)にお招きいただき、家族で伺いました。
早いもので建物の竣工から5年と9ヶ月ほど経過しています。
クライアントご家族の暮らし振り、建築に問題がないかなどお聞きしながら楽しいひと時を過ごしてきました。
写真は、外壁の施工時期から数えて約6年経過したレッドシダー(t=18mm/チャネルオリジナル)と板金の屋根です。
1年検査、その後2年、3年と特に不具合もありませんが、外壁の縦羽目板(樹種:レッドシダー)はあえて無塗装のままとしており、経年変化については実際に見て確認しておきたいポイントの1つでした。
現地を訪れますと、外壁は、以前よりも落ち着きのあるシルバーグレーに表情を変え、とても魅力的に見えました。建築全体に風格が出たようにも感じます。
設計では、木部の外壁がシルバーグレーに退色することを見越して、屋根のガルバリウム鋼板のカラーは同系色となるシルバーをセレクトしました。また外壁(妻壁)と屋根取合い部も跳ね出しを小さく留め、一般的な破風板おさまりではなく板金施工のシャープな表現としましたが、およそ意図したイメージになってきました。
ちなみに外装は自然素材である天然木ですが、レッドシダーは建材メーカーさんが国内で扱いはじめて半世紀近い実績があり、それだけ時間経過しても十分に健全な外装の事例があるとのことです。
また住宅メーカーさんの外壁に多く採用されるサイディングパネルでは目地のコーキング(止水のため)があり将来打替え等も必要ですが、この羽目板張りは実(さね)付きのジョイントで、外壁下地に通気層を設けてその内側を止水ラインとしているため、木部でそうした手間も不要です。
こちらの写真は、施工した直後の外壁の様子。
木部には新築時に保護塗装をするのが一般的で、またその後も状況を見て定期的なメンテナンス(再塗装)は必要となります。
しかしこの設計では、保護塗装をしないまま木の色が抜けるところまで一度退色が進むとその後の経年変化は比較的少ないという見通しで、無塗装としています。また保護塗装を塗ってからでも長期に放置すれば一定の退色は進みますが、その場合の退色はムラが出易く、無塗装の退色の方がより綺麗なシルバーグレーになるというのが狙いであり、さらにイニシャル(新築時の塗装)、ランニング(定期の再塗装)コストの軽減にもなります。
良い雰囲気をつくり出していた外装の確認に続き、室内についても拝見し、お話をお聞きしました。
内部に一歩入ると、エントランスの土間からリビング・ダイニングまで連続する空間が広がります。
数ヶ月前に新築でお引き渡しをしたかのような、いやそれ以上に洗練されたご家族の自然体の暮らしがそこにあり、「本当に6年近くも経っている住宅?」と言いたくなるほど。
私たちは思わず立ち尽くしてしまいました。
設計時に、平屋でこんな暮らしが出来たら・・とクライアントと一緒に考えたことが見事に実現しています。
ご家族の建築・設計への理解と愛情を感じ、涙腺が緩むほど感激しました。
生活動線に沿った、長い壁面収納。写真左下の矢印は子供室への案内板。
キッチン背面の自立壁は写真ギャラリーに。
ピアノを習いはじめて1年ほどのお子さん(小学生)のお部屋。「ここは特に程よく風が抜け、窓からは田園風景も見渡せ、すごーく快適な部屋です!」とのこと。
クライアントより「住宅全体で空間の大きさや機能面で、多くも少なくもなく、ちょうど良いと感じている」とお聞かせいただき・・
住まい手として上級者と言うしかありません!
リビングのH鋼柱には、100mm幅にぴったりの可愛らしいハト時計。
お昼もご一緒させていただき、また午後は外で子供たちと庭や周囲の田んぼで遊び(娘は初めての凧揚げを経験!)、そして再度室内でお茶をいただきながらゆったりとした時間を過ごすことができました。
建築を見れば、何年経っても設計をしていた時の建築とクライアントへの想い、あるいは当時工事に関わった多くの方々の様々な配慮が鮮明に蘇ってきます。そうした多くの関係者の前向きなエネルギーが注がれた建築に、クライアントがさらなる愛情を注いで建築を育んでくれる状況がはっきりと伝わってくる住まいでした。それは言葉にしてご説明いただかなくても、建築は日常までを雄弁に語り、私たちにメッセージとして届けてくれます。設計者がクライアントから受け取るギフトとして、これ以上のものはない?とさえ感じる幸せな経験をさせていただきました。今後、設計活動を続ける上で心の支えにしたいと素直に感じました。
長時間お邪魔させていただき本当にありがとうございました。
これからも建築の経過、ライフスタイルの変化も見守っていきたいと思います。
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シンボルツリー
「葉山の住宅」では、建築工事から少し時期を遅らせて、外構・植栽工事を行なっています。
先日、シンボルツリーとなるオリーブが現場に加わりました!
オリーブは、しっかりと太さのある幹でありながら、低い位置まで枝が付いて、全体の樹形がちょっとずんぐりと丸く見える何とも愛らしいプロポーションです。
今回、植栽工事をしていただいています「SOUTH GARDEN SHOP」代表の松戸さんが「普通のスレンダーなオリーブではつまらないので、味のあるフォルムのものを」と、時間をかけていろいろと探し見つけていただいた1本となりました。
シンボルツリーは、ご家族らしさを表すものでもあり、またその成長も人々の記憶に残ります。そして建築の外観・内観の印象を和らげ、視線や日射も適度にコントロールしてくれます。将来、植栽とともにどんな景観がつくられていくのか楽しみが膨らみます。
外構・植栽工事が整いました後に、写真撮影の予定です。また竣工写真にてご覧いただければ幸いです。
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わざわざ
週末、長野県東御市にあるパン屋さん(日用品も販売しています)に行ってきました。
「わざわざ」という名前の小さなお店です。公共交通機関もない、こんな山の上までわざわざ来てくださってありがとうございますという感謝の気持ちを込めてつけられたそうです。横浜から車で高速を使い片道3時間以上かけて向かいましたので、お店の名の通りわざわざ遠方から来た家族客となりました。1枚目の写真は、お店の外に広がる景色です。
ご自宅の一部を拡張してお店にされています。
写真正面の扉が、パン屋さんの入り口で、右手前の扉は、日用品が並ぶスペースへの入り口でした。
お店に入ってすぐ、カウンターでパンを購入できます。スコーンやクッキー、今の時期はシュトレンなどもありましたが、基本となるのは「角食」と「カンパーニュ」の2種類のパン。
お店の窯で焼いているというのは、店内のすぐ脇にある石積みの薪窯を見れば言うまでもなく・・という雰囲気です。
お店は、2009年に代表の平田はる香さんがお一人ではじめられたそうですが、その後2017年に株式会社わざわざを設立。実店舗とEC サイトの事業展開などで地域に雇用を生み出すことなど、平田さんのお考えも注目されるお店です。
店内の様子は、写真でブログなどに紹介してもOK(是非UPしてください!)とのことでしたので、いくつかあげてみます。
店内のパン・食料品スペースから、階段脇を通って日用品スペースへ。
2階、階段を登った先の屋根裏スペースにもアイテムが並びます。
以前から気になるお店でしたが、足を運んでみまして、お店の方も生き生きとお仕事をされているように感じられました。こちらで働くために移住をされる方も多いようです。平田さんのお考え、文章などの情報発信もすごく影響力があって、すごいなぁと感心することばかりです。
↓ちなみにお店のオフィシャルサイトはこちらです。
https://waza2.com
もちろんパンを買って、そして帰りの道中も立冬を迎えた長野県内にひろがる美しい景色を楽しんできました。
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media/KLASIC 記事に紹介されました
建築家ポータルサイト「KLASIC」さんの記事として
弊社設計の「新城の住宅/House in Shinshiro」を掲載いただきました。
どのような経緯、敷地条件、ご要望からどんなことを考えて設計を行なっていたのかなど、インタビュー取材を受け記事にまとめていただきました。
こちらの掲載ページをご覧いただけますと幸いです。
https://www.klasic.jp/construction/19872/
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Light Capsule
先月のことになりますが、ガラス作家の Peter Ivy(ピーター アイビー)さんが手作りで制作しています、Light Capsule(ライト カプセル)と名付けられた照明器具を見に行ってきました。
お月様のようなサインが印象的な、「51% Tokyo」(五割一分:ごわりいちぶ)さんの東京ショールームです。(代々木公園に近いこちらへ移転されたのは2021年の2月)
現在設計中の住宅プロジェクトで、しばらく前からクライアントと建築のイメージに合う照明器具を探していましたが、こちらの画像をwebで拝見し、一度足を運んでみたいと考えていました。
またこちらで扱われています、ピエール・ジャンヌレの家具を見ることができるのも、もう1つの楽しみです。
ペンダント照明の Light Capsule は、大小2サイズあります。そのうち、お目当ては写真右側の大きいタイプ(高さ約40cm)です。写真の左奥に見えるのが小さいタイプ(高さ約20cm)。
実物を拝見しますと、手づくりのため、フォルム、ガラスの質感(細かな気泡の入り方)など1点1点、少しずつ差があって、独特な存在感を感じます。フィラメントは長く、ガラス越しに光が揺らいでいるようにも見え特別な味わいがありました。何と表現して良いか・・LEDも様々に進化していますが、これはちょっと出せない雰囲気でしょう。web画像で器具を詳細まで拝見していても・・やはりこの質感は実際に見ないとわからないところだと思います。
照明を消した状態でも1つのアートワークのように見え、とても美しい照明器具です。存在感がありながら、どんな風景にも自然に溶け込んでくれそうです。
上記のように弊社で一度ショールームを訪ね、サイズや質感、フィラメント交換やコード延長は可能かどうかなど、器具の事前確認を行いました。その数日後クライアントご家族と同ショールームにご一緒させていただきました。ご夫妻とも、繊細なデザインと質感(ガラスや金物)、サイズ、光の様子も含めとても気に入ってくださいましたので、ご案内できて良かったです。実現に向けてさらに検討を進めていきたいと思います。
現代の技術革新で合理化を進めるもの、アナログな質感を求めて特別な空気感を生み出すもの、プロジェクトごとにこれらを適切に配置していくところがなかなか難しく奥深く、また同時に楽しいところでもあります。
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