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New Project/模型づくり(その1)

現在、吉祥寺(東京都武蔵野市)で住宅プロジェクト「House in Kichijoji」を進めています。

基本設計時には、敷地の法令条件や周辺環境と計画建物の関係を確認しながらご要望を盛り込んだ案をまとめていきます。
弊社では通常、模型を製作し(縮尺は主に1/100)チェックしながら検討を進めます。

模型製作の主な目的としましては
1)スタディのため(設計者の検討を進める上で必要な素材)
2)説明のため(クライアントにコンセプトや建物イメージを共有)
があると考えています。

こうした内容をどんな手段で進めるかは、設計者によっても好みが分かれるところで、CGや手書きのパースなどを用いることも多いと思います。
弊社については、これまでの設計経験上、初期のスタディ時に様々な可能性をチェック・確認しながら提案ができる模型検討が、上記の1),2)を両立しやすく総合的には優れているような印象を抱いています(単に慣れがあることとも関係しますね)。
またモデル製作の工程から、環境・デザイン・機能的な整理だけでなく、実は現場・建設時の話題もある程度は想像でき、プロジェクト全体を見通す意味でも身体感覚的にしっくりとくるのかも知れません。

本計画については、前面道路や隣接敷地に高低差がありますが、スタディではこれらを模型で確認しながら検討することが特に重要になります。

建築法令として、第1種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)、第1種高度地区などの厳しい制限がある中、まずはご要望のインナーガレージを地下扱いとして容積(延べ床面積)緩和を考慮しながら建築全体のデザインを整理していきました。

周辺建物は、グレートーンのスタイロフォームでヴォリュームをつくることが多く、敷地外でも周囲にポイントとなる樹木などがあれば植栽表現も行います。

新たな建築が建つことで敷地内での利便性に加え、街の景観がどう変わるのか・・
建物だけでなく外構部分の検討を模型で行うことも楽しみの1つです。

私は 1/100サイズ程度の全体模型を製作する作業が何だか好きで、ついはまり込んでしまうことが多いです。
周辺まで情報量を広げたり、建物を細かく表現すると(コンクリートの打放しのPコンやパネルの割付なども1箇所つくると全体に及んでしまい・・)当然手間はかかります。
今回については、コンクリート壁の表現で使った2mmボードの小口面にもグレー色を貼るなどし、同業の設計者からすると「それ、1/100で必要ある?」と言われそうなところまで通常以上に製作してしまいました(各プロジェクトの状況等により作業・表現は異なりますが)。

周辺状況もある程度つくり込み、計画建物も出来るだけシンプルかつきれいに表現することを心掛けていますが、プロジェクトにより異なる敷地全体の状況、建物の在り方(空気感)が滲み出てくると「良い模型が出来たな・・」と、スタディ時にも愛着が湧いてきます。

クライアント打合せで、模型をはじめて見ていただく時にどう感じていただけるか・・ドキドキするところですが、先日の打合せでは、とても気に入ってくださってホッとしました!

この敷地模型では初期検討のために建築内部に階段も作っていますが、内部空間のデザイン検証は別途、詳細模型(縮尺:1/50、1/30、1/20など)をつくりながら確認していきます。この詳細模型については別ブログにて、ご紹介したいと思います。

blog category:吉祥寺の住宅
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2022-02-18 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

葉山の住宅/works写真を更新しました

弊社で設計監理を行いました「葉山の住宅/House in Hayama」の竣工写真を写真家の小川重雄さんに撮影いただき、弊社websiteのworks写真を更新しました。
works「葉山の住宅」ページの末尾にはテキストの解説も加えていますが、このブログでは内部のリビング空間「階段まわりのスペース」について少し補足したいと思います。

クライアントご夫妻は、この地の空気感に合う、おおらかな暮らしのイメージをお持ちで、はじめに以下のようなご要望をいただきました。
・吹抜けのあるリビング
・光がたくさん入る大きな窓
・LDKはつながりのある一体空間
さらに可能なら、リビングで子供がおもちゃを広げても大人がくつろぐことができるよう、コーナーが分かれていると望ましいとのお話もありました。

最終的に実現したリビングは、吹抜けのあるスペース(上写真:左側)とややコンパクトなキッチン脇に連続するスペース(同写真:右側)に、階段を介して緩やかに空間が分けられています。この小さい方のスペースを「子どもリビング」と位置づけています。奥様がキッチンに立っている時も常に目が届き、小さなお子さんと会話しやすい場所です。
窓際は階段の1段目を小上がり形状にして、人が座って過ごせるベンチ、あるいは小さなステージのような設えとしました(この部分は設計の途中で加えたアイデアです)。キッチン収納の並びに家具を置き、おもちゃなどを収納しておきます。

階段を巡る動線に沿って置かれたL型のソファ(上写真)は、吹抜けのあるリビングから階段下まで回り込み、1階の他のスペース(ダイニングやキッチン、テラス)に向き合うことが可能です。

2階の個室(寝室、子ども室)から階段を降りると、左右どちらに廻っても異なるスペースが用意されており、キッチンやトイレ、ダイニングやエントランスへの移動に無駄のないリニアな動線となっています。
またライフステージにより、L型ソファ廻りの運用イメージも変化していくことでしょう。

家族やゲストがそれぞれに居心地の良い場所を見つけ、違った過ごし方をしていても、お互い安心して居られるような、そんな住まいを「葉山の住宅」では考えました。

その他写真はこちら→ 「葉山の住宅/House in Hayama」にあげています。
よろしければご覧ください。

blog category:葉山の住宅
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2022-01-17 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

2022年_あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。
2022年は1月5日より hm+architects の仕事を始めてまいります。

昨年後半あたりはコロナ禍も落ち着きかけたようにも見えましたが・・
全国的に再び心配な話題もある年末年始となりました。

私たちは、それぞれの実家(愛知や新潟)への帰省や遠出といった移動は控えて新年を迎えました。
ブログを見てくださる皆さんは、2022年をどのようにお迎えでしょうか。

それでも、前年は自粛しておりました明治神宮への初詣には行ってきました。
早朝であれば混雑しないとのweb情報から、三が日ではありますが1月3日の朝6:40開門時間前に到着すれば大丈夫かなと予想をしまして。
実際、神宮に到着すると開門を待つ方もそれほど多くなく(密も避けられ)とてもスムーズに参拝することができました。
寒さで身も心も引き締まります。
樹木の間に射す朝陽が綺麗で、とても清々しい空気感に包まれました。
新年の良いスタートになった気がします!

私たちは、大きな自然災害やコロナ禍から、一人で居ることや誰かとずっと一緒に居続けることを改めて意識することになったと思います。

設計では、場所の特性を読んで自然・人との距離や関係を建築の形にしていくことが当然大切になってきますが、そうした基本に立ち返りながら、今年も1年hm+architectsとして(個人としては2大学での非常勤講師も含め)1つ1つの活動を頑張っていきたいと思います。

皆さま本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2022-01-05 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

葉山町での撮影と横須賀美術館

先日、弊社で設計監理を行ってまいりました「葉山の住宅」について、竣工写真の撮影を行いました。
外構工事の一部と植栽工事の時期を調整したことなどから、お引き渡しから少し時間経過したタイミングの撮影となりましたが、幸い気持ちの良い晴天に恵まれました。


撮影は、今回も建築写真家の小川重雄さんにお願いし、当日は設計の私たちも立会ってきました。
私たちはプロジェクトの最初から、クライアントのリクエストをお聞きしながら現場に何度も足を運んで、建築の設計を行います。さらに建設時も現場監理を行っていますので、当然建物の隅々まで把握しているはずなのですが・・
写真家の小川さんは、設計者が自覚できていない視点や構図、一瞬の光の状況を即座に読み取って撮影して下さいます。当日撮影に立ち会っていれば、およそどこからどの向きで、どんな写真を撮られたのかわかりそうなものですが、最終的には毎回予想外な素敵な写真をご提示いただくことになります。
良い形で竣工写真として記録に残すことは、クライアントにとっても望ましいことだと思いますが、一流のプロの仕事を見せていただくことは、私たちにとっても大きな楽しみです。

カッコ良く見えた撮影時の小川さん。スナップ写真を1点あげさせていただきます・・

今回、夕景待ちで少々時間がありまして、横須賀美術館まで小川さんとご一緒して足を運んでみるというボーナス経験もさせていただきました。
この日は展示入替え期間でかつ平日でしたので来館者は少なく、また過去数回訪れた中でも一番景色が良く見え、とてもゆったりとした雰囲気でした。
撮影の立会い・補助で現場に来ているはずが、こうしたリラックスタイムを過ごさせていただくのはとても新鮮でイイ感じでした。

屋上より
船や対岸の富津岬までクリアに見えました。

美術館は、各所に力の入った設計です。
変わらず特別な存在感を示していて感心します・・


屋外の景色を眺めるだけでなく、建築が大切に使われている様子も拝見することができました。優しい気持ちになれて良かったです。

その後は葉山町の現場に戻り、無事に夕景までおさめていただけました。
小川さん、1日どうもありがとうございました。

後日、最終的な写真をご紹介できる状況になりましたら、随時こちらのwebsiteにアップしたいと思います。いましばらくお待ちください。

blog category:葉山の住宅
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2021-12-16 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

中部大学にて

大学の非常勤講師として、今年度の秋学期は、毎週金曜日に愛知県春日井市にあります中部大学で授業を行なっています。
午前中は座学で「建築構法Ⅱ」、午後には設計製図の指導で「建築デザインⅡ」という授業を担当しており、ダブルヘッダーで頑張っています!
座学が1限ということもあり早朝の新幹線に乗って夜の帰宅までは16時間くらいかかりますが、基本は日帰りにしています。座学は事前の講義準備や採点・評価、また設計演習は対面クリティークの瞬発力が必要で、毎年大変なところはありますが・・数年経験しまして何とか慣れてきたようにも感じます。

そんな1日を中部大学で過ごしていますが、キャンパンス内にはとても緑が多いので、授業の合間に散策するだけでもちょっとした息抜きになります。
長年キャンパンス全体の整備に尽力された中部大学の前理事長さんは、新規の施設整備の際にも既存樹木をできるだけ切らないよう大切にされていました。あちこちに見られるケヤキやイチョウの大木は堂々と存在し、キャンパスと人々を見守っているようです。
ケヤキの左手建物は、前職で設計を担当しました不言実行館です。

また学内には池、庭園もいくつかあり、四季折々の表情を見せてくれます。
新緑の時期も清々しく素晴らしいのですが、私は秋から冬にかけての紅葉の景色が特に好きです。
さらに庭園だけでなく、茶室を含む日本建築もキャンパスの中央部に整備されています。全国的に見ても特別なキャンパスと言えると思います。


写真の「洞雲亭(どううんてい)」は、香川県小豆島内海町坂手の洞雲山観音寺の庫裏の建物でしたが、建替えに際して同寺住職加藤義昇氏から寄贈されたもの。文化9(1812)年に建築したことを記録する棟札のある貴重な古建築です。

大学での指導もこの1、2年を振り返りますと、コロナ禍を経験して様々な対応が求められました。コミュニケーションの取り方もツールも進化する部分があったと思います。基本的には人と人が対面で会うことの意味、良さを考えることになりつつ、一方で強制的に遠隔対応を経たことによる良い発見もいくつかありました。以前は活用していなかった大学のデータ共有のシステムで解説資料を履共有したり、個別に疑問や意見を引き出すためアンケート収集のシステムを利用するなど、学生さんにも指導者にも良いフィードバックがあると実感できました。コミュニケーションとしては、こうしたハイブリッドな指導が一般化してきている気がしますが、率直なところ、大学が情報提供するサービスレベルは、自分の学生時代とは違い、かなり便利になっていると思います。
ただ指導者も学生さんも細々とさだめられた作業対応は多くなり(私はそれほどインタラクティブな進め方を実現できていませんが)、使い易さと大変さの両方があります。まぁツールが変わっても変わらなくても、考える力を身につけるという本質的なところに迫ることができれば、何でも良いとは思うのですが・・
建築でも、時代とともに変わる部分と、変わらない部分が当然あると思うのですが、およそ変わらない価値にフォーカスできたらいいのかなぁと、考えています。

キャンパスの散策から少し話が逸れてしまいました。
こちらの写真は、14号館の外構部分ですが、8年ほど前に設計を担当させていただいたところ。やや人通りの少ない樹木の影手になるところが、透水性インターロッキング200角 苔仕上げ!になっていました。こうしたグリーンのカーペットのような表現を人為的につくることはなかなか難しいところ・・
大学内のいろいろな場所で自然の力を感じています。

blog category:大学・教育
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2021-12-07 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

薪ストーブの火入れ

弊社で設計しました新城の住宅は、お引き渡し後、初めての冬を迎えます。

薪ストーブは、2階のリビング・ダイニングスペースに設置されています。
先日、その火入れに立ち会ってきました。冬の直前となるこの時期に、ストーブを納入いただきましたDLDさんから火入れ・試運転の指導をいただいて運用を開始します。

建築の設計中、薪ストーブ選びは、クライアントご夫妻と一緒にいくつかのショールームを見て回りました。
各メーカーでデザインも機能も少しづつ異なりますが、薪ストーブは本体の素材が大きく2つ「鋼板製」か「鋳物製」かに分かれています。
鋼板製は火を入れてからの立ち上がりが早いというメリットがあります。逆に鋳物製は暖まるまでの時間は一定程度かかりますが、鋳物は熱容量が大きいため余熱も持続する(冷めにくい)という良さがあります。
見た目も比較的シャープさを表現しやすい鋼板、重厚感のある鋳物、といった違いも。また鋳物は鋳型を作るなどの工程もあり、一般に価格も鋼製よりやや高めのイメージでしょうか(メーカーや製品にもよりますが)。

クライアントご夫妻があれこれ悩まれながら、最終的に選定したのは鋳物製。
ドイツのBRUNNER(ブルナー)社の「IRON DOG Nº07(アイアンドッグ Nº07)」です。
暖房面積は 50〜90㎡、燃焼効率が高い(85.3%)、正面扉のガラス面積が大きく炎が見やすい、さらに横から薪を入れることが可能なサイド扉がある、全体のデザインが建築のイメージや生活スタイルに合いそうなこと、などがポイントとなりました。

様々な想いを込めて選んだ薪ストーブ・・
いよいよ火入れを行います!

はじめに薪の組み方の基本を教えていただきます。

最下部にしっかりとしたサイズの薪を2本、その上に焚き付け用の細い薪を井桁状(菱形)に組むイメージです。
その後、上部に着火剤を置いて・・

そして着火!
奥様に体験していただきました。

どなたでも簡単に着火できそうです。
着火後も無事に燃焼が進み、まずは一安心です。


サイド扉の右下にあるバーで空気量を調整します。
(着火時は、全開の状態)

また今回の設計では、ストーブ直下に外気を直接導入するダクトを設置し、ストーブの燃焼・煙突のドラフト効果を高めています。
(写真の中央、床下より外気導入)
ただし、直接の外気導入を行なっても、同一空間に換気設備が稼働している場合は注意が必要です。特にキッチンのレンジフードは排気能力が高いため、当然ですが室内が負圧になりやすく、ストーブの燃焼が不十分になるだけでなく、煙が室内に逆流することもあるとのこと。念のため、着火時に少しだけ窓を開けたりするなど、運用上の安全配慮もしたいところです。
(本計画では、万が一負圧になった場合でも、ストーブ近くに設置した差圧ダンパーで自然に外気が入るようにしています)

そのほかDLDさんからの解説で、①メンテナンスの重要性(煙道火災が起きたりしないように)、②ストーブ本体表面温度の管理(200〜300℃を維持)、③灰の扱い、④十分に乾燥した薪を使用すること、⑤ならし運転が必要なこと(新品の薪ストーブ)、などをお教えいただきました。
あと、美味しいピザを焼くコツも・・

日常生活の中に、冬らしさを感じる薪を扱う行為が1つ加わります。
火入れに立ち会い、心も体も暖かくなる「薪ストーブのある暮らし」がとても羨ましく見えました。

写真撮影
1枚目:小川重雄、その他:hm+architects

blog category:新城の住宅
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2021-12-04 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

田園都市建築家の会 12/5(日)家づくり相談

「田園都市建築家の会」 12月5日(日)の家づくり相談 は、hm+architects 伊原洋光 が担当します。

田園都市建築家の会では、家づくりに関する様々なご相談を無料でお受けしています。たまプラーザの「家づくりカフェ(相談・打合せスペース)」にて皆様のご来場をお待ちしています!

日時:2021年12月5日 10:00〜17:00
場所:横浜市青葉区美しが丘1-12-3 第7松美ビル201

田園都市建築家の会では、具体的な設計ご依頼の前に、しっかりと検討したい下記の内容について日々様々なアドバイスを差し上げ「建築家との家づくり」をサポートしています。 是非ご活用ください。

・土地探し(エリア、価格、法令チェック、仮のプラン検討、進め方 など)
・資金計画(土地+建物+その他必要な費用、銀行ローン手続き など)
・建築家探し(建築家との家づくりの流れ、自分にあった建築家選び など)

毎週末(日曜日)につきましては、所属する建築家が「家づくりカフェ」にて「建築家無料相談」を開催しています。週ごとに担当建築家がかわり、皆様のご来場をお待ちしています。
(当日、ご予約なしのご来場でも担当建築家と相談可能です)
↓詳細はこちらをご参照ください。
https://www.denen-arch.com/post/10312

東急田園都市線の「たまプラーザ駅」が最寄駅となっており、駅から徒歩5分のところに会の拠点「家づくりカフェ」があります。ここで定期的に家づくり相談・打合せなどを行なっています。お気軽にお問い合わせください。

一般社団法人 田園都市建築家の会
www.denen-arch.com

blog category:出展イベント
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2021-12-03 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

無塗装で6年経過したレッドシダー

週末は、以前弊社で設計しました木造平屋建ての「犬山の住宅」(2016年竣工)にお招きいただき、家族で伺いました。
早いもので建物の竣工から5年と9ヶ月ほど経過しています。
クライアントご家族の暮らし振り、建築に問題がないかなどお聞きしながら楽しいひと時を過ごしてきました。

写真は、外壁の施工時期から数えて約6年経過したレッドシダー(t=18mm/チャネルオリジナル)と板金の屋根です。

1年検査、その後2年、3年と特に不具合もありませんが、外壁の縦羽目板(樹種:レッドシダー)はあえて無塗装のままとしており、経年変化については実際に見て確認しておきたいポイントの1つでした。
現地を訪れますと、外壁は、以前よりも落ち着きのあるシルバーグレーに表情を変え、とても魅力的に見えました。建築全体に風格が出たようにも感じます。
設計では、木部の外壁がシルバーグレーに退色することを見越して、屋根のガルバリウム鋼板のカラーは同系色となるシルバーをセレクトしました。また外壁(妻壁)と屋根取合い部も跳ね出しを小さく留め、一般的な破風板おさまりではなく板金施工のシャープな表現としましたが、およそ意図したイメージになってきました。

ちなみに外装は自然素材である天然木ですが、レッドシダーは建材メーカーさんが国内で扱いはじめて半世紀近い実績があり、それだけ時間経過しても十分に健全な外装の事例があるとのことです。

また住宅メーカーさんの外壁に多く採用されるサイディングパネルでは目地のコーキング(止水のため)があり将来打替え等も必要ですが、この羽目板張りは実(さね)付きのジョイントで、外壁下地に通気層を設けてその内側を止水ラインとしているため、木部でそうした手間も不要です。

こちらの写真は、施工した直後の外壁の様子。

木部には新築時に保護塗装をするのが一般的で、またその後も状況を見て定期的なメンテナンス(再塗装)は必要となります。
しかしこの設計では、保護塗装をしないまま木の色が抜けるところまで一度退色が進むとその後の経年変化は比較的少ないという見通しで、無塗装としています。また保護塗装を塗ってからでも長期に放置すれば一定の退色は進みますが、その場合の退色はムラが出易く、無塗装の退色の方がより綺麗なシルバーグレーになるというのが狙いであり、さらにイニシャル(新築時の塗装)、ランニング(定期の再塗装)コストの軽減にもなります。

良い雰囲気をつくり出していた外装の確認に続き、室内についても拝見し、お話をお聞きしました。


内部に一歩入ると、エントランスの土間からリビング・ダイニングまで連続する空間が広がります。

数ヶ月前に新築でお引き渡しをしたかのような、いやそれ以上に洗練されたご家族の自然体の暮らしがそこにあり、「本当に6年近くも経っている住宅?」と言いたくなるほど。
私たちは思わず立ち尽くしてしまいました。

設計時に、平屋でこんな暮らしが出来たら・・とクライアントと一緒に考えたことが見事に実現しています。
ご家族の建築・設計への理解と愛情を感じ、涙腺が緩むほど感激しました。

生活動線に沿った、長い壁面収納。写真左下の矢印は子供室への案内板。
キッチン背面の自立壁は写真ギャラリーに。

ピアノを習いはじめて1年ほどのお子さん(小学生)のお部屋。「ここは特に程よく風が抜け、窓からは田園風景も見渡せ、すごーく快適な部屋です!」とのこと。

クライアントより「住宅全体で空間の大きさや機能面で、多くも少なくもなく、ちょうど良いと感じている」とお聞かせいただき・・
住まい手として上級者と言うしかありません!

リビングのH鋼柱には、100mm幅にぴったりの可愛らしいハト時計。

お昼もご一緒させていただき、また午後は外で子供たちと庭や周囲の田んぼで遊び(娘は初めての凧揚げを経験!)、そして再度室内でお茶をいただきながらゆったりとした時間を過ごすことができました。

建築を見れば、何年経っても設計をしていた時の建築とクライアントへの想い、あるいは当時工事に関わった多くの方々の様々な配慮が鮮明に蘇ってきます。そうした多くの関係者の前向きなエネルギーが注がれた建築に、クライアントがさらなる愛情を注いで建築を育んでくれる状況がはっきりと伝わってくる住まいでした。それは言葉にしてご説明いただかなくても、建築は日常までを雄弁に語り、私たちにメッセージとして届けてくれます。設計者がクライアントから受け取るギフトとして、これ以上のものはない?とさえ感じる幸せな経験をさせていただきました。今後、設計活動を続ける上で心の支えにしたいと素直に感じました。

長時間お邪魔させていただき本当にありがとうございました。
これからも建築の経過、ライフスタイルの変化も見守っていきたいと思います。

blog category:犬山の住宅
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2021-11-29 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

シンボルツリー

「葉山の住宅」では、建築工事から少し時期を遅らせて、外構・植栽工事を行なっています。
先日、シンボルツリーとなるオリーブが現場に加わりました!

オリーブは、しっかりと太さのある幹でありながら、低い位置まで枝が付いて、全体の樹形がちょっとずんぐりと丸く見える何とも愛らしいプロポーションです。

今回、植栽工事をしていただいています「SOUTH GARDEN SHOP」代表の松戸さんが「普通のスレンダーなオリーブではつまらないので、味のあるフォルムのものを」と、時間をかけていろいろと探し見つけていただいた1本となりました。
シンボルツリーは、ご家族らしさを表すものでもあり、またその成長も人々の記憶に残ります。そして建築の外観・内観の印象を和らげ、視線や日射も適度にコントロールしてくれます。将来、植栽とともにどんな景観がつくられていくのか楽しみが膨らみます。

外構・植栽工事が整いました後に、写真撮影の予定です。また竣工写真にてご覧いただければ幸いです。

blog category:葉山の住宅
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2021-11-16 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

わざわざ

週末、長野県東御市にあるパン屋さん(日用品も販売しています)に行ってきました。

「わざわざ」という名前の小さなお店です。公共交通機関もない、こんな山の上までわざわざ来てくださってありがとうございますという感謝の気持ちを込めてつけられたそうです。横浜から車で高速を使い片道3時間以上かけて向かいましたので、お店の名の通りわざわざ遠方から来た家族客となりました。1枚目の写真は、お店の外に広がる景色です。

ご自宅の一部を拡張してお店にされています。
写真正面の扉が、パン屋さんの入り口で、右手前の扉は、日用品が並ぶスペースへの入り口でした。

お店に入ってすぐ、カウンターでパンを購入できます。スコーンやクッキー、今の時期はシュトレンなどもありましたが、基本となるのは「角食」と「カンパーニュ」の2種類のパン。

お店の窯で焼いているというのは、店内のすぐ脇にある石積みの薪窯を見れば言うまでもなく・・という雰囲気です。

お店は、2009年に代表の平田はる香さんがお一人ではじめられたそうですが、その後2017年に株式会社わざわざを設立。実店舗とEC サイトの事業展開などで地域に雇用を生み出すことなど、平田さんのお考えも注目されるお店です。

店内の様子は、写真でブログなどに紹介してもOK(是非UPしてください!)とのことでしたので、いくつかあげてみます。

店内のパン・食料品スペースから、階段脇を通って日用品スペースへ。

2階、階段を登った先の屋根裏スペースにもアイテムが並びます。

以前から気になるお店でしたが、足を運んでみまして、お店の方も生き生きとお仕事をされているように感じられました。こちらで働くために移住をされる方も多いようです。平田さんのお考え、文章などの情報発信もすごく影響力があって、すごいなぁと感心することばかりです。

↓ちなみにお店のオフィシャルサイトはこちらです。
https://waza2.com

もちろんパンを買って、そして帰りの道中も立冬を迎えた長野県内にひろがる美しい景色を楽しんできました。

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2021-11-09 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

media/KLASIC 記事に紹介されました

建築家ポータルサイト「KLASIC」さんの記事として
弊社設計の「新城の住宅/House in Shinshiro」を掲載いただきました。

どのような経緯、敷地条件、ご要望からどんなことを考えて設計を行なっていたのかなど、インタビュー取材を受け記事にまとめていただきました。

こちらの掲載ページをご覧いただけますと幸いです。
https://www.klasic.jp/construction/19872/

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2021-10-27 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

Light Capsule

先月のことになりますが、ガラス作家の Peter Ivy(ピーター アイビー)さんが手作りで制作しています、Light Capsule(ライト カプセル)と名付けられた照明器具を見に行ってきました。

お月様のようなサインが印象的な、「51% Tokyo」(五割一分:ごわりいちぶ)さんの東京ショールームです。(代々木公園に近いこちらへ移転されたのは2021年の2月)

現在設計中の住宅プロジェクトで、しばらく前からクライアントと建築のイメージに合う照明器具を探していましたが、こちらの画像をwebで拝見し、一度足を運んでみたいと考えていました。

またこちらで扱われています、ピエール・ジャンヌレの家具を見ることができるのも、もう1つの楽しみです。

ペンダント照明の Light Capsule は、大小2サイズあります。そのうち、お目当ては写真右側の大きいタイプ(高さ約40cm)です。写真の左奥に見えるのが小さいタイプ(高さ約20cm)。

実物を拝見しますと、手づくりのため、フォルム、ガラスの質感(細かな気泡の入り方)など1点1点、少しずつ差があって、独特な存在感を感じます。フィラメントは長く、ガラス越しに光が揺らいでいるようにも見え特別な味わいがありました。何と表現して良いか・・LEDも様々に進化していますが、これはちょっと出せない雰囲気でしょう。web画像で器具を詳細まで拝見していても・・やはりこの質感は実際に見ないとわからないところだと思います。

照明を消した状態でも1つのアートワークのように見え、とても美しい照明器具です。存在感がありながら、どんな風景にも自然に溶け込んでくれそうです。

上記のように弊社で一度ショールームを訪ね、サイズや質感、フィラメント交換やコード延長は可能かどうかなど、器具の事前確認を行いました。その数日後クライアントご家族と同ショールームにご一緒させていただきました。ご夫妻とも、繊細なデザインと質感(ガラスや金物)、サイズ、光の様子も含めとても気に入ってくださいましたので、ご案内できて良かったです。実現に向けてさらに検討を進めていきたいと思います。

現代の技術革新で合理化を進めるもの、アナログな質感を求めて特別な空気感を生み出すもの、プロジェクトごとにこれらを適切に配置していくところがなかなか難しく奥深く、また同時に楽しいところでもあります。

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2021-10-18 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

ダウンライトの検討

現代の建築設計において照明器具は、必要不可欠な設備と言えます。また空間デザインにおいてもイメージを左右するため、しっかりと緻密な計画にしたいところでもあります。
照明器具も各種ありますが、今回は器具の存在としては控え目な、ダウンライトについて少しお伝えしてみます。

ダウンライトには「グレアレスダウンライト」と呼ばれるタイプがありますが、グレア(glare)=「まぶしさ」、レス(less)=「より少なく」の名前の通り、「まぶしさの少ない」ダウンライトのことを指します。設計者は、コストと性能、デザインのバランスを考えながら照明器具を選定しますが、施設用の照明に限らず住宅用でも、このグレアレスの採用例が増えてきていると思います。

写真でご紹介していますLEDダウンライトは、グレアレスでかつ光の質をコントロールするオプションレンズを組合わせることが可能なものです。これまで、広く流通している器具でこのような複数の調整機能があるものは、聞いたことがありませんでした。
先日、主に特注の間接照明などを手掛ける「株式会社ひかり」さんよりそうした多機能な製品を取扱えることになったとご紹介がありましたので、まずは実物を用いたライティングテストを行なって光の違いを確認させていただきました。

ベースのレンズは、配光が狭角13°、中角24°、広角31° の3タイプ。色温度は、2700K、3000K、3500K、4000K から選択。アルミダイキャストの筐体のカラーも3色、反射板は4種、これらをインテリアの仕上げイメージに応じて使い分けます。さらに勾配天井などにも30°の角度まで調整して設置ができるアジャスタブルタイプもセレクト可能です。パワーも、白熱灯60W相当、100W相当の2段階から選定できます。
これに必要であれば、光を拡散させるレンズ3種、光のエッジラインをマイルドに和らげるスムーサーレンズ、配光を偏平に広げるスプレッドレンズ、を選べます。さらにグレアカットするハニカムルーバーまであるため、かなり細かくカスタマイズできるダウンライトでした。

10年ほど前を振り返りますと、照明はLED化への過渡期と言え、LEDダウンライトはまだ製品ラインナップも流通量も少なく、当然ながら今と比較すればかなり高価な存在でした。しかし近年はLED照明が一般化し、住宅でも採用しやすい、安価で様々な機能とデザインの照明器具が揃う状況になっています。

建築の設計事務所としては、プロジェクト初期の段階から、照明のイメージを想定しながら建築のスタディができるよう、照明器具の機能・デザイン・価格のバランスを把握しておくと理想的だろうと思いますが、社会や人々のニーズ、技術の変化に追従できるよう情報収集も欠かせません。
建築の設計は、当たり前ですが常にこうした地道な努力を重ねていくことが必要で・・やはり大変な部分でもあります。と同時にクライアントと新たに生まれる建築のため、様々な諸問題をデザインの総合力で解決することが可能なところが他の行為からは得難い大きな魅力だと感じます。そんな充実感を建築に関係するすべての方としっかり共有できるといいなぁと思いながら、設計活動を続けています。

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2021-10-12 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

2021 Fall semester

今週より、2021年度 中部大学 秋学期の担当授業が対面形式ではじまりました。
こちらで授業を担当させていただき、早いもので今年で6年目を迎えます。

対面授業の初回(10月8日)は、気持ちの良い晴天に恵まれました。

緊急事態宣言の発出により、先週と先々週はリモート(講義動画を作成して配信する)授業を開始していましたが、本日は学生さんとの対面授業です。130名ほどの学生さんとの対面授業を行いますと、やはりライブ感もあり本来の形式はいいなぁという印象です。
ただ、昨年まで選択科目だった座学の担当授業が、今年は必須科目へ変更されましたのでこれまで以上に気を引き締めていきたいと思います。

少し振り返りますと、こうしたリモート授業も昨年の春に否応無くはじまりました。その後1年以上経過し、もはや授業の形式としては標準対応の1つになって来た感じもあり・・いろいろな社会の変化も含め、驚かされますね。

授業の後、久々ですのでキャンパス内を少し歩いてみました。樹木や陽射しから、少しずつですが秋の気配も感じられます。

建物は、以前自分が前職で最後に設計させていただいた施設(中部大学 不言実行館/ACTIVE PLAZA、2015年竣工)です。
当然ながら各所に経年変化があり、その確認もまた設計の勉強になるものです。

ちなみに既存の校舎へ伸びる外部通路のウッドデッキ材は、「セランガンバツ」を当時採用しました。当時のデッキの赤茶色はほぼ抜け、全体がグレーっぽくなり味が出てきました。

同施設の6 F(カフェテリア)の外部テラスより。
ここからは、遠方に名古屋駅付近の高層建築群を見ることができます。
視線が遠くまで伸びると、単純ですが気持ちも少しおおらかになるような。

2022年の1月まで続く今後の講義のこと、現在設計をしている建築のことや、これからのプロジェクトについて、少し考えてみたりしました。
この秋も自分なりのチャレンジをしながら、それぞれ頑張っていきたいです!

コロナ禍を経て、社会全体が良い方向へ一歩ずつ前進するよう祈っています。

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2021-10-08 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

片道200km超ですが

長野県で進行していますプロジェクトについて

計画地は、車の移動で弊社から片道200km以上離れた場所となりますが、日帰りで(誰かに会うこともなく)敷地の確認を行ってきました。
これまでも敷地調査やクライアントとの打合せを現地で行ってきましたが、同じ敷地でも季節や天候、時間が変化しますと、それぞれ違った土地の様子を知ることができ、その都度気づきも得られます。
今回は、計画建物の外周ラインをビニル紐で示し(簡便な縄張り)、イメージの確認をしました。以前にも1度行いましたが、設計内容を徐々に詰めていく中で、あらためて建物配置も調整し、距離感などをチェックすることができました。
大自然の中、ゆったりと広さのある敷地での設計に、私たちもワクワクしながら作業を進めているところです。

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2021-09-19 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

LED照明へ減光フィルム

「葉山の住宅/House in Hayama」の照明について

奥様よりキッチン、ダイニングの照明がちょっと眩しく感じる(日頃から眩しさが苦手)というお話があり、眩しさを軽減する調整を行いました。ご主人はそのままでも特に気にならないとのことでしたが、ご家庭内で長く利用される奥様の感覚に合わせた調整をしたいと思います。

△ダイニング・キッチン部分のダウンライト状況(減光調整前の写真)

設計では照明のシュミレーションを行い、机上面や床面の照度、各所の反射率、色温度なども含め確認して計画を進めましたが、実際には明るさの感覚に個人の差はやはりあります。
LED光源は、消費電力も少なく、電球の交換も不要で、近年は安価な製品となって照明器具の主流となりました。しかし照度は同じでも、LED光源は白熱電灯に比べ光が一定の方向に集中して出ているので、眩しく感じる状況(グレア)は、ある程度はどうしても残ります。

「眩しいので光を和らげたい」という場合、特にグレアを抑える仕様の照明器具を選定するか、設計時に標準仕様でも照明器具とスイッチ部を調光仕様にしておけば照度を下げる対応については問題なくできます。ちなみに器具の仕様が良いもの、調光箇所が多くなればその分費用もかかってしまいます。
今回の計画ではリビングや個室の照明に限り調光にして、キッチン・ダイニングは全体のコスト調整時に非調光タイプとしていました。
一般に、天井面に設置した埋込み型のLEDダウンライトは、以前の電球交換のように光源部のみを交換することはできませんので、ダウンライト本体ごと別の器具へ取替えとなってしまいます。
あるいは、光源はそのままで拡散光となるフィルター要素を追加してグレアを抑えることが可能かどうか・・。
そこで今回は、後者のダウンライトの光を拡散・減光させるフィルムの検討をしました。住友スリーエム「ディフューザーフィルム」というものを取寄せ、光源部分に合わせ円形にカットして貼ってみました。


写真左:カットする前のフィルム(裏面)
写真右:中央円形部分にフィルムを設置した状況(緩やかな曲面でしたがΦ33mmにカットし、手仕事には見えないくらい、うまく馴染ませることができました)

劇的に変わるというものでもありませんでしたが合計6灯、一定程度グレア(眩しさ、見えづらさ)を軽減できたと思います。
設置前に照明を点灯した同アングル写真を撮り忘れ、比較画像でなくてすみませんが・・

設置後の様子を奥様に確認していただき「柔らかい光になったので大丈夫です」と喜んでいただけました。
使用したフィルムは簡単に剥がすこともできる状況でしたので、貼ったり剥がしたり調整もできそうです。ただしLEDダウンラウトの減光専用と表示されている商品ではなく、各自の判断で使用すべきものと思います。

照明計画では、意匠のイメージからは積極的に天井面のLEDダウンライトを採用したい訳ではありませんが、費用対効果という部分ではやはり優位性がありますので、径の小さめのものなどをプロジェクトの内容に応じて配置しています。

設計では建設コストを抑えるよう全体のバランスを見ながら、建築空間の見せ方に抑揚をつけるなど、建築の仕様、照明や家具などの配置を決めていきます。どのプロジェクトでも毎回腐心するところですが、ここがうまく整理できますと、実際に要した費用以上に良いイメージが得られます。この差はなかなか一般の方にはわかりにくいところで、難しくもありますが、設計者として腕の見せ所でもあると感じています。

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2021-09-10 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

アンサンブル・スタジオ展

1ヶ月ほど前になりますが、東京都港区南青山の「ギャラリー間」で開催中の、アンサンブル・スタジオ展「Ensamble Studio Architecture of The Earth」を見てきました。
新型コロナウィルスの感染拡大防止に関する取り組みから、入館は事前予約制となっており、9月26日まで開催中です。

アンサンブル・スタジオは、アントン・ガルシア゠アブリルとデボラ・メサが主宰する職能横断型チームとして、スペインのマドリードで2000年に設立。他に類を見ない革新的な建築を発表し、世界から注目を浴びています。

フライヤーの写真にもありますが、巨大な屋外彫刻のような作品を見ますと、本当に建設したものですか?と目を疑うようなものばかり。

展示は、主に模型と映像による作品紹介。
建設プロセスも映像で紹介されています。荒々しい表現としてそのような製作方法に辿り着いたのだと思いますが、とにかく鉄筋コンクリートでつくる様子は、かなりワイルドで驚かされます。

3Fの屋内展示

フライヤーで写真になっている作品

展示の模型を見ていますと・・はじめは彼らの発想がすごいなぁと思っていたのですが、実は展示の土台、石材のように見える部分のクオリティが秀逸で、むしろ作品よりそちらに見入ってしまうほどでした。ビーズ発砲スチロール(EPS)と思われる材を溶かす、着彩する、という技術が実に素晴らしいです。人工物(実際に製作した建築作品、今回の展示模型)を、自然の風景の一部ように見せる感度がすごく高く、自分ではこの表現は全くできないなぁと感心。いままで見た建築の展覧会等の模型で、こうした表現は見たことがありませんでした。

3F 屋外展示
コンクリートで製作された、タワー状の作品。
展示スペースの背後に建つビル群と呼応させているのでは?と感じましたが、意図的ではないかも知れません。

緊急事態宣言の発出前でしたが、展示は順路も定められており
[ 3F→4F→階段で退出 ] というルートでした。
来場者が密にならない環境で、ゆったりと見学できました。

ただ、このところの社会状況では、行きたい美術展や建築の展覧会などあっても、足を運びにくくもなってしまいました。安心できる状況への回復を願うばかりです。

帰りには、下階のToToブックショップにて建築本を少々仕入れ、日々の業務とはちょっと違った刺激を受けた日となりました。

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2021-08-20 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

内装工事中

「葉山の住宅/House in Hayama」の現場は、各所内装工事が進行中です。

一部の内壁と床に使用する磁器質タイルも現場に入ってきました。
サイズは大判の 600mm×1200mm、輸入建材をセレクト。

この大判タイルを、キッチン脇となる壁に設置中。スペーサーでタイルの目地幅を整えてから、目地材を込めていきます。ちなみに幅が広い縦の目地部分には、Fixのガラス建具が嵌ります。
一般の戸建て住宅では、これだけの大きさのタイルをコーナー部分でこのように加工するのは、技術的にちょっと大変なため、あまり見かけないと思います。普通に現場で出来ますかと聞くと難しいと言われてしまう内容だと思いますが、前職での施設設計での経験なども活かし、各関係者の協力を得て何とか手配が整いました。

一般部の内装壁、天井は、下地のプラスターボードの表面を平滑にするため、パテ処理が行われます。ボードの継ぎ目、ビス・タッカーの小さな窪みも埋めていきます。1回で終わる作業ではなく、丁寧に数回繰り返して整えていきます。
今回は仕上げのクロスに、しっくい塗装のように見えるものを設計で指定しましたが、この材は下地の処理が重要になるためです。

内装クロスを施工した後には、照明器具などの取付けを行います。
この吹抜けには、デザインに特徴のあるペンダント照明を5灯設置する予定です。電源コードを垂れ下げて見せる表現となりますが、この準備を数人がかりで行なっている状況。セッティングは思った以上に大変でした。足場が外れた状態で完成形を目にする瞬間がとても楽しみです。

猛暑が続く中ですが、現場のみなさんの頑張りにより、作業も後半の詰めに差し掛かっています。
引き続きよろしくお願いします。

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2021-08-11 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

屋久島地杉

「屋久島地杉」について、少しご紹介させていただきます。

屋久島の杉うち、
「樹齢1000年以上の保護種」を「屋久杉」
「樹齢1000年以下の保護種」を「小杉」
「樹齢60〜50年以下の人工林を「屋久島地杉」
と呼ぶそうです。

この「屋久島地杉」だけを建材として活用し、その循環性を自然保護へと還元していくことを目指した「屋久島地杉プロジェクト」 に力を入れている企業『チャネルオリジナル』さんと打合せを行いました。

チャネルオリジナルさんは、建材として主に木材を、外装・内装とも扱い、ヨーロッパでの実績のある高性能木製サッシなどの輸入販売なども手掛けられています。

今回、その「屋久島地杉」含め、いくつか木材サンプルをご用意いただきました。
写真左側:「屋久島地杉」内装材 塗装の有無など比較。
写真右上:「屋久島地杉」ウッドデッキ材 無塗装。
写真右下:「レッドシダー」外装材 無塗装。(屋久島地杉ではありません)

本州で広く扱われています「国産の杉材」と比較しますと「屋久島地杉」は「比重が大きく、油分が高い」ことが特徴です。そのため防腐性能、耐久性が高い材料となっています。

持続可能な社会へ
自然保護にもつながる循環性のある建材。
比較的安価で性能が高いこの「屋久島地杉」を、弊社の設計案件に採用できれば・・
と期待を膨らませ、検討しているところです。

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2021-07-19 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

模型スタディ

長野県で現在計画中の新規住宅Project、模型スタディについて

計画地は凍結深度80cmという寒冷地ですが、主体構造をRC造とした外断熱の計画とすることで安全でかつ快適な空気環境の住宅をつくろうと考えています。

平面はシンプルな矩形、天井高さをロフトを含め3.8mほどに設定。RC造の壁(壁式構造)で程よく領域を分けながらも、いつも家族の気配が感じられる一体的な内部空間としています。
眺望と冬の日射を内部に取込むため(ダイレクトゲイン)、南面には大きな窓を設け、かつ南窓側の床を土間コンクリートに。床のコンクリートには温水配管を敷設し、コンクリートが蓄熱体となる「風のない輻射暖房」で、快適な温熱環境をつくる計画です。

また、内部の壁面全般はコンクリート打放し仕上げとすることで、室内の仕上げ材を減らし、躯体のコンクリートを素材として見せるインテリアの表現にもなります。

クライアントとの打合せでは模型を見ながら、全体方針をご確認いただきました。各スペースについてサイズや使い勝手、素材のイメージ、お好みなどを詳しくお聞きしていくなかで、設計としては常に全体のコストバランスも考慮して提案を進めていきます。様々な可能性を考えますと、やはりご希望・理想は膨らんでいくものですが、諸条件を見据えて行きつ戻りつ、bestな案は何か探ります。
クライアントご夫妻と実現する楽しみを共有しつつ・・徐々に案がまとまってきました。

現在、全国的に大きな話題となっています「ウッドショック」の影響をできるだけ受けにくくなるような工夫・検討をしながら、引き続き頑張って設計を進めてまいります。

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2021-07-03 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

現場確認

弊社で設計監理をしています「葉山の住宅/House in Hayama」の現場より。

内部は、大工さんの仕事が進んでいます。
住宅の規模は大きくありませんが、リビングに吹抜けを設けています。
その空間構成が徐々に見えてきました。
屋根がかかる外部空間となる2階のインナーテラスがこの住宅の特徴の一つでもありますが、なかなか良い雰囲気になりそうで・・楽しみです。

外部は、外壁にモルタル下地の「ラス網」が設置されました。
何だかこの金網の状態でも綺麗な見え方です。
この後、モルタルの下塗りへ。

外壁のコーナー(出隅)部分
しっかりと外壁ラインの通りを出すため、ガイドとなる定規をまず取り付け、下塗りが進みます。

テラスの下、外壁と軒天の見切り(材が切替わる)部分には、左官工事で「下端起こし材」と呼ばれる材をガイドとするよう現場にリクエストしています。端部に金物を用いずコストを抑え、意匠としてもシンプルなおさめになります。

建築が仕上がる前の工程がどんなものか・・ご存知ない方も多いと思いますので、現場の進捗についても適宜お伝えしたいと思います!

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2021-06-12 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

土地探しから

日曜日は曇天の中、横浜ランドマークタワーへ。
土地探しからご相談をいただいておりましたご夫妻との打合せでした。

候補の土地を購入すると、そこではどんな建築の内容が可能なのか・・
事前にお住まいへのご要望のヒアリング、建築法令上の制限を確認し、近隣の環境を調査。その上でプラン提示をさせていただきました。

車を利用の場合、電車を利用の場合、自転車や徒歩圏での買い物などは、どこで行えば良いか・・
事前の現地調査では、敷地から最寄り駅やその周辺まで様子を確認。途中の商店街で買い物をし、商店街パンフレットも入手してみたり。ゆったりとした空気感が地域全体に感じられました。その地で、おおらかな、豊かな暮らしのイメージを持っていただけそうなプランを考え、説明をさせていただきました。

横浜ランドマークタワーでの打合せの後、2020年にオープンした「BLUE BOTTLE COFFEE みなとみらいカフェ」に立ち寄ってきました。
ブルーボトルの背景にランドマークタワーを重ねて写真を。

カフェのデザインは、芦沢啓治建築設計事務所によるものです。曲線やウッド素材が柔らかさを感じさせる、心地よいデザインとなっています。
おそらく鉄骨の柱には建築法令上必要となる耐火被覆(耐火塗料)が施されていますが、人が触れる高さあたりまでペーパーコードを巻いてカバーするなど、細やかな配慮が見られます。

コーヒーとアボカドを乗せたトーストをおいしくいただき、打合せ後のひと時をゆったりと過ごしてきました。

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2021-05-17 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

家具搬入

土曜日は、愛知県の新城市まで、車で日帰り出張でした。

「新城の住宅」は、完了検査も無事に終え、検査済証も取得できました。
月末の竣工・引渡しに向け、この日は家具の搬入日です。
クライアントと一緒にショールームをまわり、時間をかけてセレクトしたアイテムですが、コロナの影響も受けて注文から約5ヶ月経過。
待望の家具(フリッツハンセン)の到着、組立て、搬入に立ち会ってきました。

無事にテーブル、チェアなど家具をセットすることができ、夜間まで待って、照明の確認も行いました。
調光可能なライン照明、ダウンライト、ペンダントライトは、十分な明るさ・パワーがある設計内容ですが、暮らしのシーンに合わせて光を絞るとさらに落ち着ける雰囲気となります。
家具が加わり、内部のイメージも整ってきました。
何とも言えない嬉しさがあり、じっくりと眺めたり、写真を撮ったりしたいところですが・・時間となり現場を後に。去りがたい感じですね。

梅雨入りとなりましたが、何とか撮影まで無事に行えますように・・

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2021-05-16 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

New project/コンタ模型

New Projectのコンタ模型です。

※建築関係者の多くは、等高線(conter line)を重ねてつくる模型のことを「コンタ模型」と呼んでいます。


少し前になりますが、長野で敷地調査を行いましたNew projectは、その後建築の提案をさせていただき、徐々に検討を進めています。
計画敷地は概ね平坦な宅盤となっていますが、周囲の地形はかなりの高低差があります。現地にてまずは敷地のコンタ模型のみを実際の方位の通りに置いて、建築ヴォリュームを動かしながらクライアントご家族と配置イメージを確認しました。

模型は、約80枚の薄いダンボールを切り出しています。建築や樹木など点景なしの状態でも地形が水平ラインで視覚化され、実際の自然景観とは違った味わいがあります。曲線が近く積み重なる急斜面部分など、雰囲気が出ていい感じです。

また現地では、日の出や日の入、太陽の動きが、春秋分・夏至・冬至でどのあたりに来るかも把握しました。
建築の配置もおよそ定まってきましたので、各種の検討をさらに進めていきたいと思います。

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2021-05-11 | Posted in diary, blogNo Comments »