diary
路面電車
愛知県豊橋市では、全国でも17都市19路線でしか運行されていない路面電車が走っています。
この「豊橋鉄道市内線」は、市民からは「市電(しでん)」の愛称で親しまれており、豊橋駅から豊橋の中心部を経由して市東部の住宅地を結んでいる公共交通機関です。
運営は、豊橋市の市営ではなく、「豊橋鉄道 株式会社」の私鉄ですね。
私(伊原洋光)にとって市電のある豊橋の街並は、昔と変わらず(市内の豊橋東高校へ通っていましたので)大変懐かしい景色であります。
ただし、当時は移動エリア的にも自転車とバスがほとんどで(成人してからは自動車を利用)、正直なところ・・市電の利用経験はほぼありませんでした。
現在、竣工に向けて工事が進んでおりますProject「豊橋の住宅/House in Toyohashi」では以前、市役所での行政打合せ時に少々市電を利用しました。料金も、一律150円(子ども80円)とリーズナブル。
停留場や車両の小さなスケール感が人に寄り添っている感じがします。
やはり新幹線+タクシー利用の時より、ゆったりとした空気感を味わえます。
大通りの中央を走る「市電」。
ちなみに、札木 – 東八町間では、日本に現存する路面電車で唯一国道1号線上を走行するそうです。
さらに井原駅近くにある分岐点カーブは、半径11mの日本一急な鉄道カーブなのだとか。
地元の方でもそんな日本一について、それほど知られていないのではないでしょうか。
1925年(大正14年)から走り始め、あと数年で100年間も走り続けることになるようです。
高度成長期に自動車交通が急速に発達し利用者数は、ピークであった昭和38年度より年々減少していたものの、平成15年を境に増加傾向にあるとのこと。
「過度に自動車交通に依存しない都市体系の構築をめざす」市の考え方は、今の時代にまたフィットしてきている気もします。
信号機には、路面電車の為の「黄色矢印」が見られます。
豊橋駅前の様子。
現場打合せの移動では、豊橋駅から主にタクシーを利用していましたので市電の利用はしていませんでした。
しかし駅のメイン改札から続く地上2階レベルのペデストリアンデッキからすぐ下に市電の車両が見えるので、何となく時々写真を撮ってみたり。
鉄道マニアではありませんが、車両の屋根上を見ると機構がモデルによって違ったりしてちょっと面白いかなと。
新型と思われるこの車両は、ネットで調べますと全面低床式車両(LRV:愛称「ほっトラム」)らしく、平成20年度の導入なのだそうです。
ほとんどの車両は、全面広告塗装。
「ヤマサちくわ」は特に豊橋っぽさを感じます。
様々なタイプの車両が見られます。
建築を学び、社会人として街を眺めますと、都市のインフラなども以前とは少し違った見え方になったりします。
何だか街も年輪を重ねたなぁと感じますが
気が付けば、自分も十分オッサンになっております。
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Not for sale
建築ポータルサイト「Houzz Japan」さんより
Best of Houzz 2019 受賞の記念品としてロゴ入りのコンベックスをお送りいただきました。
最近はこれを重宝して持ち歩くようになっています。
※建築関係者は、金属製で断面が湾曲したテープで測定するタイプのメジャー(測定機器)のことを一般に「コンベックス」と言います。
世の中にコンベックスはさまざま販売されていますが
こちらは3mタイプ、マットブラックのボディで比較的シンプルな機能とデザインです。
重量が軽いところが何だかちょうどバランス良くイイ感じです。
Houzz Japanのご担当の方からお電話をいただくことがありましたが、
このアイテムはBest of Houzz 受賞者でないと、社内の方でも貰えないらしく
それなりにレアなアイテムのようです。
私は昔から「非売品/Not for sale」という言葉に弱いタイプということもあり
建築設計や現場監理で必須アイテムの1つとも言えるこのコンベックスを
気に入って、ありがたく使わせていただいております。
私たちが普段の設計で関わります建築は、基本的に非常に大きな1品生産品です。
(多く生産されることを前提とした商品化住宅などは少し別かもしれませんが)
異なる土地やクライアントでは、仮に似た設計を求められたとしても(いくら建設費をかけても)
全く同じ建築は手に入りません。
与えられた敷地に、唯一無二の建築をつくり上げること。
そしてそれを所有し利用する満足感をクライアントの皆様へご提供できるよう設計を頑張ってまいります。
この記念品コンベックスを見て、ふとそんなことを思いました。
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2019 新学期スタート
2019年度、新学期がスタートしました。
本年度もお世話になります愛知工業大学での非常勤講師、早いもので5年目を迎えます。
昨日4/12が授業初回の日程でしたが、開始前のキャンパス内でまだ桜を見ることが出来ました。
大学での春らしさ、新年度のスタートという雰囲気を味わえて、ちょっと嬉しい気分になりました。
今年は、設計製図の指導で2年生を担当させていただきます。
学生数は約150名、学科の専門性が高まっていく重要な学年と言えますので
気を抜かずに授業に望みます・・
これまでの指導経験が関係しているかどうかわかりませんが、
今年も昨年同様、長期課題の出題者としてご指名いただきました。
名誉なこと?かもしれませんが、なかなかのプレッシャーです。
初回の授業に先立ち、他の先生方へもご意見をうかがいながら出題準備を重ねてきました。
これまでうまく行った内容を生かし、思うような成果が出なかった内容は改善するように。
この日はガイダンスの他に、何かと出番が多いハードワークな半日で
長期課題の出題説明や関係する事例の解説、建築デザインに関する特別講義、
即日作業の出題・採点、春休み課題の採点などを行ないました。
これらで準備したパワーポイントのスライド枚数は合計150ページほど・・
何とか終えられホッとしました。
建築の面白さ(大変さも?)を知るきっかけになってくれたらいいなぁと。
学生さんがはじめて取組む自由設計の作業に対し、どのように進めたら良いかアドバイスなどしますが
実は実務設計での自分への戒めになる部分も多くあったり・・
毎年ですが、何かしら指導者が学ぶ場でもあるようです。
まずは学生さんのパワーに負けないよう気合いを入れながら
次週からも頑張りたいと思います!
media/Houzz の特集記事に取り上げられました
↑HouzzのWEB特集記事、「ガルバリウム鋼板」について
弊社設計の「犬山の住宅」外観写真を取り上げていただきました。
事例としては記事上の2番目に、控え目な平屋の住宅外観が掲載されています。
屋根材として多様なデザインが可能・・という話題で少々触れられました。
hm+architects としましては、部分的にでもWEB記事にご紹介いただきまして
ありがたい限りです。
ちなみに弊社worksページでは同住宅で他の写真もUPしています。
よろしければこちら↓
「犬山の住宅/House in Inuyama」もご覧いただけますと嬉しいです。
blog category:犬山の住宅
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event/GW大建築家展(横浜) に参加します
GW10日間の大建築家展〜総勢34名の建築家大相談会〜
2019. 4/27〜5/6 横浜ランドマークタワー31F にて開催されます建築家展に参加させていただきます。
開催日時:
4/27 (土)〜5/6(月)
時間は全日程共通 11:00~18:00 入場無料
上記の開催日程のうち
私たち hm+architects/伊原洋光・伊原みどり が参加させていただきますのは
4/27 (土)〜5/3(金)となります。
開催場所:
ASJ YOKOHAMA CELL
神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目2-1 横浜ランドマークタワー31F
神奈川エリア・首都圏を中心に活躍する、建築家が参加します。
全日程とも 入場・相談無料のイベントです。
建築家との家づくりとは?
建築、住まいに関すること全般で知りたいこと、
ご興味、ご質問などございましたらお気軽にいらしてください。
セミナー開催
会期中の全日程で、様々なテーマでセミナーも開催されます。
hm+architects/伊原洋光より「ハウスメーカーと建築家の違い」について下記の日時にお話しさせていただきます。
4/28(日)13:30〜
4/30(火)13:30〜
イベントの詳細情報(参加建築家など)は
↓こちらよりご確認下さい。
https://events.asj-net.com/events/12452
お待ちしています!
blog category:出展イベント
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クリスト&ガンテンバイン展
ヒルサイドテラスF棟 ヒルサイドフォーラムで2019年3月20日〜31日まで開催されていました
CHRIST & GANTENBEINの展覧会「 THE LAST ACT DESIGN – スイス建築の表現手法」へ行ってきました。
クリスト&ガンテンバインはスイスを代表する若手建築家として知られ、これまで主にチューリッヒやバーゼルなど歴史的な都市環境の中で真摯にコンテクストと向き合いながら繊細かつ大胆な現代建築を実現してきました。
その、クリスト&ガンテンバインの展覧会は、日本で初開催です。
雑誌で建築作品を少々は拝見していましたが、詳しく知らなかったこともあり、楽しみに・・
最初の展示室、全体風景。
展示は、シンプルで美しく、繊細な表現となっていました。
実際に実現している建築の写真、模型の写真、ドローイング。
そのうち個人的には模型の写真に何とも興味が湧き・・
写真撮影可でしたので、いくつかご紹介してみます。
最後の展示スペース俯瞰。
本展覧会のために製作された古典的なドローイングの数々・・
展覧会の解説テキストでは
「建築が完成した後もこれらの媒体で建物を新たに表現することにより、その建築が持つ意味の多様性を表出させることを可能とし、プロジェクトの本質の発見に導いてくれることを期待しています。」
とありました。
建築の様々な側面を静かに炙り出すような、全体的にクールな展示だと思いました。
これらは、実現しなかったプロジェクトの模型たち。
密かにテーブルの脚部もデザインされた形に。
「移り変わりの激しい現代において、建築はとても長い時間軸で取組まれる数少ない専門分野のひとつである。建築はたいてい長期にわたって存在する(あるいは少なくともそのように想定されている)オブジェクトであり、また、形があるゆえに常に評価される運命にある。」
開館直後、来場者の少ない静かなタイミングで足を運ぶことができたこともあり、
年度の締めくくりに素晴らしい展覧会をゆったりと見ることが出来ました。
個人的には大いに刺激をいただきましたので、4月から良いスタートを切れるよう頑張っていきます!
blog category:展覧会等イベント視察
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上小沢邸 最後の見学会
建築家、広瀬鎌二(1922〜2012年)先生の設計で
1959年竣工の住宅「上小沢邸」の見学会に行ってきました。
残念ながらこの度、「上小沢邸」が解体されることが決まり、3/28(木)に最後の見学会が1日のみ開催されました。
小住宅ながら、DOCOMOMO JapanのNo.106にも選定された建物です。
これまで建物の保存のためにレストランとしての運用もされていましたが、恥ずかしながら私はこれまで実際に建物を見学したことはありませんでした。
文化庁のKさんからご案内いただきましたので貴重な最後の機会を逃さないよう見学させていただきました。
※DOCOMOMO:ドコモモは、モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織。
DOCOMOMO Japan では、日本の近代建築の再評価のための活動を行うとともに、取り壊しが予定される近代建築について保存要望書を提出す等の保存活動に取り組んでいます。
事前予約者数は300名ほどとのこと。
見学開始時間より少し前に到着しましたが、既に見学者多数の状況でした。
エントランスまわり。
竣工当初とアプローチの仕方が少々異なるようです。
南のテラスを浮かせるように見せる改修を行なった際、こちらにも手を加えたものと思われます。
板状のステップ。
玄関のガラスドア脇
コート掛け3つ、味わいのあるものでした。
内部のコンクリートブロック。
構造材であり、そのまま仕上としても60年!
何とも言えない独特の存在感でした。
現場で寸法を当たりますと、天井高さ2180mmほど。高過ぎず、低過ぎず・・
南テラスに開く大窓と、スレンダーなプロポーションの内部扉の対比など、絶妙な寸法操作感。
キッチンの上部には、丸いガラスブロックを嵌めたトップライトがあります。
(同様のトップライトがトイレ内にもありました)
屋根スラブ厚 100mmに仕込んだガラスブロック。
ただ竣工後から漏水があったそうで、後の改修工事で上部にガラスの覆いが加えられています。
竣工時に寝室だったスペースから、南テラス側を見る。
中央にはクライアントの上小沢さん。多くの方からインタビューを受けていました。
32歳の時にこの住宅を建てられ、それから60年。
広瀬先生の「ミニマリズム」に共感され、これまで愛車のフェラーリ以外はほとんどモノを所有する欲のようなものは抱かなかったとお話しされていました。
生き方全体に対する影響を広瀬先生より受けたと、過去の取材コメントでもおっしゃっています。
はじめてお目にかかりましたが、とにかく90歳代とはとても思えないお話ぶりと身のこなしで、矍鑠とされた立派な方でした。
やはり、良い建築は施主がつくるのだなぁと、しみじみ感じました。
クライアントの上小沢さんがもっと評価されるべきなのかもしれません。
見学会の様子。
建物を惜しむ建築関係者が多いことが伝わってきます。
写真の左手、母屋の南側に見えるカーポートはステンレス製です。
竣工当初からあったものではありませんが、最小限の2本足、タテ樋がないように見えるディテールで、上小沢さんが特に気に入っていたものの一つだそうです。
ステンレスH鋼の小口のみ鏡面に仕上げています。
雨水は支柱の上部に集められ、柱のウェブ材に空いた穴から流れ落ちるH鋼オープン樋でした。
私たちが前職でお世話になった第一工房 代表の高橋さんとは、古く武蔵工業大学時代から親交がおありでした広瀬先生。2012年の広瀬先生を偲ぶ会には高橋さんに連れられ、不勉強な私も一緒に参加させていただいたことが思い出されました。それから早いもので7年。そして今回は広瀬先生の建築作品「上小沢邸」へのお別れとなってしまいました。しかし桜も咲く中、最後の見学会に多くの方が集まり、華やかな雰囲気も感じました。
長い間、住宅としての役目をしっかりと果たされた名建築と、その設計者の精神、施主の声に今回触れることが出来まして幸いでした。見学を取りまとめられました「広瀬鎌二アーカイブス研究会」のご関係の皆様どうもありがとうございました。この体験を忘れないようにしたいと思います。
blog category:建築視察
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ガルバリウム鋼板
「豊橋の住宅/House in Toyohashi」の現場も大詰めに近づいています。
各種仕上工事が進んでいる状況です。
豊橋の住宅では、屋根と外壁に、ガルバリウム鋼板を同色で採用しました。
耐候性も良いため、長い間ほぼ変わらずに整った表情を見せてくれると思います。
外装のすべてがガルバリウム鋼板ではなく、部分的に
南面の庇の下、奥まった壁と軒天は天然木とし、鋼板に比べて少し軟らかい素材感としました。それぞれ壁はレッドシダー縦羽目板張(t=18mm)、軒天はカーボナイズヘム(t=8mm)を張っています。
建物のエントランスを構成する西側妻壁には、ガルバリウム鋼板が全面的に見えます。
外観に、凛々しさが出てきました。
光の当たり方で、シルバーっぽく見えたり、曇天時には黒っぽく見えたりします。
季節、天候、時間帯が変わると、その時々で景色・印象が変わります。
建物の北側には、アルミ製サッシの小窓をいくつか設けていますが、この小庇も同一材のガルバリウムで製作しました。
庇の板金加工としては一般的なおさめ方ではありませんが、現場で職人さんも交えて相談し、大丈夫と言って下さったので、同一素材で実現しました。
バックヤード側なのですが、こうした小さな工夫の積み重ね・・丁寧につくっていただき、ありがたいです。
エントランス脇、南庭に抜けるポーチ部分もほぼ完成です。
南の庇の先端、軒先には屋根通気のためのスリットを通しで仕込んでいます。
軒天は、ガルバリウム鋼板の鼻隠の下端合わせで木板をおさめ、通気スリットの存在をデザイン的には、単なる1つの目地にして消しています。
外装に続いて、室内の様子も少々写真でお伝えします。
内部でメインの空間となります、リビング・ダイニング・キッチンの様子。
画面手前には、畳コーナーとなります障子の鴨居が浮かんでいます。
一部の建具や家具、塗装などのを除いて、ほぼ仕上が見えてきました。
大屋根を支える壁が中央に3カ所見えています。それぞれ構造用合板で三本の柱を1つに固めたものですが、この住宅の中でちょっと変わった大黒柱のような?インテリアのアクセントになっていると思います。
この壁柱が屋根のスラスト受けにもなるよう構造設計者と相談して、小屋組を見せないスッキリとした意匠が実現しました。
リビングから南庭の眺め。
これから庇の下に濡れ縁がつくられ、さらに床の広がりが外部へ延びる予定です。
ピーラーの木製建具は戸袋に内蔵されますので、季節の良い時期には開放的なイメージになるはずですので・・完成が待ち遠しいです。
植栽工事は建築本体工事の後、少し先になりますが全体が整った状態でまた写真を撮影できれば、と考えています。
工事も残り僅かとなってきましたが気を引き締めて、最後までよろしくお願いします。
こちらも「ギンヨウカエデ」です!
「豊橋の住宅/House in Toyohashi」の現場に、庭のシンボルツリーが搬入されてきました。
ツリーは、何と「ギンヨウカエデ」です!
先日、拙Blogでもご紹介させていただきました「目黒の住宅」に植えさせていただいた樹種と同じです。
目黒では圃場視察を行なって高さ4.5mの1本立ちのものに決めたのですが、
こちら豊橋の住宅では、植栽工事をクライアントがご自身で行なう計画でした。
そして密かに「この木!」とお決めだったようです。
目黒よりさらに大きく・・6mの株立ちです。
住宅にこれほど立派な「ギンヨウカエデ」が入るのは、愛知県全域でもここだけなのだそうです。
立上がりますと、やはり迫力があります!
建築本体の足場が外れましたので、徐々に建築の姿も見えてきました。
ただ建築の進捗だけでなく、外構も見えてきますと、グッと全体の雰囲気が出てきます。
なかなか庭木として扱うことが珍しい「ギンヨウカエデ」ですが
1ヶ月以内に2度も植える現場に立会うこととなるとは、ちょっと驚きです。
クライアントとも、そんな偶然もなかなかないよね、と話しています。
しかし樹木のサイズ・形状、ロケーションも異なるため、それぞれの現場の完成と
さらに将来の光景が季節ごと、年ごと、どんな風に変化していくのかを想像するだけで、
今から楽しみが膨らんでしまいます。
引き続き、よろしくお願いいたします。
写真撮影
「目黒の住宅/House in Meguro」の写真撮影をしていただきました。
クライアントのお引越しの直前、ピンポイントのスケジュール調整で撮影日が定まりました。
撮影は、今回も写真家の小川重雄さんにお願いしています。
設計を行なっていますと、隅々まで建築のことをわかっているつもりなのですが
写真をまとめていただく際には、毎回自覚していないカットをいくつも見せていただくことに・・
このドキドキ感は、設計の最終段階での何とも言えない楽しみです。
準備が整い次第、WEB SITEにもアップさせていただきたいと思いますので、
いましばらくお待ちください。
私たちも仕上がりを心待ちにしております!
blog category:目黒の住宅
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三年ごと
本日は、朝から新宿へ。
平成21年より法令化されています、一級建築士定期講習です。
(写真:新宿エルタワー/こちらの17階が会場)
時間はAM9:30〜17:00。
しっかり1日の講習+受講内容のテスト、が必須メニューで
合格するまで再受講というしくみです。
3年に1度の苦行・・とおっしゃる方もいますね。
構造設計の偽装問題を受けて、やや形式的?に実施されるようになったため、
特に知識も経験も豊富な、実力のあるベテラン設計士などには不評のようです。
当時私は法令化された初年度から申し込んでしまったので(猶予期間があったのに)
今回でもう4回目の受講となります。
受講料も払うし、1日仕事できませんので確かに大変・・
でも近年の法改正内容をまとめて解説をしてもらえるのは結構助かるなぁ、
というのが個人的な印象です。
以前と比べて各法令がどう変わったかなど、1人で調べるのは実際なかなか面倒なものです。
一級建築士の専門性を保つしくみとしては、あったほうが良いルールかなと思います。
でも実務をしながら3年ごと、というのは本当にあっという間に感じるため、
自動車免許と同じく、無事故無違反ならゴールド免許ということで
5年ごとにしてくれないかな(笑)
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シンボルツリー/ギンヨウカエデ
「目黒の住宅」の植栽工事で中高木が入ります。
荷台には、「ザクロ」、「桜」、「ストローブマツ」が乗っています。
これらは以前、クライアントご夫妻と一緒に圃場を視察して確認し、選んだもの。
いよいよのご到着!
ちなみに建替え前の敷地内には、老木のザクロがあったのですが
状況から移植は困難と判断されたため、この記憶を受け継ぐような意味合いもあって
「新規に入れる樹木の一つにはザクロがあると良い」というのがクライアントのご希望でした。
やや珍しいと思われますが、ザクロは株立のものを探していただきました。
実がつくのも楽しみです。
桜は、あまり大きくなり過ぎない「湖上の舞」という品種を選定いただきました。
玄関の足元の窓からも見える位置に配置する予定です。
それと、奥様が気に入ってお選びいただいたストローブマツは、ちょっとおちゃめな見た目です。
そしてこちらは、「ギンヨウカエデ(銀葉楓)」
ご夫妻とも一目惚れ?というくらい圃場で気に入って下さった、高さ4.5mの立派なシンボルツリーです!
葉の裏が白っぽく、遠くから見ると銀色に輝いてみえることに名は由来するのだとか。
幹もシルバーっぽく、冬の落葉時も何だかカッコイイ感じで、
都内ではあまり見かけないシンボルツリーになるはずです!
まずは運搬時に縛った枝を解き、広げます。
コンクリートの土間に設けたツリーサークルに根鉢をおさめ、立ち上げられたギンヨウカエデ。
上階のバルコニーからも樹冠が間近に・・
新緑も、紅葉もきっと良い見え方になるでしょう。
設計のコンセプトでは
クライアントご家族だけでなく、まちに対しても優しく緑を提供する植栽計画を目指しています。
植栽のご提案、工事手配してくださった、フルヤプランツさんの協力を得てここまでたどり着きました。
四季折々の変化が楽しめる豊かな植栽が、無事実現しますように。
blog category:目黒の住宅
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コンクリート刷毛引き
「目黒の住宅」の外構工事で、コンクリート土間の部分があります。
写真は、建物の南庭コンクリート土間にシンボルツリーのためのツリーサークル(直径1m)を設けた部分です。
コンクリート土間の表面仕上は、意匠的には金ゴテ仕上としてビシッと押えたいところですが
雨天時などに万が一(履物によっては)、建物室内から出て足元がツルッと滑らないよう
今回の表面仕上は「刷毛引き(はけびき)」としました。
ただし、この刷毛引き仕上は
職人さんの技術が(上手いも下手も)そのまま現れるため、ちょっと心配です。
今回の現場では、きっちりと仕上げてくれるNさんがいましたので相談し
目の細かい刷毛引きでお願いすることにしました。
コンクリート打設後、硬化前のコンクリート表面に手で刷毛目を入れ、
最後に端部を小幅のコテで平らに押えるディテールとしています。
写真は、作業上手が届きにくい場所、
生のコンクリート面に手や足を着けないので
若手にベルトを持たせて仕事をしてくれているところです。
丁寧に仕上げていただき、ありがとうございました!
blog category:目黒の住宅
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卒業設計審査会 2019.02
非常勤講師をさせていただいております愛知工業大学の建築学科、卒業設計審査会に行ってきました。
各学生さんが1年近く時間をかけてまとめた設計の審査会です。
30名の学生さんに対し、ポスターセッション形式、約1時間半で全て(1人5分程度)見てまわりましたが、この時間で提案内容を判断・評価するというのはなかなか難しい審査会でした。
個々の提案で読み取りにくい部分を質問しながら、あっという間に時間が足りなくなってしまい・・
気の利いたコメント・アドバイスを残せなかったなぁ、というのが本音です(反省)。
この学年は、私がはじめて非常勤講師として担当した1年生が4年になった年でしたので、何人かの学生さんは顔と名前を記憶しており、それなりに想い入れもありました。
学部の4年間でしっかりと成長したところが見え、当然各研究室の先生方のご指導のおかげではありますが、何だかとても嬉しく感じました。
プレゼンテーションのCG・模型のスキルはかなり磨かれていましたし、大人顔負け?という力作も何作かありました。評価の高かった2作、スナップ写真をUPしてみます。
既存建築に手を入れてリノベーション、コンバーションさせるなどの提案も多く、私が学生だった時代とは視点が変化していることも感じます。逆に、いろいろなヒントをいただいたようで勉強になりました。
審査する側が審査されているようなところもあり・・焦りますね。
建築の実務設計では、10年・20年と経験を積んでも、およそはじめての敷地条件だったり新たな課題に直面することの連続です。
学生さんは、大学の入学時には想像つかないほどのレベルで設計提案が出来るようになったと思います。
「はじめて行なう事柄にも臆せずチャレンジすれば、前向きに変えていける、何とかなる!」
というこの成長経験を社会に出ても生かし、大いに活躍して欲しいものです。
blog category:大学・教育
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event/建築家展(四日市) に参加します
〜未来をのぞく住宅展〜
2019. 2/9〜2/11 三重県総合文化センター にて開催されます建築家展に参加させていただきます。
開催日時:
2/9 (土)〜2/11(月・祝)
時間は全日程共通 10:00~17:00 入場無料
開催場所:
三重県総合文化センター
2F・第2ギャラリー
住所 :三重県津市一身田 上津部田 1234番地
最寄駅:津(つ)駅(近鉄名古屋線、JR紀勢本線、伊勢鉄道)
主に東海エリアで活躍する 建築家が参加します。
全日程とも 入場・相談無料のイベントです。
建築家との家づくりとは?
建築、住まいに関すること全般で知りたいこと、
ご興味、ご質問などございましたらお気軽にいらしてください。
セミナー開催
イベント期間中は連日、建築に関するセミナーが開催されます。
2/11には hm+architects 伊原が
「ハウスメーカーと建築家との違い」について解説をさせていただきます。
理想の家づくりのはじまりとなる
建築相談会となれば幸いです。
blog category:出展イベント
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外壁検査ほか
現在進行中の「蒲郡の併用住宅/House in Gamagori」で
外壁検査を行ないました。
外部足場の解体前、縦羽目板張り(レッドシダー)の外壁、RC打放し仕上の外壁、ガルバリウム鋼板の屋根をチェック・確認します。
写真は、敷地の北側に走る、東海道新幹線と平行に配置させた2Fヴォリュームの屋根です。
住宅としては比較的長細いプロポーションですね。
外壁の通気胴縁から連続させた屋根通気を棟換気までつないでいます。
ちなみに、ガルバリウム鋼板の立てハゼは
立上がり寸法を16mmほどとし、控え目・繊細な見え方に。
外壁・屋根とも大きな問題はありませんでしたが
一部の手直しを加えていただき、外部足場を解体します。
いよいよ足場解体!
西面/道路側
2Fの住居ヴォリュームが、スラブキャンティレバーで迫り出しています。
北面/外壁・住居エントランスまわり
南東より/全景。
1FをRC造、2Fを木造とした混構造の建築全体構成がついに見えてきました!
まだまだ内部仕上、外構工事が続きます。
blog category:蒲郡の併用住宅
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足場解体
現場進行中の「目黒の住宅/House in Meguro」の現場確認。
ついに足場が解体され、外観が見えてきました!
角地に立つため、南西の交差点から建築全体が良く見えます。
計画地は、「第一種低層住居専用地域」でかつ、高さ制限が最も厳しい「第一種高度地区」の斜線制限を受けるため、建物全体の立ちを低く保ったヴォリューム構成としています。それでいて内部は、とても使いやすい回れる動線で水平に広がりを感じるプランとなっています。
カーポートやバルコニーといった壁面の機能的な凹凸により、シンプルな平面計画に個性ある外観を与えております。
存在感はあるけれど、低姿勢な雰囲気・・という全体イメージです。
これから内装仕上工事と外構工事、
竣工までもう一息、引き続きよろしくお願いします。
blog category:目黒の住宅
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駿河湾のキリン
新年、新幹線での初出張です。
進行中の現場定例会議2件と、大学で担当させていただいている2つの授業へ。
毎度のことですが、朝は暗いうちに出掛け、新幹線に乗車します。
東海道新幹線では、途中の駿河湾近くを通る時タイミングを逃さなければ・・
南側の席から写真の風景、キリンたち(ガントリー クレーン)を見ることが出来ます。
このショットに興味ある方はあまりいらっしゃらないかも?ですが
今回、ほんの少しの時間しかお目にかかれない
日の出のキリンをちょうど写真におさめられました!
個人的には、何だか良い感じの初出張、朝の1枚です。
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とらや 赤坂店
「とらや 赤坂店」/東京都港区
設計:内藤廣建築設計事務所
昨年10月にリニューアルオープンした後、訪れたいと思いつつ・・
お正月休み、1月2日に行ってみました。
以前あった9階建ての店舗が建替えられ、地上4階、地下1階/S・RC・一部SRC造の建築が生まれています。
扇形平面のR面ファサードをガラス張り、屋根をチタン仕上げとした外観。
お正月休みは元日も営業され、込み合っていたようですが、この日もとにかく利用者の出入りは、ひっきりなしでした。
喫茶利用は整理券発行に従い、しばらく待たせていただくことに。
一般の方が写真に入らないよう、ちょっと建築のスナップ写真を撮るのもタイミングがなかなか難しく・・待ちながら、という状況でした。
少し部分を拝見するだけでも、かなりのディテールへのこだわり・検討が感じられました。
カーテンウォールサッシも、特注のアルミ型材?と思われましたが、表面に繊細な刻みのテクスチャーが与えられていました。(この写真では読み取れない細かさです。かなりアップでないと写りません・・)
ガラスファサードに面して緩やかなカーブを描き、上階へ続く鉄骨階段。
2Fと3Fをつなぐ、内部の鉄骨廻り階段。
階段に限らず、どこも相当に手が込んでいます。
内装各所には、吉野のヒノキがふんだんに使用されているそうです。
そのほか、黒い漆喰壁もかなり迫力のあるものでした(利用者が多く、写真にはおさめられていません)。
ベースとなるグレー系の塗装色については
建築の各部はもちろんのこと、設備機器に至まで特注色で統一されているように見えました。
3F客席からの眺め。前面道路:国道246号線
外部から扇形で見えるチタン屋根部の鉄骨ストラクチャー。
軽快でありながらリズミカルで力強く・・
特に、サッシに向かって先端が細くなっていく鉄骨フレーム造形が、何ともシャープで美しく、見入ってしまいました。
トップライトによる奥行き感・陰翳表現など、さすが!のインテリアでした。
美味しさ・美しさのクオリティが高い「ぜんざい」と、簡素にして高雅な「建築」を一緒に味わうことができました!
blog category:建築視察
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2019 初詣
新年あけましておめでとうございます。
建築Projectでご関係いただきました方々、また拙BLOGを見て下さいました皆様、旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。
2019年が素晴らしい1年となりますよう、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2019年の初詣。
hm+architectsとしましては、毎年恒例ですが明治神宮へ行ってきました。
お正月の三が日で約300万人が参拝するといわれます明治神宮ですが、午前中も早めの時間ですと、それほどの混雑でもなく参拝することが出来ます。
<写真:大鳥居(第二鳥居)について補足>
1920年造営の木造明神鳥居で、
1961年の落雷により参道から向かって右側の柱を破損、その後1975年に再建されたもの。
高さ12m、幅17.1mという大きさは、木造の明神鳥居としては、日本最大とのこと。再建時に造営時と同様のヒノキを国産では確保することが出来ず、台湾で見つけられた樹齢1200年以上のヒノキが使用されたそうです。
今年は、雲一つない晴天に恵まれ
清々しい朝の参拝となりました。
御社殿(本殿)は銅板の屋根葺き改修工事も終え、堂々たる建築の姿を再び取り戻しています。
ちなみに・・
明示神宮の建築のあちこちでは「ハートマーク?」を見ることが出来るのですが、皆様ご存知でしょうか。
本殿の参拝前後におさめたスナップ写真をいくつかご紹介させていただきます。
建築の破風(はふ)中央にご注目下さい。
こちらは客殿。
こちらは御社殿と神楽殿の間、渡り部の屋根。
こちらは第三鳥居のすぐ脇、小屋根の破風でも見ることが出来ます。
さらに、南神門の金物各所です。
参拝者が跨ぐ金物にも。
格子の建具コーナー金物には、かなり集中しています!
2019年1月2日、
何だかちょっと穏やかな気持ちになった?初詣でした。
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event/建築家展(横浜) に参加します
〜はじまりは、建築家との出逢い〜
2019. 1/11〜1/15 横浜ランドマークタワー31F にて開催されます建築家展に参加させていただきます。
開催日時:
1/11 (金)〜1/15(火)
時間は全日程共通 11:00~18:00 入場無料
開催場所:
ASJ YOKOHAMA CELL
神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目2-1 横浜ランドマークタワー31F
神奈川エリア・首都圏を中心に活躍する、建築家が参加します。
全日程とも 入場・相談無料のイベントです。
建築家との家づくりとは?
建築、住まいに関すること全般で知りたいこと、
ご興味、ご質問などございましたらお気軽にいらしてください。
〜はじまりは、建築家との出逢い〜
イベントタイトルのように自分にあった建築家が見つかる
建築相談会となれば幸いです。
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マルセル・デュシャン展
東京国立博物館の平成館で10/2〜12/9まで開催されていました
「マルセル・デュシャンと日本美術」展に行ってきました。
20世紀の最も偉大で謎めいた芸術家といわれる マルセル・デュシャン(1887 – 1968)
デュシャン没後50周年にあたる特別展ということで、フィラデルフィア美術館が所蔵する世界的に知られたデュシャンの作品コレクションが数多く見られる展覧会となっています。
日本で主要作品をまとまって見ることができる機会は滅多に無く・・
会期終了前に何とか足を運んで見ることが出来ました。
一部の作品を除き、作品の撮影可でしたので
いくつか写真をUPしてみます。
入口に、いきなりレディメイドの構築物として知られる
《自転車の車輪》(1964 レプリカ/オリジナル 1913)がありました。
来館者の心をガッチリつかんで展示がはじまります。
はじめに、1902年から1912年までの間の「画家」としてのデュシャンの作品が並びます。
作家の年代・表現の変化を追うように、アーチ型のゲートをくぐり抜ける形で展示されていました。
《ブランヴィルの教会》(1902)
15歳のときに描いた作品。
《芸術家の父親の肖像》(1910)
こちらは 23歳のときに描いた作品。
印象主義から象徴主義、そしてフォーヴィスムにいたるまで、さまざまな前衛的な様式に実験的に取り組み
そして20代の若さで、画家としての作品づくりを早々に放棄してしまう・・
技術もセンスも早熟で、
インテリで経済的にゆとりもある美男子!
みんな虜になりますね。やはり凄い芸術家です。
左:《チョコレート磨砕器 No.1 》(1913)
右:《チョコレート磨砕器 No.2 》(1914)
通常の「絵画」制作を止めたデュシャンは
その後、伝統的に理解されていた絵画の枠を押し広げていきます。
彼の最も重要な傑作の一つ
《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称《大ガラス》) (1915-23)
《瓶乾燥器》(1961 レプリカ/オリジナル 1914)
瓶乾燥器は、ワイン瓶を乾燥させるため枝状のフックがついた円形のスタンド。
デュシャンがパリのデパートで購入したもの。
いわゆる「レディメイド」と呼ばれる一連の作品の制作をはじめたのもこの時期。
「レディメイド」は、ある機能をもった物品を本来の日常的な用途から切り離し、「作る」という概念に相対するものとして、「芸術作品」として「意味づける」こと、とされています。
既製品について、建築で考えてみますと・・
古くはほぼ全ての建築部位までオーダーメイドで設計・製作する時代がありましたが、現代の建築設計では、アルミサッシほか各種建材、意匠・構造・設備で必要となる多くの機能的なアイテムで既製品を用いながら建築をつくるのが一般的です。
逆に既製品を排除して1つの建築をつくろうとすれば、恐ろしく時間とコストが必要となるでしょう。
既製品(レディメイド)をどう組み合わせて用いるかの判断が、現代の設計の分かれ道といえそうですが
創造性を何処に見出すべきか・・いろいろと考えさせられます。
《泉》(1950 レプリカ/オリジナル 1917)
今回、目にすることが出来たレプリカでも半世紀以上前のもの。
オリジナルの1917年からは、もう100年経過しているのですね。
その後、1921年にデュシャンは職業を芸術からチェスへ転換しようと言い始め、それから20年ほどプロのチェス・プレイヤーであるかのようにチェスに没頭。
《ポケット・チェス・セット》(1943)
1930年代の中頃は、自分自身の作品を複製というかたちで再考することに興味を持っていき・・
《マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの中の箱)》
デュシャンは、世界にたった一つの作品(オリジナル)にこそ価値があるという考えを徹底的に批判しています。
さて、メディアの発達も著しい現代の建築・設計の価値、本質はどこにあるといえるのでしょうか。
日々の設計において私たちは、あまり壮大な捉え方をしないで実直に1つひとつの仕事に取組んでいるつもりです。
しかしながらデュシャン展の後には、日常のあらゆるものを違う視点で捉え直したくなってしまいます。
そんな偉大な芸術家に触れることができた、興味深い展覧会でした。
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上棟式で落書き
現場進行中の「豊橋の住宅/House in Toyohashi」で
先日、無事に上棟式を執り行うことができました。
建て方作業の当日ではなく、後日クライアントご家族がお揃いの日としましたが
暖かい晴天に恵まれました。
棟梁より「祝詞奏上(のりとそうじょう)」、ご家族も加わっての「四方祓い(しほうばらい)」を行ない、その後各部屋を簡単にご案内させていただきました。
建築の内部空間・スケール感を確認していただき・・お子さんは大はしゃぎです!
はじめての空間を楽しそうに見てくれると、嬉しいですね。
いつの間にか・・可愛らしいハートマーク!
建築下地への落書きも良い思い出になりますね。
ご家族に愛される建築となりますように。
田根 剛「未来の記憶」
TOTOギャラリー間で2018年12月23日まで開催中の 田根 剛 「未来の記憶 Archhaelogy of the Future – Search & Research」展覧会へ行ってきました。
20代の若さで「エストニア国立博物館」国際設計競技に勝利(当時は ドレル・ゴットメ・田根:DGT.)するなど、現在幅広い注目を集める建築家 田根 剛 さん。
2017年にDGT.解散後、フランスを拠点に国内外のプロジェクトを進められています。
ギャラリー間での展覧会に加え、東京オペラシティアートギャラリーでも同テーマで展覧会を同時開催されているとのことで、凄いエネルギーです。
展示物の多さに圧倒されるような会場風景。
映像を除く展示物は撮影可でしたので、少々紹介させていただきます。
新国立競技場基本構想国際デザイン競技案「古墳スタジアム」の模型、スタディ素材。
展覧会のテーマである「Archaeological Research(考古学的リサーチ)」の方法論で
どのプロジェクトも展示されています。
アイデアのヒント・スタディ展示の数々。
場所の記憶をさまざまな角度から分析することで新たな系をつくり、未来につながる建築へと展開させていく田根さん。
個人的には比較的、直接的な素材や形態の引用が多めに感じられましたが、
コンテクストの洞察を、素直にわかり易く表現していることが重要なポイントなのだと思います。
他者へ楽しさが伝わり、共感が得られやすいことが人気の理由でもあるように感じました。
外部にまで、室内と同様の展示が拡張されていました!
(アクリルケースで模型などを保護)
田根さんが示す
「記憶は現在を動かし、未来をつくる」という言葉。
難解なロジックを駆使するというより、
場所や時間について自然体の身体感覚を大切にし、どのプロジェクトも進行しているように感じられました。
鑑賞者も肩に力を入れずに、素直に楽しんで見ることができる展示ではないでしょうか。
場所の記憶、人々の記憶・・
確かに未来は過去の記憶の上に積み上げられるものですが、
場所や人の中に多く堆積する記憶のうち
どこにフォーカスして次の、未来の記憶の土台とするのか。
当り前なのでしょうが、この意識的な選択が極めて重要なのですね。
ポジティブな未来の可能性、イメージはやはり「今の自分が次の自分をつくる!」
ということで・・
日々の設計活動ではこれまで以上に楽しめるポイントを意識して取組んでみます!
blog category:展覧会等イベント視察
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