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公開審査

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第5回 JIA東海住宅建築賞2017 に応募し、公開審査を体験して来ました。

日時:2017年6月24日(土)13:00〜17:30
会場:名古屋大学ES総合館ESホール

審査員長:堀部安嗣 氏(堀部安嗣建築設計事務所代表)
審査員 :手塚由比 氏(手塚建築研究所共同代表)
審査員 :前田圭介 氏(UID主宰)

※写真は、審査前の会場。1作品につきA1パネル1枚の展示。

 

この建築賞は、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県の東海4県に
つくられた住宅(専用住宅・集合住宅など)を対象とし、
各自が定めたテーマに対して特に秀でた住宅に対して贈られる賞です。

私見ですが、開催された回数が今年でまだ5回目ながら、
以下の点から注目度はかなり高まっていると感じます。

①著名な建築家を毎回審査員に3名招くこと(建築家以外の審査員はいない)
②審査員と応募者が直接対話が出来る
③現地審査を審査員全員が同時に行なう
④審査が1次、2次共に公開審査であること

これらが、専門家にも学生さんにも刺激を与えているのではないでしょうか。
他の建築賞ではこうした機会もなかなかありません。
そして実際に挑戦してみないと評価・結果はどうなるかわかりません。

 

6/24の公開1次審査当日は
応募者が直接応募パネルの前に立ち、審査員の方に説明を加える形式で行なわれました。
その後各審査員の投票結果を集計し、議論を行ない現地審査作品を決めるという流れです。

 

全員プロの設計実務者である応募者が、公開で審査・評価を受けます。
全国的に知名度のある建築家も、東海地区を中心に活躍されている建築家も、全員同じように1作品4分ほどの時間で説明・質疑応答が続いて行きます。

準備関係者のお話では、今年は47作品の応募があり、応募数というよりはその質が、年々ハイレベルになってきているとのことでした。

審査員の先生方も長時間の審査、かつ同業で面識のある建築家(応募者)もちらほら・・という状況。
なかなか大変な審査に見えました。

 

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審査開始早々、審査委員長の堀部さんが私たちの応募パネル前に(名前の五十音順で、早い番号から)。
設計で重視したポイントを、私なりに説明させていただきました。

※この写真は会場内の撮影をされた谷川ヒロシさんより

 

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審査時間の終盤あたりでは、学生さんの見学者も徐々に増えたように見えました。
審査員と応募者建築家のやりとりを多くの人が聞きながら審査終了を待つ状況。

全ての作品を3人の審査員の方が見終えられて、投票となります。

 

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票が入ったものについて、各審査員のコメントを加えた議論に。
この時点で応募数の半数以下、20作品ほどに絞られています。
私が見る限り、かなり力の入った作品でも票が入らなかったものが複数あり、唸ってしまいます。

 

私たちの応募作品は、幸いにも審査委員長の堀部さんから票をいただき、
前向きなコメントも加えてもらえました。
しかしながら他の審査員の評価は得られず、次の現地審査(8作品)へは進むことは出来ませんでした。

 

ちなみに現地審査へ進んだ作品に対しても、
「この作品のどこが良くて票を入れたんですか? 私は良いとは感じないが・・」
といった審査員同士のやりとりもありました。

また応募者の中には、大学で学生さんを指導する方(常勤・非常勤)も多くお見かけしました。
学生さんも見守る中での審査では、手厳しいコメントもあって、これはなかなか厳しい状況だなぁ・・というのが率直な印象です。
(ちなみに過去に私が授業でお会いした学生さんも何名か来ていました・・)

新築と改築物件の比較の難しさに加え、審査の視点もそれぞれ異なる議論。
建築を評価する価値観の幅や奥深さを改めて感じました。

入賞の可能性をどこか期待しつつ・・の応募でしたので、
やはり最終審査に残れなくて、少し残念ではあります。
公開審査での、短時間の対面プレゼン・各審査員との対話など
貴重な経験として持ち帰り、次に生かしたいところです。
関係された皆様、どうもありがとうございました。

 

審査の結果、次回の最終審査の情報など
↓こちらのJIA東海住宅建築賞/Newsページで確認出来ます。
http://tokaiarchiprize.jp/news

 

 

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2017-06-26 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

SHIGERU BAN 展

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TOTOギャラリー間で2017年7月16日まで開催中の「SHIGERU BAN 展 PROJECTS IN PROGRESS」へ行ってきました。

国内外のコンペにも数多く勝利し、国際的に注目を集める建築家 坂 茂さん。

2014年には災害支援と多方面に及ぶ建築活動が高く評価され、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞されています。
ギャラリー間での展覧会は、1999年以来18年振りとなる2回目の個展となります。

 

展覧会ならではの展示コンテンツとは?ということを意識された展示は、模型やモックアップ、建設現場の映像などを用いて施工プロセスまで理解出来るような表現となっていました。

エネルギーに満ちた展示の数々。

 

映像を除く展示物は撮影可でしたので、模型とモックアップをいくつか紹介させていただきます。

 

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会場に入ってすぐのメイン展示(3F)中央には
2017年春、パリ近郊にオープンした音楽ホール・コンプレックス「ラ・セーヌ・ミュジカル」の模型。

周囲の壁面で、コンペ提案時の映像や現場定点写真が紹介されていました。
コンペから6年越しのプロジェクトだそうです。

建設プロセスを拝見しながら・・
この規模と、内容を設計管理するのは、本当に大変だったのだろうと頭が下がります。

勝手な想像ですが、もしも自分が設計担当者だったとしたら・・
色んな意味で命懸けですね。シビレます!

 

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ホール部分の断面模型。

曲面の木製フレームで覆われた音楽ホールのさらに外側には、木の葉のような形で、太陽の動きに追尾する可動式ソーラーパネルがあります!

 

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ソーラーパネルの実物も展示されています。
見たことのない、美しい多結晶太陽電池セルでした。特注品のようです。

 

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モザイクタイル。

光の受け方により、玉虫色のような色彩変化を狙った壁面。

 

特注アイテムの数々。

 

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ホールの吸音壁面モックアップ。

 

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音楽ホールの座席。

モックアップに座って、映像展示を見ることが出来ます。

 

 

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4階の展示へ。
国内外で進行中のプロジェクトの数々。

 

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「由布市ツーリストインフォメーションセンター」/大分県由布市 2018年竣工予定。

 

 

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「竹田市クアハウス」/大分県竹田市 2018年竣工予定。

 

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特殊な屋根架構システムを、中庭を覆う形で見せています。
展示の見せ方にも感心。

 

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中庭に落ちる影。
実際の建築へ想像が膨らみます。

 

 

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「スイス時計会社本社」/スイス、ビール/ビエンヌ 2018年竣工予定。

 

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同(スイス時計会社本社)木製模型。
材料加工の様子が映像で紹介されていましたが、3次元での木加工技術は、凄いレベルで驚きました。
日本よりはるかに高度なものだと思います。
計画地の近くには木構造専門の大学もあるとのことですが、こうした地域の産業・技術なしにはプロジェクトの実現は不可能だろうと感じるほど。

 

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「ティームセブン新社屋」/オーストリア、リート・イム・インクライス 計画進行中。

無垢の木で木製家具をつくる会社のため、同社家具の脚のかたちを使った木製トラスの展示。

 

 

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「富士山世界遺産センター」/静岡県富士宮市 2017年7月竣工予定。

水面に映った姿が、逆さでない富士。間もなくの完成が楽しみです。

 

 

展示を拝見しますと、造形的に特徴のある提案が多く、また木材を主とした材料の扱いにも独自の設計スタンスを感じます。
単に目先の経済性、機能・維持管理面から導き出された合理性とは別の次元でプロジェクトを俯瞰しているのではないかという印象を持ちました。

建築に求められる価値は、時代とともに少しづつ変化する部分と、変わらない部分があると思いますが、日々の設計実務の合間に出来るだけこうした見学を重ね、建築の潮流・建築の普遍的な価値 に一歩でも迫っていきたいです。

 

 

 

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2017-06-14 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

復刻なるか

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建築の金物、建具のハンドルについて、少しご紹介します。

先日、建築金物メーカーの「堀商店」さんのご担当の方から、一度廃盤となっていたアイテムが復刻されたとご連絡をいただきました。サンプルを見せてくれるということで、まずは拝見!

写真左のステンレス素材のものは現行でも扱っている商品「MCS」ですが、右の同デザインで真鍮素材がラインナップに復活したそうです。

このハンドルは、細くて小振りなのが特徴です(ハンドル長さは70mmほど)。
スケールの小さい空間表現に合うということで愛用している建築家もいます。真鍮のハンドルは、ステンレスより重量があり、また使い込んで味わいが増してくる素材感、カラーコーディネートなど、選定される理由は幾つかあると思います。

ちなみに同デザインで一回り大きい、標準サイズのものもあります。

 

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参考までに・・と、半世紀以上前となる1965年のカタログコピーを見せてくれました。
上から2段目左の「MC」という製品が標準サイズのアイテムで、今も「MCR」という名で続くロングセラーアイテムです。

実はこの古いカタログを持参して下さったのには、別に小ネタがあってのこと。
上記カタログ、最上段の左側「MA」という名の真鍮製ハンドルは、「山田守自邸」(参考:以前のブログ記事「山田守自邸」見学)でも使われていたレバーハンドルであるそうです。

 

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↑写真左が、そのハンドル(と同一デザイン)の実物。
現在は廃盤となっています。
偶然、別の建築現場の解体時にハンドルのみ残すことができたレアアイテムとのこと。丸い座金パーツは残念ながら残っていないそうですが、テクスチャに時間の堆積を感じますね。
拙ブログを見て下さって・・「伊原さんは興味があるのでは?」ということで、わざわざ持参して下さいました。
(しかし私は見学者時にそれを建物のどこに使っていたのか、不覚にも気付けていませんでした!)

最後に↑写真「MA」の右側、ステンレス製のハンドル「MB」について
上記1965年カタログでは最上段の右側にありますが、これも同様に現在は廃盤です。
まったくクセの無いシンプルなデザインで、堀商店らしさ?のような手の込んだ仕掛けは抑えられているように見えます。しかしハンドルの径が13φと、かなり細くシャープです。他メーカーでありそう?と思っても、この繊細さは他の既製品ではおそらく無いでしょう。個人的に一番使ってみたいのはこの製品かな。
こちらも半世紀前に存在していたということで、思わず唸ってしまいました。

リクエストがあれば、冒頭の「MCS」に真鍮が復活したように、廃盤の「MA」「MB」も製品として復刻の可能性があるそうです!
もしリクエストするとしたらどれが良いですかと聞かれ、私はMBに一票、としてみました。
建築関係者でも一般の方でも、ご意見のフィードバックがありそうですので、堀商店さんにお伝えしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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2017-05-23 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

国際バラとガーデニングショウ

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愛知の友人が主催者から依頼を受けて出展していると教えてもらい
2017.5.12〜17までメットライフドーム(旧西武プリンスドーム)で開催されていました
第19回 国際バラとガーデニングショウ に行って来ました。

 

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場内のガーデン関連エリアにある紹介看板をパチリ。
看板左上、案内をいただいた二村昌彦君、「男子ガーデン」と銘打って出展しているところに注目!

 

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メインのディスプレイはこちら。
このほかにもDIY体験のワークショップ、二村君が代表を務めるガーデンショップ「garage」のブースも別の場所に同時につくり込んで展開していました(来場者が途切れるタイミンでうまく写真が撮れませんでした)。
TV取材も受けていたりと、昼食をとる時間もなく大忙しの様子。

イベント全体では華やかなバラ、優しい雰囲気のガーデニング的な出展がほとんどの中、フラワー系とは異なるクールな「男子ガーデン」ディスプレイは例年にはなかった表現とのことです。注目度が高かったのではないでしょうか。
これら全てを愛知からトラック4台で運搬したとのことで、設営から撤収までなかなか大変な出展。
頑張っている友人から刺激をいただきました!

はじめて訪れた旧西武プリンスドームですが、建築的には膜天井の屋根によって柔らかな自然光が得られ、またスタジアム周囲が外部に開放された空気環境がこうしたガーデンイベントにもマッチしている気がしました。
イベントビジネスとスタジアム建築との関係、実際の運営状況なども見学でき、何かと勉強となりました!

 

 

 

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2017-05-18 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

ヒアリング

ヒアリング打合せ

先日は、建築のご相談をいただいたご家族に、住まいについてのお考えなどお話をうかがいました。

ご家族の方、個々にお話をうかがえますと当然ながら、細かなニュアンスを汲み取ることができます。
今回もご主人の将来イメージやお考え、奥様の視点での家事や育児についてのお考え、過ごし方の好みなどを同時に多く受取ることが出来ました。
ご家族が揃われる貴重なお時間をどうもありがとうございました。

 

 

 

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2017-05-17 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

十日町の建築

GWに出掛けました新潟・上越の山菜採りの帰りに、新潟県十日町市にある建築を短い時間ですが、見学してきました。
スナップ写真など、少々紹介させていただきます。

 

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こちらは、オランダの設計ユニット MVRDVの日本国内初作品(2003年竣工)
「まつだい雪国農耕文化村センター 農舞台」です。
北越急行「ほくほく線」まつだい駅のすぐ脇にあります。
越後妻有 大地の芸術祭の里として利用された方も多いのではないでしょうか。
↑web情報はこちら
少々専門家ネタになりますが、建築家の吉村靖考さんが独立される前に設計で関わられていたそうです。

私は数回訪れていますので、今回は外観のみパチリ。
はじめて見てから十数年経ちますが、はじめ大胆な構成で大きなインパクトを受けた現代建築も、少しづつ不思議とこの大自然に建築が馴染んできている気がします。
このアイコニックな建築によって
「まつだい」という場所に、かつては無かった観光やアートのイメージを定着させたのだと思います。建築がその役割を果たしている事例でしょう。
単に私が見慣れて来た、ということもあるかもしれませんが・・

ちなみに、雪に埋もれた景色もいい感じでオススメです。

 

 

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こちらは、手塚貴晴+手塚由比 / 手塚建築研究所の設計(2015年竣工)
「 十日町産業文化発信館 いこて」です。

 

設計者の発表当時のコメントでは、

「雪の中に埋もれる木造建築。雪下ろしはしない。かつての十日町の風物詩であった雪よけの軒下空間「雁木」が再現されている。夏は大きな蔀戸(しとみど)が上がり、開放的な建物に変貌する。」(手塚貴晴)

とあります。

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爽やかな季節の5月、蔀戸はオープンの運用となっていました。

 

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軒下空間「雁木」の様子。

 

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1F室内から。

 

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1Fのカフェでお茶・アイスを食べて休憩。
夜はbarとなるそうです。

床・壁・天井・家具・・とにかく木に包まれる空間でした。
冬の時期、特に暖かく感じられるのではないでしょうか。

 

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2Fは多目的に利用されるスペース。
この日は、特に利用無しで写真のみ1枚。

 

 

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「十日町市市民交流センター・分じろう、十日町市市民交流センター・十じろう」にも立ち寄ってみました。

設計は、青木淳建築計画事務所によるリノベーションで、少し離れた場所にある2つの建築です。

先程の「 十日町産業文化発信館 いこて」からアーケード付きのメインストリートを歩いて行ける距離にあります。
中心市街地活性化の取組み、情報発信や交流、創作活動の場の整備・・1つは増築、1つは減築を行なっていますが、建物とアーケードとの間の「マーケット広場」と名付けられた半屋外スペースなどが設計ポイントの1つと言えます。

また設計の進め方に特徴があり、設計初期の段階から設計事務所スタッフの方が現地に常駐し、分室(ブンシツ)を置いて進められたという点です。

 

2016年のGOOD DESIGN AWARDの概要では以下のような解説があります。

本事業は、十日町市中心市街地活性化基本計画の一貫として行われた市民活動センター等の整備に係る実施設計等業務プロポーザルに始まる建築家と地元コミュニティの公共施設設計における協働である。「ブンシツ」とは設計の序盤から現地に開設していた設計事務所の分室を、地域に開放することでついた愛称であり、地域住民の活動の拠点である。また、十日町まちなかステージ応援団はそこに集う人を主とした、まちなかで活動を展開する団体であり、施設の積極的利用者として設計の相談役も務めた。「ブンシツ」を介して建築家の意思は地元の人々に受け継がれ、またそこで醸成した活動は継続して竣工した施設で行われ、まちの賑わいに貢献している。

 

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こちらは、「分じろう」

 

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アーケード下の既存サッシは、外部・外部となる壁に残されています。

 

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【地産材を活用した木製建具「十日町サッシ」の開発】施設づくりを幅広い視野で捉え、地域の産業や街並みづくりに貢献できるよう、地元の有効に使われていない杉を活用してオリジナルの木製建具「十日町サッシ」を十日町の建具屋、材木屋と共同で開発し、新しい施設に数多く導入されたそうです。

 

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個人的には、減築のため生じたスラブ断面の見せ方などが面白く、こうした表現はセンスなだぁと感心しました。

 

 

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こちらは、「十じろう」

 

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アーケード脇から、ビルの外観。

雪が深い時期でも高窓から半屋外スペースが明るく保たれることなどが、設計で意図されています。

 

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多目的な半屋外、「マーケット広場」スペース。

 

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2F「ワークラウンジ」
談話や打合せなど、憩いの場。

間仕切りなど拝見しますと、設計から現場まで、市民が参加しアップデートできる仕組みづくりを楽しんでいたであろう雰囲気が伝わって来ます。

 

立ち寄った3つの建築を見学するだけでも建築の表現やプロセスは三者三様です。
しかし周辺の他の建物にはない独特な存在感を放っているということ、それに加えて社会に大きなメッセージを投げかけている点が、それぞれの建築に共通している気がしました。

地方都市と、離れたところからやってきた設計者の関わり方・・
違う価値観や技術を持った人が、遠くからやってきて建築をつくると、それまでとはちがった文化的なものが、そこに産み落とされるのではないでしょうか。

十分な下調べもしないまま、駆け足で建築をチラッと拝見しただけですが、何だかそんなことを想った十日町の建築見学でした。

 

 

 

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2017-05-12 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

GW 山菜採り 2017

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ここ数年、GWのお休み時期を狙って新潟・上越の山に家族で山菜採りに出掛けることにしています。

新潟の父の案内(所有する山)で、娘と一緒に本物の自然を堪能させていただく贅沢なひと時です。

 

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雪解けの沢筋を歩いて、自生している「山ウド、こごみ、根曲がり竹、アケビの芽」などを探します。

 

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地形、水の染み出るところなどで植生が変わり、人のつくるランドスケープデザインとは違った味わいがあります。

 

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この時期にしか見られない、緑の濃淡が心地よいです。

 

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↑上の写真の一部に「山ウド」自生スポットが1カ所だけあります。

山菜採りを教えてもらった当初は「あそこにあるよ!」と言われても、2m先のウドもわからない(見分けがつかない)状態でした。
特に芽吹いて間もない、若いウドがおいしいので、葉があまり成長していないものが狙い目となります。

しかしながら数年経験させてもらい、私でも見えるようになってきました!

 

どこにあるか・・

↓ 答えは、私の居る写真の中央部でした。

 

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子どもの原体験としても、親子(3代)の時間としても大切にしたいものです。

 

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少し場所を変えると、まだ芽吹きの遅いエリアもあります。
昨年、GWにちょうど良かったタイミングの場所も、今年はウドにはまだ早い状況。
しかし、こごみは昨年は食べごろを過ぎていても、今年はちょうど採れる時期だったりしました。

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こごみは子どもでも採りやすいので、黙々と!

 

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別の沢には、まだ雪が残っていました。
雪解け水が、おいしいお米をつくってくれるのでしょう。

 

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個人的には、太くてちょうど良いタイミングの山ウドを見つけた時、テンションがMAXとなります!
地表に出ていない根の部分を良い形できれいに採れるかどうかも、慣れが左右しますので、楽しいです。
山菜採りそのものは単純に気持ち良く、癒やされ、無心になれます。

 

建築の設計では、デザインに限らず、建築の安全性や機能性、耐久性を実現させる技術、材料や法令知識、コスト感覚、コミュニケーション能力など、様々なことが同時に求められます。

しかし中でも極めて重要な感覚は・・
最初に計画敷地の読み込みを誤らず、その場所のポテンシャルを高める大きな方針を見出せるかどうか、まずは土地と対話できる感覚ではないでしょうか。

その場所で得られる光、風、水、地盤や植生・・そしてそれらは時とともに変化していきます。

GWには仕事のことは忘れて・・と言いたいところですが、実はこうした自然との対話、建築家として土地を読む感性を磨くことにもなるのだと思ったり・・
家族で春の建築イメージトレーニング?に行ったつもりにもなっています。

 

 

 

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2017-05-11 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

event/第2回未来をのぞく住宅展 に参加します

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未来をのぞく住宅展
~はじまりは建築家との出会い~

2017. 5/20〜5/21 愛知県豊田市 にて開催されます建築家展に参加させていただきます。

開催日時:
 5/20 (土) 11:00~18:00 入場無料
 5/21 (日) 10:00~17:00 入場無料

開催場所:
産業文化センター
愛知県豊田市小坂本町1-25 多目的ホール

 

関東・関西・中部圏を中心に活躍する、8名の建築家が参加します。
入場・相談無料です。この機会にぜひご参加ください。

 

建築家との家づくりとは?
建築、住まいに関すること全般で知りたいこと、
ご興味、ご質問などございましたらお気軽にいらしてください。
こちらの→イベント詳細情報をご確認ください。

 

 

 

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2017-05-11 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

「覚王山の住宅改修」ヨガ・スタジオへ

名古屋市内、弊社で住宅のリノベーションを手掛けさせていただきました「覚王山の住宅改修/House in Kakuozan」のクライアント、大須賀英恵さん。
本日(5月5日)、中部経済新聞の記事に取り上げられたと教えてもらいましたので、少し紹介させていただきます。

大須賀さんはこの春、リノベーションを終えた住宅1階の一部を利用し「フォーカス・ヨガ・スタジオ」を開設されました。
「心身をリフレッシュして、元気に働く」ことをテーマに、ビジネスパーソンを対象としたヨガ・スタジオとのことです。
さらに今後は企業向けに出張セミナーなども行なう予定だそうです!

↓掲載記事はこちら

20170505フォーカスヨガスタジオ記事 - バージョン 3

設計打合せでご一緒しました大須賀さんは、優しくとても穏やかな方でした。
ヨガの技術的な指導だけでなく、きっとこれから多くの方を内面からも癒し、元気にしてくれる、ヨガ・スタジオになるのでしょう。

 

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場所は静かな住宅地ですが、メインツリー(高さ4m)のオリーブと、門扉脇にあるレモンの木が優しく出迎えてくれます。
名古屋地区でご興味のある方は、Tel:052-740-0776 までお問い合わせ下さい!

 

 

 

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2017-05-05 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

「山田守自邸」見学

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先日「山田守自邸」の見学をしてきました。

日本のモダニズム建築家、山田守(1894年-1966年)没後50周年を記念して、山田守自邸を10日間限定で公開し、住宅の設計図や写真、模型の紹介などを行なう展覧会でした。

最終日に足を運びましたが見学者多数で・・整理券を受取り約1時間待ちで見学できました。

また当日(事前には知らなかったのですが)、展覧会を企画された建築史家の藤岡洋保先生の解説を建物内2階の和室で直接聞くことが出来るタイミングとなり、個人的には大変有意義な一時となりました。

 

山田守(1894-1966)は日本近代を代表する建築家のひとりで、「東京中央電信局」(1925)「東京逓信病院」(1937)、「長沢浄水場」(1957)など、エレガントな曲線を用いた独創的でかつ軽やかなデザインが特徴と言えます。

晩年には「京都タワービル」(1964)や「日本武道館」(1964)などを手がけていますが、この自邸はそれらの少し前の1959年竣工、65歳にしてはじめて自邸を建設したものだそうです。

 

 

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東京都港区南青山5丁目、表参道駅近くの骨董通りより青山学院大学側へ1本入った道に面して建っています。

 

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建物の1Fは珈琲店となっています。
ここは、以前勤務していました第一工房のすぐ近くでしたので、何度か利用したことがありました。

しかし竣工当時はピロティで、後の増築だったということまでは恥ずかしながら知らず・・今回の展覧会で以前の様子、写真や建築家の意図なども確認できました。

 

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展覧会への入口はこちらのスチールゲートより。
内部の撮影は不可でしたので、外部のスナップを少し。

建築は、鉄筋コンクリート(RC)造の地上3階建て、竣工時で延床256㎡、
プログラムとして住宅のほか、オフィス(設計事務所スペース)を3階に配置していました。

 

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そのため、この螺旋階段は住宅以外のパブリックな動線として位置づけられています。
特に階段室の造形には、内部・外部ともデザインのこだわりが表れ出ています。

 

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3階は後の増築で、写真では壁ですが、以前は広々としたテラスでした。
(出来れば以前の軽快な姿を見てみたかったです)
金属製の手摺のデザインは、展示で拝見しました当初設計の手描き図面と同じでした。

RC造で、非常に薄い庇。
庇に限らず建築全体をスッと、軽やかに見せるため、構造体や雨水処理、建具でもデザインの工夫が施されていました。

各所コーナー部分は、様々な材料を用いて曲面におさめられています。

 

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プライベートな住居部分への階段・手摺
スチールパイプのシンプルなデザインです。曲がり部の緩やかなRラインが手に優しく、強度も含め機能的です。表現としてやや控え目なつくりですが、私は普通っぽくて結構好みです。

 

そのほか外観からはわかない仕掛けとして
RCスラブを梁の下側におさめる「逆梁」にしているところもかなりありました。
2階の二間続きの和室で木製の柱と見せているものには・・実は内部に、鉄骨を見せないように仕込んで、RCスパンを補強しています。

また庭園部分は、既存の土地が高低差のあったフラットな宅盤であったため、これをなだらかに傾斜する地形に改変して建築の存在もなじませ、庭園全体を自然な雰囲気に美しく仕立てたのだそうです。さすが!

 

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1959年の竣工から58年。
小規模な建築が半世紀以上、東京の一等地で残されているだけでも特別なことなのでしょう。
さらに住宅は一般に公開されることが少ないため、今回の企画により貴重な住宅建築を実際に体感できたことは幸いでした。

日々の私たちの設計作業でも、永い時間に耐え出来るだけ価値が持続する建築を目指していきたいです。

 

 

 

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2017-04-27 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

水辺の風景 高田城址公園

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新潟県上越市の高田城址公園へ足を運んできました。

高田城址公園は、日本三大夜桜スポットの1つとされ、公園内には約4000本の桜があるそうです。全国から多くの観光客が訪れますが、見頃はおよそ東京の花見の時期から1週間過ぎたあたりでしょうか。写真は、4/15の週末に訪れたものですが、ブログ記載が遅くなってしまいました。
夜桜のライトアップは色を加えた演出のようでしたので、自然光で景色が味わえる時間帯にしました。

単純にソメイヨシノが多く見られる花見というだけでも季節感を十分に味わえますが、堀の水辺に展開する景観を特に楽しみに・・

 

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桜の花が散る水面。ボートを楽しむ方も多くいらっしゃいました。

 

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外堀水面に映る残雪の妙高連山、桜並木も味わい深い眺めでした。
堀に沿っての散策歩道には手摺がなく、水辺の空間が断絶されることなく伸びやかに広がるところが素晴らしいと感じました。

春は水面が広がる風景ですが、ここには外堀19ヘクタールを埋め尽くすハスが広がっています。夏にはハスの葉で緑一面の景色に一変します。
ハスの美しさ、規模ともに東洋一といわれるそうです。
(見ごろは7月下旬から8月中旬)

 

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夕暮れ時、光の変化を繊細に映し出す水辺の風景に
思わず足を止めてしまいます。

自然を愛し、四季の変化を楽しむ日本人の美意識を大切に・・
建築・ランドケープへの意識を高めていきたいと思いました。

 

 

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2017-04-21 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

media/homify(中国)に紹介されました

20170421_homify_china

WEBマガジン homify(中国)

中国(北京語)記事にhm+architects 設計「犬山の住宅」が紹介されました。
(はじめから9枚目に内観写真 掲載)

https://www.homify.tw/ideabooks/3128317/11-間可以欣賞農田景色的美麗鄉間住宅

 

<homify(www.homify.jp)>
ドイツ、ベルリンを拠点に置くオンラインプラットフォームで
建築、インテリアデザイン、家具デザイン、庭デザイン、その他暮らしに関わる小物等まで紹介しているウェブサイト。
日本を含め23カ国に配信されています。

 

blog category:犬山の住宅
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2017-04-21 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

雨の敷地調査

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雨の中、設計のご相談をいただきました敷地の確認をしてきました。

隣地との関係、方位を確認しながら光や風の動きを予想し・・
こうした雨の日には敷地の水はけ情況なども見ることが出来ます。
ご要望に沿う計画の実現に向け、検討を進めていまいります。

 

 

 

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2017-04-20 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

新学期スタート

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2017年度、大学非常勤講師としましては3年目の新学期がはじまりました。

今週行なわれました愛知工業大学での初回授業日は、あいにくの小雨でしたが、池のほとりの桜を眺め、静かに春らしさも味わえました。

今期、大学内でのカリキュラム変更もあり授業内容には新たな試みも・・
また、指導で受け持つ学生さんの人数も以前より多くなったり。

指導者としても、毎年何らかの進歩があるよう
新1年生のみなさんと共に、張り切ってまいります!

 

 

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2017-04-14 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

草間彌生展「わが永遠の魂」

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国立新美術館で2017年5月22日まで開催中の
草間彌生展「わが永遠の魂」へ行ってきました。

草間さん13年振りにして、これまでにない大規模個展。
国立新美術館も今年開館10周年とのことで、力を入れた展示のようです。

小雨の日曜日、午前中からチケット購入だけでも長蛇の列で、すごい盛況振りでした!

 

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美術館外部の樹木や、外部デッキのパブリックスペースにも草間さんのアートワークを見ることができます。

館内、展示室内でも、いくつか撮影可能な場所が用意されていました。
以下そこでのスナップ写真を数枚UPしてみます。一部展示内容がわかってしまいますがご容赦願います。他のweb上でも画像は紹介されていますので・・

 

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まず展示エントランスでは、目力がすごい草間さん写真でお出迎え。

1929年生まれ、現在88歳とのことですが、日曜も祝日も関係なく毎日、創作活動に取組まれているそうです。

展覧会は二部構成となっており、第一部は「21世紀の草間彌生」と題し、2009年から取組まれ現在も描き続けられている「わが永遠の魂」シリーズが圧倒的な迫力で紹介されています。2メートル角ほどの正方形大型キャンバスに描かれた同シリーズ作品は500点を超えているそうです。

 

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そのうち130点あまりが会場に集められ、メインとなる展示室壁面はぎっしりと作品で埋め尽くされています!

個人的には、繰り返し描かれるモチーフ、様々な「顔」に興味が湧きました。
作品の部分紹介を写真で少し・・

 

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第二部は、「20世紀の草間彌生」ということで、故郷 松本での「初期時代」から、「ニューヨーク時代」、帰国後の「東京時代」の作品を順に見ることが出来ます。

幼少期、10歳の時に描かれたドローイング紹介もあります。
子どもの頃から幻覚を日々見るようになって、苦悩を乗り越えるべく「水玉」・「網目」を用いた幻想的な絵画作品が製作されていったようです。
ニューヨークでは極貧時代を乗り越え、社会へのメッセージ性の強い作品を生み出し、表現としても当時の最先端のアートシーンに強い影響を及ぼすことに。

しかしその後、帰国した日本での不本意な評価などから、個人の内面世界にのめり込む新たな作風への転換があったと・・
そして1980年代から90年代にかけて発展していった代表的な作品「南瓜」は、草間さんの内面を癒してくれるような存在として見出されたのだそうです。
関連する2000年代の作品もいくつか館内に、そして屋外の展示場にも巨大な作品が置かれていました。

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室内の展示を見終えてから、一度外に出て高さ4.5メートルの大型「南瓜」を見に行くと・・
雨の中ミッドタウンの高層棟が背景となり、六本木という場所・スケールに不思議と相性が良いようにも見えました。

 

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また展示室とは別に、美術館のホワイエの一部に用意された「オブリタレーションルーム」では、来場者が水玉のシールを受取り、ルーム内部へ自由に貼り足していく体験もできます(展示チケットの提示は必要)。

 

展覧会では、草間さんの生き様そのものとも言える、その凄まじい創作の数々、ほとばしるエネルギーにとにかく圧倒されました!
多くの来場者が展覧会場にいらしておりましたが、私にはそれぞれの方が何かに納得して会場を出て行かれるようにも見えました。
創造的な活動を70年に渡って続けてこられた凄み、年齢を重ねさらに新しい表現への変化・進化。写真では伝わらない作家の魂に触れたのではないでしょうか。
唯一無二、独創的であればあるほど、草間さんは人一倍孤独な道を歩まれたのだと思います。

自分の建築設計を考えますと、足元にも及ばないエネルギーレベルではありますが、とにかく短期的な結果や評価に左右されない強い気持ちを保ちながら仕事を続けることが重要なのだと感じました。

最近、展覧会では写真撮影OKというイベントが増え、思わず記念写真を撮りたくなる場所を会場のどこかに設けていると感じます。
こうして拙ブログでも紹介してみたり・・SNSなどで写真が多くの方にUPされることが当然考えられていると思われます。

またミュージアムショップでのグッズ販売も、レジ待ち30分の列になるほどでした。会期終了間際には、相当な情況になっていると思われますので足を運ばれる予定の方は、事前のチケット手配や早めの時期・時間帯がオススメです。

草間さんのこれまでの活動、変遷が俯瞰できる展示となっており、他では見られない内容だと思います。
そして同時に東京の真ん中でこうした芸術・文化活動に触れることが出来るようになったこと。当然経済性も緻密に考えて、国立新美術館・ミッドタウンを出現させた再開発も、完成後しばらく時間が経ちましたが、やはり色んな意味で凄いなぁと。

週末、素晴らしい刺激をいただきました!

 

 

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2017-04-10 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

2017年春 胴吹き桜

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2017年4月、新しい年度がはじまりました。

今週は桜のシーズン、関東では週末あたりがお花見もピークでしょうか。
桜の枝先に咲き誇る可憐な花が、この時期だけの美しい景色を見せてくれます。
しかしよく見ると樹木の幹から直接芽吹き、花を咲かせているものもあります。
これは「胴吹き」と言われ、盆栽用語では、枝を追い込む剪定をして幹や枝の途中で芽吹かせ枝葉の全体のバランスを作ったりするのですが、公園や街路樹の桜などでは、老木となったり光合成が不十分で樹勢が弱まった木が、枝先までエネルギーを送る手前で幹に花を咲かせるのだそうです。
胴吹き桜は、およそ万全なコンディションでないまま、力強く花を咲かせているのですね。

建築の設計でも、全ての条件が理想的ではないことの方がむしろ多いと思われます。そして各プロジェクトで与えられた状況に応じ、ひとつひとつしっかりと美しい花を開かせることが私たち hm+architects の役目だと考えています。

日々暖かさも増し、新しい出来事への期待感も膨らみます。
これまでお世話になりました方、これからご一緒する方との出会いを大切に、新しい活動に取組んでいきたいです。
どうぞ新年度もよろしくお願いいたします!

 

 

 

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2017-04-03 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

「多摩センターのリノベーション」見学

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内覧会にお声掛けいただき、本日は小雨の中、東京都多摩市へ。
多摩センターの団地、1住戸のリノベーションを見学させていただきました。

設計監理は、デザインライフ設計室の青木律典さんです。

 

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ワンフロア100㎡のフルリノベーション。
お話では、クライアント(ご主人)の細部へのこだわりも強かったそうで、金物の見え方などにも十分気を遣われていました。ちなみに浴室ドアは教えていただかないと、壁に同化しているので発見できません!
水回りの刷新、そして収納を増やしながら、グレーのアクセントカラーを与えて繊細に奥行き感もうまく表現されています。居室は部屋数を減らして大らかなリビング・ダイニング空間とするなど、これら全てを限られたコストの中で隙なくシンプルに実現されており、大変感心しました。

リノベーションは、既存建築の質を見極めながら、新規の機能と意匠とコストをいかにバランス良くまとめられるかが言うまでもなく重要ポイントです。状況によっては、設計者の力量が新築の設計以上に試されるところかもしれません。

実際に拝見しますと、きれいな図面作成から現場打合せまで、青木さんのバランス感覚と誠実な仕事ぶりがしっかりと伝わってきました。

大変有意義な団地リノベーションのご案内、
本日はどうもありがとうございました!

 

 

 

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2017-04-01 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

敷地調査

新幹線脇の敷地

クライアントご夫婦と一緒に、これから計画を進めさせていただく敷地を確認させていただきました。

既存の土地は広く、アスファルト敷きとなっていますが、緑の多い庭に生まれ変わるのが楽しみです。
また道路を挟んで新幹線が走っていますが、音や景観にも配慮した建築の設計にしていきます。

ご夫婦にとりましてはご準備に数年間、待ちに待った新築計画とのこと。
喜んでいただける建築の実現に向け、頑張ってまいります。
引き続き、よろしくお願いいたします。

 

 

 

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2017-03-30 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

1年検査

レッドシダー シルバーグレー

先日、弊社で設計監理をさせていただきました「犬山の住宅」の1年検査を行なってきました。

お引き渡し後1年経過しますと、春夏秋冬すべての季節の運用で予想外の状況が無いかを確認できるため、一般にこの時期に検査を行ないます。もし当初の施工に不具合があれば手直しを加え、本工事の内容として対応します。
クライアントご家族・設計者・施工者立会のもと、建築の内外各所、使い勝手も含めて点検します。

まず外部、外壁に採用したレッドシダーの状態確認から。
外壁の木板張りは、建築士の資格もお持ちのクライアントとよく相談した上で、やがてきれいなシルバーグレーに退色することを見越して無塗装としています。
外観意匠、工事のイニシャルコストを無塗装として抑えることと、塗装をした場合の紫外線劣化状況、将来のメンテナンスまで含めたトータルでの判断でそのようにしていました。
1年経過し、ほぼ予想通りか、それ以上にムラの無いきれいな退色の状況でした。場所によって木材の暴れもなく、外壁下地に通気胴縁を採用したのも安定した状態を維持している理由の1つかもしれません。
色彩は、シルバー色のスプレー塗装をしたと言っても信じてしまうくらい。天然素材の色彩変化は、味わいがあってシブいようなカッコイイような雰囲気でした。

表情を変える外壁に対し屋根面のガルバリウム鋼板は、竣工時と変わらないシルバー塗装のまま、変色も劣化もありません。それぞれの材料特性が確認できました。

 

外構全般、植栽や舗装も特に問題なく、まずは一安心。
外部アプローチや庭は、1年検査中もお子さんが安心して伸び伸びと遊び回るスペースとなっていました。

 

 

犬山の住宅

室内についても、大変きれいにお使いいただいており、ほとんど竣工直後と変わらないくらいの印象です。
整理が上手で、住宅を使いこなしている感じが素晴らしいですね。
住まわれた感想として「収納が多くてとても使いやすいです」とのお言葉もいただきました!

光熱費も夏と冬、年間を通じて予想よりもランニングコストが抑えられているとうかがい、ご満足いただけたようです。

また室内でも、お子さんが走り回る様子を拝見し、回れるプランでの人の動きを存分に感じることができました。
無垢のフローリング材の色や肌触りも全体的に馴染んだ感じで、安らげる雰囲気が少しづつ増しているようです。

 

犬山の住宅

土間室もきれいな運用状況です。

竣工直後、土間コンクリートに防塵塗装した際の見た目の色合いと比べますと、やや淡くなって優しく馴染んでいました。
かなり厚さのあるコンクリートでしたので、コンクリート中の水分が完全に抜けるのに時間がかかったのだと思います。
コンクリート表面にヘアークラックも無く、きれいなままの土間でした。

 

ピザカッター自転車

キッチン正面壁、奥様のご意見で設置した開口部には自転車のオブジェ。
でもこれは、車輪が前後輪ともピザカッターになっています!
自転車好きのご夫婦にピッタリな小物、さすがです。

 

内部も全体的に大きな不具合無く、一部の木製建具の微調整などを行なうことを確認し、無事検査を終えることができました。
建築にご理解のある優しい素晴らしいクライアントに、大切に使っていただいている建築も何だか幸せそうに見えました。

 

クライアントご家族と、施工に関わった皆様に、心より感謝いたします。
本当にありがとうございました。
どうか末永くよろしくお願いいたします。

 

 
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2017-03-30 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

堀部安嗣展「建築の居場所」

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TOTOギャラリー間で2017年3月19日まで開催中の「堀部安嗣展 建築の居場所」へ行ってきました。

20余年にわたり、住宅をメインにゲストハウスなどの設計を手掛けられています建築家・堀部安嗣さんの個展です。
会期もあと少しですが、多数の来場者、特に若い女性が多かった気がします。

 

会場3Fには、日々作品が生み出される堀部さんの事務所インテリアが再現され、建築が生まれるまでの過程が、スタディ模型から堀部さん愛用の設計道具などと共に紹介されていました。

 

4Fには、代表作である「竹林寺納骨堂」や「阿佐ヶ谷の書庫」を含む14作品による短編映画(30分)が上映されていました。
「建築そのものだけではなく、『建築のまわりにある大切なもの』も伝えたい」という堀部さんの思いが託されています。

 

 

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3F会場 中央に展示された竣工模型。

縮尺を1/100、模型の使用材料も統一されています。
屋根・形態の違いなどがわかりやすく並べられていました。
26歳の所員さんが今回の展示の為に製作されたそうです。

 

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竣工模型の脇には、スタディ模型。こちらは手に取って見ることが出来ます。

 

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「せとうちクルーズ船 guntu(ガンツウ)」模型。

「せとうちに浮かぶ、小さな宿」をコンセプトとする宿泊型の客船。客室は19部屋。2017年9月就航予定だそうです。

 

展覧会が終わった後に処分しなければならないような展示物はつくりたくないという堀部さんのお考えがあったようです。
主には
①丁寧につくられた縮尺1/100の竣工模型群
②映像のプロが製作したドキュエンタリー映画
この2点にエネルギーを集中させているように見えました。

「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞を受賞され、せとうちクルーズ船の計画など住宅以外の特別なプロジェクトも発表されています。
展示物としては派手な見せ方をしないよう意識されているのだと思いますが、全体として、堀部さんの自信を静かにみなぎらせている展覧会だったかな、と個人的には感じました。

 

 

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2017-03-14 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

「清瀬の小住宅」見学

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若原アトリエの若原一貴さんにお声掛けいただき
東京都練馬区の「清瀬の小住宅」オープンハウスにお邪魔してきました。

コンパクトな木造2階建ての住宅。
1階が13坪、2階が10坪(延べ床面積23坪)ながら、内部に吹抜けを持つ立体的な空間操作で狭さを感じさせない全体構成。
メインの空間となるリビング・ダイニング内装には、淡いグレー色のしっくい塗り、コンクリートの土間床も墨入り、建具も木製として素材感を豊富に与えていました。

配置・平面・断面計画、内部空間、素材選び、ディテール、コストを抑える各所工夫・・感心するポイントが多いです!
同業者ですが、建築設計のノウハウを情報交換できるオープンハウスに足を運ぶことはとても有意義だと思います。

また、ちょうど同じタイミングで建築家の横河健 先生も若原さんの建築を見に来られました。少しご挨拶させていただきまして共通の知人のことなどに話題がおよび・・大変楽しい小住宅の見学となりました。

 

 

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2017-03-14 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

media/homify(スペイン)に紹介されました

スクリーンショット 2017-03-04スペイン

WEBマガジン homify(スペイン)

特集記事にhm+architects 設計「犬山の住宅」が紹介されました。
スペイン語です!
ヨーロッパ・オランダに引き続き、スペインでも記事紹介いただきました。
なぜか下記website画像解像度は低いですが、リンク先画像は問題なくきれいです。

https://www.homify.cl/libros_de_ideas/2585917/una-casa-prefabricada-y-perfecta-para-vivir-donde-quieras

 

<homify(www.homify.jp)>
ドイツ、ベルリンを拠点に置くオンラインプラットフォームで
建築、インテリアデザイン、家具デザイン、庭デザイン、その他暮らしに関わる小物等まで紹介しているウェブサイト。
日本を含め23カ国に配信されています。

 

 

 

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2017-03-04 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

模型製作

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住宅案プレゼンテーションに向け模型製作中です。

通常の建築の図面・模型スタディでは、縮尺は1/100、1/50の検討が中心ですが、今回は1/100モデルと、1/30で準備中です。
1/50や1/30サイズですと、内部空間のイメージがしやすくなるため、家具の椅子やテーブルも重要なアイテムとなります。リビング、ダイニング、外部ベンチなど、デザインも変えながらつくります。人物や植栽なども加えます。

私たちhm+architectsでの製作道具は、どんなサイズの模型でも、
・カッター(刃の先端が30度のもの)
・カッターマット(サイズ:A3、A2)
・金尺(金属製の定規:長さ15cm、30cm、60cm、100cm)
・スコヤ(直角を確認し、部材を切り出す時に使用:大小サイズあり)
・ピンセット(先端:まっすぐのもの、折れ曲がったもの)
・両面テープ(幅:5mm、10mm、20mm、40mm)
・スプレーのり(接着力の強いもの、はがせるもの)
・木工ボンド(速乾)
この愛用品たちで、ほとんど全てつくってしまいます。

ちなみに大学で学生さんの設計課題の模型を見ていますと、接着剤に「スチのり」を使う方が多いのですが(かつて自分も学生時代は使っていましたが)これは使用していません。
作業性・仕上がり・製作後の耐久性など、長年の実務設計の模型製作経験からある時期以降、木工用ボンド(速乾タイプ)に切換えました。

 

建築の模型は、自分たちの設計検討・確認作業と、受取っていただく方へのプレゼンテーションで、空間イメージを共有していくために大変重要なアイテムであると考えています。
作業効率良く、精度を高めて・・ついのめり込んでしまいますので、全体作業時間をコントロールするのが難しいところです。

いずれにせよ、どのプロジェクトでも模型に私たちの想いを込めています。
今回もそれがしっかり伝わってくれることを信じて・・
毎度のことですが作業にはまり込んでおります。

 

 

 

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2017-03-04 | Posted in diary, blogNo Comments » 

 

event/「緑を楽しむ暮らし」at garage

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以前より準備をしていました、ASJ豊橋スタジオ/株式会社 荒川工務店さん主催のイベントを無事終えることができました。

ARCHITECT × GARDENER
「緑を楽しむ暮らし」at garage

日時:2017年2月18日(土)2月19日(日)11時〜18時
場所:愛知県豊橋市 グリーン&インテリアショップ「garage」

地元にゆかりのある3人の建築家ということで、
hm+architects 一級建築士事務所/伊原洋光
スタジオグラッペリ一級建築士事務所/竹内直樹
植村康平建築設計事務所/植村康平
が主に模型とパネルを持ち寄って展示を行いました。

170218【ASJ豊橋】garageイベント表面

170218【ASJ豊橋】garageイベント裏面
場所を提供してくださったgarageさんのグリーンとともに、展示物の間を自由に散歩しながらリラックスして見ていただくようなディスプレイになればと考えました。

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当日はイベントのことを事前にご存じない方も、ふらりと立ち寄って下さいました。
お子さん達も楽しそうに模型を覗き込んでくれています!

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建築家の存在とその仕事を身近に感じていただければうれしいですね。

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伊原洋光、竹内直樹、植村康平によるミニレクチャーと、garage代表の二村昌彦さん、荒川工務店さんを交えたリレートークなども計4回開催。
ご来場者の方々にも参加いただき、リラックスしながら建築やグリーンの専門家への質問・意見交換も行えました。
アンケートには、「建築家の話しが身近な場所で直接聞けて良かった!」というコメントも・・

このイベントの開催で、私たちもご来場の方からたくさんのエネルギーをいただくことができました!
ご来場いただき本当にありがとうございました。

 

 

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2017-02-20 | Posted in diary, blogNo Comments »